小川 真司(おがわ しんじ、1941年[5]2月19日[4] - 2015年3月7日[4][6])は、日本の声優、俳優。死去時点での最終所属先はヘリンボーンであった[4]。
東京府東京市出身。
生涯
芸歴:俳優座俳優養成所[4]、劇団俳優小劇場[4]、無名塾[4]、A&E事務所[7]。青二プロダクション[8][9]、紅屋25時[10]、大沢事務所[11]、ヘリンボーン(最終所属)。
大手企業の社長の息子として生まれ、後に等々力に移住した[12]。
少年時代は可愛らしい顔だったためカメラマンにスカウトされ、小学1年から3年まで『太陽少年』という少年誌の表紙モデルをやっていた。また、小学生から中学生になるまでクラシック・バレエを習っていた[12]。
その後、作曲家を目指すが才能がないと思い断念し、普通の仕事に就くつもりだったが、東京教育大学附属高等学校(現・筑波大学附属高等学校)[13]を卒業する頃、友人(河内桃子の妹)から俳優座養成所の卒業公演に招待され、観に行ったところ、華やかで楽しそうだと感じ、父親に反対されながらも「援助はいらない」と説得して、大学進学よりも劇団入団を目指すようになる。そして俳優座に合格して、養成所に入所する。当時は映画全盛期の時代で、映画俳優がテレビに出たがらなかったため、養成所の新人を探していたテレビ局関係者から抜擢()され、石坂洋次郎原作の青春ドラマ『寒い朝』で十朱幸代の相手役としてデビューした[12]。
養成所卒業後は文学座入団を志望したが、その年に文学座が劇団員を採用していなかったため、小沢昭一が結成した俳優小劇場に入団する。その劇団には大塚周夫や小山田宗徳など、吹き替えでも活躍する俳優が在籍しており、小川も吹き替えの仕事に呼ばれたが、ほとんどが少年役で、地声が低くダメ出しされることが多かったため、しばらく吹き替えの仕事は断っていたという。30歳を過ぎてから大人役が増え、『華麗なる世界』の吹き替えを1年間全うすることができ、以降は声の仕事でも積極的に活動するようになった[12]。
映画、テレビ出演は脇役が中心だが、飄々とした持ち味を岡本喜八監督に買われ、劇場映画4本、テレビ映画1本で起用されている。中では、テレビ『幽霊列車』での、内田朝雄、天本英世、殿山泰司、山本麟一らベテラン俳優たちとアンサンブル芝居を繰り広げる村会議長役が代表的である[要出典]。
2014年秋頃から体調を崩し、喉の違和感を訴えて入退院を繰り返しながら、レギュラー出演していた『クリミナル・マインド FBI行動分析課』の吹き替え収録などの役者活動を継続していたが、2015年2月に入った直後、体調不良により全ての持ち役を降板、同年3月7日、器質化肺炎のため死去[6][14][15]。74歳没。葬儀は近親者のみで執り行われた。
人物
妻は無名塾の後輩で女優、ビーズジュエリー・アーティストの原陽子。俳優の小川ゲンは息子[14]。
端正な声を持ち、上司タイプの役柄が多かった[9]。多数の洋画作品で吹き替えを担当しており、俳優ではマイケル・ダグラス[2]をはじめ、ティモシー・ダルトン[12]やロバート・デ・ニーロ[2]、ダスティン・ホフマン[16]、サム・ニール、マイケル・ケイン、ランス・ヘンリクセン、デヴィッド・ストラザーンなどの吹き替えを多く担当していた。映画『バットマン ビギンズ』ではソフト・地上波放送合わせて3パターンある吹き替え版に全て出演している。またドラマ版を含めるとバットマン、アルフレッド、ヴィラン(敵役)を一通り演じ切った声優となる。
佐古正人の娘であり女優・声優である佐古真弓は生前の小川に「お父さんの持ち役(『名探偵コナン』の遠山銀司郎役)を引き継がせてもらったせいか、真弓と共演する事が自分の娘の成長を見る様で嬉しい」と言われ、感激したことを小川が亡くなった際に明かしている。また、六本木の居酒屋で毎週会うなど、その後の交流も多かったという[17]。
『ウォール街』(機内上映版)で初めて吹き替えを務め、その後もフィックス(専属)として[18]長年に渡り担当したマイケル・ダグラスに関しては「才能のある方なので、一瞬で感情を変えることができる。しかも愛嬌があるので、声を演じていて楽しいですし、感心する」と語っており、長く親しんだこともあり、息遣いやタイミングなど演技をする際にはつかみやすいと語っている。善人役ばかりでないダグラスが持ち役だったことからもわかるように、悪役を演じることも多かったが、小川自身は悪役の吹き替えは楽しいと語り、特に異常な役を演じることが楽しいとも語っている[12]。
また「007シリーズ」の4代目ジェームズ・ボンドであるティモシー・ダルトンの役は「英国の俳優は、独特の表現を伴っていて、明晰なイメージがあるタイプが多い。そういった意味で、滑舌のいい、しっかりとした人を」との理由で抜擢された[19]。オファーが来た際は戸惑いを感じたが、初代ジェームズ・ボンドのショーン・コネリーらとは異なるボンド像であることから「僕にくださった役だから、僕らしく演じるしかない」と考え、「見た目のカッコ良さは彼(ダルトン)に任せて、あとはあまり気取らないで演じよう」と心掛けたという[12]。
ロバート・デ・ニーロやダスティン・ホフマンについては、芝居が読めず苦労したと語り、呼吸を合わせる際に注意しないと遅れる場合があると回想した[12]。
代役・後任
2015年2月、体調不良を理由に出演予定だった作品を降板し、出演中だった作品も代役が立てられた。また、2015年1月に『エクソダス:神と王』の吹き替え版にキャスティングされていたが[20]、出演することは叶わず[21]、どの役柄で出演予定であったかは不明である。
この他、専属で吹き替えを担当していたマイケル・ダグラスの吹き替えに関しては、小川の没後に公開されたマーベル・シネマティック・ユニバースでは御友公喜が務めた[28]。
出演
太字はメインキャラクター。
テレビドラマ
映画
テレビアニメ
- 1980年
-
- 1986年
-
- 1987年
-
- 1988年
-
- 1989年
-
- 1991年
-
- 1997年
-
- 1998年
-
- 1999年
-
- 2000年
-
- 2002年
-
- 2004年
-
- 2005年
-
- 2006年
-
- 2007年
-
- 2008年
-
- 2009年
-
- 2010年
-
- 2011年
-
- 2012年
-
- 2013年
-
- 2014年
-
- 2016年
-
劇場アニメ
- 1989年
-
- 1991年
-
- 1992年
-
- 1995年
-
- 1997年
-
- 1998年
-
- 2006年
-
- 2008年
-
- GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊2.0(外交官)
- 2010年
-
- 2013年
-
- 2014年
-
OVA
- 1987年
-
- 1988年
-
- 1989年
-
- 1990年
-
- 1991年
-
- 1992年
-
- 1993年
-
- 1994年
-
- 1995年
-
- 1996年
-
- 1997年
-
- 1998年
-
- 2001年
-
- 2004年
-
- 2006年
-
- 2008年
-
- 2010年
-
- 2015年
-
ゲーム
- 1994年
-
- 1995年
-
- 1997年
-
- 1998年
-
- 2003年
-
- 2006年
-
- 2007年
-
- 2008年
-
- 2009年
-
- 2011年
-
- 2012年
-
- 2013年
-
吹き替え
担当俳優
- アンソニー・ホプキンス
-
- ウィリアム・ハート
-
- クリス・クーパー
-
- クリストファー・ウォーケン
-
- グレゴリー・ペック
-
- ゲイリー・シニーズ
-
- サム・シェパード
-
- サム・ニール
-
- ジェームズ・ウッズ
-
- ジェームズ・スチュアート
-
- ジェレミー・アイアンズ
-
- ダスティン・ホフマン
-
- チャールズ・ダンス
-
- ティモシー・ダルトン
-
- デヴィッド・ストラザーン
-
- トム・ベレンジャー
-
- ピーター・コヨーテ
-
- ピーター・ストーメア
-
- ビル・ナイ
-
- ベン・キングズレー
-
- マーティン・シーン
-
- マイケル・ケイン
-
- マイケル・ダグラス
-
- ユルゲン・プロホノフ
-
- ランス・ヘンリクセン
-
- リチャード・ギア
-
- ルトガー・ハウアー
-
- ロバート・デ・ニーロ
-
映画
ドラマ
アニメ
その他
- 文藝春秋 Sports Graphic Number Video Version 世界珍プレードキュメント スポーツあれれ大全(ティム・マッカーバー)
特撮
デジタルコミック
ナレーション
ラジオドラマ
- 雨の中の三人(NHK)
- 鯨(NHK)
- ザ・ダイバー(TBS)
- 詩劇・一番高い場所(NHK)
- 高瀬舟(NHK)
- 隣の二人
- 僕らのペガサス(NHK)
- マッハの恐怖(NHK)
- ラバウルの秘宝(中小路信 役)
- 竜舌蘭の咲く時(NHK)
- 老潜水夫の執念(NHK)
- 宇宙英雄物語(ロジャー・アドレアン・グリフィス)(2012年4月 - 2015年2月)
- 宇宙英雄物語ラジオドラマ ACT.1 ACT.2 ACT.3 として、各2枚組CDでリリース
テレビ番組
CD
舞台
- A TAP DANCE STORY(1993年12月11日 - 14日 東京芸術劇場中ホール) - 朗読
脚注
注釈
出典
外部リンク
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