脇 謙二(わき けんじ、1960年8月10日 -)は、将棋棋士。棋士番号138。大阪府大阪市出身。高島一岐代九段門下。
棋歴
1975年に5級で奨励会入り。1977年初段。1979年に四段となりプロ入りを果たす。
1980年、第22期王位戦で挑戦者決定リーグ入りを果たす。1981年、第8期棋王戦で本戦入り。1982年、第24期王位戦でもリーグ入りを果たす。
1983年、第41期順位戦のC級2組にて10戦全勝の成績でC級1組昇級を果たすと、翌年度の第42期でも9勝1敗の好成績でB級2組への連続昇級を果たす。このころは若手有望棋士として将来を期待されていた。
第43期B級2組では7勝3敗、第44期でも8勝2敗の好成績を残すが、惜しくも昇級は果たせず。以降も勝ち越し続けるものの、B級2組に留まることとなる。しかし、1986年度の第13期棋王戦では本戦準決勝に進出する活躍をした。1988年度の第47期順位戦で8勝2敗の好成績を残したものの、順位の関係で不運にも昇級を逃した。
1990年度、第3期竜王戦2組で準優勝を果たし、1組昇級を果たす。1992年には第5期竜王戦1組優勝の快挙を果たし、本戦でも準決勝にまで進出した。後に脇はフリークラス宣言をしたことで、第36期竜王戦までの竜王戦1組の優勝経験者のうち順位戦A級・B級1組の在籍経験がない唯一の棋士となった。
1992年度の第51期順位戦B級2組では5勝5敗となり、同組昇級以来続いていた連続勝ち越しが8期でストップした。1993年に第6期竜王戦1組で初戦から連敗し2組降級となる。1994年の第7期竜王戦ですぐ1組復帰を果たすが、同年度の第53期順位戦B級2組では4勝6敗となり初めて負け越しとなった。以降、竜王戦では1組に在籍し続け、順位戦B級2組では大きく勝ち越したり負け越したりしない状態が続いた。
1998年、第11期竜王戦で2組に降級。1999年、第12期竜王戦でも振るわず3組に連続降級となる。同年度、第58期順位戦B級2組で8勝2敗の好成績を残すがまたも昇級ならず。2001年、第14期竜王戦3組で準優勝を果たし2組に復帰するが、翌年の2002年に再度3組降級。そして、2003年、第61期順位戦B級2組で1勝9敗となり自身初となる降級点がつく。翌年度の第62期に7勝3敗と勝ち越し一度降級点を消滅させるが、再翌年度の第63期では1勝9敗と低迷し再び降級点。2006年、第64期でも1勝9敗で連続降級点となり、C級1組に降級した。
2008年、第21期竜王戦3組で初戦から連敗し4組に降級。2009年、第22期竜王戦4組で準決勝まで勝ち進み3組復帰まで後1勝とするが、準決勝、昇級者決定戦で敗れ、定員調整の昇級者決定戦のチャンスも逃し3組復帰はならなかった。2010年、第23期竜王戦4組で初戦から連敗し5組に降級。2011年の第24期竜王戦5組でも1勝も出来ず3連敗し、6組に降級した。2013年、第71期順位戦C級1組で10戦全敗となり、C級1組で初となる降級点がついた。翌年度の第72期は5勝5敗の五分としたもの、その翌年度の2015年、第73期で3勝7敗となり、二度目の降級点でC級2組に降級した。
2015年度(第57期)王位戦予選では、当年度各棋戦で高勝率を上げた斎藤慎太郎を破るなど4連勝し、自身21期ぶりとなるリーグ入りを決めた。白組リーグでは残留はできなかったものの、叡王戦優勝者の山崎隆之八段を破るなどベテラン健在ぶりを見せた[1]。ただし当年度は、王位戦以外の全てのトーナメント系棋戦(順位戦以外の全棋戦)で初戦負けという偏った成績に終わった。
順位戦C級2組は第76期(2017年度)1勝9敗、第77期(2018年度)2勝8敗で2期連続降級点を取り、2019年度にフリークラス宣言を行った。以降、順位戦以外の公式戦参加は、満65歳を迎える2025年度までとなる。
2021年4月1日、フリークラス規定により九段に昇段。田丸昇に続き史上2人目である。順位戦B級2組以下で九段に昇段した棋士には、屋敷伸之と渡辺明がいるが、両者とも後にA級に昇級しており、B級1組以上の在籍経験がないまま、現役九段での引退(見込み)は、脇が史上初めてとなる。
棋風
- かつては居飛車党の棋士で横歩取り△3三桂戦法や矢倉戦を得意とし、相居飛車の相矢倉で後手△6四角に▲4六角とぶつける脇システムを考案した。
- 2010年頃から突如、振り飛車を多用する棋風に転じ、周囲を驚かせた。相手が振り飛車党の場合も、相振飛車にすることが多い。
- 棋風は激しい攻め将棋で、対局時も闘志を態度であらわす棋士の一人。対局中に扇子や拳骨で自分の頭を叩き気合を入れる事がある[2]。
- 順位戦の全勝と全敗の両方を記録した初の事例となった(第41期C級2組を10戦全勝、第71期C級1組を10戦全敗)。
人物
- 妻は囲碁棋士の荒木真子四段。
- 2017年5月の棋士総会で日本将棋連盟常務理事(担当:関西本部総務・渉外部)に選出[3]、2019年6月からは同専務理事となっている。2023年の新語・流行語大賞で「観る将」がトップテン入りした際には、受賞者の日本将棋連盟を代表として専務理事の脇が表彰式に出席した[4]。
- 野球では埼玉西武ライオンズのファン。自ら「西鉄ライオンズ時代から応援している」と語るほどの熱狂的ファンである[5]。
昇段履歴
- 1975年04月01日 : 5級 = 奨励会入会
- 1975年04月01日 : 4級
- 1975年10月01日 : 3級
- 1976年03月01日 : 2級
- 1977年06月01日 : 1級
- 1977年11月01日 : 初段
- 1978年06月01日 : 二段
- 1979年04月01日 : 三段
- 1979年07月16日 : 四段 = プロ入り
- 1983年04月01日 : 五段(順位戦C級1組昇級、通算88勝59敗)
- 1984年04月01日 : 六段(順位戦B級2組昇級、通算117勝76敗)
- 1990年10月01日 : 七段(勝数規定 /六段昇段後公式戦150勝、通算267勝190敗)
- 2000年11月16日 : 八段(勝数規定 /七段昇段後公式戦190勝、通算457勝353敗)
- 2021年04月01日 : 九段(フリークラス昇段規定、通算645勝695敗)[6][7]
主な成績
棋戦優勝
- 若獅子戦:1回(1984年度 = 第7回)
- 早指し新鋭戦:2回(1984年度 = 第3回、1985年度 = 第4回)
- 合計 3回
将棋大賞
- 第47回(2019年度)升田幸三賞特別賞「脇システム」
在籍クラス
年度別成績
公式棋戦成績
年度 |
対局数 |
勝数 |
負数 |
勝率 |
(出典)
|
1979
|
23 |
14 |
9 |
0.6087 |
[10]
|
1980
|
38 |
18 |
20 |
0.4737 |
[11]
|
1979-1980 (塁計)
|
61 |
32 |
29 |
|
|
年度 |
対局数 |
勝数 |
負数 |
勝率 |
(出典)
|
1981
|
40 |
23 |
17 |
0.5750 |
[12]
|
1982
|
46 |
33 |
13 |
0.7174 |
[13]
|
1983
|
46 |
29 |
17 |
0.6304 |
[14]
|
1984
|
47 |
32 |
15 |
0.6809 |
[15]
|
1985
|
47 |
27 |
20 |
0.5745 |
[16]
|
1986
|
36 |
15 |
21 |
0.4167 |
[17]
|
1987
|
43 |
24 |
19 |
0.5581 |
[18]
|
1988
|
38 |
25 |
13 |
0.6579 |
[19]
|
1989
|
37 |
18 |
19 |
0.4865 |
[20]
|
1990
|
34 |
18 |
16 |
0. |
[21]
|
1981-1990 (塁計)
|
415 |
244 |
171 |
|
|
年度 |
対局数 |
勝数 |
負数 |
勝率 |
(出典)
|
1991
|
36 |
20 |
16 |
0.5556 |
[22]
|
1992
|
42 |
26 |
16 |
0.6190 |
[23]
|
1993
|
33 |
16 |
17 |
0.4848 |
[24]
|
1994
|
40 |
25 |
15 |
0.6250 |
[25]
|
1995
|
37 |
21 |
16 |
0.5676 |
[26]
|
1996
|
32 |
18 |
14 |
0.5625 |
[27]
|
1997
|
39 |
19 |
20 |
0.4872 |
[28]
|
1998
|
29 |
11 |
18 |
0.3793 |
[29]
|
1999
|
31 |
19 |
12 |
0.6129 |
[30]
|
2000
|
27 |
11 |
16 |
0.4074 |
[31]
|
1991-2000 (小計)
|
346 |
186 |
160 |
|
|
年度 |
対局数 |
勝数 |
負数 |
勝率 |
(出典)
|
2001
|
26 |
9 |
17 |
0.3462 |
[32]
|
2002
|
27 |
5 |
22 |
0.1852 |
[33]
|
2003
|
29 |
18 |
11 |
0.6207 |
[34]
|
2004
|
26 |
6 |
20 |
0.2308 |
[35]
|
2005
|
30 |
11 |
19 |
0.3667 |
[36]
|
2006
|
27 |
9 |
18 |
0.3333 |
[37]
|
2007
|
27 |
11 |
16 |
0.4074 |
[38]
|
2008
|
30 |
15 |
15 |
0.5008 |
[39]
|
2009
|
29 |
13 |
16 |
0.4483 |
[40]
|
2010
|
25 |
10 |
15 |
0.4000 |
[41]
|
2001-2010 (小計)
|
276 |
107 |
169 |
|
|
年度 |
対局数 |
勝数 |
負数 |
勝率 |
(出典)
|
2011
|
24 |
8 |
16 |
0.3333 |
[42]
|
2012
|
26 |
6 |
20 |
0.2308 |
[43]
|
2013
|
26 |
10 |
16 |
0.3846 |
[44]
|
2014
|
28 |
11 |
17 |
0.3929 |
[45]
|
2015
|
27 |
8 |
19 |
0.2963 |
[46]
|
2016
|
28 |
10 |
18 |
0.3571 |
[47]
|
2017
|
28 |
8 |
20 |
0.2857 |
[48]
|
2018
|
28 |
9 |
19 |
0.3214 |
[49]
|
2019
|
15 |
4 |
11 |
0.2667 |
[50]
|
2020
|
13 |
2 |
11 |
0.1538 |
[51]
|
2011-2020 (小計)
|
263 |
76 |
187 |
|
|
年度 |
対局数 |
勝数 |
負数 |
勝率 |
(出典)
|
2021
|
13 |
2 |
11 |
0.1535 |
[52]
|
2022
|
12 |
1 |
11 |
0.0833 |
[53]
|
2023
|
19 |
7 |
12 |
0.3684 |
[54]
|
2021-2023 (小計)
|
44 |
10 |
34 |
|
|
通算
|
1384 |
655 |
729 |
0.4733 |
[55]
|
2023年度まで
|
著書
脚注
関連項目
外部リンク
日本将棋連盟所属棋士 ( 現役棋士 および 2024年度引退棋士) |
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タイトル 保持者 【九段 6名】 【七段 1名】 |
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九段 【26名】 | |
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八段 【34名】 | |
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七段 【44名】 | |
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六段 【28名】 | |
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五段 【20名】 | |
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四段 【15名】 | |
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2024年度 引退棋士 |
- 九段 青野照市 (2024年6月13日 引退)
- 八段 室岡克彦 (2024年6月18日 引退)
- 八段 中座真 (2024年6月19日 引退)
- 七段 伊奈祐介 (2024年5月10日 引退)
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現役棋士 全174名(2025年1月16日時点、日本将棋連盟所属) / △は2024年度の昇段 / 引退棋士の()は引退日 / 詳細は将棋棋士一覧を参照 |
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竜王 | |
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1組 【 ▼降級 4名 】 | |
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2組
| |
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3組
| |
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4組
| |
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5組
|
【在籍 31名(棋士30名・奨励会員1名) / 定員 32名 (欠員1) 】
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6組 【 △昇級 5名 】 |
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次期から出場 |
- 2025年4月昇段者(2-3名)
- 2025年10月昇段者(2-3名)
- (いずれも第39期からの出場)
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★挑戦者 / △次期昇級 / ▼次期降級 / 初 初参加棋士(棋士として初参加) / 詳細については将棋棋士の在籍クラスを参照。 |
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名人 | |
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A級 | |
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B級1組 | |
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B級2組 | |
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C級1組 | |
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C級2組 | |
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フリー クラス
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| 宣言 | |
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棋戦限定 出場 | |
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2024年度 引退者 |
- 伊奈祐介 (2024年5月10日 引退)
- 青野照市 (2024年6月13日 引退)
- 室岡克彦 (2024年6月18日 引退)
- 中座真 (2024年6月19日 引退)
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次期から の出場者
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フリークラスからの昇級者 | |
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2024年10月1日昇段者 | |
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先頭の数字は順位(名人、フリークラス以外)/ フリークラスの数字は在籍可能残り年数(2024年度開始時点) B級2組 - C級2組の * は降級点の数(B級2組・C級1組は降級点2回で降級、C級2組は降級点3回で降級) 詳細については将棋棋士の在籍クラスを参照 |
一般棋戦優勝 3回 |
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早指し 将棋選手権 優勝者 |
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早指し 新鋭戦 優勝者 |
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関連項目 | |
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2002年(第36回)で終了。 |
|
---|
優勝者 | |
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関連項目 | |
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四段以上の棋士で年齢の若い順に13人を選抜して参加。1991年(第14回)で終了。 |
|
将棋大賞 |
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1990年代 | |
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2000年代 | |
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2010年代 | |
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2020年代 | |
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前年度の活躍が対象。< >は特別賞。 |
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