川上村(かわかみむら)は、長野県南佐久郡の村。
概要
千曲川の最上流部に位置する。長野県内で唯一、埼玉県と県境を接する自治体。村の一部は秩父多摩甲斐国立公園に指定されている。
日本有数のレタス産地であり、村内の就業者の6割が第一次産業にかかわっている。
地理
位置
村域の東部および南部は奥秩父山塊の主脈に属し、西部は八ヶ岳の広大な裾野(野辺山高原)の一部、北部は奥秩父山塊の支脈が南牧村、南相木村との村境となるなど、村域全体が1,000mを超える山岳部の高冷地に位置する。また、川上村役場は標高1,185mに位置し、これは役場や役所の所在地としては日本で最も標高の高い場所に位置するものである。
日本最長の河川である千曲川(信濃川)は甲武信ヶ岳山頂直下2250m付近の森林地帯に、梓川としてその源流を発する。
地形
山地
- 主な山
- 主な峠
河川
- 主な川
- 千曲川
- 千曲川支流:所並川、梓川、秋山沢、金峰山川、小川、前川、黒沢川、板橋川
湖沼
- 主な湖
気候
標高が高いために極めて寒冷で、ケッペンの気候区分では亜寒帯湿潤気候に属する。冬季から春季にかけてしばしば氷点下15度を下回る。夏季も冷涼であり、8月の日平均気温は19.5℃と、札幌市の20.5℃よりも低い。
降水は夏季の前後、梅雨と秋雨の時期にまとまってあるほかは全般に少なく、日照時間も長い。
- 秋山
- 東経138度39.0分、北緯35度57.8分、標高1285メートル
川上村(秋山)の気候
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月 |
1月 |
2月 |
3月 |
4月 |
5月 |
6月 |
7月 |
8月 |
9月 |
10月 |
11月 |
12月 |
年
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最高気温記録 °C (°F)
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14.1 (57.4)
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16.5 (61.7)
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23.0 (73.4)
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28.2 (82.8)
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29.6 (85.3)
|
29.1 (84.4)
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31.4 (88.5)
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33.0 (91.4)
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31.7 (89.1)
|
26.8 (80.2)
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22.8 (73)
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17.0 (62.6)
|
33.0 (91.4)
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平均最高気温 °C (°F)
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2.0 (35.6)
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4.4 (39.9)
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7.9 (46.2)
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15.0 (59)
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18.8 (65.8)
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22.1 (71.8)
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25.2 (77.4)
|
26.2 (79.2)
|
22.4 (72.3)
|
16.5 (61.7)
|
12.3 (54.1)
|
5.2 (41.4)
|
14.8 (58.6)
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日平均気温 °C (°F)
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−4.8 (23.4)
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−2.8 (27)
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0.3 (32.5)
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6.6 (43.9)
|
11.6 (52.9)
|
15.5 (59.9)
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19.1 (66.4)
|
19.5 (67.1)
|
15.9 (60.6)
|
9.3 (48.7)
|
4.1 (39.4)
|
−1.6 (29.1)
|
7.7 (45.9)
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平均最低気温 °C (°F)
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−10.9 (12.4)
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−9.2 (15.4)
|
−6.1 (21)
|
−0.4 (31.3)
|
5.5 (41.9)
|
9.9 (49.8)
|
14.3 (57.7)
|
14.4 (57.9)
|
11.0 (51.8)
|
3.9 (39)
|
−1.6 (29.1)
|
−7.1 (19.2)
|
2.0 (35.6)
|
最低気温記録 °C (°F)
|
−18.1 (−0.6)
|
−17.7 (0.1)
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−16.1 (3)
|
−9.3 (15.3)
|
−3.7 (25.3)
|
1.8 (35.2)
|
6.6 (43.9)
|
6.2 (43.2)
|
0.2 (32.4)
|
−4.8 (23.4)
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−9.4 (15.1)
|
−18.7 (−1.7)
|
−18.7 (−1.7)
|
降水量 mm (inch)
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21.2 (0.835)
|
29.9 (1.177)
|
52.6 (2.071)
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50.7 (1.996)
|
72.4 (2.85)
|
91.4 (3.598)
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147.3 (5.799)
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104.6 (4.118)
|
147.0 (5.787)
|
130.3 (5.13)
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46.7 (1.839)
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35.9 (1.413)
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929.8 (36.606)
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平均降水日数 (≥1.0 mm)
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2.5
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4.9
|
6.2
|
6.8
|
7.8
|
8.1
|
11.7
|
7.9
|
7.2
|
7.5
|
5.1
|
4.0
|
79.7
|
平均月間日照時間
|
163.9
|
158.9
|
180.2
|
182.8
|
186.8
|
144.1
|
147.4
|
185.6
|
141.2
|
141.6
|
150.6
|
147.2
|
1,930.3
|
平均日照時間
|
5.3
|
5.6
|
5.8
|
6.1
|
6.0
|
4.8
|
4.8
|
6.0
|
4.7
|
4.6
|
5.0
|
4.7
|
5.3
|
出典:[1]
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人口
- 年齢別人口構成
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川上村と全国の年齢別人口分布(2005年)
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川上村の年齢・男女別人口分布(2005年)
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■紫色 ― 川上村 ■緑色 ― 日本全国
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■青色 ― 男性 ■赤色 ― 女性
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川上村(に相当する地域)の人口の推移
1970年(昭和45年)
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4,739人
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1975年(昭和50年)
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4,686人
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1980年(昭和55年)
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4,632人
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1985年(昭和60年)
|
4,711人
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1990年(平成2年)
|
4,722人
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1995年(平成7年)
|
4,957人
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2000年(平成12年)
|
4,908人
|
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2005年(平成17年)
|
4,759人
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2010年(平成22年)
|
4,972人
|
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2015年(平成27年)
|
4,607人
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2020年(令和2年)
|
4,344人
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総務省統計局 国勢調査より
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隣接自治体
- 長野県
- 山梨県
- 埼玉県
- 群馬県
歴史
先史
八ヶ岳山麓や中央高地は縄文時代の遺跡が数多く分布する地域で、村域にも後期旧石器時代から縄文時代にかけての遺跡が分布する。
村域には馬場平遺跡や大深山遺跡があり、大深山遺跡は日本で一番標高の高い場所に立地する集落遺跡として知られる。弥生時代の遺跡は少ない。
古代
古墳時代から奈良時代のものとされる遺跡は現在認められていないが、平安時代の遺跡は確認されている。
中世
平安後期の保元の乱に縁のある伝説が伝えられている。
戦国時代に信濃は甲斐国の武田氏の領国となり、武田領国においては甲斐本国の黒川金山(山梨県甲州市)をはじめ金鉱山の開発が行われているが、川上村でも梓久保金山遺跡において金鉱山の採掘・精錬用具や金粒付着土器が出土しており、金の採掘や精錬作業が行われていたと考えられている。
近世
近世に信濃国では小藩が分立するが、当村域は幕府直轄領(御影陣屋支配)として八か村が成立する。
沿革
- 明治
- 1889年(明治22年)4月1日 - 町村制の施行により、居倉村、原村、御所平村、大深山村、秋山村、梓山村、川端下村の区域および大明村の区域の内、樋沢の区域をもって、川上村が発足する。現在に至る。
- 昭和
- 令和
行政
村長
議会
村議会
- 議長:渡邉 光
- 定数:10人
- 任期:2019年5月1日 - 2023年4月30日
長野県議会(南佐久郡選挙区)
- 定数:1人
- 任期:2019年(平成31年)4月30日 - 2023年(令和5年)4月29日
- 依田明善(無所属)
衆議院
公共機関
警察
消防
図書館
- 主な図書館
経済
第一次産業
農業
現在は、日本有数のレタス産地として知られ、一戸あたりの平均年収(正確には年商)は2,500万円を越える[4][5]。
夏が短い高冷地での野菜栽培は、夏季集中型を取らざるを得ないため、未明から深夜までの長時間農作業が必要となる。
以前から日本各地の学生アルバイトを季節労働で募集して労働力を補っていたが、近年は外国人研修制度を利用して中国人やフィリピン人などの外国人が農作業を支えているが、農家側が外国人研修生に国籍毎に違う色の帽子を着用させるなど、人権侵害も指摘されている[6]。川上村で起きた人権侵害については、日弁連や人権団体からの勧告を川上村の農業協同組合は受けている。詳しくは 技能実習制度の問題点を参照。
- 農業協同組合
外国人技能実習生への人権蹂躙
2012年(平成24年)に中国人研修生からとされる投書を基に、日本弁護士連合会が調査を行った結果、長時間労働、過少な残業代、罰金制度、不衛生で過密な寄宿舎、外部との連絡の遮断、実習生識別用の紅白帽の着用強制等々による人権蹂躙があったとして改善を勧告[7]。
2014年(平成26年)6月には、アメリカ合衆国連邦政府も日本国政府に対して名指しで改善を求めた[8]。
さらに、2014年9月には東京入国管理局から5年間の研修生の受け入れ停止処分を受け、技能実習生の受け入れを行っていた川上村農林業振興事業協同組合(理事長:由井久)は11月に解散を決定[9][10]。
林業
第二次世界大戦後は、カラマツの苗木の栽培が盛んに行われたことがあり、全国各地に植林用として出荷された。
本社機能を置く企業
情報・通信
マスメディア
中継局
教育
中学校
- 村立
小学校
- 村立
交通
鉄道
- 東日本旅客鉄道(JR東日本)
バス
道路
国道
国道は通過していない。最寄の国道は国道141号(南牧村ほかを通過)。
県道
文化・名物
祭事・催事
- お方ぶち(原地区)
- どんどん焼き(かんがり、かんがりや)
- 道祖神(秋山地区)
- どんどん火(梓山地区)
- とおかんや(川端下地区)
観光
天然記念物
長野県天然記念物 川上犬
名所・旧跡
- 史跡(国指定)
- 重要遺跡
- 村指定史跡
観光スポット
- 日本百名山
- スキー場
- 自然
- 千曲川源流
- 金峰ふれあいの森・廻り目平キャンプ場
- 小川山
その他
- 外部自治体の保養所など
著名な出身者
川上村を舞台とした作品
関連項目
脚注
注釈
- ^
- 川上村民憲章
- 私たちの郷土川上は、清らか千曲川源流の大自然にめぐまれ優れた先人たちの英知とたゆまぬ努力によって育まれた村です。
- 私たちはこの素晴らしい郷土に無限の愛着と高き誇りを持ち更に住みよい希望にみちた新しいふるさとづくりとその発展をめざして、この憲章を定めます。
- 一、 自然を愛し、美しく住みよい村をつくります。
- 一、 勤労を尊び、健康で希望にみちた明るい村をつくります。
- 一、 産業をおこし、活力ある村をつくります。
- 一、 先人の労をしのび、創造性と文化に富んだ村をつくります。
- 一、 人とのふれあいを大切にし、心豊かで平和な村をつくります。
出典:[2]
出典
外部リンク