『ヴァイスクロイツ』(Weiß kreuz)は、ドラマCD、漫画、アニメなどで展開したメディアミックス作品および4人組で構成された声優ユニットの名称である。漫画家のつちやきょうこにより声優4人をイメージして創られたキャラクターを軸に作品世界を構築。コミック(『月刊ウィングス』連載)や小説(『アニメージュ』連載)なども行い、ユニットと作品の両面から展開していき、アニメーション展開を行った。アニメ第1期放送当時には、ユニットの楽曲を使ったアニメーションによるビデオクリップも制作された。
原案は声優の子安武人。まずメインになる声優を集め、ユニットを結成。当初は「キャットピープル」という名前だった[1]。ヴァイスや彼らに関わる上層部のコードネーム、花屋の名前は初期設定の名残である[2]。メンバーである声優の性格やイメージから作品のキャラクターやストーリーを考案するという当時としては斬新なアプローチが功を奏し、ユニット「ヴァイス」はラジオやライブなどで活躍したり写真集を出すなど、キャラクター同様に女性を中心に人気を博した。このアプローチゆえ、「4人が作品の登場人物のモデル」「借りている役では決してないし、返す必要もない」と子安は言う[3]。現在、ユニットは「充電」と称した無期限の活動休止中である。
また、子安が演じるアヤの過去を題材にした、『クラッシャーズ Knight & Ran』というドラマCDシリーズが存在する。
ライブでバックバンドを務めた「MIND DIVE(マインドダイブ)」のメンバーの中に、「キンモクセイ」として活動した白井雄介と張替智広がいる。
アヤ・ヨージ・ケン・オミの4人は、花屋"子猫の住む家"の店員という顔の他に、謎の司令官ペルシャの命を受け、法では裁けない悪人たちを人知れず葬っていく闇の仕事人"Weiß(ヴァイス)"というもうひとつの顔を持っていた。様々な手段を使い、法の手から逃れる犯罪者を独断で処刑する闇の組織「Weiß(ヴァイス)」。そこに所属する4人の男達。彼らは皆、過去に大きな傷を負っていた。自分の過去と向き合い、そして「人殺し」としての運命に翻弄されながら、やがて彼らはエスツェットとよばれる組織との戦いに巻き込まれていくのだった[5]。
暗殺集団・ヴァイス。「ヴァイス」はドイツ語で「白」の意。クリティカァに籍を置く調査員の中でも特に優秀な者で結成される。このメンバーは3代目で、表向きは花屋の店員。それぞれに女子高生を中心としたファンがついており、「花屋に4人揃っているのを見かけるといいことがある」と噂になっている。
当初は花屋の裏手に隣接するアパートにそれぞれ部屋を与えられて住んでいたが、OVA以降はトレーラーを使った移動花屋として生活している。『グリーエン』時に、新たなアジトを定め、再び「子猫の住む家」と名づけている。年齢はアニメ第1期の頃。
OVAでは冬の東北が舞台だったため「ヴァイス」の衣装が変更された。また、アニメ第2期では衣装のどこかに赤い十字架をあしらっている。
アヤ・ケン・ヨージの一人称は「オレ」で、オミの一人称は「ぼく」である。
ドイツ語で「批評家」の意。主にヴァイスやクラッシャーズが動くための情報収集を行う。各地に人間を潜入させ、ミッションターゲットに関する様々な調査を行う組織である。上層部は指令を下す際、対応する組織に合わせてコードネームを変える(クリティカァ→花の品種、ヴァイス→ネコの品種、クラッシャーズ→チェス駒の種類)。
人事権はトップである「マリーゴールド(ペルシャ)」が持っており、各地に存在するクリティカァの中でも優秀とされる者を集めて、処刑人「ヴァイス」を結成することがある。クリティカァとヴァイスを厳密に分けているのは、組織の暴走を防ぐためである。
2代目亡き後、代替わりしたペルシャは、潜入によるターゲット調査の一部もヴァイスのミッションとするようになった。ドラマCD『Dramatic Precious』シリーズでは、各地の構成員が2代目ヴァイスに襲撃され、ほぼ壊滅状態に陥った。その後、4代目ペルシャとなったオミが立て直すが、クリティカァで調査しづらい部分はやはりヴァイスに直接潜入させている。
オカルト集団で秘密結社。ナチの流れを汲み、世界各国に拠点を置く(本部はドイツと推測される)。裏で暗躍しながら、救世主の降臨を待ち望んでいた。白人の老人2人と老女1人が現在の指導者(三老人)。3人ともサイコキネシスのような能力を持つ。
死者を蘇らせるための秘術が記されているという「死者の書」とアヤの妹・彩を使い、かつての指導者を蘇らせようとして、アヤたちヴァイスによって阻止されたものの、その後のドラマCDシリーズやアニメ第2期において、海外の拠点を中心に暗躍を続けていることが示唆される。
オカルト集団「エスツェット」の組織した超能力集団。ドイツ語で「黒」の意。何かの野望のために各種勢力を利用するが、存在としては何者にもとらわれず独立している。目的・作戦のためなら手段を選ばないプロの仕事人である。ドラマCD『Dramatic Image Album』III・IVによると、オーストリアに拠点を置く超能力集団「ローゼンクロイツ[16]」のメンバーだったらしい。
シュバルツをモデルに、雅史によって組織された暗殺集団。ドイツ語で「けばい、どぎつい」の意。メンバーの誰もが雅史を溺愛しており、彼の死後も復活を図り暗躍する。ヘルとノイをのぞいた2人が過去にトラウマを持っていたが、雅史のマインドコントロールがその苦しみを救った。コードネームはドイツ語の単語。
なお、作中のサブタイトルや資料では「Schreient」と表記されているが、正確なスペルは「Schreiend」である。
ドラマCD『Dramatic Collection』IIに登場。
ドラマCD『Dramatic Precious』シリーズにのみ登場。2代目ペルシャが兄を討つため、ヴァイスを動かそうとしたことで反旗を翻した。
山間にある、3年ほど前に出来たばかりの学校。寮や商店を整備し、小都市の様相を呈するが、アヤらが潜入する前年度の自殺者が11人と多く、不審な点も多い。前身は「如月学園」。学生証を兼ねたIDカードを机に差し込んで、設置された個人用パソコンを起動するシステムを採用している。
各学年のクラス(制服は男女共に青)の他に、Sクラス、Gクラスという特殊なクラスが存在する。この2つのクラスはそれぞれ別棟にあり、セキュリティが特に厳しい。
「未来の指導者を育てる」Sクラスは、学園のエリートとして大多数の生徒の憧れであるが、その裏では生活全般を管理することで日常的に生徒へ選民思想を植えつけている。制服は男子が白、女子が緑。生徒の学年は関係なく、後述する藤堂の一存で各学年から編入することもある。寮は専用のものがある。
「自衛隊や警察のエリート候補生を育てる」Gクラスは、特殊訓練によって戦闘能力は常人以上の戦闘集団で、Sクラスの藤堂の指揮下にある。作中、このクラスの生徒が教室棟の外に出ることは稀で、出るときは奇妙な仮面をつけて顔を隠し、黒い服を着る。
なお、学園の人事などが一新された際にこの2クラスは解散となったが、エスツェットによって隠されているZクラスだけは残っており、地下にラボがある。制服は男女共に赤。
初登場はドラマCD『クラッシャーズ Knight & Ran』シリーズ(2000年)。クリティカァによって集められた情報を元に、司令官が“殺”以外の判断を下したときに動かす組織。任務は組織または個人を修復不可能なまでに叩き潰し、警察に逮捕させること。その際、決して人を殺してはならない。チーム名がドイツ語でないのは、原作者・子安によるとエスツェットに対抗するための組織ではないからとのこと。各地のクリティカァから候補生を選び、訓練を施してチームを組ませ、クラッシャーズとして配属するという方式を取っている。下記のメンバーは東京のクラッシャーズである。
ドラマCDの設定資料(イラストはしめのつかさ)では、共通アイテムとしてエンブレム入りスカーフをどこかに身に着けている。年齢と風貌はこの設定資料より。当時、蘭(アヤ)は18歳頃。なお、アニメに登場した際もこの資料を基にキャラクターデザインが起こされている。
メンバーは一時チームメイトだったアヤを、彼がヴァイスとなった現在でも当時の名(蘭)で呼ぶ。また、ナイトやクイーンのように、アヤがクラッシャーズに戻ってくることを望んでいる者もいる。
エピタフの命を受けて、ドイツから来日した超能力集団の一員。全員がテレパシーを使う。
イギリスに拠点を置く処刑人組織。略称は「KB」。アメリカの組織「百人会議」とともに、アニメ第2期のドラマCD『Theater Of Pain』に名前だけ登場。
遺伝子を書き換え、超人化する薬である「ヒト・インターロイキン」を、長年に渡って調査・研究し、関係者を処刑している。ナナの存在もあるのか、メンバーのほとんどはある程度日本語が話せるのが特徴。実働部隊のトレードマークは顔の一部を覆う仮面。暗視スコープや通信機能が付いている。大抵は片目を隠す物だが、ケンのものは目ではなく鼻から下を隠す。
4人組のAチーム(Side A)が任務中に消息を絶ったため、現在はアヤやケン、ユキを加えたBチーム(Side B)を組織し、調査を続けている。なお、アヤの素性を知るため、鷹取家(オミ)と連絡を取ったことがある。アヤ・ケンがいることもあってか、鷹取の「ヴァイス」に倣い、Bチームの拠点を下町の花屋「子猫の住む家」に定めた。
1998年4月から9月にかけて、テレビ東京をキー局にテレビ大阪などでも放送。
サブタイトルはドイツ語。ただしキャラクターの項で書いたとおり、第9話の「Schreient」はスペルが間違っている。他にも「Fräulein」など、いくつかのスペルがおかしい。
キッズステーション制作・放送。地上波では後に毎日放送「アニメシャワー」枠でも放送。『ヴァイスクロイツ』の続編アニメーション。
一連のサブタイトルは、ドラマCDシリーズやユニット「ヴァイス」関連で発表してきたCDの収録曲から取っている。ただし、全員で歌っている曲とは限らず、第2話はドラマCD『Dramatic Image Album』II収録のアヤのキャラクターソングから。また、第3話と第12話はドラマCD『Dramatic Precious』シリーズの主題歌[24]から。なお、本放送に先立ち、2002年9月20日に第1話と第2話を先行放送した。
なお、全巻購入特典として、スペシャルDVDが応募・購入できた。
時系列はマリン・エンタテインメントの「ヴァイスクロイツ グリーエン 特設ページ」内ヴァイス・ヒストリーより照合。