岡谷市(おかやし)は、長野県の南信地方にある市で、諏訪湖に隣接する工業都市である計量特定市。
諏訪地域の3市2町1村からなる諏訪広域連合の構成地方公共団体である。1936年(昭和11年)市制施行。
面積は長野県内の市のなかで最小であり[1]、人口密度は県内の全市町村のなかで最も高い[2]。
本項では、市制施行前の名称である諏訪郡平野村(ひらのむら)についても述べる。
地理
位置
長野県中央部の諏訪盆地に位置し、諏訪湖の西岸に接する。
地形
山岳
- 主な山
- 主な峠
河川
- 主な川
- 横河川
- 塚間川
- 天竜川 - 天竜川は、諏訪湖から流出する唯一の河川である。諏訪湖の西端にある釜口水門を源流とし、市内を南西に流れる。
湖沼
- 主な湖
地域
行政区画
岡谷市には、21の区が存在する(政令指定都市に設置される行政区や特別区とは異なる)。 現在の住居表示の町丁名とその区画範囲は、区名・区域ともに殆ど関係していないため、地図上から判断することは難しい。
- 岡谷地区(旧平野村域)
区名 |
概ねの範囲
|
今井 |
神明町・「今井」交差点 周辺
|
小井川 |
加茂町・赤羽・若宮 周辺
|
間下 |
山手町・山下町 周辺
|
小口 |
銀座 周辺
|
西堀 |
堀之内・南宮 周辺
|
新屋敷 |
本町3,4丁目 周辺
|
上浜 |
塚間町・中央町2,3丁目 周辺
|
岡谷 |
本町1,2丁目・中央町1丁目 周辺
|
小尾口 |
天竜町3丁目・丸山橋 周辺
|
下浜 |
湖畔1,2丁目 周辺
|
※今井区の国道20号より北部は住居表示が施行されていない。
- 長地地区
横川 |
長地出早・長地小萩 周辺
|
中村 |
長地梨久保 周辺
|
中屋 |
長地鎮・長地源 周辺
|
東堀 |
長地柴宮・長地御所・長地権現町 周辺
|
- 川岸地区
三沢 |
川岸上・川岸中1丁目 周辺
|
新倉 |
川岸中2,3丁目・川岸西 周辺
|
橋原 |
川岸東1,2丁目 周辺
|
鮎沢 |
川岸東3丁目 周辺
|
駒沢 |
川岸東4,5丁目 周辺
|
- 湊地区
花岡 |
湊1,2,3丁目 周辺
|
小坂 |
湊4,5丁目 周辺
|
人口
|
岡谷市と全国の年齢別人口分布(2005年)
|
岡谷市の年齢・男女別人口分布(2005年)
|
■紫色 ― 岡谷市 ■緑色 ― 日本全国
|
■青色 ― 男性 ■赤色 ― 女性
|
岡谷市(に相当する地域)の人口の推移
1970年(昭和45年)
|
60,350人
|
|
1975年(昭和50年)
|
61,776人
|
|
1980年(昭和55年)
|
62,210人
|
|
1985年(昭和60年)
|
61,747人
|
|
1990年(平成2年)
|
59,849人
|
|
1995年(平成7年)
|
58,056人
|
|
2000年(平成12年)
|
56,401人
|
|
2005年(平成17年)
|
54,699人
|
|
2010年(平成22年)
|
52,841人
|
|
2015年(平成27年)
|
50,128人
|
|
2020年(令和2年)
|
47,790人
|
|
|
総務省統計局 国勢調査より
|
1920年の第1回国勢調査人口では前身の平野村が松本市に次ぐ県内2位であった。これは当市よりも先に市制施行した長野市・上田市を上回るものであった。
隣接自治体
- 長野県
歴史
→近代以降の行政区域の変遷については次の通り。各時代の詳細については
岡谷市の歴史を参照
近代
- 明治時代
- 昭和時代(戦前)
- 1936年(昭和11年)4月1日 - 諏訪郡平野村が改称・市制施行して岡谷市が発足。村が町制を経ず市制施行したのは長野県では唯一であり、全国でも11例のみである。
現代
- 昭和時代(戦後)
行政
市長
- 市長 - 早出一真(2023年9月29日就任、1期目)
- 歴代市長
- 初代 - 今井梧楼 1936年5月5日 - 1944年12月29日、2期
- 2代 - 林七六 1945年2月15日 - 1946年11月16日、1期
- 3代 - 林将英 1947年4月5日 - 1949年3月5日、1期
- 4代 - 宮坂健次郎 1949年4月15日 - 1963年9月1日、4期
- 5代 - 林浩正 1963年9月29日 - 1975年9月28日、3期
- 6代 - 林泰章 1975年9月29日- 1995年9月28日、5期
- 7代 - 林新一郎 1995年9月29日 - 2007年9月28日、3期
- 8代 - 今井竜五 2007年9月29日 - 2023年9月28日、4期
議会
市議会
- 定数:18人[3]
- 任期:2019年5月1日 - 2023年4月30日[3]
- 議長:渡辺太郎[4]
- 副議長:藤森博文[4]
県議会
- 選挙区:岡谷市・下諏訪町選挙区[5]
- 定数:2人[5]
- 任期:2019年4月30日 - 2023年4月29日[5]
- 投票日:2019年4月7日[6]
- 当日有権者数:58,261人(岡谷市41,291人、下諏訪町16,970人)[6]
- 投票率:53.44%(岡谷市53.26%、下諏訪町53.87%)[6]
衆議院
当落 |
候補者名 |
年齢 |
所属党派 |
新旧別 |
得票数 |
重複
|
当 |
後藤茂之 |
65 |
自由民主党 |
前 |
86,962票 |
○
|
|
長瀬由希子 |
53 |
日本共産党 |
新 |
51,922票 |
○
|
出先機関・施設
国家機関
法務省
- 検察庁
厚生労働省
財務省
- 国税庁
国土交通省
裁判所
施設
警察
- 本部
- 交番
- 岡谷駅前交番(岡谷市)
- 中央交番(岡谷市)
- 東部交番(岡谷市)
消防
- 本部
- 消防署
医療
- 主な病院
郵便局
集配郵便局 |
岡谷郵便局
|
無集配郵便局 |
岡谷今井郵便局、岡谷郷田郵便局、岡谷中央町郵便局、岡谷天竜町郵便局、岡谷東銀座郵便局、長地郵便局、川岸郵便局、三沢郵便局、湊郵便局、レイクウォーク岡谷郵便局
|
簡易郵便局 |
岡谷上ノ原簡易郵便局、岡谷小萩簡易郵便局、岡谷山下町簡易郵便局、岡谷若宮簡易郵便局
|
文化施設
- 図書館
- 博物館
- 美術館
- 体育館
- 劇場
対外関係
姉妹都市・提携都市
国内
- 姉妹都市
海外
- 姉妹都市
経済
第一次産業
漁業
- 養鰻業
特産品のウナギを諏訪湖で養鰻している。
第二次産業
工業
1870年代から1920年代にかけて製糸業の中心地として栄え、現在は諏訪地域が「東洋のスイス[10]」と言われるように、時計、カメラ(世界的カメラメーカーだったヤシカ-現:京セラ長野岡谷工場等)、電気部品(岡谷電機産業等)などの精密機械工業が盛んなことで知られる。また、1950年代は味噌の生産量日本一を誇っていた。今でも信州味噌の喜多屋醸造店等、多くの味噌工場がある。
他に搬送省力機械のマルヤス機械等多くの製造業も盛んである。
第三次産業
商業
1980年代に行われた都市開発により、岡谷市街には駅前から近い順に、ララオカヤ・イルフプラザ・アピタ岡谷店という3つの商業施設が立地した。その後、ララオカヤは2階が閉鎖され(メインテナントのイトーヨーカドーが2001年7月に撤退。その後はイベントスペースとして使用中)、イルフプラザもかつて出店していた東急百貨店が2002年に撤退した一方、アピタ岡谷店はユニーにより「レイクウォーク岡谷」として2016年7月23日改築・開店した[11]。
長野自動車道の岡谷インターチェンジの開業により、岡谷市は諏訪地方の人流、物流の中心となっている。
-
サスキチ味噌
-
ララオカヤ
-
イルフプラザ(旧:おかや東急百貨店)
-
レイクウォーク岡谷
-
平野村にあった林製糸所第一工場。綿行商の林倉太郎が
天保年間に「上せ糸」という座操糸を製し、京都などで販売したのが始まり
[12]。子の林国蔵は地元の通信・交通などの発展にも尽力した
[12]。国蔵宅は「旧林家住宅」として現存。
-
合資岡谷製糸会社。明治30年(1897年)創立で、一時は岡谷で最大規模を誇った。岡谷本社のほか、大宮館、真鍋製紙所、岡谷館の分工場があった
[13]。
-
川岸村にあった片倉組(現在の
片倉工業)の製糸場。
片倉兼太郎を組長に、明治11年(1878年)より製糸業を営む
[14]。その後事業拡大し、
片倉財閥を築いた。
- その他岡谷市に本社を置く企業
情報・生活
マスメディア
NHK岡谷諏訪ラジオ中継放送所やSBC岡谷諏訪ラジオ中継局など、諏訪地方のラジオ中継局が集中している。
中継局
新聞
ライフライン
電力
電信
- 市外局番
教育
地元高校ではスケートやローイング競技(ボート競技)などで多くのオリンピック選手を輩出する長野県岡谷南高等学校、バレーボールやラグビーの古豪長野県岡谷工業高等学校が有名である。
大学
- 国立
専門学校
- 市立
高等学校
- 県立
- 私立
中学校
- 市立
小学校
- 市立
交通
鉄道
中心となる駅:岡谷駅
鉄道路線
- 東日本旅客鉄道(JR東日本)
バス
路線バス
道路
高速道路
国道
県道
- 主要地方道
- 一般県道
ナンバープレート
- 諏訪ナンバー
ご当地ナンバーである諏訪ナンバー(長野運輸支局松本自動車検査登録事務所)が割り当てられている。
2006年10月9日までは松本ナンバーが割り当てられていた。
観光
名所・旧跡
- 主な神社
- 主な寺院
- 主な遺跡
- 主な史跡
観光スポット
- 博物館・美術館
- 岡谷の製糸業の歴史の紹介や、様々な製糸機械類の展示などを行なっている。併設された宮坂製糸所では、実際に繰糸機が稼働している様子を見学できる[17]。
- 武井武雄の童画作品がおもに展示されている。
- 名勝・景勝・公園
- 野鳥が多く生息する「小鳥の森」として知られ、「塩嶺の小鳥のさえずり」として日本の音風景100選に選定されている[18]。
- 岡谷市の市花であるツツジが、園内全体に3万株ほど植えられている[19]。
- サマーボブスレー・サイクリング・マレットゴルフ・フィールドアスレチック・バーベキューなど、多様な野外レクリエーションを楽しめる[20]。
- 娯楽
- 岡谷スカラ座:シネマコンプレックス。諏訪湖に面する自治体の中で、唯一の常設映画館である。
-
釜口水門
-
市立岡谷蚕糸博物館
-
イルフプラザアミューズメントとイルフ童画館
文化・名物
祭事・催事
名産・特産
鰻の産地であり、岡谷商工会議所が冬の土用の丑の日を寒の土用の丑の日として商標登録(出願番号:商願平11-39161号、登録番号:登録商標第4525842号)したほか、1998年には「うなぎのまち岡谷の会」が日本記念日協会に記念日として登録した。「寒の土用期間中」には川魚店の店先にのぼりを出し、様々なイベントを開催するほか、市外の川魚店にも参加を呼びかけている。
また、高天酒造の日本酒「高天」は全国清酒品評会で長野県初の名誉賞を受賞[22]。
スポーツ
ウィンタースポーツ
- 400mリンクを有する「国際スケートセンター」[23]、30m×60mリンクを有する「アイスアリーナ」などを備える(いずれも国際公認)[24]。
出身関連著名人
出身著名人
(五十音順)
ゆかりの著名人
岡谷市を舞台とした作品
文学
ロケ地
映画
脚注
注釈
- ^ ここの壁紙には金唐革紙が使用されている。(現在の金唐革紙復元製作は日本画家の後藤仁によって行われている)
出典
関連項目
ウィキメディア・コモンズには、
岡谷市に関連するカテゴリがあります。
外部リンク