田中 要次(たなか ようじ、1963年〈昭和38年〉8月8日 - )は、日本の俳優、タレント。別名はBoBA(ボバ)。
長野県西筑摩郡新開村(後の西筑摩郡木曽福島町→木曽郡木曽福島町[注 1]、現・木曽郡木曽町)出身。血液型はA型。長野県木曽山林高等学校(現長野県木曽青峰高等学校)林業科卒業。所属事務所はザズウ。元国鉄職員、元JR東海社員。身長178cm。大型自動二輪免許所持。既婚。
略歴
鉄道サラリーマンから映画界へ
1982年、日本国有鉄道長野鉄道管理局(現在の東日本旅客鉄道長野支社)に就職。最初の勤務地は中央本線塩尻駅構内にあった上諏訪保線区塩尻支区だった[2]。
1987年の国鉄分割民営化に伴い、東海旅客鉄道に入社し、東海鉄道事業本部傘下の岡崎保線区に配属され、東海道本線大府駅や安城駅構内で勤務を担当した。その頃から映画館に通い、愛知、岐阜、三重県を渡り歩いて、地元の映画上映サークルと交流を深めた。1989年、親交のあった山川直人から依頼され、ミュージック・ビデオ『佐木伸誘 / SEEK AND FIND』(1990年2月7日発売)に出演。1990年12月8日に同社を退職(田中自身はこれを“脱線”と称している)、俳優を志して東京に移住。
スタッフ兼エキストラから専業俳優へ
1991年、照明技師の安河内央之に師事し、竹中直人が監督する『無能の人』の照明助手として参加。竹中の目に留まり同作品にエキストラとして出演。同年の舞台『竹中直人の会 / 鉢植を持つ男』に舞台監督助手を兼ねて、神戸浩の代役としても参加した。その後も職種を問わず、俳優だけでなく撮影スタッフとしても照明助手の他に録音助手、ドライバー、付き人なども経験しながら、数多くの映像製作に携わった。1994年、竹中が監督した『119』で、照明機材トラックの運転中に事故を起こした事をきっかけに、スタッフ業から退き、俳優に専念するようになる。同年から1998年までは、バイク便ライダーとして働きながら生計を繋いでいた。
2001年、TVドラマ『HERO』にバーテンダー役でレギュラー出演した際の決め台詞だった「あるよっ」[3][注 2]が話題となって人気を博し、これをきっかけにバラエティにも進出した[4]。
2003年、オムニバス映画『刑事まつり 一発大逆転』で短篇「窯岡刑事 / Coming Out Cop KAMAOKA」の監督を果たし、以降も『奪われた刑事 / Snatches』(2004年)など、短編作品を撮り続けている。2015年、短編映画『ドラムマンz バチがもたらす予期せぬ出来事』の監督を務める[5]。2017年、映画『蠱毒 ミートボールマシン』で映画初主演[6]。
人物
2006年トリノオリンピックにも出場したスノーボードクロス(SBX)選手の千村格とは再従兄弟である。
エピソード
- 1979年、高校1年生の時に演劇部に入部し、文化祭で『十二人の怒れる男』を元にした舞台で陪審員長役を演じたが、観劇していた不良生徒からの罵詈雑言と高校生が中年を演じる事への違和感に嫌気がさして、自身にとって演劇は不向きと考え、1年で退部をした。その後は軽音楽部でロックバンドの活動を続けた。
- 保線員時代に、裏方である保線車両をスターにしたいとカラーリングを提案して実現した。本人曰く、日本に1台だけのカラーリングのマルチプルタイタンパー(MTT=マルタイ)とされる[7]。
- 1996年、バイト先だったバイク便会社(BSA)からの派遣で『王様のブランチ』(TBSテレビ)の「王様のバイク隊」のメンバーとしてレギュラー出演していた。
- 2001年から映画の年間出演本数が最多と記録され、シネマ・サルベージでは「あんた、出すぎ!グランプリ」1位を4年獲得。
- 2006年、映画『スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ』の撮影中に田中が落馬をした事がきっかけで「ボバる」という業界用語が生まれる。「映画道百科」というサイトでは数年前からすでに田中を元に業界用語として登録されていた事もある。セリフを噛む、呂律が回らないなど、本番でNGを出してしまう事を意味している。[要出典]
- 自身を「PV男優」とも呼んでいる。今後のPVへの出演も希望している[8]。
- 『HERO』での決めセリフが影響して、共演した濱田岳らに「“あるよ”の人」等と呼ばれるようになった[9]。
- 2008年5月19日放送の『HEY!HEY!HEY! MUSIC CHAMP』内「COVER CHAMP」というコーナーで、郷ひろみの「GOLDFINGER '99」を歌い、特製ゴールドフィンガー型の優勝トロフィーを獲得した[10]。
- 2009年8月、bonobosと親交のある田中は日比谷野外音楽堂で収録された『宇宙温泉へようこそ!』DVDの撮影カメラマンとして参加した。ステージ袖のポジションで撮影をしている為、本編中でも時折その存在が確認出来る。自身のブログでは「まさにサブリミナル出演!」と語っている[11]。
- 2010年の『さんま&くりぃむの芸能界(秘)個人情報グランプリ』では、ちょっと意外なチャームポイント部門で「1円玉を挟めるおでこ」が披露された[12]。
- 2011年1月、映画『ロボジー』で僅か2シーン出演の為に大型自動二輪免許を取得。
- 2015年2月から3月にかけて、故郷である長野県の誘客プロモーションに起用され、「長野の顔」として活躍する[13]。
- 2016年7月、2016年6月12日放送の『大改造!! 劇的ビフォーアフター SEASON II』(朝日放送)で、実家の倉をリフォームし、民泊宿「kura3 夢倉座」をオープンした[14]。
- 2017年1月17日に行われた『べっぴんさん』(NHK)内の内輪のグループ「The男会」にて妻役の百田夏菜子の所属するグループももいろクローバーZのファン、「モノノフ」になったことを明かした。
- 2023年8月24日放送の『プレバト!!』(毎日放送)の消しゴムハンコ査定で特待生5級から2ランクアップして特待生3級に昇格した[15]。
BoBAの由来
BoBAという名前は愛称や別名と受け取られているが、自身としては田中要次と書いて“ボバ(BoBA)”と読むとしている。
名前の由来は自身のデビュー作品である佐木伸誘のショートムービー『SEEK AND FIND』での役名が ボバ だった事に起因している。翌年にその作品のスタッフを頼って業界入りした田中は撮影スタッフとしても活動していた時期があり、どちらかと云えばスタッフ業を繰り返す中で ボバ という名前が愛称として定着した。
元々この名前は1989年に行われたRCサクセション「HARD TIMES LIVE 1989」名古屋公演の会場で田中と仲間との間でふざけで生まれた架空の人物名だった。「ボバって誰のこと?」とステージ上の忌野清志郎か仲井戸麗市に言わせたいが為に演奏が終わる度に皆でその名前を叫び続けたのが始まりである。
その後に田中が役名として授かった事で襲名する形となり、自身としては忌野清志郎に ボバ と呼ばれた時をゴールと決めていた。
1999年、石井克人監督の映画『鮫肌男と桃尻女』のオープニングで初めてBOBAとクレジットされたが、エンドクレジットでは田中要次だったので、これを機に読みが"ボバ"であれば筋が通る事を理由付け、英語表記では BoBA とする事にした。
2003年公開のクエンティン・タランティーノ監督『KILL BILL Vol.2』のエンドクレジットで田中の名前はBOBAと表記されている。
BoBAの表記の上で"o"を小文字にしているのは、ニューヨーク近代美術館の略称“MoMA”にあやかっている。
出演
映画
1990年代(映画)
- 1990年
-
- 1991年
-
- 1993年
-
- 1994年
-
- 1995年
-
- 1996年
-
- 1997年
-
- 1998年
-
- ぐしょ濡れ美容師 すけべな下半身(別題:まるで再出発)
- THE FETIST 熱い吐息
- ショムニ(AVのおかまのメイク)
- 夜9時20分のワンピース 走れエロス
- 夜9時20分のワンピース 社長の首
- 夜9時20分のワンピース 演出×出演
- 夜9時20分のワンピース サウンドオブ中学教師
- 愚か者 傷だらけの天使 - 警官
- 冷血の罠
- 1999年
-
2000年代(映画)
- 2000年
-
- 2001年
-
- 2002年
-
- 2003年
-
- 2004年
-
- 2005年
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- 2006年
-
- 2007年
-
- 2008年
-
- 2009年
-
2010年代(映画)
- 2010年
-
- 2011年
-
- 2012年
-
- 2013年
-
- 2014年
-
- 2015年
-
- HERO(7月18日、監督:鈴木雅之) - バー「St.George's Tavern」のバーテンダー 役
- お盆の弟(7月25日、監督:大崎章) - プロデューサー 役
- 過ぐる日のやまねこ(9月19日、監督:鶴岡慧子) - 宮原哲 役
- 探検隊の栄光(10月16日、監督:山本透) - カメラマン・橋本政明 役
- 色あせてカラフル(11月7日、監督:横山久美子) - 店長 役
- 2016年
-
- ピン中!(2月27日、監督:金沢勇大) - フィリピンパブのオーナー 役[16]
- エヴェレスト 神々の山嶺(3月12日、監督:平山秀幸) - 冒頭の登山隊長・工藤 役
- L-エル-(11月25日、監督:下山天) - エルの叔父 役
- 疾風ロンド(11月26日、監督:吉田照幸) - バス会社の係員 役
- 2017年
-
- サバイバルファミリー(2月11日、監督:矢口史靖) - 鯉を捕獲する浮浪者 役
- 探偵は、今夜も憂鬱な夢を見る。(3月4日、監督:櫻井信太郎) - 桜井 役
- SENIOR MAN(3月11日、監督:吉野主)
- 追憶(5月6日、監督:降旗康男) - 喫茶店「ゆきわりそう」の常連客 役
- 蠱毒 ミートボールマシン(8月19日、監督:西村喜廣) - 主演:野田勇次 役 [6][17]
- 阿修羅少女 ~BLOOD-C異聞~(8月26日、監督:奥秀太郎)
- レミングスの夏(10月1日、監督:五藤利弘)
- リングサイド・ストーリー(10月14日、監督:武正晴) - 杉田新三 役
- 2018年
-
- 愛しのアイリーン(9月14日、監督:吉田恵輔) - 竜野 役
- BLOOD-CLUB DOLLS 1(10月13日、監督:奥秀太郎) - 葛生 役
- 2019年
-
- 君から目が離せない Eyes On You(1月25日、監督:篠原哲雄) - 片岡 役
- 二階堂家物語(1月25日、監督:アイダ・パナハンデ) - 多田源二郎 役
- 広告会社、男子寮のおかずくん 劇場版(7月12日、監督:三原光尋) - 中野友和 役
- 楽園(10月18日、監督:瀬々敬久)
- 影踏み(11月15日、監督:篠原哲雄) - 加藤 役
- HYDRA(11月23日、監督:園村健介) - 岸田淳一郎 役
2020年代(映画)
- 2020年
-
- 2021年
-
- 2022年
-
- 2023年
-
- 2024年
-
- 2025年
-
配信ドラマ・ネットシネマ
オリジナルビデオ
劇場アニメ
- 緑玉紳士(2005年4月30日、監督:栗田やすお) - ピンキー・スティングマン 役 ※クレイアニメ
- サマーウォーズ(2009年8月1日、監督:細田守) - 陣内頼彦 役[31]
- バケモノの子(2015年7月11日、監督:細田守) - 警官 役
テレビアニメ
テレビドラマ
大河ドラマ(NHK)
連続テレビ小説(NHK)
- すずらん 第20・23回(1998年) - 炭坑夫
- どんど晴れ 第27・29回(2007年) - 市役所職員[34]
- ゲゲゲの女房(2010年6月) - 不動産屋・内崎
- 梅ちゃん先生(2012年4月 - 2012年10月) - 柴田
- 純と愛(2012年10月 - 2013年3月) - 藍田忍
- あまちゃん 第21週(2013年8月) - 医師
- べっぴんさん(2016年10月 - 2017年4月) - 小澤勝二
- ちむどんどんスペシャル「賢秀望郷編」(2022年11月)- 屋台の店主
- 虎に翼(2024年4月 - 6月21日) - 笹山[35]
世にも奇妙な物語(フジテレビ)
金曜エンタテイメント→金曜プレステージ(フジテレビ)
土曜ワイド劇場(テレビ朝日)
1990年代(テレビドラマ)
2000年代(テレビドラマ)
2010年代(テレビドラマ)
2020年代(テレビドラマ)
ミュージック・ビデオ(MUSIC PV)
CM
舞台
TVバラエティ 他
他多数
ゲーム
ナレーション
監督
スタッフ
撮影
- MUSIC PV「Toguar/Creepland」(2004年)監督:松永大司
- LIVE VIDEO「GELGUGU at CLUB QUATTRO」(2005年)監督:ナリオ
- LIVE VIDEO「bonobos 宇宙温泉へようこそ!」(2009年)監督:北山大介
照明助手
- 無能の人(1991年)監督:竹中直人/照明:安河内央之
- 王手(1991年)監督:阪本順治/照明:安河内央之
- 湾岸 バッド・ボーイ・ブルー(1992年)監督:富岡忠文/照明:吉角荘介
- 銀玉マサやん(1992年)監督:村石宏實/照明:松島五也
- 魔王街(1992年)監督:廣木隆一/照明:安河内央之
- 大阪の章二くん(1993年)監督:瀬藤祝/照明:松島五也
- RAMPO(1993年)監督:奥山和由/照明:安河内央之
- 夢魔(1994年)監督:廣木隆一/照明:安河内央之
- 119(1994年)監督:竹中直人/照明:安河内央之
録音助手
- トパーズ TOPAZ(1991年)監督:村上龍/録音:臼井勝
- 大感傷仮面(1991年)監督:クマガイコウキ/録音:臼井勝
- 二十歳の微熱(1992年)監督:橋口亮輔/録音:臼井勝
脚注
注釈
- ^ 西筑摩郡は1968年5月1日に木曽郡に改称されている。
- ^ 連続テレビ小説『べっぴんさん』第120回(2017年2月24日)でも、田中演じる小澤勝二がマスターを務める「名前のない喫茶店」について、「(看板が)あるよっ。」と発言するシーンがる。
- ^ 本編中の出演シーンはカットされているが、エンドロールの未公開シーンとして使用されている。
- ^ 第1シリーズ(1990年)のアバンストーリー 第3話「レストランのトイレ」のリメイク。
- ^ 当初は7月8日からの放送開始予定であったが、同日午前11時31分頃に発生した安倍晋三元首相銃撃事件に伴い、夜半に至る報道特別番組が編成されたため、放送開始が1週間順延される事となった。
- ^ タモリ電車クラブ会員No.0013、シルバー会員
出典
参考文献
関連項目
外部リンク