南相馬市(みなみそうまし)は、福島県浜通り北部に位置する市。相双地方[1]で最多の人口を有する地方公共団体である。毎年7月下旬に開催される相馬野馬追で知られる街である。
東は太平洋に面しており、2011年の東日本大震災では津波[2]および福島第一原子力発電所事故による影響を受け、復興に取り組んでいる。
概要
2006年(平成18年)1月1日、原町市と相馬郡小高町および鹿島町が合併して誕生した。旧市町の区域ごとに地域自治区となっており、各々「原町区」「小高区」「鹿島区」に移行して住所に名称をほぼ残している。
当初、小高町・鹿島町・原町市の合併協議は飯舘村を含めた旧・行方郡(なめがたぐん)で行われ、新市名には「行方市」も候補に挙がっていた。なお合併が実施された前年の9月2日に茨城県にあった行方郡(読みも同じ)の3町が合併し、行方市が誕生している。
福島県浜通り南端かつ最大の都市いわき市と宮城県仙台市との距離はそれぞれ約75kmで、両市のほぼ中間に位置する。地方紙『福島民報』『福島民友』の2紙ともに支社を置いている。
国の重要無形民俗文化財に指定されている相馬野馬追が行われる。南相馬市(旧原町市)はSF映画『戦国自衛隊』の撮影に使われ、相馬野馬追が劇中で使用された。市内の高校生がエキストラとして協力している。
北泉海岸はサーフィンが盛んなことでも知られており、夏になると世界大会が開催される。
震災からの復興の一環として、福島イノベーション・コースト構想[3]により市内にロボットテストフィールドが設置されるなど、国内でも有数のロボット開発・検証環境が整っている。
1923年(大正12年)に起きた関東大震災を最初に世界に伝えた原町区の原町無線塔は、高さ約200mで、当時アジアで最も高い建築物だった。しかし、老朽化などから1982年(昭和57年)に解体され、現在は原町区に1/10スケールの記念塔である憶・原町無線塔がある。
地理
気候
暖流の影響により、夏は冷涼で冬は温暖な気候である。降雪量は東北地方としては少なめであるが、南岸低気圧が通過した際には大雪が降ることがある。山沿いにある原町区馬場や片倉地区、小高区川房、金谷地区などは積雪量が多くなる。
原町(1991年 - 2020年)の気候
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月 |
1月 |
2月 |
3月 |
4月 |
5月 |
6月 |
7月 |
8月 |
9月 |
10月 |
11月 |
12月 |
年
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降水量 mm (inch)
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47.1 (1.854)
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36.7 (1.445)
|
82.7 (3.256)
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104.5 (4.114)
|
111.6 (4.394)
|
135.7 (5.343)
|
184.0 (7.244)
|
155.4 (6.118)
|
221.8 (8.732)
|
206.2 (8.118)
|
65.1 (2.563)
|
37.2 (1.465)
|
1,387.9 (54.642)
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平均降水日数 (≥1.0 mm)
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4.4
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4.7
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8.0
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8.6
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9.5
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11.8
|
13.7
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11.3
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12.1
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9.2
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5.9
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4.5
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103.5
|
出典1:Japan Meteorological Agency
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出典2:気象庁[4]
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自然
東は太平洋に面し、西は阿武隈高地に接する。
- 主要な地形
広域地域区分
福島県内の地勢的かつ歴史的な地方区分である、浜通り、中通り、会津のうち、浜通り地方に属し、その北東部に位置する[5]。
福島県内の地方区分の一つである、相双(そうそう)、いわき、県北、県中、県南、会津、南会津のうち、相双地方に属する[6]。
隣接している自治体
[7]
市内の地域
[8]
[9]
旧・市町の区域で3つの地域自治区が設置され、一部を除いて住所表示は市名に続けて区の名称を付ける。
- 旧・相馬郡小高町→ 南相馬市小高区
- 旧・相馬郡鹿島町→ 南相馬市鹿島区
- 旧・原町市→ 南相馬市原町区
- 例 :原町市本町二丁目27番地→ 南相馬市原町区本町二丁目27番地
小高区と鹿島区にそれぞれ区役所を設置している。
- 旧・小高町役場→ 小高区役所
- 旧・鹿島町役場→ 鹿島区役所
- 旧・原町市役所→ 南相馬市役所(本庁)
歴史
近世以前
近代以降
行政区域の変遷(市町村制施行以後)
東日本大震災関連
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2011年(平成23年)3月11日14時46分18秒、マグニチュード9.0の東北地方太平洋沖地震が発生し、南相馬市は小高区と鹿島区、さらには原町区高見町で震度6弱、原町区本町と原町区三島町で震度5弱を観測した[23]。
さらにこの地殻変動が引き起こした津波が海岸線から約2km付近までの地域を呑み込み、壊滅させた[24][25]。
小高区塚原字沼在住の自然環境調査員の目撃証言によれば、特に津波の第3波は大きく、海岸線に設けられた高さ十数メートルの防潮林を越えたという[26][27][28][29]
(なお、ごく一部の例外として屋敷林が住家[屋敷、母屋]を守った[30])。
原町火力発電所も津波の直撃を受け、死者1人、火災の発生(14日に発生)、機器損壊、8万トン級の石炭船の沈没など、多大な被害を受けた[31]。
[32]
- 2012年(平成24年)
- 2013年(平成25年)
- 2016年(平成28年)
- 7月12日 避難指示解除準備区域及び居住制限区域を解除[44]。避難指示を解除(帰還困難区域は残るが、該当世帯なし)。東日本大震災後に運転を見合わせていたJR常磐線原ノ町 - 小高駅間の列車運行も5年4か月ぶりに再開された[45]。
行政
歴代市長
警察
議会
市議会
- 定数:22人
- 任期:2018年12月1日 - 2022年11月30日[46]
- 議長:今村裕(友和会)
- 副議長:山田雅彦(尚友会)
会派名 |
議席数 |
議員名(◎は代表者)
|
友和会 |
6 |
◎中川庄一、菊地洋一、大場裕朗、田中一正、細田廣、今村裕
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改革クラブ |
5 |
◎渡部一夫、小川尚一、竹野光雄、鈴木貞正、田中京子
|
尚友会 |
5 |
◎太田淳一、平田武、高橋真、大岩常男、山田雅彦
|
志政会 |
2 |
◎鈴木昌一、岡﨑義典
|
日本共産党議員団 |
2 |
◎渡部寬一、栗村文夫
|
無会派 |
2 |
大山弘一、志賀稔宗
|
計 |
22 |
|
福島県議会
- 定数:2名
- 任期:2019年(令和元年)11月20日 - 2023年(令和5年)11月19日
- 選挙区:南相馬市・相馬郡飯舘村選挙区
氏名 |
会派名 |
当選回数
|
太田光秋 |
自由民主党 |
6
|
髙野光二 |
県民連合 |
3
|
※2019年11月20日現在。
郵便
- 集配局
- 集配局以外の郵便局
- 磐城太田郵便局
- 蛯沢郵便局
- 信田沢郵便局
- 原ノ町駅前郵便局
- 原町南町郵便局
- 原町本町郵便局
- 原町桜井町郵便局
- 真野郵便局
- 高平簡易郵便局
- 大原簡易郵便局
- 北海老簡易郵便局
- 小池簡易郵便局
- 栃窪簡易郵便局
- 飯崎簡易郵便局
預金取扱金融機関
- 原町区
- 鹿島区
- 大東銀行鹿島支店
- 相双五城信用組合鹿島支店
- ふくしま未来農業協同組合鹿島総合・上真野支店
- 小高区
- 東邦銀行小高支店(福島第一原発事故の影響により休止後に再開)
- あぶくま信用金庫小高支店
- ふくしま未来農業協同組合小高総合・福浦支店
医療施設
文化施設
複合商業施設
新規分野開発拠点
エネルギー産業
- 南相馬新エネルギー開発研究センター
- 南相馬ソーラー・アグリパーク[49]
ロボット産業
ベンチャー拠点
マスメディア
新聞・通信社
放送
- 南相馬ひばりエフエム 2018年3月25日終了[54]
スポーツ
サーフィン
原町区の北泉海岸は、海岸を埋め立てて造った原町火力発電所の南側に続く砂浜海岸である。発電所の防波堤の反射波と直達波が合成されて大きな波が発生することから、サーフスポットとしても知られている。サーフィンの大会は、2004年(平成16年)にアマチュア全国大会、2005年(平成17年)に東日本のプロ大会、2006年(平成18年)10月4- 8日には、世界プロサーフィン連盟が公認する「ワールド・クオリファイ・シリーズ(WQS)」(2 star) が開催された。cf. サーフィン#主な大会。
馬術競技
相馬野馬追のためだけに飼育されている馬が200頭弱、それ以外にも多くの馬が市内で飼育されており、一地域における飼育数では世界有数の頭数となる。相馬野馬追の直前などは馬事練習も個々人で行われているため、朝方などに馬と騎手が一般道を歩く光景は珍しくない。相馬農業高校には馬術部が存在しており、日本代表候補などをこれまで何度も輩出している名門馬術部である。市内には名引退馬の飼育を行う家庭も多くあり、競馬ファンのあいでも広く知られている。
関連施設
地域
市勢
- 面積:398.50km2
- 人口:58,184人
- 世帯数:26,483世帯
- 人口密度:146.00人/km2
- 2021年(令和3年)12月1日時点。
人口
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南相馬市と全国の年齢別人口分布(2005年)
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南相馬市の年齢・男女別人口分布(2005年)
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■紫色 ― 南相馬市 ■緑色 ― 日本全国
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■青色 ― 男性 ■赤色 ― 女性
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南相馬市(に相当する地域)の人口の推移
1970年(昭和45年)
|
69,105人
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1975年(昭和50年)
|
71,402人
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1980年(昭和55年)
|
74,296人
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1985年(昭和60年)
|
77,139人
|
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1990年(平成2年)
|
77,253人
|
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1995年(平成7年)
|
77,860人
|
|
2000年(平成12年)
|
75,246人
|
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2005年(平成17年)
|
72,837人
|
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2010年(平成22年)
|
70,878人
|
|
2015年(平成27年)
|
57,797人
|
|
2020年(令和2年)
|
59,005人
|
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総務省統計局 国勢調査より
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姉妹都市・提携都市
日本国内
- 提携都市
平成23年8月11日
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富山県
南砺市
|
南砺市・南相馬市災害時相互応援協定
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物資の提供、
|
海外
- 姉妹都市
教育
高等学校
中学校
- 南相馬市立原町第一中学校
- 南相馬市立原町第二中学校
- 南相馬市立原町第三中学校
- 南相馬市立石神中学校
- 南相馬市立鹿島中学校
- 南相馬市立小高中学校
小学校
- 南相馬市立原町第一小学校
- 南相馬市立原町第二小学校
- 南相馬市立原町第三小学校
- 南相馬市立高平小学校
- 南相馬市立大甕小学校
- 南相馬市立太田小学校
- 南相馬市立石神第一小学校
- 南相馬市立石神第二小学校
- 南相馬市立鹿島小学校
- 南相馬市立八沢小学校
- 南相馬市立上真野小学校
- 南相馬市立小高小学校
特別支援学校
- 県立
交通
隣接する主要都市への移動手段は、南北へいわき市や相馬市に国道6号や常磐線が通じており、常磐自動車道は2015年3月1日に全線開通となった。西へは福島県中通りへの唯一の公共交通として県庁所在地の福島市まで路線バスが整備されており、2010年代末までに開通予定である東北中央自動車道を経由するルートが開かれる。
鉄道
- 東日本旅客鉄道(JR東日本)
- 中心となる駅:原ノ町駅
- 広範囲な連絡:原ノ町駅より特急「ひたち」が利用可能。
路線バス・高速バス
- 現行路線
- 休廃止路線
- 新常磐交通 - 原発事故の影響により運休中。
- 桜交通 - さくら高速バス。常磐自動車道を通り東京都と相馬市を結ぶ高速バス路線。南相馬市を経由して相馬まで運行していた。常磐線全線運転再開に伴い廃止された。
道路
- 高速道路
- 国道
- 福島県道
道の駅
観光
祭事
- 福島県を代表する夏祭りのひとつと見なされる祭事。南相馬市原町区で騎馬武者約500人の行進の後、雲雀ヶ原祭場地にて、古式甲冑競馬と神旗争奪戦が繰り広げられる。古式甲冑競馬と神旗争奪戦は明治時代以降の祭事である。
- * 相馬野馬追 野馬懸祭 :国の重要無形民俗文化財。
- サムライフェスin南相馬[59]: 相馬軍と伊達軍にわかれて模擬合戦が行われる。
- サマーフェスタはらまち: 原町シーサイドパークを中心に、日中は砂の芸術や郷土芸能等催し物が開催され、夜は海に映える花火大会が開催される。屋台村も設置され一日中楽しめる夏の祭典で、子供たちの夏休みも思い出になっている。
- 騎馬武者ロックフェス
観光名所、旧跡
- 鹿島区
- 原町区 (南相馬市博物館がある)
- 小高区
海水浴場
その他
イベント施設
南相馬を舞台とした作品
文芸作品
テレビドラマ
映画
アニメ
著名人
出身者
政治家
行政
実業家
研究
芸能
映画
文学
スポーツ選手
アナウンサー
ゆかりの著名人
在住者
文学
研究
関連事象
外部リンク
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脚注
注釈