『大奥 』(おおおく)は、よしながふみ による日本 のフィクション ・時代物 の少女漫画 。隔月刊誌『MELODY 』(白泉社 )にて2004年8月号から2021年2月号まで連載された[ 1] 。
連載中から多くの日本の漫画賞 (#受賞歴 )を受賞し、ジェンダーに対する理解を深める内容を称えられジェイムズ・ティプトリー・ジュニア賞 も受賞・国内外での評価は高い。雑誌『ダ・ヴィンチ 』が発表した2012年の「Book of the Year 2012」では女性誌コミックランキング部門で4位[ 2] 。2023年6月時点でコミックスの累計発行部数は電子版を含め700万部を突破している[ 3] 。
メディアミックスも行われ、2010年に実写版映画第1弾、2012年にテレビドラマ・実写版映画第2弾。2023年1月からNHK 「ドラマ10 」枠でドラマ化(大奥 (2023年のテレビドラマ) を参照)。アニメは2023年6月からNetflix にて配信(#アニメ (Netflix) を参照)。
作風
日本の江戸時代 をモデルとした世界で、謎の疫病で男子の人口が急速に減少した結果、社会運営の根幹や権力が男から女に移っていく様を江戸城 の大奥 を中心に描く。
徳川家 の代々の将軍 達や要職にあった者など、歴史上では男性である人物が女性に、女性である人物が男性に置き換えられている。春日局 が大奥を作ったことや、当時のオランダ商館長 日記 [ 4] 「(本文八十一頁→)1647年1月6日(日)...(中略)...(本文九十一頁→)陛下(家光 )は、...無帽で膝を折って、足の裏の上に、玉座も何の台もなしに、直接畳の上に(正)座しており、黒地に青い格子で覆われた着物をまとい、他(の者たち)に対して目立つところはなく、見たところは色白で美男子であり、あまり太ってはいないが体格は立派で、彼等(日本人)の標準からすれば、背丈は低いというよりはむしろ高く、顔は丸いというよりは長く、43歳を過ぎているのに、外見からすると40歳より上には見えなかった。...(後略)...」などの詳細な史実と、フィクション を織り交ぜたストーリー構成となっている。
掲載誌『MELODY』での扉絵や柱にある粗筋では「男女逆転!パラレル時代劇」「これは日本の江戸時代とは似て非なる物語」と必ず記載されており、いわゆるSF作品(歴史改変SF )であると位置付けされている。
あらすじ
徳川三代将軍家光 の時代、関東のとある山村で熊に致命傷を負わされた少年を発端に、赤面疱瘡 と呼ばれる奇病が流行り始める。若い男にだけ感染するこの病は致死率80%、瞬く間に感染拡大し、約80年経過した頃には日本の男子人口は女子の1/4にまで減少していた。男子は子種を持つ大切な宝物扱い、女が全ての労働を担い家業を継ぎ、将軍職 も三代目以降女が継ぐことに。夫を持てない貧しい女達は花街で種を付け、婿取りは富裕層の特権となる。
その頂点として将軍が囲った、俗に美男3000人と謳われる女人禁制の城──それが大奥 である。
本作はその起こりから終焉までを、八代将軍吉宗 の時代を起点とし、それ以前の出来事は彼女が読む『没日録 』の内容としてほぼ時系列順に描いている。
なお、本項では便宜上、将軍の代替わりで区切って記載する。
8代将軍・吉宗編
正徳6年、旗本の水野祐之進 は大奥御三の間 に上がり、吉宗のご内証の方 に選ばれる。大奥のしきたりを逆手に取った藤波 の策略により水野は公には死罪となるが、吉宗の計らいで町人の進吉 として生まれ変わる。
水野の一件や、オランダ商館 カピタン[ 注釈 1] の江戸参府 の引見などを機に旧慣に疑問を持った吉宗は、御右筆頭 ・村瀬 を訪ね、大奥の始まりから全てを記した『没日録』の頁を捲り始める。
3代将軍・家光編
幕府 の基礎が確立されようとしていた家光(男)の治世下、赤面疱瘡で家光本人が急死してしまう。春日局 はそれを隠蔽し、家光の御落胤 ・千恵 を身代わりに立て、家光の血を繋ぐ世継ぎ を産ませるために公家 出身の美僧・有功 を大奥入りさせる。理不尽な仕打ちに反発していた二人だったが、やがて互いの境遇と心情を知り愛を育んでいく。
春日局の死後、千恵は男子人口が元に戻るまでの措置として男名・家光を名乗り、亡父の名代を勤めると宣言。男子不足に悩まされていた大名家もこれに追随し、男名の女大名が誕生していく。
千恵は3人の姫を遺して死去し、有功は遺命で出家 せず大奥総取締 として大奥に留まることとなる。
4代将軍・家綱編
千恵の娘・家綱 は政務を老中 らに全任していたが政治は安定していた。明暦の大火 の晩、家綱は突如義父・有功への好意を告白する。有功はこれを拒絶し、大奥を去り永光院 として出家する。
家綱は世継ぎの無いまま薨去、綱吉 が後を継ぐ。
5代将軍・綱吉編
五代将軍・綱吉はその美貌と賢さで人々から愛される日々を送っていたが、世継ぎの急死により再度の子作りを求められる。綱吉の父・桂昌院 と大奥総取締・右衛門佐 の権力争いも相まって日々派手になっていく綱吉の行為は男狂いの贅沢三昧と揶揄され、赤穂事件 や生類憐れみの令 の影響もあり市井での評判は下落。だが「男女の愛とは子作りのためだけのものではない」と諭す右衛門佐とついに結ばれ、父の呪縛を断ち切り自ら家宣 を後継に指名する。
その直後、右衛門佐は死去。やがて麻疹 に倒れた綱吉に、側用人・柳沢吉保 は秘めた想いを告白しながら彼女の命を絶つ。
6代将軍・家宣編
家宣の側用人・間部詮房 に拾われた勝田左京 は詮房に恋心を抱くが、詮房は左京を家宣の側室にする。
六代将軍となった家宣は先代の悪政を正し、庶民からも善政 を期待されたが程無く薨去。この際、取り乱した詮房と左京が関係を持ってしまったことが江島生島事件 の序章となる。
左京は出家し月光院 と名を改め、その娘・家継 が七代将軍となる。
7代将軍・家継編
七代将軍・家継は幼く病弱であったため、大奥では世継ぎを巡って権力争いが起こる。先代家宣の正室であり紀州 派の天英院 側の謀略により、尾州 派・月光院側の御年寄 ・江島 が捕らえられる(江島生島事件 )。江島は死罪を申し渡されるが月光院は紀州吉宗を推す代わりに江島の命乞いをし、天英院はこれを受け入れた。
家継は僅か7歳で病没、八代将軍は吉宗 となる。
ここまでの経緯を『没日録』を読んで知った吉宗は、男子が少ない現状での開国は危険と判断し、鎖国を続けつつ赤面疱瘡の撲滅を目指す決意をする。
9代将軍・家重編
吉宗には3人の姫がいたが、長女・家重 は言語障害・排尿障害などがあり老中らは廃嫡 を上申していた。跡継ぎ問題の中、吉宗は家重の頭脳を見抜き九代将軍を継がせるが、天災や吉宗治世の負の遺産、大御所 として吉宗が健在であったこともあり、家重への評判は低く無能扱いのまま一生を終える。
一方、家重を支えていた田沼意次 は赤面疱瘡根絶に向け始動。長崎 に平賀源内 を遣わして青沼 を招き、大奥で蘭学 の講義を始める。
10代将軍・家治編
田沼意次は十代将軍・家治 の下で実質的な政を司り成果を挙げていくが、吉宗の次女・宗武 の娘である松平定信 からは、先の後継問題で禍根が残っていたこともあり、唯金主義 と批判される。
一方大奥では、青沼や黒木 らによって蘭学と赤面疱瘡の研究が進み、ついに人痘法 に辿り着く。人痘法は大奥で成果を上げたものの、定信の甥が副反応 犠牲者となってしまい、これをきっかけに田沼一派は失脚。青沼は打首 、黒木らは追放され、大奥から蘭学は一掃される。
その裏には吉宗の三女・宗尹 の娘である治済 の暗躍があった。家治の毒殺後、治済は密かに人痘接種を済ませていた息子・家斉 を将軍に立て、三代家光公以来の男将軍がここに誕生する。
11代将軍・家斉編
家斉は十一代将軍に就いたが実権は母・治済が握っていた。母の本性に気付いた家斉は密かに黒木に赤面疱瘡対策を再開させ、副作用のほとんど無い熊痘 に辿り着く。治済は家斉をも殺そうとするが、我が子を殺された家斉の正室、側室らに逆に毒を盛られ寝たきりの身となる。
家斉は強権的に熊痘接種を徹底させ、男子人口は急速に回復。息子・家慶 を十二代将軍に就け、大御所として実権を握る。
12代将軍・家慶編
将軍家以下男子家督相続が復活する中、阿部正弘 は女性寺社奉行 として腕を振るい老中に就任する。正弘は家慶の娘・祥子 が実父から性的虐待 を受けていることを知り、祥子の守りとして瀧山 を奥入りさせる。
その後、家慶は黒船来航 のショックで急死。祥子は家定 と名を改め、十三代将軍となる。
13代将軍・家定編
家定と正弘により鎖国 は終わり日本は開国する。
薩摩藩 は一橋慶喜 擁立のため、近衛胤篤 を家定の御台所 として大奥へ送り込む。胤篤は家定に心から尽くし、やがて家定も心を開くが、懐妊した家定は出産前に薨去してしまう。胤篤は天璋院 として大奥に留まり、跡継である福子 改め紀州徳川家茂 の後見となる。
14代将軍・家茂編
家茂が十四代将軍に就き、公武合体 の一環として孝明天皇 の弟・和宮 が降嫁してくる。だが現れたのは男装した姉の親子 であった。嫌がる弟の身代りをかって出たと明かす親子に家茂は向き合い、女同士ながらも夫婦のような絆を育んでいく。
一方、政治面では尊攘 派と開国 派の軋轢が激化していた。長州征討 中、家茂は病を押して参内 し勝海舟 に大政奉還 を指示して息を引き取る。だが「跡目は亀之助 に」との遺志は継がれず、慶喜 が最後の将軍になる。
大奥の終焉
王政復古の大号令 で慶喜に全権を丸投げされた勝海舟は西郷隆盛 との談判に臨む。「女が統治した恥ずべき歴史を無にするために慶喜の死が必要」という西郷の言に和宮(親子)は激怒、自らが女であることを明かし岩倉具視 暗躍の証を呈示して停戦を迫る。西郷は長考の後に「代々の将軍は皆男だった」とすることで合意、無血開城 が約された。
開城の日、大奥が男の園であった証は官軍 によって全て処分され、没日録も焼却された。大奥に生きた人々の歴史が闇に葬られるのと引き換えに、彼らが愛した江戸の町は守られることとなったのである。
時は流れ明治四年。初洋行の島津胤篤が、同じ船で米国留学に向かう6歳の梅 (おそらく津田梅子 )に語りかける場面で物語は幕を閉じる。
登場人物
声の項はアニメ版における声優を示す。ドラマCD版のキャストは#ドラマCD 参照。
吉宗編の人物
単行本1巻および7巻の吉宗編登場人物。
水野祐之進(みずの ゆうのしん)/ 進吉(しんきち)
声 - 関智一 [ 5]
貧乏旗本の部屋住み、道場 で師範代 の腕前。当主 の母の方針で種付け料稼ぎはしなかったが貧しい女達には同情から只で付けていた。大奥に上がり水野 と呼ばれる。
水野頼宣(みずの よりのぶ)
声 - 伊藤美紀
水野家当主。跡取り娘の婿取と婿に行かない息子に頭を抱える。
水野志乃(みずの しの)
声 - 東城日沙子
祐之進の姉。
おたけ
水野家の老女 。
お政(おまさ)
水野家の中間 。
三雲(みくも)
元大奥表使 ・祐之進の叔父。
お信(おのぶ)
声 - 佐藤みゆ希 [ 5]
裕福な大店、薬種問屋田嶋屋 の跡取り娘。
徳川吉宗 (とくがわ よしむね)/ 信(のぶ)
声 - 小林沙苗 [ 5]
8代将軍、質素倹約を旨とし大奥の美男をリストラ[ 注釈 2] 。鷹狩り を復活させ洋書 輸入を一部解禁、町火消し ・目安箱 を設置、上米令 で幕府財政立て直しを図る。
間部詮房 (まなべ あきふさ)/ ふさ
声 - 青木瑠璃子
未曾有の財政難に豪華な御掻取 を薦めて解雇される。
加納久通 (かのう ひさみち)/ おみつ
声 - 本田貴子
御用取次 ・遠江守 。
大岡忠相 (おおおか ただすけ)
声 - 仲村かおり
南町奉行 ・越前守 。
土屋政直 (つちや まさなお)
老中首座・相模守 。
小川笙船 (おがわ しょうせん)
漢方 の町医者。小石川養生所 で腑分け を許される。
藤波(ふじなみ)
声 - 神奈延年
大奥総取締。
柏木(かしわぎ)
声 - 古川慎
出色の御中﨟 。水野に聞香 の作法を教える。
松島(まつしま)
声 - 中村悠一
御中﨟。
鶴岡(つるおか)
声 - 永塚拓馬
表使。
杉下(すぎした)
声 - 木島隆一
御三の間で水野の昇進に伴い部屋子 として御広座敷 に。綱吉 の代から奥仕えの古参、後に御年寄 に。
副島(そえじま)
声 - 伊藤健太郎
御三の間の一人。未だに若衆髷。
垣添(かきぞえ)
声 - 村瀬歩
呉服の間で水野にお万好みの流水紋で裃 を仕立てる。
赤坂(あかさか)
声 - 露崎亘
呉服の間で垣添が失くした針を抓み上げる。
宮地(みやじ)/ 三郎左(さぶろうざ)
声 - 小西克幸
公儀 お庭番 。表向きは呉服の間の宮地。
お須磨の方 (おすまのかた)/ 卯之吉(うのきち)
お半下。福姫 の父にされる。
福姫 (ふくひめ)
後の9代将軍。
浄円院 (じょうえんいん)
吉宗の父。紀州から側室候補達を連れて来る。
竹本 (たけもと)・平岡 (ひらおか)
紀州から来た男達。
小宮山加解由(こみやま かげゆ)
村瀬の後継。
村瀬正資(むらせ まさすけ)
声 - 飛田展男
御右筆頭。
家光編の人物
徳川家光 (とくがわ いえみつ)
声 - 佐藤せつじ
3代将軍、男色家。憂さ晴らしの辻斬り 目的で夜歩き中お彩 を手籠めに。31歳で赤面疱瘡で死亡。
家光(いえみつ)/ 千恵(ちえ)
声 - 松井恵理子 [ 5]
家光御落胤。11歳で春日局に拉致され亡父の代理と男装を強要された。14歳で女とバレて強姦され不埒者は手討にするも妊娠・死産を経験[ 注釈 3] 。政に才を発揮するが27歳で死去。
お彩(おさい)
声 - 松井暁波
春日局が乳母 と屋敷を与える。
とよ
千恵の乳母。
春日局 (かすが の つぼね)/ 斎藤福 (さいとう ふく)
声 - 井上喜久子 [ 5]
家光の乳母 。家光の血筋を繋ぐ子を千恵に産ませる場に大奥を作り替えた。
稲葉正勝 (いなば まさかつ)/ 千熊 (せんくま)
声 - 高橋英則
春日局の実子、家光の側近 。
お万の方 (おまんのかた)/ 万里小路有功(まで の こうじ ありこと)
声 - 宮野真守 [ 5]
京公家 ・万里小路有純の三男。院主 から還俗 させられ、側室・お万の方となるが、子に恵まれず大奥総取締に。
お玉の方 (おたまのかた)/ 玉栄(ぎょくえい)
声 - 梶裕貴 [ 5]
有功随行の小僧 で共に還俗し、部屋子から側室・お玉の方となり徳子 を儲ける。
徳子 (とくこ)
後の5代将軍。
明慧(みょうけい)
声 - 八代拓
有功随行の僧。
澤村伝右衛門(さわむら でんえもん)
声 - 上田燿司
明慧を斬り捨てた春日局腹心 。
勝田頼秀(かつた よりひで)
声 - 亀山雄慈
御中臈。のちに表使。
和田正隆(わだ まさたか)
声 - 野上翔
御中臈。のちに毒見役 。
角南重郷(すなみ しげさと)
声 - 岡井カツノリ
御中﨟。玉栄の罠に嵌り切腹 。
六人衆 (ろくにんしゅう)
松平信綱 、三浦正次 、阿部忠秋 、太田資宗 、阿部重次 、堀田正盛 。
松平信綱 (まつだいら のぶつな)
声 - 井上和彦
老中首座・伊豆守 。春日局に鎖国 を指示される。
松平輝綱 (まつだいら てるつな)/ しず
甲斐守 ・男名の女大名。信綱の娘、千恵の女将軍宣言後は女の装いに改める。
酒井忠勝 (さかい ただかつ)
大老 ・讃岐守 。
酒井忠朝 (さかい ただとも)
若年寄 ・備後守 ・男名の女大名、忠勝の娘。
土井利隆 (どい としたか)
若年寄・遠江守・男名の女大名。
お楽の方 (おらくのかた)/ 捨蔵(すてぞう)
声 - 福山潤 [ 5]
千恵の側室・千代姫 の父。
千代姫 (ちよひめ)
後の4代将軍。
お夏の方 (おなつのかた)/ 溝口左京(みぞぐち さきょう)
千恵の側室・綱重 の父。
徳川綱重 (とくがわ つなしげ)
甲府 宰相 、娘 は後の6代将軍。
村瀬正資(むらせ まさすけ)
声 - 飛田展男
有功の世話係のち御右筆。
家綱編の人物
徳川家綱 (とくがわ いえつな)/ 千代姫(ちよひめ)
4代将軍・「左様せい様 」。
保科正之 (ほしな まさゆき)
家綱の後見、肥後守 。2代将軍秀忠 の庶子 。玉川上水 の件などを上奏するも「左様せい」で丸投げされる。
酒井忠清 (さかい ただきよ)
奏者番 ・河内守 。
お万の方 (おまんのかた)/ 万里小路有功(まで の こうじ ありこと)
家綱の父代わりとなり大奥総取締を勤める。
浅宮顕房 (あさ の みや あきふさ)
家綱御台所 。
矢島局 (やじま の つぼね)
家綱の乳母。
花房(はなぶさ)
御右筆。
倉持(くらもち)
家綱のご内証の方。
綱吉編の人物
徳川綱吉 (とくがわ つなよし)/ 徳子(とくこ)
5代将軍・元館林藩 主。
柳沢吉保 (やなぎさわ よしやす)/ おもと
側用人 。
桂昌院 (けいしょういん)/ お玉の方(おたまのかた)/ 玉栄(ぎょくえい)
綱吉の父。初めて天下祭の神輿 を吹上 に入れる。
右衛門佐 (えもん の すけ )/ 水無瀬 継仁(みなせ つぐひと)
大奥総取締。
鷹司信平 (たかつかさ のぶひら)
綱吉の正室 。
松姫 (まつひめ)
お伝の方の娘、5歳で病死。
お伝の方 (おでんのかた)/ 小谷伝兵衛(こたに でんべえ)
綱吉の側室で、松姫の父、黒鍬 の出。
小谷さよ(こたに さよ)
伝兵衛の姉。
大典侍 (おおすけ)
綱吉の側室。桂昌院が呼び寄せた京公家 の出。
新典侍 (しんすけ)
綱吉の側室。右衛門佐が呼び寄せた京公家 の出。
牧野邦久(まきの くにひさ)/ 阿久里 (あぐり)
牧野成貞の夫。阿久里は館林時代に綱吉がつけた女名。
牧野貞安 (まきの さだやす)
成貞のこの時代には珍しい男子の跡取り。
牧野時江 (まきの ときえ)
貞安室。
牧野成貞 (まきの なりさだ)/ 貞(さだ)
綱吉の腹心。
吉良上野介 (きら こうずけ の すけ)
老女の大名。後に赤穂浪士 に首級 を取られる。
浅野内匠頭 (あさの たくみ の かみ)
この時代には珍しい男大名。松之廊下 で吉良 に斬りつける。
伊達左京亮 (だて さきょう の すけ)
女性大名・浅野と相役 の勅使 饗応役 。
梶川頼照 (かじかわ よりてる)
旗本。「殿中でござる」と吉良へ刃傷に及んだ浅野を取り押さえる。
大石内蔵助 (おおいし くらのすけ)
大石以下赤穂浪士は全員切腹。
永光院 (えいこういん)/ お万の方(おまんのかた)/ 万里小路有功(まで の こうじ ありこと)
振袖火事 後落飾 した有功。
徳川光貞 (とくがわ みつさだ)
紀州藩主。三女お信を綱吉に拝謁させる。
徳川綱教 (とくがわ つなのり)
光貞の長女。
徳川頼職 (とくがわ よりもと)
光貞の次女。
お信 (おのぶ)
後の8代将軍。
秋本(あきもと)/ 秋本惣次郎(あきもと そうじろう)
右衛門佐の部屋子、後に大奥総取締。眼鏡を買うために奥奉公をする。
秋本絹江(あきもと きぬえ)
秋本の妹。実兄・惣次郎との間に娘・汀を儲けた。
秋本汀(あきもと てい)
絹江の娘。惣次郎が実父とは知らない。
家宣編の人物
徳川家宣 (とくがわ いえのぶ)
6代将軍。おふさ を重用。左京 との間に千代姫 をもうける。
間部詮房 (まなべ あきふさ)/ おふさ
側用人、猿楽 の出。左京を拾って家宣の側室に。
左京の局 (さきょうのつぼね)/ 勝田左京(かつた さきょう)
勝田玄白の息子。母子相姦を強いられやさぐれていた。
勝田玄白(かつた げんぱく)
元加賀藩 士。息子との間に2人も子がいる。
江島 (えじま)
家宣の家人 。
近衛國熙 (このえ くにひろ)
家宣の正室。
千代姫 (ちよひめ)
後の7代将軍。
新井白石 (あらい はくせき)
当代一の女儒者 。
家継編の人物
尾州吉通 (びしゅう よしみち)
継友 の姉。
徳川家継 (とくがわ いえつぐ)
7代将軍。
間部詮房 (まなべ あきふさ)
側用人・越前守。
新井白石 (あらい はくせき)
詮房と共に幼君をいただき権力の座に居座る。
土屋政直 (つちや まさなお)
老中首座・相模守。
阿部正喬 (あべ まさたか)
老中・豊後守 。
月光院 (げっこういん)
落飾後の家宣側室、家継 の父。
江島 (えじま)/ 江島慎三郎(えじま しんざぶろう)
大奥総取締。廓文章 で紙衣 の新五郎 に魅かれ山村座 に通う。
真田園(さなだ その)
武家娘。慎三郎の獣の様な毛深さに悲鳴をあげ、破談にする。
生島新五郎 (いくしま しんごろう)
江戸一番の歌舞伎 役者の女。寿曽我対面 上演中捕縛される。
市川團十郎 (いちかわ だんじゅうろう)
若い娘の歌舞伎役者。助六 で絶大な人気を博す。
山村長太夫 (やまむら ちょうだゆう)
山村座座元。
天英院 (てんえいいん)
落飾後の家宣正室。紀州の芸目付 と密かに連携。
藤波(ふじなみ)
天英院付。
松島(まつしま)
藤波の部下。
柏木(かしわぎ)
藤波の部下。
花房(はなぶさ)
藤波の部屋子。煙管 をくすねて暇を出される。
宮路 (みやじ)/ 弥助(やすけ)
江島の部下、実は紀州隠密 。
梅山 (うめやま)
江島の部下。助六の出端を演じてみせる。
吉川 (よしかわ)
江島の部下。
沖津(おきつ)
江島の部下。
杉下(すぎした)
綱吉の代から御三の間勤め。
松前嘉広 (まつまえ よしひろ)
本丸 留守居 ・伊豆守。江島生島事件の評定所 裁決を言い渡す。
坪内定鑑 (つぼうち さだかね)
中町奉行 ・能登守 。
仙石久尚 (せんごく ひさなお)
大目付 ・丹波守 。
家重編の人物
徳川家重 (とくがわ いえしげ)
9代将軍。
大岡忠光 (おおおか ただみつ)
小姓頭 ・御用取次。
平賀源内 (ひらが げんない)/ 風来山人 (ふうらいさんじん)/ 権太夫(ごんだゆう)/ 吉(きち)
「お神酒天神」で子供達を驚かせた平賀家の跡取り娘。マタギ の話を聞き赤面疱瘡は熊からヒトに感染する業病 ではないかと青沼 らに諮る。
田沼意次 (たぬま おきつぐ)/ 龍(たつ)
小姓・主殿頭 。
三浦庄次 (みうら しょうじ)/ お次(おつぎ)
田沼邸の用人。
田村藍水 (たむら らんすい)
本草学者 ・源内の師、人参座 を作る。
吉雄耕牛 (よしお こうぎゅう)
大 通詞 ・蘭医 。
青沼(あおぬま)/ 吾作(ごさく)
吉雄耕牛の弟子・通詞・蘭医。出島のオランダ人 と丸山遊女 の間に生まれた金髪碧眼。耕牛の下男 だった兄を、赤面疱瘡感染に絶望したことによる自殺で亡くしている。
笹岡(ささおか)・庄司(しょうじ)・野々宮(ののみや)
御右筆。
杉下(すぎした)
御年寄、後に大奥総取締。
高岳 (たかおか)・桜小路 (さくらこうじ)
杉下の下役。
芳三(よしぞう)/ 善次郎(ぜんじろう)
柳橋 の名亭 から御膳所 に上がり入牢中のお幸の方 に鰻の樺焼き丼 を試食願う。後に御仲居頭 、念弟の清吉 と共に源内の御持たせを鰻丼に仕立てる。
勇次(ゆうじ)
御仲居。
市之助(いちのすけ)・浩蔵(こうぞう)
御仲居、新参の芳三を虐める。
比宮実行 (なみ の みや さねゆき)
家重の正室。
お幸の方 (おこうのかた)/ 梅渓 守幸(うめたに もりゆき)
家重の側室・竹姫 の父。お千瀬の方 に斬り掛かって座敷牢 に。
竹姫 (たけひめ)
後の10代将軍。
お千瀬の方 (おちせのかた)
家重の側室。
貴子(たかこ)
京の公家の姫。夫と死別後かつて許婚 だった梅溪守幸との復縁を望む。
左近(さこん)・吉野(よしの)
家重の御中臈。
松平乗邑 (まつだいら のりさと)
老中・左近衛将監 。家重廃嫡を上申。
田安宗武 (たやす むねたけ)
吉宗の次女。
一橋宗尹 (ひとつばし むねただ)/ 小夜姫(さよひめ)
吉宗の三女。
林大学頭 (はやし だいがく の かみ)
竹姫 の侍講 。
青木昆陽 (あおき こんよう)
儒者「甘藷 先生」。
加納久通 (かのう ひさみち)
吉宗を将軍にするため尾州吉通 と紀州綱教 ・頼職 を弑したと告白。
徳川吉宗 (とくがわ よしむね)
意次に赤面疱瘡撲滅を遺言。
家治編の人物
田沼意次 (たぬま おきつぐ)
老中。相次ぐ天災 で干拓事業 を断念、失脚。
平賀源内 (ひらが げんない)
謀られて瘡毒 をうつされ、情人菊之丞 に看取られる。
瀬川菊之丞 (せがわ きくのじょう)
歌舞伎役者の女。
うな藤(うなふじ)
源内が土用の丑の日 を勧め芳三の鰻丼仕立てを教える鰻屋。
高岳 (たかおか)
大奥総取締。
黒木(くろき)/ 黒木順太郎(くろき じゅんたろう)
高岳のお世話係から青沼の助手に。
黒木良春(くろき りょうしゅん)
蘭医・順太郎の父。
黒木峰(くろき みね)
黒木家当主・順太郎の母。本家 に頼み士分 で息子を大奥に。
僖助(きすけ)
御半下、実家は大店。青沼の受講生『医宗金鑑 (中国語版 ) 』[ 6] で人痘法副反応致死率3%と調べ上げる。
伊兵衛(いへえ)/ 青海屋伊予吉(おうみや いよきち)
呉服の間のお針子・青海屋の次男。青沼の受講生、僖助と供に人痘接種志願。
青海屋仁左衛門(おうみや にざえもん)
御用商人 ・伊予吉の母。
鹿内(しかうち)
呉服の間頭。
白浜(しらはま)
鹿内の念弟。
青沼(あおぬま)/ 吾作(ごさく)
『トルコ書簡集 (英語版 ) 』[ 7] に学び軽症の赤面疱瘡の人痘接種に成功。
池内 (いけうち)
上臈御年寄 。流感が猛威を奮った折亡くなる。
与之助(よのすけ)
御膳所内風熱 発生で青沼を頼る。
草加(くさか)
将軍付き御中臈、青沼の受講生、赤面疱瘡を発症。
田安宗武 (たやす むねたけ)
田安家 初代・権中納言 。
松平定信 (まつだいら さだのぶ)/ 聡子 (さとこ)
宗武の娘、白河藩 主の養子に出されてしまう。
北橋(きたはし)
聡子の乳母。
田沼意知 (たぬま おきとも)
若年寄・山城守 、意次の娘。
佐野善右衛門政言 (さの ぜんえもん まさこと)
意知を暗殺し切腹。
徳川家治 (とくがわ いえはる)
10代将軍。青沼は一目で砒素中毒 と見立てる。
五十宮倫仁 (いそ の みや ともひと)
家治の正室。
徳川家基 (とくがわ いえもと)/ 千代姫(ちよひめ)
家治の娘・18歳で突然死。
お知保の方 (おちほのかた)/ 保川(やすかわ)
家治の側室・家基の父。
一橋治済 (ひとつばし はるさだ)
一橋家 2代目。
豊千代 (とよちよ)
治済の長男・後の11代将軍。
松方 (まつかた)
御中﨟。
松平武元 (まつだいら たけちか)
老中・右近衛将監 。
松平康福 (まつだいら やすよし)
老中・周防守 。
松平輝高 (まつだいら てるたか)
老中・佐渡守 。
水野忠友 (みずの ただとも)
老中・出羽守 。
杉田玄白 (すぎた げんぱく)
蘭医・源内の男の友人。『解体新書 』の翻訳で青沼を訪ねる。
家斉編の人物
徳川吉宗 (とくがわ よしむね)
自ら考案した簡天儀 を西川正休に作らせる。
西川正休 / 忠次郎(ちゅうじろう)
西川如見 の子。天文方 を拝命。
徳川家斉 (とくがわ いえなり)
11代目で男の将軍。黒木に天文方附属翻訳局で赤面疱瘡に取り組ませる。
松方(まつかた)
中奥 総取締。
清吉(せいきち)
中奥御仲居頭。芳三相伝の鰻重は家斉の大好物。
庄司(しょうじ)
元大奥御右筆。青沼の蔵書を中奥に隠す。
徳川治済 (とくがわ はるさだ)
家斉の母。少女時代から、多数の人々を殺害している。
武田(たけだ)/ 武女(むめ)
治済の汚れ仕事担当。
茂姫 (しげひめ)
家斉の正室・敦之助 の生母。治済が音物 を悪用した真相に気付き、敵を討つ。
敦之助 (あつのすけ)
家斉の五男・夭逝。
吉野(よしの)
茂姫付御中臈。
お志賀の方 (おしがのかた)/ 滝沢(たきざわ)
総姫の生母・大奥総取締。
総姫(そうひめ)
家斉の五女・夭逝。
お満武の方 (おまんのかた)
竹千代の生母。
竹千代(たけちよ)
家斉の長男・夭逝。
お楽の方 (おらくのかた)
家慶 の生母。
徳川家慶 (とくがわ いえよし)
家斉の次男・後の12代将軍。
お宇多の方 (おうたのかた)
敬之助の生母。
敬之助(たかのすけ)
家斉の三男・夭逝。
お美代の方 (おみよのかた)
家斉の寵姫 。実父は感応寺 住職日啓 。
松平定信 (まつだいら さだのぶ)
治済の大御所の尊号 を却下して老中を罷免されてしまう。
黒木良順(くろき りょうじゅん)
熊痘 ( ゆうとう ) [ 注釈 4] を成功させ大槻玄沢 に後事を任せて町医者に戻る。
青海伊兵衛(おうみ いへえ)
黒木の養生所の助手。
僖助(きすけ)
田嶋屋に縁付く。
黒木青史郎(くろき せいしろう)
良順の息子、熊痘接種第一号。後の黒木清順。
平助(へいすけ)
清史郎の次に熊痘接種。
瓦版屋 (かわらばんや)
平助の叔母。「ユウトウ」無料接種案内の瓦版 を即売。
るい
良順の妻・青史郎の母。「ユウトウ」案内を田嶋屋で配布してもらう。
杉田玄白 (すぎた げんぱく)
熊痘接種でも良順に協力。
岡田甫説(おかだ ほせつ)
『ハルマ和解 』編纂者。ジェンナー の牛痘 法を良順に伝えた。
大槻玄沢 (おおつき げんたく)
蛮書和解御用 に改称された翻訳局に仕官。
高橋景保 (たかはし かげやす)
天文方のメガネ女子。青沼の『ラランデ天文書 』を良順から贈られる。
高橋遼太(たかはし りょうた)
景保の息子、算額 好きのメガネ男子。赤面疱瘡で急死。
渋川正陽 (しぶかわ まさてる)
天文方役人。
渋川孫次郎(しぶかわ まごじろう)
正陽の次男。赤面疱瘡発症。
安藤信成 (あんどう のぶなり)
老中・対馬守 。
青山忠裕 (あおやま ただひろ)
老中・因幡守 。
堀田正敦 (ほった まさあつ)
若年寄・摂津守 ・天文方支配。
家慶編の人物
徳川家慶 (とくがわ いえよし)
12代将軍。祥子を手元に留めたくて次期将軍に指名。
徳川家定 (とくがわ いえさだ)/ 祥子(さちこ)
後の13代将軍。
お美津の方 (おみつのかた)
祥子の生母、父子相姦を見て見ぬふり。
歌橋 (うたはし)
祥子の乳母、荻生徂徠 を読む祥子に感心。
お久の方 (おひさのかた)
家慶の側室。
鷹司任親 (たかつかさ ただちか)
家定の正室。初夜に家慶に毒を盛られる。
徳川家斉 (とくがわ いえなり)
大御所。男子相続を復活させる。
広大院 (こうだいいん)/ 茂姫 (しげひめ)
奥女中 の風紀紊乱取締を正弘に頼む。
阿部正寧 (あべ まさやす)
正弘の兄。
阿部正弘 (あべ まさひろ)/ 真佐女(まさじょ)
伊勢守 。阿部家相続を家斉に許され、寺社奉行から老中に。
日啓 (にっけい)
お美代の方の父。正弘に流刑 に処され牢死 。
水野忠邦 (みずの ただくに)
女性の老中・越前守。
堀田正睦 (ほった まさよし)
男の老中・備中守 。
遠山金四郎景元 (とおやま きんしろう かげもと)
男の旗本・北町奉行 ・左衛門尉 。二の腕に桜吹雪の彫物 が有る。
青海先生(おうみ せんせい)
青海伊兵衛の息子。新之助 に月謝免除で蘭語 を教える。
新之助の母(しんのすけ の はは)
百人組 の与力 。大塩平八郎 を例に「男がのさばる世」に不満。自分の上司と夫の密通を知り二人を成敗し自害。
武盛(たけもり)
新之助の兄、不祥事で自刃。
瀧山 (たきやま)/ 新之助(しんのすけ)
蘭学者 を夢見る少年だったが、芳町 に売られ陰間 となり正弘が落籍 。
吉川(よしかわ)
阿部邸の男の家人。
黒木清順(くろき せいじゅん)/ 青史郎(せいしろう)
蘭医・黒木良順の息子。
黒木源三郎(くろき げんざぶろう)
清順の三男・他医家の養子にでる。
家定編の人物
徳川家定 (とくがわ いえさだ)
13代将軍。
徳川家慶 (とくがわ いえよし)
黒船来航 でショック死。
一条秀久 (いちじょう ひでひさ)
家定の継室 。
姉小路 (あね の こうじ)
上臈御年寄。
お志賀の方 (おしが の かた)
家定の側室。
瀧山 (たきやま)
西の丸 奥、後に大奥の総取締。
梅本(うめもと)
瀧山の部屋子。
マシュー・ペリー
開国要求しに黒船で来航。翌年日米和親条約 締結に至った。
阿部正弘 (あべ まさひろ)
老中主座。別段風説書 で砲艦外交 は想定内、大統領 親書 に対する意見書を公募してから日米和親条約を結ぶ。
勝義邦 (かつ よしくに)
後の勝海舟 。長崎海軍伝習所 に修学。
徳川斉昭 (とくがわ なりあき)
水戸家 当主。
島津斉彬 (しまづ なりあきら)
島津氏 当主。
近衛忠煕 (このえ ただひろ)
今和泉島津家 からの斉彬の養子忠敬 を近衛家の養子として輿入れさせる。
近衛胤篤 (このえ たねあつ)/ 島津忠敬(しまづ ただすみ)
西郷吉之助 が揃えた金に糸目を付けぬ輿入れ道具を真似て、実家が裕福な大奥の男衆は舶来品 を買い漁る。
幕末編の人物
徳川家定 (とくがわ いえさだ)
胤篤に生姜糖 を勧められ、庭歩き・乗馬にも挑戦した結果、体力が戻り、羹 や鱚両様を御替りする程食欲旺盛になる。後に悪阻で食が進まなかった際、それを詫びる口実として御膳所へ胤篤を伴い、カステラ作りの腕を見せる。
天璋院 (てんしょういん)/ 近衛胤篤(このえ たねあつ)
江戸城明渡しを控え大奥の主として「静謐に」と主戦論者を含む幕臣 に通達する。
豊倹院 (ほうけんいん)/ お志賀の方(おしがのかた)
家定の側室。
瀧山 (たきやま)
緊縮財政で長袴が禁止 される。『ドゥーフ・ハルマ 』で蘭語を自習してはいたが、ええじゃないか 騒ぎの頃には勝 に英語を習い始める。
仲野 (なかの)/ 吉兵衛(きちべえ)
瀧山の小姓。瓦解後は彼の養子のメガネ男子。
幾島 (いくしま)
胤篤付き御年寄。
中澤 (なかざわ)/ 津村重三郎(つむら じゅうざぶろう)
胤篤付き御中﨟・薩摩の隠密。御猫様さと姫 のお世話係。
三ツ矢 (みつや)
胤篤付き御中﨟、実家の日本橋絹問屋が横濱村に支店を出すので大奥を暇乞い。
黒木 (くろき)/ 黒木源次郎(くろき げんじろう)
胤篤付き御中﨟・黒木清順の次男。米総領事ハリス を引見する家定の身代りとなる。
池谷(いけたに)
胤篤の裃を仕立てた褒美に御嘉祥の祝菓子 が振る舞われる。
タウンゼント・ハリス
米総領事。日米修好通商条約 を締結。
森山栄之助 (もりやま えいのすけ)
幕府の蘭・英語通詞。
阿部正弘 (あべ まさひろ)
心労で倒れ、家定手製のカステラを瀧山が見舞いに届ける。
堀田正睦 (ほった まさよし)
老中主座・備中守。
川路聖謨 (かわじ としあきら)
旗本・勘定奉行 。
井伊直弼 (いい なおすけ)
大老 ・掃部頭 。
安藤信正 (あんどう のぶまさ)
老中・対馬守。
板倉勝静 (いたくら かつきよ)
老中・周防守。
一橋慶喜 (ひとつばし よしのぶ)
将軍後見職 のちに15代将軍。
朝廷参預 (ちょうてい さんよ)
一橋慶喜・島津久光 ・伊達宗城 ・松平春嶽 ・山内容堂 ・松平容保 。
勝海舟 (かつ かいしゅう)/ 勝麟太郎 (かつ りんたろう)
安房守 ・軍艦奉行 。陸軍総裁 として西郷と対峙。新門辰五郎 に1812年ロシア戦役 を真似て焦土作戦 を依頼しておいた。
坂本龍馬 (さかもと りょうま)
勝 を斬りに来て一刻話して弟子になり開国 論者として帰った。
三条実美 (さんじょう さねとみ)
攘夷派堂上 筆頭、8月18日の政変 で追放される。
岩倉具視 (いわくら ともみ)
和宮降嫁 を手配したが後に錦の御旗 を作らせ倒幕派 に。
島津斉彬 (しまづ なりあきら)
島津宗家 当主・太守 。練兵中急死。
島津久光 (しまづ ひさみつ)
大隅守 。文久の改革 の帰路生麦事件 が起こる。
西郷隆盛 (さいごう たかもり)
胤篤の入輿で働き振りを労われたが、後に東征 軍 を率いる。
益満休之助 (ますみつ きゅうのすけ)
西郷の密命で江戸市中を混乱させる。
ハリー・パークス
英国公使。
アーネスト・サトウ
英国公使館通訳。
楠本イネ (しいもと いね)
シーボルト の娘。家茂を診察。
徳川家茂 (とくがわ いえもち)/ 福子(とみこ)
14代将軍。軽羹 で天璋院にもてなされ、咸臨丸 を壮行し、勝 に海軍を委ねる。和宮の秘密を言上する約束で上洛 、衣冠束帯で昇殿 し禁裏 を驚かす。
孝明天皇 (こうめい てんのう)
当今。和宮の内親王たる身位を保証する宸翰を家茂に預ける。
静寛院宮 (せいかんいん の みや)/ 和宮 (かず の みや)
孝明帝異母妹。家茂の形見の西陣織 に泣き崩れる。東海道鎮撫総督 橋本実梁 に歎願の使者 を差し向け、江戸を守る。
田安亀之助 (たやす かめのすけ)
16代目宗家。和宮を弔問し菱葩餅 の御相伴に与る。
田安慶頼 (たやす よしより)
越後上布 を瀧山に付け届ける。
有栖川宮熾仁親王 (ありすがわ の みや たるひと しんのう)
後に東征大総督 。
橋本実麗 (はしもと さねあきら)
観行院の兄。
和宮(かず の みや)
本物の男宮。表向き自害した事にして出家 。
観行院 (かんぎょう いん)
和宮の生母。男装し官人庭田 の名で江戸に下る。
土御門 (つちみかど)
和宮の乳母。男装して江戸に下る。
絵島 (えじま)
和宮附官人。下沓を履かない御所風 が諍いに。
田中(たなか)
絵島の下役の男。
佐竹(さたけ)・日下部(くさかべ)
和宮の湯殿係の小姓。
能登 (のと)/ お志摩(おしま)
家茂の乳母子。男装し官人能登として観行院らの世話をし、天璋院のポトガラ に胤篤の身代りに収まる。
波江(なみえ)
家茂の乳母・お志摩の母。
実成院 (じつじょういん)
家茂の生母。
つよ
家茂上洛時の侍女 。
松之助(まつのすけ)
家定の代からの御仲居頭。
相模屋 (さがみや)
吉宗の代からの御用菓子屋。
深草(ふかくさ)
最後の右筆として『没日録』をしたためる。
黒木源一郎(くろき げんいちろう)
黒木清順の長男、家定臨終に立ち会った蘭医。「死因は妊娠後期の肝硬変 」と胤篤に告げる。
津田梅子 (つだ うめこ)
洋上で胤篤から女将軍が治めた世の真実を明かされる。
用語解説
没日録
(ぼつじつろく): 春日局の命で、疫病の蔓延で真の家光死亡を隠蔽工作した事蹟から全てを、御右筆が記録し始めた。
赤面疱瘡
(あかづらほうそう): 架空の伝染病。国内の風土病なのか他国は治療法が確立されているのかも分かっていない。男だけ罹患し高熱を発し真っ赤な発疹が爛れる致死率80%の強毒性と軽症で済む弱毒性があり、後者に吾作が感染。発疹も高熱も引いて全快し、吾作は神懸かりかと思った。
赤の熊様
(あかのくまさま): 軽症の赤面疱瘡の熊。人獣共通感染症 と見立てた源内の指南通りに、マタギの山里で捕獲した個体から軽症の「赤の種」を継ぎ「熊牧場」で囲っていた。
熊痘
(ゆうとう): ジェンナーの牛痘接種法の様に、軽症の赤面疱瘡の熊から膿疱 抽出し男子に接種。
本作での大奥
長局向 に一の側から上臈御年寄・御年寄、二・三の側に他の御目見以上、四の側に御目見え以下の居所並びに座敷牢が按配され、上臈御年寄・御年寄になると町屋敷を拝領する者[ 注釈 5] もいた。また贈答儀礼[ 注釈 6] の重要な部分を担っていた。旗本[ 注釈 7] や御家人[ 注釈 8] が雇用されたが、時代が降ると裕福な町人出[ 注釈 9] も行儀見習いで上がるようになる。
大奥内の役職
御目見え以上[ 8]
将軍の御目通りが許されるのが「御目見え以上」。なお帯刀が許されるのは「御目見え以上」と「御火の番」のみ[ 9] 。
•上臈御年寄(じょうろうおとしより)
階級は最上位。
•大奥総取締(おおおくそうとりしまり)
大奥の実権を握る。御年寄の中から一名が就任。
•御年寄(おとしより)
「表」の老中に匹敵。
•御客応答(おきゃくあしらい)
大奥来訪の使者接待役。
•中年寄(ちゅうどしより)
御年寄の代理・毒見役。
•中﨟(ちゅうろう)
将軍と御台所の侍僕、夜伽を勤めた中﨟は「お手つき」、子を授かれば「お腹様」と呼ばれる[ 注釈 10] 。
•小姓(こしょう)
部屋子。
•御錠口 (おじょうぐち)
大奥と中奥の出入口の管理担当。
•表使(おもてづかい)
物資調達を広敷役人に要請。
•御広座敷(おひろざしき)
表使の下役。
•右筆(ゆうひつ)
「表」への文書・諸家への書状・大奥で起きた全ての記録作成。
•呉服の間(ごふくのま)
大奥中の衣服全てを仕立てる。
•御伽坊主(おとぎぼうず)
僧侶ではない。去勢されて男ではない事を表すために坊主頭。
御目見え以下[ 10]
将軍に目通りが許されない。御火の番のみ帯刀[ 11] 。
•御三の間(おさんのま)
御三の間以上の居間の掃除担当。
•御仲居(おなかい)
御膳所にて煮炊き担当。
•火の番(ひのばん)
火の元を見回る。
•御半下(おはした)
御目見え以下の中でも最下位の下男。
大奥の決まりごと
◈大奥法度(おおおく はっと)
「大奥で見聞きしたる事如何なる事も親兄弟は元より一切外様へ申すまじき事」[ 注釈 11] 。
◈誓詞血判(せいし けっぱん)
誓約 の文書に署名・血判 、お目見え以上の者の新規採用には御年寄・御広座敷御用人・表使・右筆が立ち会い新しい名を与える。
◈御内証の方(ごないしょう の かた)
未婚の女将軍を破瓜 して傷を付ける大罪人としてお勤め後打首。
◈お添寝役(おそいね やく)
夜伽を勤める者が人事や待遇の不届きなおねだりをしない様に付けた監視役。
◈御褥滑り(おしとね すべり)
35歳を越えた者は夜伽を辞退。
ドラマCD
『大奥』極上音絵巻
掲載誌『MELODY』と第1巻連動で行われた応募者全員サービスのために作られた。
声優
ドラマCD『大奥』
第15巻の初回特装版に同梱されたもの。初期の人気エピソード「有功・家光編」を音と声で物語る。
声優
他
実写映画
2010年10月1日公開された。水野祐之進を二宮和也 、徳川吉宗を柴咲コウ が演じた。
テレビドラマ・実写映画 (TBS)
2010年の水野・吉宗を主人公とした映画に続き、2012年に連続テレビドラマで有功・家光の時代、映画第2作で右衛門佐・綱吉の時代を描いた実写映像作品が製作された。これらはいずれもTBSテレビ を中心とする製作委員会 によるプロジェクトで、監督およびメイン演出は金子文紀 による。
テレビドラマ (NHK)
2023年1月からNHK総合テレビ 「ドラマ10 」枠でドラマ化。9代将軍・家重編から物語のラスト・大政奉還まで映像化されるのはこれが初となる[ 12] [ 13] 。同年秋よりSeason2放送[ 14] 。
アニメ (Netflix)
阿部記之 監督、スタジオディーン 制作によるWebアニメ。2023年6月29日よりNetflix にて独占配信が開始された[ 5] 。全10話。
沿革
2023年3月25日に行われたAnimeJapan 2023にて、「大奥」のアニメ化と、それがNetflixにて独占配信されることが発表された[ 15] 。それと同時に、数枚の場面カットとメインキャラを担当するキャストも公開された[ 15] 。
2023年5月23日、アニメ「大奥」が6月29日よりNetflixにて配信開始されることが決定した[ 16] 。それに合わせて、メインビジュアルと予告編が公開された[ 16] 。
スタッフ
各話リスト
話数 絵コンテ 演出 作画監督 総作画監督
大奥
1 森本浩文 久保美月 松井晟花 張昀 藤優子 小島絵美 若山政志 宇都木勇 澤井真紀 高澤美佳 中熊太一 浪上悠里 渡部ゆかり 杉本梨渚
2 沖田宮奈
3 大庭秀昭 浪上悠里 澤井真紀 黄凤 若山政志 大和田彩乃 高澤美佳 久保美月
4 なかの★陽 藤優子 張昀 小島絵美 佐々木剛 宇都木勇 渡部ゆかり 皆川愛香利 久保美月 伊更あめ 宋善永
5 沖田宮奈 にわ素彦 森本浩文 宇都木勇 浪上悠里 澤井真紀 黄凤 EN.studio 日向正樹
6 殿勝秀樹 村田尚樹
7 江副仁美
8 沖田宮奈 鈴木佑太 森本浩文 宇都木勇 能條理行 浪上悠里 藤優子 黄凤 孫一銘 鬼冢塵葬
9 大庭秀昭 張昀 若山政志 丸英男 細川智代 小島絵美 高澤美佳 中山由美 重松佐知子 浪上悠里
10 北村真咲 森本浩文 ウクレレ善次郎 張昀 小島絵美 藤優子 大和田彩乃 浪上悠里 久保美月 浪上悠里 佐々木綾 伊更あめ 杉本梨渚 寧波麦冬映画
受賞歴
書誌情報
コミックス
関連書籍
脚注
注釈
^ ヨアン・アオウェル (オランダ語版 ) 85代、87代商館長
^ 但し「お手付き」は跡継ぎ絡みで対象外
^ このトラウマ が御内証の方 制度を作った
^
^ 例 瀧山
^ 例 『大奥』第9巻p28、第18巻p138
^ 例 水野
^ 例 杉下・鹿内
^ 例 市之助・浩蔵・僖助・伊兵衛・三ツ矢
^ 『大奥』第11巻p183
^ 『大奥』第1巻p7・第19巻p153
^ 2016年6月にレーベル名変更となったため、13巻以前はジェッツコミックスとして、14巻以降はヤングアニマルコミックスとして発行。
出典
外部リンク
1980年代 1990年代 2000年代 2010年代 2020年代
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
テレビアニメ
1980年代 1990年代 2000年代 2010年代 2020年代
劇場アニメ OVA Webアニメ 関連人物 関連項目
共:共同制作
1:第130話から担当
2:第67話から担当