株式会社八十二銀行(はちじゅうにぎんこう、英: The Hachijuni Bank,Ltd.[3])は、長野県長野市に本店を置く地方銀行。
概要
長野県を営業地盤とし、長野県及び長野市等35市町村(2013年時点)が指定金融機関としている[4]。
信用格付けはS&Pから「A」、格付投資情報センターから「A+」、日本格付研究所から「AA」をそれぞれ付与されている(2019年4月末時点)。
2022年9月28日、長野銀行との経営統合について基本合意、各取締役会において決議したと発表。2023年6月1日に八十二銀行を完全親会社、長野銀行を完全子会社とする株式交換を行い経営統合した[5]。2025年度をめどに、両行が合併する[5]。合併後の行名は心機一転を図るべく[6]、新しい名称の検討を行っていた[7]。
2023年12月15日、2026年1月に長野銀行を吸収合併し、八十二長野銀行に改称すると発表した[8]。
沿革
前身行の沿革
八十二銀行の沿革
店舗
国内151店舗・海外1店舗を有する。
長野県内各地のほか関東地方(群馬県・埼玉県・東京都)、新潟県、東海地方(岐阜県・愛知県)、関西(大阪市)と香港に支店を展開している。中華人民共和国上海市とシンガポール、タイ王国バンコクに駐在員事務所を持つ[21]。
- 国内
- 長野県 - 本支店122、出張所9、ローンプラザ4、82プラザ8
- 新潟県 - 支店4、ローンプラザ1
- 東京都 - 支店6
- 埼玉県 - 支店5
- 群馬県 - 支店2
- 愛知県 - 支店1
- 岐阜県 - 支店1
- 大阪府 - 支店1
- 海外
全国地銀との連携
2014年(平成26年)1月28日、八十二銀行は、北海道銀行(北海道)、七十七銀行(宮城県)、千葉銀行(千葉県)、静岡銀行(静岡県)、京都銀行(京都府)、広島銀行(広島県)、伊予銀行(愛媛県)、福岡銀行(福岡県)との間で、連携および協力することを発表した[22][23]。この連携は各行が有する情報・ネットワークを活用し、新たな価値を共創することで地域経済の再生および活性化を目的としており、具体的な連携策として、各行による協調融資や取引先企業のM&A(合併・買収)での協力などが想定されている。
一部報道では、この連携が地銀再編のきっかけになる可能性が指摘されている[24][25]。
情報処理システム
八十二銀における情報処理システムは、CIFを基礎に預金、貸出金、為替、日計などを統合した総合オンラインシステムを自行で開発。1971年(昭和46年)4月、長野と大町の支店において稼働が開始され、1975年(昭和50年)3月、全店でのオンライン化が完了した[26]。さらに1979年(昭和54年)4月には、外国為替システムを開発したほか、1983年(昭和58年)4月には公共債の窓口販売及び、金地金の販売業務をオンライン化している。その後、銀行のオンラインシステムが社会インフラストラクチャーとして安定運行を求められたことや、ATM等の稼働延長も強く求められた状況に鑑み、1984年(昭和59年)5月、行内に次期オンライン推進委員会が設置された[27]。
1986年(昭和61年)3月には、次期システムの共同開発で琉球銀行との間で調印に至り[注 2]、1989年1月の稼働を目指し構築に入るが、稼働直前の最終確認テスト時に予期せぬ不安定要因が見つかった為、稼働を約4か月遅らせるなどの曲折を経て、1989年(平成元年)5月8日、勘定系、情報系、対外接続系の3システムから成る「新総合オンラインシステム」が稼働を開始した[28]。
琉球銀と開発にあたった新システムは、効率的なシステムの開発や運用を求める地銀界の動きを背景に、1993年(平成5年)10月に親和銀行、翌年5月に山形銀行、2000年(平成12年)5月には関東銀行、2001年(平成13年)1月に宮崎銀行と次々に採用された。これらシステム導入行の頭取会の席上、システムの共同開発や運用による経費・投資の削減は前向きに取り組まなければならない経営課題であるとの認識が共有され、「六行システム研究会」が発足した[注 3]。この六行会では、システム共同化で基本合意に至ったほか[29]、基幹システムにのみならず、広範囲なシステムについても共同で開発にあたる方針が打ち出された。なおこの会は、2000年7月の関東銀の加盟を期に当時の茅野実八十二銀頭取の発案でじゅうだん会と命名された[30][注 4]。
じゅうだん会による共同版システムは、八十二銀の基幹システムをベースとし同行が開発にあたり、システムの運用管理及びアプリケーションの保守作業は日本IBMが担い、勘定系、情報系のほか営業店端末、ATMシステム、本部業務システム、インターネットバンキングなどが対象とされた。2002年(平成14年)3月には、八十二銀で稼働が開始され、その後加盟各行において順次稼働が開始された[31][32]。
2015年5月、営業活動の支援を目的に、iPadを使ったモバイルシステムの稼働を開始している[33][34]。
ATM提携
ATMでは、東邦銀行(福島県)、長野県下信用金庫6金庫(長野・松本・上田・諏訪・飯田・アルプス中央の各信金)のキャッシュカード(ぐるっと信州ネット)による出金については自行扱いとなる。東邦銀行との相互間は法人カードも対象。群馬銀行とも提携している。
コンビニATMはローソンATM・セブン銀行と提携しているほか、イオングループのショッピングセンター等設置のイオン銀行とも提携している。
残高照会は曜日や時間帯に関係なく無料だが、セブン銀行での入出金及びイオン銀行での出金では利用手数料が必ず課金される。ローソンATMについては、2011年(平成23年)6月1日付けで利用される地域によって手数料が改定され、県内及び県外に分かれて異なる手数料(長野県内での利用:終日有料、長野県外での利用:これまで通り、入金は終日無料・出金は平日日中のみ無料)が適用される[35]。
関連会社
連結子会社
脚注
注釈
- ^ 第八十二国立銀行を前身とする第八十二銀行は、全く別の銀行である。同行は、1897年に第三国立銀行を前身とする第三銀行(三重県を基盤としている三十三銀行の前身の一行である第三銀行とは無関係)に合併されている。
- ^ 1973年(昭和48年)1月、琉球銀と八十二銀との間でオンラインシステムの譲渡契約を締結。翌年11月から琉球銀は八十二銀と同じシステムが稼働していた。
- ^ 八十二銀、琉球銀、親和銀、山形銀、阿波銀、宮崎銀の6行。
- ^ 2002年4月に武蔵野銀行が加盟。また2007年には親和銀がふくおかFG入りの為脱退。関東銀はつくば銀行、茨城銀行と合併して筑波銀行へと改称している。
出典
参考文献
- 八十二銀行編『八十二銀行八十年史』八十二銀行、2013年。
関連項目
- 三菱グループ - 資本・融資関係が近い。
- 信越化学工業 - 旧帝国銀行(旧三井銀行)→旧第一銀行からの流れで久しく続いていた現みずほ銀行からの主力行の鞍替えで同行が名乗りを上げる。
- 国立銀行 - 第十九国立銀行と第六十三国立銀行の他に、長野県内の国立銀行としては第十四国立銀行(松本)、第二十四国立銀行(飯山)、第百十七国立銀行(飯田)が存在した。
- 稲荷山宿 - 第六十三国立銀行時代の本店建物(旧梅沢屋)が現存する、かつての宿場町。
外部リンク
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