手塚治虫文化賞(てづかおさむぶんかしょう)は、朝日新聞社が主催する、優れた漫画に授与する各賞の総称である。
概要
手塚治虫の業績を記念し、「マンガ文化の健全な発展」を目的に1997年に創設。選考委員として、業界の重鎮ではなく「現在の漫画をよく読む人物」が選ばれている点、選考委員の審査内容が公開される点が特徴である。
選考年の前年に発行され、読者・選考委員から推薦された単行本が対象(このため連載中の作品でも単行本が出なかったものは選考対象にならない)。審査員の投票による一次選考ののち、最終選考を経て各受賞作が決定される。選考委員の推薦・投票内容は公開される。一次選考は2月頃、結果発表は4月下旬頃、贈呈式は6月頃。
選考方法
- 一次選考
- マンガ関係者と一般読者からの推薦をもとに選ばれた選考対象作品に、審査員一人につき持ち点15点、1作品にひとり最大5点までの投票が行なわれる(点の振り分け方は自由)。上位の作品がノミネート作品となる。
- 最終選考
- 第6回までは1位 - 5、6位までの傾斜配点による審査員の投票により決定されていた。第7回以降は投票ではなく審査員の合議によって決定される[1]。
賞金・賞品
正賞と副賞が贈られる。正賞は造形作家・横山宏による鉄腕アトムをイメージしたブロンズの賞牌。
- マンガ大賞
- 正賞:ブロンズ像、副賞:200万円
- 年間を通じもっとも優れた作品に与えられる。
- 優秀賞(第6回まで)
- 正賞:ブロンズ像、副賞:100万円
- 大賞に準ずる優れた作品に与えられる。
- 新生賞(第7回以降)
- 正賞:ブロンズ像、副賞:100万円
- 斬新な表現、画期的なテーマなど新しい才能を示した作品に与えられる。
- 短編賞(第7回以降)
- 正賞:ブロンズ像、副賞:100万円
- 短編、4コマ漫画、1コマ漫画などの優れた作品、作者に与えられる。
- 特別賞
- 正賞:ブロンズ像、副賞:100万円
- 漫画文化の発展に寄与した人物、団体に与えられる。
- 読者賞(第18回)
- 正賞:記念の盾、副賞:10万円
- 第18回の特別企画として設けられた。朝日新聞デジタル会員の投票で決定。
歴代受賞作品
第1回 - 第10回
第1回(1997年)
選考委員:荒俣宏、石上三登志、いしかわじゅん、大月隆寛、岡田斗司夫、印口崇、唐沢俊一、呉智英、小松左京、斉藤由貴、里中満智子、三代目魚武濱田成夫、鈴木光司、関川夏央、高橋源一郎、タケカワユキヒデ、鶴見済、長谷邦夫、荷宮和子、古川益蔵、フレデリック・ショット(英語版)、村上知彦、夢枕獏、養老孟司、米澤嘉博
第2回(1998年)
選考委員:荒俣宏、石上三登志、いしかわじゅん、大月隆寛、岡田斗司夫、印口崇、唐沢俊一、呉智英、小松左京、斉藤由貴、里中満智子、三代目魚武濱田成夫、鈴木光司、関川夏央、高橋源一郎、タケカワユキヒデ、鶴見済、長谷邦夫、荷宮和子、古川益蔵、フレデリック・ショット、村上知彦、夢枕獏、養老孟司、米澤嘉博
第3回(1999年)
選考委員:荒俣宏、石上三登志、いしかわじゅん、大月隆寛、岡田斗司夫、印口崇、唐沢俊一、呉智英、小松左京、斉藤由貴、里中満智子、三代目魚武濱田成夫、鈴木光司、関川夏央、高橋源一郎、タケカワユキヒデ、長谷邦夫、荷宮和子、古川益蔵、フレデリック・ショット、村上知彦、夢枕獏、養老孟司、米澤嘉博
第4回(2000年)
選考委員:荒俣宏、石上三登志、いしかわじゅん、印口崇、呉智英、里中満智子、J・ベルント、関川夏央、竹内オサム、藤本由香里、[細萱敦、水野英子、村上知彦、夢枕獏、米澤嘉博
第5回(2001年)
選考委員:荒俣宏、石上三登志、いしかわじゅん、大月隆寛、岡田斗司夫、印口崇、唐沢俊一、呉智英、小松左京、斉藤由貴、里中満智子、三代目魚武濱田成夫、鈴木光司、関川夏央、高橋源一郎、タケカワユキヒデ、鶴見済、長谷邦夫、荷宮和子、古川益蔵、フレデリック・ショット、村上知彦、夢枕獏、養老孟司、米澤嘉博
第6回(2002年)
- マンガ大賞:井上雄彦 『バガボンド』
- マンガ優秀賞:三浦建太郎 『ベルセルク』
- 特別賞:なし
- 最終選考結果(得点):井上雄彦、原作/吉川英治『バガボンド』(63点)、三浦建太郎『ベルセルク」(57点)、小畑健、原作/ほったゆみ『ヒカルの碁』(53点)、新井英樹『ザ・ワールド・イズ・マイン』(47点)、清水玲子『秘密-トップシークレット-』(45点)、尾田栄一郎『ONE PIECE』(40点)
選考委員:荒俣宏、石上三登志、いしかわじゅん、印口崇、呉智英、里中満智子、関川夏央、ジャクリーヌ・ベルント、竹内オサム、細萱敦、藤本由香里、水野英子、村上知彦、夢枕獏、米澤嘉博
第7回(2003年)
選考委員:荒俣宏、いしかわじゅん、香山リカ、呉智英、清水勲、関川夏央、マット・ソーン、萩尾望都
第8回(2004年)
選考委員:荒俣宏、いしかわじゅん、香山リカ、呉智英、清水勲、関川夏央、マット・ソーン、萩尾望都
第9回(2005年)
選考委員:荒俣宏、いしかわじゅん、香山リカ、呉智英、清水勲、関川夏央、マット・ソーン、萩尾望都
第10回(2006年)
選考委員:荒俣宏、いしかわじゅん、印口崇、香山リカ、呉智英、萩尾望都、藤本由香里、村上知彦
第11回 - 第20回
第11回(2007年)
選考委員:荒俣宏、いしかわじゅん、印口崇、香山リカ、呉智英、萩尾望都、藤本由香里、村上知彦
第12回(2008年)
選考委員:荒俣宏、いしかわじゅん、印口崇、香山リカ、呉智英、萩尾望都、藤本由香里、村上知彦
第13回(2009年)
選考委員:印口崇、呉智英、竹宮惠子、中条省平、永井豪、藤本由香里、三浦しをん、村上知彦
第14回(2010年)
社外選考委員:印口崇、呉智英、竹宮惠子、中条省平、永井豪、藤本由香里、三浦しをん、村上知彦
第15回(2011年)
社外選考委員:印口崇、呉智英、竹宮惠子、中条省平、永井豪、藤本由香里、三浦しをん、村上知彦
第16回(2012年)
社外選考委員:竹宮惠子、中条省平、永井豪、中野晴行、ブルボン小林、ジャクリーヌ・ベルント、ヤマダトモコ
第17回(2013年)
社外選考委員:あさのあつこ、竹宮惠子、中条省平、永井豪、中野晴行、ブルボン小林、ジャクリーヌ・ベルント、ヤマダトモコ
第18回(2014年)
社外選考委員:あさのあつこ、竹宮惠子、中条省平、永井豪、中野晴行、ブルボン小林、ジャクリーヌ・ベルント、ヤマダトモコ
第19回(2015年)
社外選考委員:あさのあつこ、里中満智子、中条省平、中野晴行、ブルボン小林、南信長、みなもと太郎、ヤマダトモコ
第20回(2016年)
社外選考委員:あさのあつこ、杏、里中満智子、中条省平、中野晴行、南信長、みなもと太郎、ヤマダトモコ
第21回 -
第21回(2017年)
社外選考委員:杏、桜庭一樹、里中満智子、中条省平、中野晴行、南信長、みなもと太郎、ヤマダトモコ
第22回(2018年)
社外選考委員:秋本治、杏、桜庭一樹、里中満智子、中条省平、南信長、みなもと太郎、ヤマダトモコ
第23回(2019年)
社外選考委員:秋本治、杏、桜庭一樹、里中満智子、中条省平、南信長、みなもと太郎、ヤマダトモコ
第24回(2020年)
社外選考委員:秋本治、杏、桜庭一樹、里中満智子、中条省平、南信長、みなもと太郎、ヤマダトモコ
第25回(2021年)
[2]
社外選考委員:秋本治、桜庭一樹、里中満智子、高橋みなみ、中条省平、トミヤマユキコ、南信長、矢部太郎
第26回(2022年)
社外選考委員:秋本治、里中満智子、高橋みなみ、中条省平、トミヤマユキコ、南信長、矢部太郎
第27回(2023年)
社外選考委員:秋本治、里中満智子、高橋みなみ、中条省平、トミヤマユキコ、南信長、矢部太郎
第28回(2024年)
- マンガ大賞:ヤマザキマリ/とり・みき『プリニウス』
- 新生賞:坂上暁仁『神田ごくら町職人ばなし』(江戸の職人の技に込めた思いを卓抜した画力で描いた独自性に対して)
- 短編賞:益田ミリ『ツユクサナツコの一生』
- 特別賞:コミティア実行委員会(オリジナル作品に限定したマンガ同人誌の展示即売会を40年間続け、アマチュア作家ならびにプロ志望の多くの描き手を応援してきた功績に対して)
社外選考委員:秋本治、里中満智子、高橋みなみ、中条省平、トミヤマユキコ、南信長、矢部太郎
第29回(2025年)
社外選考委員:
脚注
参考文献
外部リンク
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