藤井 太洋(ふじい たいよう、1971年[1] -)は、日本の小説家、SF作家。日本SF作家クラブ会員・第18代会長。
経歴
鹿児島県大島郡瀬戸内町古仁屋(奄美大島南部)出身[2][3]。瀬戸内町立古仁屋中学校、鹿児島県立錦江湾高等学校卒業[2][3]。
志望の東京藝術大学芸術学部に不合格で、国際基督教大学教育学科に入学。青年団に舞台美術スタッフとして携わり、大学を中退。印刷会社のDTP制作、フリーランスのデザイナー・イラストレーターなどを経て、ソフトウェア開発会社イーフロンティアに入社。勤務の傍ら、2011年秋より小説の執筆を開始[4][5][6][7]。
2012年7月26日、電子書籍によるセルフ・パブリッシングで『Gene Mapper -core-』を発表する。同作は7000部を売り上げ[8]、Amazon.co.jpの「2012年Kindle本・年間ランキング小説・文芸部門」で1位を獲得[4]。
2013年4月24日、『Gene Mapper -core-』を増補改稿した『Gene Mapper -full build-』が早川書房から出版され単行本デビュー。同作は『SFが読みたい! 2014年版』で発表された「ベストSF2013[国内篇]」の第4位に選ばれる。同年春には8年勤めたイーフロンティアを退社し、作家業に専念[5]。
2015年、『オービタル・クラウド』が『SFが読みたい! 2015年版』で発表された「ベストSF2014[国内篇]」の第1位に選ばれる。同年、『オービタル・クラウド』で第35回日本SF大賞を受賞[2](同時受賞に長谷敏司『My Humanity』)、第46回星雲賞(日本部門)を受賞。同年、第18代日本SF作家クラブ会長に就任、2018年まで務める[9]。
2019年、『ハロー・ワールド』で第40回吉川英治文学新人賞を受賞[3][10]。
2022年、『マン・カインド』で第53回星雲賞(日本長編部門)を受賞(同時受賞に牧野圭祐『月とライカと吸血姫』)。本作は前年の8月まで『S-Fマガジン』で連載されており、受賞時点では単行本化されていなかった[11]。
エピソード
元エンジニアであるが、自身の職歴としては開発よりもプロモーションの比重が高かったとし、「文系理系で言えば文系」と称する[12]。イーフロンティアではShadeの開発指揮を執った[12]。
当初は会社員との兼業だったため、執筆は通勤中にiPhoneで行っていた[6]。デビューから2021年4月までScrivener(英語版)、その後Visual Studio Codeで執筆し、原稿のバージョンはGitで管理している[13]。また、Visual Studio Codeを小説執筆向けにカスタマイズする拡張機能「novel-writer」を自ら開発、公開している[13]。
作品リスト
単行本/文庫本
- Gene Mapper -full build- (2013年4月24日 ハヤカワ文庫)
- オービタル・クラウド (2014年2月21日 早川書房 / 2016年5月10日 ハヤカワ文庫(上下巻))
- アンダーグラウンド・マーケット (2015年3月20日 朝日新聞出版 / 2016年7月7日 朝日文庫)
- ビッグデータ・コネクト (2015年4月10日 文春文庫)
- 公正的戦闘規範 (2017年8月25日 ハヤカワ文庫)
- 短編集。「コラボレーション」、「常夏の夜」、「公正的戦闘規範」、「第二内戦」、「軌道の環」の5編を収録。解説は大野万紀。
- ハロー・ワールド (2018年10月15日 講談社 / 2021年3月12日 講談社文庫)
- 東京の子 (2019年2月8日 KADOKAWA)
- 『文芸カドカワ』2017年3月号 - 12月号連載
- ワン・モア・ヌーク (2020年2月 新潮文庫)
- 新潮社『yom yom』vol.38(2015年12月号) - vol.46(2017年10月号)連載
- マン・カインド (2024年9月19日 早川書房)
- 早川書房 『S-Fマガジン』2017年8月号 - 2021年8月号連載
電子書籍
- Gene Mapper -core- (2012年7月26日 Taiyo Lab)
- UNDER GROUND MARKET (2013年2月1日 朝日新聞出版)
- UNDERGROUND MARKET ヒステリアン・ケース (2013年10月25日 朝日新聞出版)
- UNDERGROUND MARKET アービトレーター (2014年3月27日 朝日新聞出版)
アンソロジー
「」内が藤井太洋の作品
- さよならの儀式 年刊日本SF傑作選 (2014年6月28日 創元SF文庫)「コラボレーション」
- NOVA+ バベル 書き下ろし日本SFコレクション (2014年10月7日 河出文庫)「ノー・パラドクス」
- 楽園追放 rewired サイバーパンクSF傑作選 (2014年10月17日 ハヤカワ文庫JA)「常夏の夜」
- 伊藤計劃トリビュート (2015年8月21日 ハヤカワ文庫JA)「公正的戦闘規範」
- 屍者たちの帝国 NOVA+ 書き下ろし日本SFコレクション(2015年10月3日 河出文庫)「従卒トム」
- AIと人類は共存できるか? (2016年11月 早川書房)「第二内戦」
- revisions 時間SFアンソロジー (2018年12月 ハヤカワ文庫JA)「ノー・パラドクス」(『NOVA+ バベル』収録)再録
- NOVA 2019年秋号 (2019年1月 河出文庫) 「破れたリンカーンの肖像」
- 宮内悠介リクエスト! 博奕のアンソロジー (2019年1月 光文社 / 2020年2月 光文社文庫)「それなんこ?」
- おうむの夢と操り人形 (2019年8月 創元SF文庫)「おうむの夢と操り人形」
- 2010年代SF傑作選2 (2020年2月 ハヤカワ文庫JA)「従卒トム」再録
- 銀河英雄伝説列伝〈1〉 晴れあがる銀河 (2020年10月 創元SF文庫)「晴れあがる銀河」
雑誌掲載短編
- 小説
- UNDER GROUND MARKET (朝日新聞出版『小説トリッパー』 2012年冬号)
- コラボレーション (早川書房『S-Fマガジン』 2013年2月号)
- 祈り (『人工知能』(学会誌) 2015年1月号)
- ヴァンテアン (朝日新聞出版『小説トリッパー』 2015年夏号)
- 巨象の肩に乗って (講談社『小説現代』 2017年8月号)
- それなんこ? (光文社『小説宝石』2018年7月号)
- まるで渡り鳥のように (東京創元社『紙魚の手帖』vol.04 APRIL 2022)
- エッセイ
- 返さなくてよくなった青背(早川書房『S-Fマガジン』 2020年10月号)
- 韓国SF界が踏み出した第一歩(河出書房新社『文藝』2020年冬季号)
連載中
- ハウリング(集英社『小説すばる』2020年10月 - )
出演
- 世界SF作家会議(フジテレビ)
- プラットフォームに分断された世界へ | 藤井 太洋 | TEDxFukuokaSalon[14](2013年10月12日[15] )
脚注
関連項目
外部リンク
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