平野 文(ひらの ふみ、1955年〈昭和30年〉4月23日[3][5][6][14] - )は、日本の声優、女優、ナレーター[8]、ラジオパーソナリティ、エッセイストである。東京都杉並区西荻窪出身[3][4][5]。青二プロダクション所属[9]。
杉並区立桃井第三小学校[3][注 2]、杉並区立荻窪中学校[4]、東京都立富士高等学校を経て、1978年、玉川大学文学部芸術学科(演劇専攻)卒業[6][9][注 3]。かつては劇団こまどり[4][15]、圭三プロダクション[3][4]、東京俳優生活協同組合、ホリプロ、アクセントに所属していた[7]。2014年4月1日より青二プロダクションに所属[16]。
従姉妹が習っていたバレエを観て松山バレエ団に入り、バレエを習い始めた[3][12]。母も昔はバレエをしていたようであったという[3]。講師によりミュージカル、子供番組にも出演させてもらうようになり、「児童劇団で芝居の勉強をやったほうがいいよ」と言われて児童劇団に入団[12]。当時は、大山のぶ代の夫・砂川啓介が「たいそうのおにいさん」で、物凄く人気があり、主に砂川と一緒にミュージカルに出演していたという[13]。ほかには雑誌のグラビアに出たり、イラストレーターの中原淳一のモデルをしたりしていたという[13]。子供時代からバレエの他にはピアノなどを習い、発表会をしたり学芸会でピアノの伴奏をしたりしていたことから、外向的な性格で恥を知らないという欠点はあったという[3]。
小学生の頃は、赤い服を着ていても男の子と間違えられ、遊ぶのも男の子とばかりだったが、よくいじめられていた[3]。学校の帰りに男の子たちが平野の家に呼びに来た際、平野が出てみると皆隠れていたりしており「本当に、どうしてだろう」と思うぐらい、いじめられていたという[3]。
3歳から舞台を踏み[6]、バレエの講師の紹介で、12歳でNHKの少年ドラマ『名探偵カッチン』のチコタン役でドラマデビュー[3][13]。それまでは「バレリーナになろう」と思っていたが、テレビドラマに出演後は「女優になろう」と思ったという[3]。
1972年、17歳の時に劇団から「ラジオDJのオーディションがあるけど行かないか」と聞かれ、NHKラジオ「若いこだま」他3番組のDJを始める[11]。大卒後、深夜放送『走れ!歌謡曲』(文化放送)のDJとなる[11][12]。同時期に人形劇の風の子ケーンに出演[17]。1980年7月23日にはファンクラブ「ふみ・ファミリークラブ」(FFC)が結成される[18]。当時番組内で、受験生からの様々な声のリクエストに答えながら「がんばれ〜」と叫ぶ「よろずおめでたコーナー」を聴いていたリスナーから「声優をやってみたらどうですか」というハガキを受け取り、アニメ『うる星やつら』のラム役でアニメの声優デビュー[11][12]、いきなりの主役級であり、番組自体もロングランとなって人気を集める。なお、アフレコについては子役時代にも経験があった[11]。
1989年に築地市場の当時仲卸業三代目だった小川貢一と見合い結婚する。なお、平野の結婚は当時高橋留美子が連載していた『らんま1/2』の中で報告されている[19]。
結婚に至る経緯を描いた自著『お見合い相手は魚河岸のプリンス』(NHK出版)は、1995年NHKドラマ新銀河で『魚河岸のプリンセス』(連続20回)としてドラマ化された。
小学館のコミック誌『ビッグコミック』で、築地での様々なエピソードを『築地魚河岸 嫁ヨメコラム』に連載。人気コラムとなる。2008年5月に『築地魚河岸 嫁ヨメ日記』として単行本化(小学館)、2012年6月に電子書籍化された。また同誌に連載された漫画『築地魚河岸三代目』(2000年 - 2013年)の作品監修を夫・小川貢一と共に行っている。同作は2008年6月に松竹系で同名で映画化された。資格として4級小型船舶操縦士免許を所持している。結婚後は声の仕事に加え、築地や魚関連の著作も多く、講演依頼も多い。また俳句を趣味としており[9]、俳句関連のテレビ番組に出演もしている。
1990年代からナレーションを主体に活動していたが、2011年に『たまゆら〜hitotose〜』にて、出世作である『うる星やつら』で諸星あたるを務めた古川登志夫と共に夫婦役で出演。2010年代以降は再びアニメのキャラクターを演じる機会が増加し、子供向け・ファミリー向けアニメにも多数出演するようになる。
高橋留美子原作によるアニメ作品との関わりは深く、自身の代表作である『うる星やつら』のラム役を皮切りに、2003年には『高橋留美子劇場』の「専務の犬」でカンナ役を、そして2015年からは同作者の代表作の一つである『境界のRINNE』で、ヒロイン・真宮桜の母親役を担当[20]。「ヒロインから母親へ順当な成長ぶり」と、高橋留美子作品への再出演に対する喜びの念を表した[21]。なお『うる星やつら』はCR含め皆勤であり[注 4]、2022年版はラム役が上坂すみれに変更されたが、代わりにラムの母役で出演している。
趣味は水戸岡鋭治のデザイン在来線列車の乗り鉄、俳句、水泳、ゴルフ[9]。特技は母音だけでのおしゃべり[9]。
資格・免許は普通自動車運転免許、小型船舶免許4級[9]。
高校時代はテニス部に所属していた[3]。大学時代にはバンドを組み、キーボードとコーラスをしていた[3]。
声種はアルト[22](音域はF - B[9])。方言は江戸弁[9]。
声優として自身が演じた中で気に入っている役柄は、『うる星やつら』のラムと『アニメ三銃士』のミレディ、『恋子の毎日』の恋子であるとのこと。当初ミレディは、代表作であったラムとは正反対の悪女の役柄で、当初は自分が演じられるかどうか不安に思っていたが、『うる星やつら』と『アニメ三銃士』で音響監督を務めた斯波重治に「あなたなら出来る」と説得され、演じてみるとハマってしまったとの事である[23]。本人曰く「ラムとミレディ。究極ともいえるいずれの役も、彼女たちが口を開けば、何も考えずに演じる事ができていた」と語っている。ラムを演じていた時は、イメージとして声帯を少し上に向ける感じで声を出していたが、ミレディを演じていた時はキャラクターの絵を見た印象から、声帯を少し下に向けるイメージで演じていた[12]。ミレディのおかげで、「それまで自分の中にはないだろう」といった、いわば眠っていた原石のようなものを、斯波から引き出して貰った気がしたという[12]。
『うる星やつら』で好きな話は「ダーリンのやさしさが好きだっちゃ」「ときめきの聖夜」など。また、アニメ後半の個人の話を中心にしたエピソードよりも、初期の学園ドタバタ風な方が好きだったとも語っている。また、アニメの口パクというのは、曲のイントロ紹介と同じく、1秒以下の呼吸とリズムを操ること、この地道な職人的作業がたまらなく好きだという。そのため当初、ラジオのリスナーに声優を薦められたときも、変身願望ではなく、1秒以下を操ることならできるかもしれないという、その技術的興味の方にそそられたという。
結婚後に、築地や魚についてのエッセイを多々書くようになったことについては予期せぬことだった。自分が驚いたことでも「築地の人たちにとってはごく普通のことだ」と言われたので、そういった素人目線で、築地に暮らしてみなければわからないことを、文章でも伝えていきたいと感じたという。また、小説ではなくエッセイを書くというのは、フリートークの場合と思考回路は同じなので、自分のなかでは同じフィールドのものだとも語っている。
父は大会社に勤めていた[4]。母は立教女学院出身[4]。3歳下の弟がいる[3]。
太字はメインキャラクター。
※はインターネット配信。