『三匹の侍』(さんびきのさむらい)は、1963年(昭和38年)から1969年(昭和44年)にかけてフジテレビ系列で毎週木曜日20時から20時56分に放映された連続テレビ時代劇。最高視聴率は42パーセントを記録した。全6シリーズ(157話)。第3シリーズまで生放送・一部モノクロフィルムおよびVTR、第4シリーズ以降モノクロVTR・一部モノクロフィルム作品。
第1シリーズ放映終了後に松竹とさむらいプロの共同制作により、五社英雄監督の演出で映画化された(後述)。
1970年にはレギュラー出演者を代えた『新 三匹の侍』(しんさんびきのさむらい 13話・カラーフィルム作品)が制作された。この項目では『新 三匹の侍』についても後述する。
文政年間を舞台に、宿場から宿場へと、あてどのない流浪の旅を続ける三匹の凄腕浪人が、庶民を苦しめる権力や悪人と闘う、というストーリー[1][2]。当初は丹波哲郎、平幹二朗、長門勇の3人がレギュラーに起用されたが、第2シリーズからはリーダー格の丹波に代わって時代劇初出演の加藤剛がレギュラーに加わり、平がリーダー格となった。当時、浅草のコメディアン出身で全国的には無名だった長門は、この作品で『おえりゃあせんのう』などのとぼけた岡山弁を操る槍の名手・桜京十郎を演じ、人気俳優となった[3]。
演出を担当したのは当時フジテレビのディレクターだった五社英雄。それまでの時代劇にはなかった独自のアクション表現が話題を呼んだ。かつてない斬新な殺陣とカメラワークに加え、刀で人を斬る演技の際に、リアル感を表現するために、時代劇ではじめて効果音が使われた[4][注釈 1]。
当時はテレビドラマは生放送が当たり前の時代で、映画と違って休憩をはさみながらカットごとに殺陣を撮影するという手段が使えず、俳優への負担が危惧されたが、当時の新技術であったVTRの一部導入で乗り切った[3]。
レギュラー放送終了後の1983年に「時代劇スペシャル」枠で新作の放送を予定していたが、五社のスケジュールの問題で頓挫した(詳細は陽暉楼#逸話を参照)。
☆=フジテレビ系、●=日本テレビ系、△=TBS系、■=NETテレビ(現:テレビ朝日)系
テレビドラマ版の人気を受けて制作され、第1シリーズ放映終了後の1964年5月13日に公開[9]。五社英雄の初監督映画。ストーリーはテレビドラマ版の第1シリーズ第1話『剣豪無宿』をベースにしている。
浪人・柴左近(丹波哲郎)は、一人旅の途中に立ち寄ったある村で、折からの凶作と代官・松下宇左衛門(石黒達也)の圧政に苦しめられている百姓たちに出会う。年貢の減免を代官に交渉しようと、甚兵衛(藤原釜足)、五作(今橋恒)ら三人の百姓が代官の娘の亜矢(桑野みゆき)を人質にして水車小屋に立てこもっていた。
最初は高みの見物を決めこんでいた柴だったが、騒動に巻き込まれる形となり、成り行きで百姓たちに加勢。代官は娘を取り返すため、用心棒の桔梗鋭之介(平幹二朗)と浪人・桜京十郎(長門勇)らを水車小屋へ差し向けるが、柴から事情を聞かされた百姓出身の桜は寝返って百姓側につく。
騒ぎの果てに、柴は百姓三人の罪は問わないことを条件に亜矢を代官に返し、首謀者として自ら捕えられるが、代官は百姓が藩主に直訴することを恐れ、浪人(織本順吉、保科三良)たちを使って密かに三人の百姓を殺害。柴も拷問にかけられてしまう。半死半生となった柴は亜矢と桜に救出され、江戸から帰って来る藩主の大名行列が通過する道で百姓たちに強訴させようという計画を立てて水車小屋に潜む。
当初は一連の動きを第三者的立場でクールに眺めていた桔梗だったが、百姓との騒動を藩主に知られたくない代官が全ての関係者の口を封じるために差し向けて来た浪人(佐藤京一)らに女郎屋で襲撃を受け、愛人であった女郎屋の女将(三原葉子)をも殺されたことで柴に加勢。が、惚れた百姓女・おいね(木村俊恵)を人質に取られてしまった桜が、柴たちの居所を代官に喋ってしまう。
やがて藩主行列の先触れとして代官屋敷に到着した大内(青木義朗)が代官から事情を聞き、柴たちを始末するべく手勢を率いて水車小屋を襲撃。拷問の傷がまだ癒えない柴と女郎屋での不意打ちで傷を負っている桔梗は多勢に無勢もあって大苦戦。
一度は柴たちを見捨てて、おいねと共に村を出た桜であったが、自責の念にかられ、おいねの制止を振り切って村へ引き返し、柴たちの元へ駆けつける。三匹の侍は力を合わせて敵に立ち向かう。死闘の末に大内を倒した柴は単身で代官屋敷に乗り込むが…。
五社英雄アワー 新 三匹の侍(ごしゃひでおアワー しんさんびきのさむらい)は、1970年(昭和45年)7月6日から9月28日にかけてフジテレビ系列で毎週月曜日20時から20時56分に放映された連続テレビ時代劇。全13話。
前作の長門勇以外のレギュラー・キャストを一新し、五社英雄監督の親友・安藤昇を主役に起用した。
甲良幹二朗の作画で、ホーム社の月刊時代劇漫画誌『コミック時代活劇』に2004年の創刊号から2006年の休刊まで19回(全18話)に渡って連載され、同社よりコミックスとして発刊された。全4巻。ドラマ版のメインライターであった柴英三郎の脚本担当回のみを劇画化。登場する三匹は柴、桔梗、桜。
また、土山しげるの作画で、同じく柴英三郎の脚本担当回のみを劇画化した物が日本文芸社よりコミックスとして発刊された。全3巻。
これまで映像が現存するのは第4シリーズのみとされていたが、半世紀ぶりに第5シリーズ、第6シリーズ、映画版、『新 三匹の侍』のマスターテープが発見された[10]。
CSではフジテレビ721(2002年)と時代劇専門チャンネル(2004年)で第9話『魔』を除く第4シリーズの25話分が放送されていた。2015年4月から時代劇専門チャンネルで現存3シリーズを一挙放映[10]。
2003年3月に松竹ホームビデオから映画版(丹波哲郎、平幹二朗、長門勇)のDVDが販売された。ドラマ版については、2008年11月にフジテレビ開局50周年記念としてポニーキャニオンから第4シリーズ・全26話(平幹二朗、加藤剛、長門勇)の9枚組DVD-BOXが販売された。2012年には米Criterion社より映画版のブルーレイ/DVDがリリースされた。
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