京都精華大学(きょうとせいかだいがく、英語: Kyoto Seika University)は、京都府京都市左京区にある私立大学である。運営者は学校法人京都精華大学。
概観
大学全体
1968年(昭和43年)に現在の所在地に開設された京都精華短期大学を前身とする4年制大学。現在は、芸術学部、デザイン学部、マンガ学部、ポピュラーカルチャー学部、人文学部、国際文化学部、メディア表現学部および芸術研究科、デザイン研究科、マンガ研究科、人文学研究科の7学部・4研究科を構える。ポピュラーカルチャー学部と人文学部は2021年度から募集停止し、2学部をブラッシュアップさせる形でそれぞれメディア表現学部と国際文化学部が同年に誕生した。
建学の精神(校訓・理念・学是)
教育理念は、「自由自治」「人間尊重」。この理念はかつてであれば、大学主催の学園祭「木野祭」(2016年は「龍潜祭」)に加え、学生主催の学園祭「五月祭」が開催されるといった形で実践されていた。
また、大学設置当初より、公式な校歌・校章を制定していない。大学敷地内や式典内での、国旗の掲揚や国歌の斉唱などを行っていない[要出典]。
大学の理念を反映した講演会も数多く行われており、2000年にはダライ・ラマ14世を日本の非宗教団体として初めて招聘した[1]。
教育および研究
日本で初めてのマンガ学部を設置した大学として知られている。とりわけ2000年以降、文部科学省の「私立大学学術研究高度化推進事業(オープンリサーチセンター)」[2] として「京都精華大学表現研究機構」[3]内にマンガ文化研究所を、また京都市と共同運営する形で京都国際マンガミュージアムを開設・運営するなど、文化・表現メディアとしてのマンガの研究・収集・保管・展示に力を入れている。さらに、平成27年度から文化庁より委託を受け「メディア芸術連携促進事業」を実施し、メディア芸術分野の文化資源の運用・展開に参画している[4]。
また2004年には、教育活動の発展と向上を目的に、学内に教育推進センターを設置した。ここでは、ISO14001認証を受けているキャンパスを活用した、新しい教育システムの研究や、EMS構築支援活動を通しての「自立した学習者」の育成プログラム、そのほか地元・京都の伝統産業や地場産業と連携した教育実践プログラムなどが提供されている。
なお、これらの活動は、複数回にわたって文部科学省の大学教育改革支援事業である「特色ある大学教育支援プログラム(特色GP)」に採択されている。
沿革
略歴
1968年(昭和43年)、形骸化した学問の自由と大学の自治の回復を目的として、岡本清一初代学長を中心に、現在の所在地に学校法人京都精華学園により京都精華短期大学として開設。当初は、英語英文科と美術科のみの短期大学としてのスタートであった。
1979年(昭和54年)、美術学部を開設。同年、短期大学美術科を廃止。10年後の1989年(平成元年)には人文学部を開設すると同時に、短期大学英語英文科を廃止。1991年(平成3年)に大学院美術研究科(私立の美術研究科としては関西初)、1993年(平成5年)に大学院人文学研究科を設置するなど、4年制大学としての拡充に努める。
2006年以降、デザイン学部、マンガ学部、ポピュラーカルチャー学部を新設し、芸術教育の領域を拡張している。
2014年から漫画家の竹宮惠子が学長を務めた[5]。
2021年(令和3年)、ポピュラーカルチャー学部、人文学部を募集停止し、新たにメディア表現学部、国際文化学部が新設された。
2018年、マリ共和国出身のウスビ・サコ教授が学長に就任した。
年表
- 1968年(昭和43年) - 京都精華短期大学開設。
- 1979年(昭和54年) - 京都精華大学開学、美術学部開設、短期大学美術科廃止。
- 1989年(平成元年) - 京都精華大学人文学部開設、短期大学英語英文科廃止。
- 1993年(平成5年) - 5月、京都精華学園理事会において大学と高校の経営法人分離を決定。12月、学校法人木野学園設立。
- 1994年(平成6年) - 京都精華大学の経営が学校法人京都精華学園から学校法人木野学園に移管される(これにより、学校法人京都精華学園との関係はなくなり、学校法人京都精華学園が経営する京都精華学園中学校・高等学校との系列関係も解消される)。
- 2000年(平成12年) - 芸術学部にマンガ学科、人文学部に環境社会学科を開設。
- 2001年(平成13年) - 表現研究機構を開設、文字文明研究所・マンガ文化研究所・映像メディア研究所を置く。
- 2003年(平成15年) - 人文学部に社会メディア学科・文化表現学科を開設。学校法人名を「学校法人木野学園」から「学校法人京都精華大学」に変更。
- 2004年(平成16年) - 環境ソリューション研究機構を開設、環境ビジネス研究所・環境建築研究所・環境マネジメント研究所を置く。
- 2006年(平成18年) - デザイン学部、マンガ学部を開設。
- 2009年(平成21年) - 人文学部総合人文学科開設。
- 2010年(平成22年) - デザイン研究科、マンガ研究科開設。
- 2013年(平成25年) - ポピュラーカルチャー学部開設。
- 2017年(平成29年) - 芸術学部を改組し、造形学科を開設。マンガ学科に新世代マンガコースを新設。
- 2021年(令和3年)- メディア表現学部、国際文化学部を開設。
教育および研究
組織
学部
- 芸術学部
- 造形学科
- 洋画専攻
- 日本画専攻
- 立体造形専攻
- 陶芸専攻
- テキスタイル専攻
- 版画専攻
- 映画専攻
- デザイン学部
- イラスト学科
- ビジュアルデザイン学科
- グラフィックデザインコース
- デジタルクリエイションコース
- プロダクトデザイン学科
- プロダクトコミュニケーションコース
- ライフクリエイションコース
- ファッションコース
- 建築学科
- メディア表現学部
- マンガ学部
- マンガ学科
- カートゥーンコース
- ストーリーマンガコース
- 新世代マンガコース
- キャラクターデザインコース
- アニメーション学科
- ポピュラーカルチャー学部(2021募集停止)
- 国際文化学部
- 人文学科
- グローバルスタディーズ学科
- グローバル関係専攻
- グローバル共生社会専攻
- アフリカ・アジア文化専攻
- 人間環境デザインプログラム
- 人文学部(2021募集停止)
大学院
- 芸術研究科
- デザイン研究科
- マンガ研究科
- 人文学研究科
研究機関
学外アートスペース
教育
- 特色ある大学教育支援プログラム(特色GP)
- 自立した学習者による社会貢献の実践教育(2004年度採択)
- 伝統産業を軸とした地域連携教育の実践(2005年度採択)
- 考えるための『日本語リテラシー』教育(2006年度採択)
- 大学生の就業力育成支援事業
- クリエイターデビューを目指す表現者のキャリア形成支援(2009年度採択)
- 職業的実践力を有する表現者育成プログラム(2010年度採択)
- 私立大学戦略的研究基盤形成支援事業
- マンガに関する国際的かつ先端的研究拠点の形成(2011年度採択)
- 私立大学等改革総合支援事業
- タイプ1「教育の質的転換」(2015年度採択)
- タイプ2「地域発展」(2014年度、2015年度採択)
大学関係者と組織
大学関係者一覧
施設
キャンパス
- 〒606-8588 京都府京都市左京区岩倉木野町137
約200,000㎡の敷地面積のなかに、22棟の校舎がある。一人一人に割り当てられた実習スペースは夜22時まで使用可能。
京都精華大学ギャラリーTerra-S
2022年2月に開設した、大学が運営する520平米のギャラリー。企画展や所蔵品展、在学生や卒業生および教職員による申請展などを開催し、一般にも公開している。2023年11月には、開学55周年記念展として、芸術学部卒業生の塩田千春、金沢寿美、ソ—・ソウエンによる展覧会「FATHOM—塩田千春、金沢寿美、ソー・ソウエン」[7]を開催した。
情報館
約25万冊の書籍に加えて、雑誌やマンガ雑誌の最新号やDVD・音楽資料、博物館資料も扱う図書館。一般にも開放し、年間9万人[8]の利用がある。
学外施設
学生寮
食堂・コンビニ・売店
学生食堂と、グローバルカフェ「CAFE LA TERRACE」の2店舗がある。また、学生食堂の2階には、コンビニと、画材店が入っている。
学生生活
部活動・クラブ活動・サークル活動
京都精華大学で活動する団体は「公認学生団体[10]」「大学祭実行委員会」「非公認団体」に分けられる。新入生入学時期には各団体を紹介する「春華祭」が開催され、キャンパス内に設けたブースで新入生に参加を呼びかけたり、ステージでパフォーマンスを披露したりしている。
体育系
- ダンス部
- 剣道部
- 硬式テニス部
- 軟式野球部
- バスケットボール部
- バドミントン部
- バレーボール部
- BBスポーツ同好会
- ラグビー部
文化系
- 演劇部
- 華道同好会
- 吹奏楽部
- 創作漫画同好会
- フォークソング部
- 文芸同好会
- クイズサークル
- ヘタにじ
- 特撮同好会 仮面ライダー部
- C-Wealth
- シネマ倶楽部
- セイカデジタル研究会
- VR部
学園祭
学園祭実行委員会が中心となって運営する学園祭「木野祭」が、例年11月上旬に行われている。大学ギャラリーを使用した展覧会や、ライブステージ、飲食や物販などの模擬店、同人誌即売会などが催される。ライブステージには、過去にボアダムスやSOULFLOWER UNION、ZAZEN BOYS、ハンバートハンバートなども出演。
対外関係
他大学との協定
- 「Shared Campus(シェアドキャンパス)」に2020年に加盟。ヨーロッパとアジアの7つの芸術大学により創設された、アートやデザインの視点から地球規模で重要な諸問題に取り組む教育・研究ネットワーク。共同での研究や教育プログラムの実施などを行っている。
- 「アジア研究国際大会(ICAS)」に加盟。日本で初めて開催となる「第12回アジア研究国際大会(ICAS 12)」を主催。
- CUMULUS(ヨーロッパ美術デザイン大学連合)[11]に加盟。日本では初の加盟校となる。国際的な芸術デザイン系の大学ネットワーク。世界中から大学等が集まり、毎年アートやデザインに関するワークショップやセミナー等を開催。
- 大学コンソーシアム京都に加盟。
- 札幌大学、旭川大学、沖縄大学 (京都精華大学人文学部⇔各大学文系学部の間で国内交換留学協定)
- 京都大学 2008年09月18日京都精華大学は京都大学とでマンガで連携協定を締結。
- ベトナム・フエ科学大学、ダナン工科大学と連携し、 ICT技術を用いて観光都市京都の課題解決をめざす学生交流ワークショップを開催[12]
海外協定校
このほか、留学生の入学前支援のため京都日本語学校と協定を結んでいる[13]。
産学官連携事業
公開講座
アセンブリーアワー講演会
京都精華大学の開学した1968年から行われている公開トークイベント。分野を問わず、時代に残る活動や世界に感動を与える表現者をゲストに迎えている。
これまでのゲスト
[31]
- アーティスト・美術作家
- デザイナー・イラストレーター・建築家
- 漫画家・漫画編集者
- 作家・小説家・評論家
- 映画監督・演劇・脚本家・俳優等
- ミュージシャン・音楽・ダンス関係者
- 研究者他
他多数
社会との関わり
2007年(平成19年)1月15日に京都市左京区で学生が殺害される事件が発生した。被疑者は検挙されておらず、2022年現在も未解決。
脚注
注釈
出典
参考文献
外部リンク
ウィキメディア・コモンズには、
京都精華大学に関連するカテゴリがあります。