竹内 雄悟(たけうち ゆうご、1987年12月17日 - )は、将棋棋士。森信雄七段門下。棋士番号は292。広島市出身・大阪市在住[1]。奨励会二段時代までの名は大悟(だいご)。
棋歴
幼少期に母方祖父に教わり、将棋を覚えた[1]。本格的に将棋を始めたのは小学3年生のときで、その後は地元の広島将棋センターに通って腕を磨いた[2]。広島観音高校在学中に、村山聖九段を偲んで広島で開催されている「怪童戦」を2連覇して注目を集める[2]。
2004年9月、高校2年生の時に3級で奨励会に入会。同期入会者の中では2番目に年長であった。奨励会に入会したのは、将棋を全く知らない祖母から「そんなに将棋が好きだったらプロ目指してみないの?」と言われ、学校の勉強も好きではなかったことから「好きな将棋をして生きていけたら最高」と思ったのがきっかけ[2]。
好不調の波があり、昇級・昇段に苦労したものの、2008年5月に三段に昇段。第44回(2008年度後期)より三段リーグに参加。ここでも好不調の波があり、第44回及び第49回(2010年度前期)ではあと1勝足りなければ降段点を喫するところだった。その一方で、第47回(2009年度前期)及び第50回(2010年度後期)では、最終局まで昇段争いに加わる活躍を見せる。
第47回では最終日2連勝すれば昇段であったが1戦目に敗れ、船江恒平と同星の13勝5敗も順位差で次点となった。(他同星に斎藤慎太郎、宮本広志)[3]
第50回では、最終日1戦目で順位上位者が敗れ自身が勝利したため、2戦目で宮本広志が敗れ自身が勝利すれば2度目の次点を得られる所であったが、宮本は敗れたものの自身も敗れ、12勝6敗の同星複数名で次点を逃す[4]。
第52回(2012年度後期)は、最終2局を待たずに弟弟子の千田翔太の昇段が内定し、残る1枠を竹内を含む4人が5敗で並び争う混戦。竹内は前期の成績に基づく順位の関係から、自身が連勝し、かつ1名が2連敗、宮本広志と他1名が1敗以上しなければ昇段できない厳しい状況の中、2位で四段昇段を決めた[5]。
プロデビュー後
2013年、初参加となる第72期順位戦では2勝8敗に終わり、初参加期順位戦における最少勝数の記録タイ(他に熊坂学、長岡裕也、横山友紀)に終わり、降級点を喫した[6]。これとは対照的に、第27期竜王戦6組ランキング戦では好成績を上げる。アマチュア選手・中田功・佐藤慎一・三枚堂達也を降し、準々決勝に進出。しかしそこで優勝する藤森哲也に敗れ、続く昇級者決定戦でも八代弥に敗れ、1期抜けでの5組昇級には至らなかった[7]。
2014年、第86期棋聖戦では一次予選から勝ち上がり、二次予選では谷川浩司や北浜健介を下して決勝トーナメント出場を決めた。(なお同トーナメント一回戦で、豊島将之に敗れる。)[8]
2016年、第29期竜王戦6組ランキング戦では田中寅彦・星野良生・石川泰[注 1]を下し準決勝まで勝ち上がり中田功に敗れるも、昇級者決定戦決勝において勝ち上がってきた門倉啓太を破り、5組昇級を果たした。
2018年、第68回NHK杯戦の予選・決勝で桐山清澄に勝ち、本戦トーナメント初出場(1回戦で阿久津主税に敗退)。第4期叡王戦では四段予選を突破し、こちらでも本戦に初出場を果たす(1回戦で広瀬章人に敗退)。同年9月13日、第67期王座戦一次予選で船江恒平を破り、通算100勝達成。これにより五段に昇段した[9]。
だがその2018年をピークに成績が下降し始め、特に2022年は年間勝率1割台の大不振に陥り順位戦では2つ目の降級点が付与される。そして翌年の第82期順位戦でも歯止めはかからず3つ目の降級点を喫し、36歳でフリークラス陥落となった。
棋風
変則的な将棋が特徴で、初手に5筋の歩を突いたり[注 2](ただし、竹内の場合、ここから先手中飛車にしない事もある)、割り打ち・両取りのリスクの多い飛車角の並ぶ5六飛・6六角型中飛車や、飛車玉の近い居玉四間飛車、地下鉄飛車といった力戦を得意としている。また、受けと粘りにも定評があり、穴熊玉が入玉する終盤など定跡にとらわれない力技を見せる。
人物
- 将棋ファンの間では「ユーゴ先生」と改名後の名前で親しまれているが、棋士間の愛称は旧名の竹内大悟を略した「タケダイ」で、雄悟に改名後も、奨励会仲間や森一門、観戦記者などからは旧名の略称で呼ばれ続けている[10][出典無効]。竹内自身もtwitterで「takedai」を使用している[11][出典無効]。
- ネット上で「タケダイ詰将棋創作100日チャレンジ」を載せている。
- おしゃれであり、対局及び記録係の際の服装もノータイ(いわゆるクールビズ)が多いなど、ファッションにこだわりと独自の美学を持っている。
- 将棋を指す利き手は左であり、対局開始前には、盆と脇息の位置を反対に置き換える事が多い[12]。
- 2014年3月7日に、徳川家康公顕彰四百年記念事業第72期将棋名人戦第0局と題して、静岡県静岡市の「浮月楼」で行われた第72期順位戦最終局一斉対局において、谷川浩司対深浦康市戦の記録係を担当した際も、ノータイ姿で対局場に現れたが、谷川に注意を受け、対局開始直前に着用した[13]。
- 2017年11月に結婚[14]。相手の詳細については、公表していない。2018年7月に女児が誕生[15]。
- 蕎麦アレルギーであり、含有食品には「必ず表示を義務づけて欲しい」と主張している[16][出典無効]。また、眼病も患っており、日常生活や対局にも辛い状況であったことを明かしている[17]。
- 宮本広志の将棋教室で子供教室を開講している[18]。
昇段履歴
昇段規定は、将棋の段級 を参照。
- 2004年09月00日 : 3級 = 奨励会入会
- 2005年04月00日 : 2級
- 2006年04月00日 : 1級
- 2007年04月00日 : 初段
- 2007年08月00日 : 二段
- 2008年05月00日 : 三段(第44回奨励会三段リーグ<2008年度後期>からリーグ参加)
- 2013年04月01日 : 四段(第52回奨励会三段リーグ成績2位) = プロ入り
- 2018年09月13日 : 五段(勝数規定/公式戦100勝)[9]
主な成績
在籍クラス
竜王戦と順位戦のクラスは、将棋棋士の在籍クラス を参照。
順位戦・竜王戦の在籍クラスの年別一覧
開始 年度
|
(出典)順位戦
|
(出典)竜王戦
|
期
|
名人
|
A級
|
B級
|
C級
|
0
|
期
|
竜王
|
1組
|
2組
|
3組
|
4組
|
5組
|
6組
|
決勝 T
|
|
1組
|
2組
|
1組
|
2組
|
2013
|
72
|
|
|
|
|
|
C246x
|
2-8
|
27
|
|
|
|
|
|
|
6組
|
--
|
4-2
|
2014
|
73
|
|
|
|
|
|
C246*
|
6-4
|
28
|
|
|
|
|
|
|
6組
|
--
|
2-2
|
2015
|
74
|
|
|
|
|
|
C218*
|
4-6
|
29
|
|
|
|
|
|
|
6組
|
--
|
5-1
|
2016
|
75
|
|
|
|
|
|
C231*
|
4-6
|
30
|
|
|
|
|
|
5組
|
|
--
|
2-2
|
2017
|
76
|
|
|
|
|
|
C217*
|
6-4
|
31
|
|
|
|
|
|
5組
|
|
--
|
4-2
|
2018
|
77
|
|
|
|
|
|
C234*
|
6-4
|
32
|
|
|
|
|
|
5組
|
|
--
|
2-2
|
2019
|
78
|
|
|
|
|
|
C215*
|
6-4
|
33
|
|
|
|
|
|
5組
|
|
--
|
1-2
|
2020
|
79
|
|
|
|
|
|
C217*
|
3-7
|
34
|
|
|
|
|
|
5組
|
|
--
|
3-2
|
2021
|
80
|
|
|
|
|
|
C240*
|
5-5
|
35
|
|
|
|
|
|
5組
|
|
--
|
1-2
|
2022
|
81
|
|
|
|
|
|
C230*x
|
2-8
|
36
|
|
|
|
|
|
5組
|
|
--
|
1-2
|
2023
|
82
|
|
|
|
|
|
C248**x
|
3-7
|
37
|
|
|
|
|
|
5組
|
|
--
|
|
2024
|
83
|
|
|
|
|
|
|
F編
|
38
|
|
順位戦、竜王戦の 枠表記 は挑戦者。右欄の数字は勝-敗(番勝負/PO含まず)。 順位戦の右数字はクラス内順位 ( x当期降級点 / *累積降級点 / +降級点消去 ) 順位戦の「F編」はフリークラス編入 /「F宣」は宣言によるフリークラス転出。 竜王戦の 太字 はランキング戦優勝、竜王戦の 組(添字) は棋士以外の枠での出場。
|
年度別成績
公式棋戦成績
年度 |
対局数 |
勝数 |
負数 |
勝率 |
(出典)
|
2013
|
28 |
12 |
16 |
0.4285 |
[21]
|
2014
|
39 |
22 |
17 |
0.5641 |
[22]
|
2015
|
36 |
18 |
18 |
0.5000 |
[23]
|
2016
|
39 |
19 |
20 |
0.4871 |
[24]
|
2017
|
31 |
16 |
15 |
0.5161 |
[25]
|
2018
|
47 |
30 |
17 |
0.6382 |
[26]
|
2019
|
36 |
19 |
17 |
0.5277 |
[27]
|
2020
|
31 |
12 |
19 |
0.3870 |
[28]
|
2013-2020 (小計)
|
287 |
148 |
139 |
|
|
年度 |
対局数 |
勝数 |
負数 |
勝率 |
(出典)
|
2021
|
30 |
15 |
15 |
0.5000 |
[29]
|
2022
|
23 |
4 |
19 |
0.1739 |
[30]
|
2023
|
31 |
14 |
17 |
0.4516 |
[31]
|
2021-2023 (小計)
|
84 |
33 |
51 |
|
|
通算
|
371 |
181 |
190 |
0.4878 |
[32]
|
2023年度まで
|
出演
ウェブテレビ
- 「藤井四段に『2度負けた男たち』の証言」(2017年6月14日、AbemaTV)[33][34]
脚注
注釈
- ^ 奨励会員。年齢規定による三段リーグ退会で不戦敗となった。
- ^ 第7期加古川青流戦(2017.5.18)など。
出典
関連項目
外部リンク
日本将棋連盟所属棋士 ( 現役棋士 および 2024年度引退棋士) |
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タイトル 保持者 【九段 6名】 【七段 1名】 |
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九段 【26名】 | |
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八段 【33名】 | |
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七段 【44名】 | |
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六段 【27名】 | |
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五段 【20名】 | |
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四段 【15名】 | |
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2024年度 引退棋士 |
- 九段 青野照市(2024年6月13日引退)
- 八段 室岡克彦(2024年6月18日引退)
- 八段 中座真(2024年6月19日引退)
- 七段 伊奈祐介(2024年5月10日引退)
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現役棋士 全172名(2024年7月23日時点、日本将棋連盟所属) / △は2024年度の昇段 / 引退棋士の()は引退日 / 詳細は将棋棋士一覧を参照 |
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竜王 | |
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1組 (定員16名) | |
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2組 (定員16名) | |
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3組 (定員16名) | |
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4組 (定員32名) | |
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5組 (定員32名) | |
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6組 (参加70名) |
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★挑戦者 / △次期昇級 / ▼次期降級 / 初 初参加棋士(棋士として初参加) / 詳細については将棋棋士の在籍クラスを参照。 |
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名人 | |
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A級 | |
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B級1組 | |
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B級2組 | |
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C級1組 | |
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C級2組 | |
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フリー クラス
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| 宣言 | |
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棋戦限定 出場 | |
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2024年度 引退者 |
- 伊奈祐介(2024年05月10日 引退)
- 青野照市(2024年06月13日 引退)
- 室岡克彦(2024年06月18日 引退)
- 中座真(2024年06月19日 引退)
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先頭の数字は順位(名人、フリークラス以外)/ フリークラスの数字は在籍可能残り年数(2024年度開始時点) B級2組 - C級2組の * は降級点の数(B級2組・C級1組は降級点 2で降級、C級2組は降級点 3で降級) 詳細については将棋棋士の在籍クラスを参照 |
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