ロシア連邦への日本政府の政策に対する報復措置に関してのロシア外務省声明(ロシアれんぽうへのにほんせいふのせいさくにたいするほうふくそちにかんしてのロシアがいむしょうせいめい)は、2022年5月4日に、ロシア外務省がウクライナ情勢を受けた日本の制裁措置への報復として、閣僚、国会議員、メディア関係者、研究者、自衛官など、日本人63人に対しロシアへの入国を無期限で禁止する措置をとる決定を発表したものである。
ロシア外務省の声明では「岸田内閣は前代未聞の反ロシアキャンペーンを展開し、ロシアの経済と国際的な権威を損ねようとする措置を講じている」と非難している[1][2][3][4]。それに対し、岸田文雄首相は「今回の事態を招いたのはロシア側だ。責任は全面的にロシアにある」と非難した[5]。
2022年7月15日、ロシア外務省は第2弾として7月14日付で日本国の衆議院議員384人に対する入国禁止措置を決定したことを新たに発表。このリストには自由民主党の麻生太郎と菅義偉、立憲民主党代表の泉健太、国民民主党代表の玉木雄一郎らが名を連ねている[6][7]。同様にウクライナ侵攻への制裁措置に対抗して、これまでロシア外務省が相手国の下院議員を対象に行った入国禁止措置としては、2022年4月27日にイギリスの議会の下院(庶民院)議員のうち287人を名指ししたリスト[注釈 1] を発表した事例がある[8]。
制裁の対象となったウクライナ研究者の岡部芳彦は、リストの作成にあたって日本のテレビ番組でウクライナ侵攻や北方領土問題についてロシアを批判した人が選ばれていると推測した[9]。プーチン大統領との会談などで交渉力、外交力の高さを見せた安倍晋三は含まれていない。また5月4日の声明には参議院沖縄・北方問題に関する特別委員会所属の議員ほぼ全員がリストアップされたが、同じく同委員会所属でロシアとの関係の深い鈴木宗男は選ばれていない。この他、現職の衆議院議員では菅直人(現職議員の首相経験者で唯一選ばれていない)ら59人が入国禁止のリストに選ばれていない。
入国禁止者一覧
- <2022年5月4日付け 措置対象者:63人>
- 岸田文雄 - 内閣総理大臣
- 松野博一 - 内閣官房長官
- 林芳正 - 外務大臣
- 鈴木俊一 - 財務大臣
- 岸信夫 - 防衛大臣
- 古川禎久 - 法務大臣
- 二之湯智 - 国家公安委員長
- 西銘恒三郎 - 沖縄及び北方対策担当相
- 秋葉剛男 - 国家安全保障局長
- 山東昭子 - 参議院議長
- 細田博之 - 衆議院議長
- 高市早苗 - 自民党政調会長
- 佐藤正久 - 自民党外交部会長
- 松川るい - 自民党国防部会長代理
- 森英介 - 自民党衆議院議員、日本・ウクライナ友好議員連盟会長
- 志位和夫 - 共産党委員長
- 石井苗子 - 日本維新の会参議院議員、参議院政府開発援助・沖縄北方特別委員会
- 熊野正士 - 公明党参議院議員
- 森裕子 - 立憲民主党参議院議員
- 阿部知子 - 立憲民主党衆議院議員、衆議院沖縄北方特別委員会委員長
- 秋葉賢也 - 自民党衆議院議員、衆議院沖縄北方特別委員会理事
- 國場幸之助 - 自民党衆議院議員、衆議院沖縄北方特別委員会理事
- 鈴木隼人 - 自民党衆議院議員、衆議院沖縄北方特別委員会理事
- 堀井学 - 自民党衆議院議員、衆議院沖縄北方特別委員会理事
- 石川香織 - 立憲民主党衆議院議員、衆議院沖縄北方特別委員会理事
- 大島敦 - 立憲民主党衆議院議員、衆議院沖縄北方特別委員会理事
- 杉本和巳 - 日本維新の会衆議院議員、衆議院沖縄北方特別委員会理事
- 稲津久 - 公明党衆議院議員、衆議院沖縄北方特別委員会理事
- 青木一彦 - 自民党参議院議員、参議院政府開発援助・沖縄北方特別委員会委員長
- 青山繁晴 - 自民党参議院議員、参議院政府開発援助・沖縄北方特別委員会理事
- 今井絵理子 - 自民党参議院議員、参議院政府開発援助・沖縄北方特別委員会理事
- 北村経夫 - 自民党参議院議員、参議院政府開発援助・沖縄北方特別委員会理事
- 勝部賢志 - 立憲民主党参議院議員、参議院政府開発援助・沖縄北方特別委員会理事
- 高瀬弘美 - 公明党参議院議員、参議院政府開発援助・沖縄北方特別委員会理事
- 大塚耕平 - 国民民主党参議院議員、参議院政府開発援助・沖縄北方特別委員会理事
- 清水貴之 - 日本維新の会参議院議員、参議院政府開発援助・沖縄北方特別委員会理事
- 諸星衛 - 北方領土問題対策協会理事長
- 佐伯浩 - 北方領土復帰期成同盟会長
- 脇紀美夫 - 千島歯舞諸島居住者連盟理事長
- 櫻田謙悟 - 経済同友会代表幹事
- 鬼木誠 - 防衛副大臣
- 岩本剛人 - 防衛政務官
- 中曽根康隆 - 防衛政務官
- 山崎幸二 - 統合幕僚長
- 小野日子 - 外務省外務報道官
- 飯塚浩彦 - 産経新聞社社長
- 近藤哲司 - 産経新聞社専務取締役
- 斎藤勉 - 産経新聞社論説顧問
- 遠藤良介 - 産経新聞社外信部次長兼論説委員
- 山口寿一 - 読売新聞グループ本社社長
- 渡邉恒雄 - 読売新聞グループ本社代表取締役主筆
- 二宮清純 - スポーツジャーナリスト
- 岡田直敏 - 日本経済新聞社会長
- 長谷部剛 - 日本経済新聞社社長
- 井口哲也 - 日本経済新聞社常務取締役
- 湯浅次郎 - 選択出版代表取締役
- 加藤晃彦 - 週刊文春編集長
- 袴田茂樹 - 青山学院大名誉教授
- 神谷万丈 - 防衛大教授
- 櫻田淳 - 東洋学園大教授
- 鈴木一人 - 東大院教授
- 岡部芳彦 - 神戸学院大教授、ウクライナ研究会会長
- 中村逸郎 - 筑波学院大教授
- <2022年7月15日付け 措置対象者:384人>
以下の64~447番は、衆議院議員464人(2022年7月15日時点在籍者)の中から選抜された384人。先に5月4日付け措置で対象となった者は含まれていない。(※ ロシア外務省発表の出典における掲載順。所属会派名を付け加えたもの)
所属会派 |
自由民 主党 |
立憲民 主党・ 無所属 |
日本維 新の会 |
公明党 |
国民民 主党・ 無所属 クラブ |
日本共 産党 |
有志 の会 |
れいわ 新選組 |
無所属 |
全体
|
措置対象人数
|
201 |
91 |
39 |
30 |
10 |
9 |
3 |
|
1 |
384
|
5月分含む数
|
216 |
93 |
40 |
31 |
10 |
10 |
3 |
|
2 |
405
|
所属会派人数
|
261 |
97 |
41 |
32 |
11 |
10 |
5 |
3 |
4 |
464
|
脚注
注釈
- ^ 英国議員のリストでは、ロシア語表記の対象者氏名の横に相手国の英語による母国語表記がカッコ書きで添えられている。比して、日本の衆議院議員に対するリストにおけるロシア語表記の氏名に生年月日に当るものが添えられていたのは、日本語表記(漢字等)が比較的困難であってこれを避けた、また、より個人の識別に繋がるミドルネームが無いなどの事情によるものと考えられる。
- ^ 出典に(生年月日とのことわりは無いが)1956年9月20日と誤記載。衆議院ホームページに公開の生年月日は、1956年6月19日。
- ^ 出典に(生年月日とのことわりは無いが)1978年2月27日と誤記載。おそらく元議員の金子恵美(めぐみ)の生年月日を誤って記載したものと察せられる。なお、出典は「Эми」(えみ)と記載。
- ^ 出典に(生年月日とのことわりは無いが)1972年12月19日と誤記載。
- ^ 出典に(生年月日とのことわりは無いが)1947年2月22日と誤記載。
- ^ 出典に(生年月日とのことわりは無いが)1976年9月20日と誤記載。
出典