『ボーン・アルティメイタム』(The Bourne Ultimatum)は、2007年のアメリカ合衆国のサスペンス・アクション映画。記憶を失った暗殺者ジェイソン・ボーン(Jason Bourne)を主人公とした『ボーン』シリーズの3作目であり、『ボーン・スプレマシー』の続編。監督は前作に引き続きポール・グリーングラス、出演はマット・デイモン、ジョアン・アレンなど。原題はロバート・ラドラムの『最後の暗殺者』の原題と同じであるが、ストーリーはまったく異なり映画オリジナルである。CIAの秘密作戦を世間に知らせようとする内部関係者を巡って、過去の記憶を取り戻そうとするボーンとCIAが争う。なお、題名のアルティメイタムとは最後通牒のこと。
北アメリカでは2007年7月25日にプレミア上映されたのち、8月3日に3660館で公開され、週末興行成績で初登場1位になった。日本では同年11月10日に日劇1ほかで公開された。全世界で4億4410万ドルを売り上げ、デイモンが主演した作品の中で当時最高の興行収入を記録した。批評家からも絶賛され、シリーズ最高傑作と評された。ナショナル・ボード・オブ・レビューでは 2007年のトップ10作品に選ばれ、第80回アカデミー賞では、編集賞、録音賞、音響効果賞を受賞した。
あらすじ
アメリカ合衆国の秘密プロジェクトとして、CIAが主宰した人間兵器作成計画「トレッド・ストーン作戦」の第1号として世へ送り出されたジェイソン・ボーンは、ある任務をきっかけに記憶を喪失してしまい、図らずも所属元のCIAから追われる。ボーンは記憶を取り戻す旅を続けながら、CIAと戦い、現場責任者であったコンクリンを追い詰めて恫喝して去る。しかし総責任者のアボットはコンクリンを暗殺、全ての責任を彼へ被せ「トレッド・ストーン作戦」を中止した。そして新たなプランとして「ブラックブライアー作戦」を開始する。しかし、イギリスの新聞記者サイモン・ロスが闇に葬られたはずの「トレッドストーン作戦」の存在を嗅ぎつけ内容を世間に暴露しようとする。ボーンは新聞記事を見てロスへ接触したが、ロスはCIAのスナイパーに射殺されてしまう。ボーンがロスの死の直前に聞いたのは「トレッド・ストーン作戦」の発展版「ブラック・ブライヤー(黒い荊棘)作戦」が進行中という情報だった。ロスへ接触した為、存在をCIAに察知されてしまったボーンは、またしてもCIAに命を狙われながら、自分を追う者の正体と自分が誰であるかを捜し求めて、再び動き始める。
登場人物
- ジェイソン・ボーン
- 演 - マット・デイモン
- CIAが主宰した人間兵器作成計画「トレッド・ストーン作戦」の第1号。今でもCIAに追われている。サイモンの遺した手帳からも調査を始める。
- ニッキー・パーソンズ
- 演 - ジュリア・スタイルズ
- CIA職員。一時期ボーンと行動を共にしていた。
- パメラ・ランディ
- 演 - ジョアン・アレン
- CIAのエージェント。かつてボーンの動向を追っていた。今回もボーン追跡に加わるがボーンにはそれなりの理解がある。
- ノア・ヴォーゼン
- 演 - デヴィッド・ストラザーン
- CIA対テロ極秘調査局員。作戦の存在が外部に漏れることを恐れ、情報を特定されてしまった問題の収束に動き出す。
- エズラ・クレイマー
- 演 - スコット・グレン
- CIA長官。未だにボーンを危険視している。事件の責任を問われ、更迭される。
- アルバート・ハーシュ
- 演 - アルバート・フィニー
- 博士。「トレッドストーン作戦」の関係者の一人。ボーン誕生となった張本人でもある。
- サイモン・ロス
- 演 - パディ・コンシダイン
- ガーディアン紙の記者。ニールから新たな作戦についての情報を仕入れ、このことを世間に公表しようとする。
- ニール・ダニエルズ
- 演 - コリン・スティントン
- CIAのマドリッド支局長。サイモンに情報を話す。ディシュに爆殺される。
- ウィリス
- 演 - コーリイ・ジョンソン
- ヴォーゼンの部下。
- トム・クローニン
- 演 - トム・ギャロップ
- ランディの部下。
- バズ
- 演 - エドガー・ラミレス
- ヴォーゼンの仲間。暗殺を命じられる。
- マーティン・クルーツ
- 演 - ダニエル・ブリュール
- マリーの兄。ボーンが妹の敵討ちをしたことを知り、更なる陰謀を暴くことをする意思を見届ける。
- ワード・アボット
- 演 - ブライアン・コックス
- 自白の録音音声。
- ディシュ
- 演 - ジョーイ・アンサー
- 暗殺者。ヴォーゼンにより送り込まれる。
キャスト
スタッフ
評価
レビュー・アグリゲーターのRotten Tomatoesでは268件のレビューで支持率は92%、平均点は8.00/10となった[4]。Metacriticでは38件のレビューを基に加重平均値が85/100となった[5]。
主な受賞
続編
主演のマット・デイモンは、2007年に訪れたカンヌ国際映画祭にて「『ボーン』シリーズは3作目でラスト」とコメントしていたが、その後、続編の製作が決定した[6]。シリーズ4作目となる『ボーン・レガシー』では、グリーングラス監督の降板に伴い主演のマット・デイモンも出演しないことが決まっている。
原作小説
この映画シリーズは、ロバート・ラドラムによる長編小説『暗殺者』(The Bourne Identity、1980年)、『殺戮のオデッセイ』(The Bourne Supremacy、1986年)、『最後の暗殺者』(The Bourne Ultimatum、1990年)のボーン3部作を原作としている。
なお、ロバート・ラドラムの死後、エリック・ヴァン・ラストベーダーによって、続編『ボーン・レガシー』(2004年)、『ボーン・ビトレイヤル』(2007年)、『ボーン・サンクション』(2007年)が書かれている。
備考
脚注
外部リンク
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