奈良 美智(なら よしとも、1959年12月5日 - )は、日本の青森県弘前市出身の画家[2][3]・彫刻家[3]・現代美術家[4][5]。
1959年青森県弘前市出身[6]。青森県立弘前高等学校卒業[7]。
高校卒業後に上京する[7]。武蔵野美術大学に入学したものの、学内で何も得るものを感じず、1年で中退する。1年生期末の20歳の頃に1年間有効のヨーロッパの往復チケットを買って、約3か月放浪した[6][8]。帰国後の金欠を親に言えず、授業料の安い公立美大を受験した。そして、愛知県立芸術大学、東京藝術大学、大分県立芸術短期大学の候補の中で、愛芸に合格した[8]。
1981年、愛知県立芸術大学美術学部美術科油画専攻に入学し、1985年に卒業、1987年に同大学大学院修士課程を修了した[9]。この期間も公立であるため、費用が安く、愛芸2年時に3か月ほどヨーロッパへ行っている[8]。
愛芸の学部4年時から[8]、日本の美術系予備校の講師を始めた[6]。河合塾千種校美術研究所講師を経て、1988年の28歳の時に渡独した[6]。
同年、ドイツ国立デュッセルドルフ芸術アカデミー (Kunstakademie Düsseldorf、デュッセルドルフ美術大学) に入学し、A.R.ペンク (A. R. Penck) に師事した[10]。
寿司屋でアルバイトも始めて皿洗いをしていた。この頃から40歳までの期間が最もノッていた期間だったと回想しており、その理由はアルバイトをしながら作品を作るという自分に酔っており、「バイトが終わったら早く帰って絵を描くぞ」という絵を描きたい気持ちを貯める時間が長くなっていたから[11]。
アジア人憎悪も受けたが、奈良は「それだけでその国を憎むようなバカではない。視野を広く持つことが地球で生きるということだ」と述べた[12]。
在学中に大学訪問してきた、あるギャラリーのオーナーの目に留まり、個展を開催するようになった[6]。1993年にマイスターシュウラーを取得して、34歳の時にアカデミーを修了した[10][13]。
アカデミー卒業後も[14]、1994年から日本に拠点を移す2000年8月まで[10]、ドイツケルンのアトリエを拠点に作品を制作した。同年6月には、ケルンからの引っ越し準備をしていた[15]。
1995年、名古屋市芸術奨励賞を受賞[16][17]。
1998年、アメリカ合衆国カリフォルニア大学ロサンゼルス校にて非常勤客員教授を3か月間務めた[17]。
1999年頃には、世界的に評価されている現代美術作家となり、ニューヨーク近代美術館 (MoMA) やロサンゼルス現代美術館に作品が所蔵されるなど日本の現代美術の第2世代を代表する1人となった。そして、特徴的な見返りをしている人物をモチーフにしたドローイング・アクリル絵具による絵画で知られるようになった[18][19][20]。
2000年8月、ドイツでの12年間の生活を終え、日本に帰国し、東京都西多摩郡瑞穂町に活動拠点を移した[7][10]。
翌2001年、日本における大規模な個展「I DON'T MIND, IF YOU FORGET ME.」を横浜美術館で 開始した[9]。この展覧会をきっかけに、日本国内で急速に人気を獲得していった[6]。横浜で始まった「I DON'T MIND, IF YOU FORGET ME.」は、広島市現代美術館や吉井酒造煉瓦倉庫(弘前市)など国内の4か所の美術館でも開催されることなった[9]。出身地である弘前市の吉井酒造煉瓦倉庫(現在の弘前れんが倉庫美術館)で開催された同展は、合計4,600人のボランティアにより運営された[7]。
2005年、土地が安いという理由で栃木県の那須高原に転居[21]。以降から栃木県を活動拠点を移した[10]。
2006年度に武蔵野美術大学客員教授を務める。
2010年、米文化に貢献した外国出身者をたたえるニューヨーク国際センター賞を受賞。アジア人としてはヨー・ヨー・マに次ぐ受賞であった。
2013年、芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。
2013年以降はBlum & Poe、Pace Gallery(英語版)で発表している。
2018年には拠点として栃木県那須塩原市に、私設の現代アートスペース「N's YARD」を開設した[7]。
2025年4月16日、アメリカの雑誌「タイム」は世界で最も影響力がある100人の1人として選出したことを発表した[22]。
奈良美智のアート作品の大きな特徴は、『丸みのある輪郭を持った可愛らしい少女をモチーフとした作品が多い』ことである。
絵画やドローイングで言えば、睨みつけるような目をした女の子を描いた作品等は奈良のトレードマーク 的なものとして広く知られる[28]。
彫刻などの立体作品においても、少女を題材としたものが大半を占めるが、その一方で『あおもり犬』や『Dogs from Your Childhood』などのように、犬などの動物を題材としたものも見られる[29]。
このように、純粋無垢で可愛らしく無邪気さ等が感じられる造形を展開しつつも、その中にどことない悪魔的な要素(人間の潜在的な怒りや孤独感等)を盛り込んだ作品は、奈良独特のものと言うべき特筆事項である[28]。奈良自身は前述の通り音楽好きでもあることから、これはいわゆる「パンク・ロック文化」等に影響されたものと考察する見方もある。
美術手帖などで取り上げられているものを中心とし、以下に奈良の代表作をいくつか解説する。
これらの他にも、日本の著名な浮世絵作品の一部に少女の姿を加えてパロディ化した作品なども制作した[55]。
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