いとう せいこう (本名:伊藤 正幸(読み同じ)、1961年 〈昭和 36年〉3月19日 [ 2] - )は、日本のラッパー 、タレント 、小説家 、作詞家 、俳優 、ベランダーとして幅広く活動するマルチクリエイター。株式会社エムパイヤ・スネーク・ビルディング取締役。2008年 3月より株式会社キューブ に所属。血液型AB型。身長170cm、体重64kg。
経歴・人物
東京都 葛飾区 鎌倉町 出身[ 3] 。父の伊藤郁男 は元参議院議員 で民社党 政審副会長を務めた。
東邦大学付属東邦中学校・高等学校 を経て、早稲田大学法学部 へ進学[ 4] 。大学在学中からピン芸人 として活動を始める。学生時代より舞台活動としてドラマンス に参加。
ニッポン放送 からパーソナリティとしてのオファーがあったが、逆に裏方でラジオの仕組みを勉強したいと頼み、タモリ の「オールナイトニッポン 」のADをした[ 5] 。その傍ら、高原兄 がパーソナリティだった時代の「ヤングパラダイス 」では「穴ほりマン」として中継レポーターを務めていたこともある[ 6] 。
大学卒業後、1984年 講談社 入社。『ホットドッグ・プレス 』などの編集部を経て、1986年 退社。以降は、フリーランスとして企画や商業ベースの編集を行う。また、ヒップホップMCとして活動する傍ら、執筆活動も行い、1988年 に発表した処女小説『ノーライフキング 』は第2回三島由紀夫賞 、第10回野間文芸新人賞 の候補作ともなった。
2006年 より、園芸 ライフスタイルマガジン『PLANTED』(毎日新聞社 )の創刊編集長を務める。
2013年、東日本大震災 をテーマとした小説『想像ラジオ』が、第26回三島由紀夫賞 および第149回芥川龍之介賞 候補となり、第35回野間文芸新人賞 受賞。「鼻に挟み撃ち」で、第150回芥川龍之介賞候補。現在は、近畿大学 国際人文科学研究所の客員教授を務めている。
2022年 3月25日 、twitter を更新し、姪 の夫 が末包昇大 (広島東洋カープ )であることを明らかにした[ 7] 。
音楽
1980年代、日本にヒップホップ カルチャーを広く知らしめ、本格的にラップ ・ミュージックで表現したアーティストの一人である。
アフリカン・アメリカン のラップというスタイルを単に模倣したのではなく、日本語の表現方法の可能性を意識的に追求した点で、その後の表現者たちに多大な影響を与えている(この点については日本のヒップホップ を参照)。
後に、MCU やKOHEI JAPAN 、YOU THE ROCK 、スチャダラパー 、宇多丸 らが影響された事実を語っている。
1985年 、アーティスト・プロデューサーとして初めて手がけたアルバム『業界くん物語』を発売し、ヤン富田 、藤原ヒロシ 、DJ K.U.D.O.、Dub Master X 、屋敷豪太 らが参加[ 8] 。
1986年 、いとうせいこう&タイニー・パンクス として、アルバム『建設的 』を発売[ 9] 。
1989年 、ヤン富田プロデュースによる、初のソロ・アルバム『MESS/AGE』を発表。
1990年1月、長編小説の第二作『ワールズ・エンド・ガーデン』を刊行すると、その直後に湾岸戦争 が始まった。いとうは、湾岸戦争 への自衛隊 派遣に抗議し、柄谷行人 、中上健次 、津島佑子 、田中康夫 らとともに『湾岸戦争に反対する文学者声明 』の発起人に名を連ね、『ビッグコミックスピリッツ』で読者参加型の緊急連載『戦争と平和』を立ち上げ、さらに「自宅闘争」と銘打ったファックスによる反戦活動も始めた。
1992年 には藤原ヒロシ とサブリミナル・カーム を結成。自身のヴォーカルを中心としたアルバムを発表。収録された「かすかなしるし 」は、須永辰緒 によってカヴァーが出されている。
ラッパー時代は宮崎泉 と共に、「MAC THE SEIKO & DUB MASTER X」を名乗っていた。
湾岸戦争以降は、いとうは小説をほとんど発表しなくなっており、2006年の「WB」(『早稲田文学』のフリーペーパー)のインタビューでは、湾岸戦争および小説に関して、以下のように語っていた[ 10] 。
あるときから、僕のコンピュータのデスクトップには「湾岸戦争しかなかった」ってタイトルの、二行だけしかまだないファイルがあるんです。ボードリヤール が「湾岸戦争はなかった」と書いた、あの吞気で80年代的なものから全く転換していない姿勢を、どうにかきちんと批判したいという気持ちが、いまだに強い(中略)あのあと『去勢訓練』という性愛小説を書きましたが、その間も湾岸戦争のことしか考えてないですから。あのときの異常な脱力感と、世界に向き合う立場がなくなった感じを「去勢」と呼び、それをなんとか対象として描いてみようとして性的なことを書いていた。もっとも社会的・世界的なことと、セックスのようにもっとも極私的なことを結びつけて書く以外に、文章が書けなかったんです
本というメディアの意味から考えてるから、自家中毒気味なんですね。ソシュール 、デュシャン 、レーモン・ルーセル という沈黙と言葉を扱った人たちのことを考えているうちに、自分も結局何もわからなくなって言葉それ自体については沈黙してしまった
2009年 にDub Master X 、かせきさいだぁ≡ などと共に「THE DUB FLOWER」を結成。
2009年 7月9日 、何度かコラボレーションしていた□□□ に加入することを発表[ 11] [ 12] 。
2013年に16年ぶりの小説『想像ラジオ』を発表。
2016年 3月にゲストとして参加していたDUBFORCE へ正式加入[ 13] 。
2018年 、DUBFORCEから派生する形で生まれたダブ・ポエトリー ・ユニット、いとうせいこう is the poetの活動を開始[ 14] [ 15] [ 16] [ 17] 。
2019年 8月、いとうせいこう is the poetの初音源「直して次に渡す/直して次に渡す(And The DUB goes on Mix)」が、限定アナログ盤としてリリース[ 18] [ 19] 。
2021年 3月、いとうせいこう is the poetの1st.アルバム『ITP 1』を発表[ 20] [ 21] 。
エピソード
ディスコグラフィー
シングル
発売日
タイトル
c/w
規格
規格品番
キャニオン・レコード /T・E・N・T
1st
1987年4月21日
BODY BLOW
HEALTHY MORNING TOKYO BRONX (LIVE AT Mounkberys)
12inch
C12A-0561
2nd
1987年7月21日
渚のアンラッキーボーイズ
まんぼでGANBO! (パンツの穴シスターズ Tu-Tu)
EP
7A-0752
DIRTY30 PRODUCTION いとうせいこう is the poet 名義
3rd
2019年8月3日
直して次に渡す
直して次に渡す (DUB)
EP
HR7S145
4th
2019年11月3日
iuai
iuai dub
EP
DIRTY30002
5th
2020年8月29日
怒りを吠えるけもの
怒りを吠えるけもの (inst)
EP
DIRTY30003
コラボレート・シングル
名義
発売日
タイトル
c/w
規格
規格品番
Grand Trax
JUST A ROBBER
2008年9月6日
dub On The Beach
Town To Town The Conqueror -TDC Remix-
Maxi
C12A-0473
アルバム
オリジナル・アルバム
トリビュートアルバム
発売日
タイトル
規格
規格品番
キューブ いとうせいこう & リビルダーズ 名義
1st
2016年9月21日
再建設的
CD
QBIX-32
2016年10月26日
LP
QBIX-35
コラボレーションアルバム
プロデュースアルバム
タイアップ
他のアーティストへの提供曲
客演
カヴァーされた楽曲
舞台
出演
テレビ
現在
過去
ラジオ
ウェブテレビ
CM
著書
小説
『ノーライフキング 』新潮社(1988年 ・第2回三島由紀夫賞 候補作、第10回野間文芸新人賞 候補作)のち新潮文庫、のち河出文庫
『ワールズ・エンド・ガーデン』新潮社(1991年 ・第4回三島由紀夫賞 候補作)、のち新潮文庫、のち河出書房新社より「いとうせいこうレトロスペクティブ」シリーズ収録
『からっぽ男の休暇』講談社(1991年 )のち講談社文庫、のち河出書房新社より「いとうせいこうレトロスペクティブ」シリーズ『南島小説二題』収録
『解体屋外伝』講談社(1993年 )のち講談社文庫、のち河出書房新社より「いとうせいこうレトロスペクティブ」シリーズ収録
『アタとキイロとミロリロリ』 幻冬舎(1994年 )のち幻冬舎文庫
『スキヤキ』集英社(1995年 )
『波の上の甲虫』求龍堂(1995年 )のち幻冬舎文庫、のち河出書房新社より「いとうせいこうレトロスペクティブ」シリーズ『南島小説二題』収録
『豊かに実る灰』マガジンハウス(1996年 )
『去勢訓練』太田出版(1997年 )
『想像ラジオ』河出書房新社(2013年 ・第26回三島由紀夫賞候補作、第149回芥川龍之介賞 候補作、第35回野間文芸新人賞 受賞、第2回静岡書店大賞 小説部門大賞受賞、iBooks Best of 2013 今年のベストブック、第10回 ダ・ヴィンチ編集部が選ぶプラチナ本 OF THE YEAR 2013、紀伊國屋書店スタッフが全力でおすすめするベスト30「キノベス!2014」1位、第11回本屋大賞 候補作)のち河出文庫
2014年3月9日、ニッポン放送 開局60周年記念ラジオドラマとして放送。出演:西田敏行 、小泉今日子
『存在しない小説』講談社(2013年 )のち講談社文庫
『未刊行小説集』河出書房新社(2014年 )「いとうせいこうレトロスペクティブ」シリーズ
『鼻に挟み撃ち』集英社(2014年 )のち集英社文庫
『我々の恋愛』講談社(2016年 )のち講談社文庫
『どんぶらこ』河出書房新社(2017年)
『小説禁止令に賛同する』集英社 (2018年)のち集英社文庫
『夢七日 夜を昼の國』文藝春秋(2020年)[ 注釈 4]
随筆
『難解な絵本』 角川書店、1990 のち文庫
『ワールドアトラス』太田出版(1990年 )のち幻冬舎文庫
『全文掲載』新潮社(1992年 )のち文庫
『世界のポップス1991』JICC出版局(1992年 )
『そんなにまでして』世界文化社 1996
『岩だらけの懐かしい星』 角川書店 1996
『ボタニカル・ライフ 植物生活』紀伊国屋書店(1999年 のち新潮文庫・講談社エッセイ賞 受賞・『植物男子ベランダー 』としてドラマ化)
『職人ワザ!』新潮社(2005年 )のち文庫
『自己流園芸ベランダ派』毎日新聞社(2006年 ・上記『ボタニカル・ライフ 植物生活』とともに『植物男子ベランダー SEASON2』としてドラマ化)
戯曲
共著
『コンビニエンス物語』泉麻人 太田出版 1990 のち新潮文庫
『ハプニングみたい』岡崎京子 講談社 1992
『西麻布ダンス教室 舞踊鑑賞の手引き』桜井圭介,押切伸一共著 白水社 1994
『見仏記 』中央公論社(1993年)みうらじゅん 絵 のち角川文庫
『秘見仏記』みうらじゅん絵 中央公論社 1995 「見仏記2 仏友編」角川文庫
『世紀末は世紀末か』赤間啓之 早川書房 1995
『見仏記 海外篇』みうらじゅん 角川書店 1998 のち文庫
『ダンシング・オールナイト グルーヴィーな奴らを探せ!』押切伸一,桜井圭介共著 NTT出版 1998
『哲学』中村雄二郎 岩波書店 1999
『禅繪魂 是は何ぞ。』川崎ぶら共著 小学館 2000
『他流試合 兜太・せいこうの新俳句鑑賞 』金子兜太 新潮社 2001
『見仏記 親孝行篇』みうらじゅん 角川書店 2002 のち文庫
『文芸漫談 笑うブンガク入門』集英社(2005年 )奥泉光 、渡部直己 共著
見仏記 ゴールデンガイド篇 みうらじゅん 角川書店 2009.4
世界文学は面白い。 文芸漫談で地球一周 奥泉光 集英社 2009.6
江戸のセンス 職人の遊びと洒落心 荒井修 集英社新書 2009.7
翻訳
その他
映画
テレビドラマ
薄桜記 (2012年、NHK BSプレミアム )俳優として、講釈師役を演技する。
植物男子ベランダー (2013年・2014年・2015年、 NHK BSプレミアム)いとうの原作『ボタニカル・ライフ 植物生活』がテレビドラマ化。自身も第7話に「盆栽店の店主」として出演した。また「SEASON2」からは『自己流園芸ベランダ派』も原作に加わり、第8話では再び同役で出演した。
世にも奇妙な物語 「フリースタイル母ちゃん」(2017年、フジテレビ) - 細川正雄 役
俺のスカート、どこ行った? (2019年4月20日 - 6月22日、日本テレビ) - 寺尾綴 役
連続テレビ小説 らんまん (2023年4月20日 - 9月29日、NHK) - 里中芳生 役[ 39] (モデル:田中芳男 [ 40] )
アニメ
ドラえもん - セイコー役#2011年9月9日放送のドラえもん誕生日1時間スペシャル。
その他
脚注
注釈
^ 同特許公報の「発明者」は、いとうの本名である「伊藤正幸」となっている[ 22] 。
^ 2010年3月までは『天才てれびくんMAX ビットワールド 』
^ 2019年9月発売のメガドライブ ミニ においては、プロモーションビデオのナレーションを担当。
^ 2022年9月にNHKの新・にっぽんの芸能 で「現代版お染久松」として紹介された[ 36] 。
出典
参考文献
関連項目
外部リンク
第1回 - 第10回 第11回 - 第20回 第21回 - 第30回 第31回 - 第40回
野間文芸新人賞
1970年代 1980年代 1990年代 2000年代 2010年代 2020年代
第42回 李龍徳 『あなたが私を竹槍で突き殺す前に』
第43回 井戸川射子 『ここはとても速い川』
第44回 町屋良平 『ほんのこども』
第45回 朝比奈秋 『あなたの燃える左手で』、九段理江 「しをかくうま」
第46回 豊永浩平 『月ぬ走いや、馬ぬ走い』
アーティスト ミュージシャン 男性俳優 女性俳優 アナウンサー コメンテーター クリエイター 関連事務所
リコモーション
男性俳優 女性俳優 ネクスティーン
伊藤紬
宇野桃奈
小日向悠
橋本乃哉
原田詩未
原田奏和
マクダウル凜奈
専門家 クリエイター
岡部尚子
サリngROCK
虎本剛
福谷圭祐
山村菜月
蓮行
旧所属タレント (リコモーションを含む) 関連項目
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