富士見ファンタジア文庫(ふじみファンタジアぶんこ)は、株式会社KADOKAWAが発行するライトノベルの文庫レーベル。1988年11月、富士見書房(初代)より創刊した後、1991年に角川書店(富士見事業部)、2005年に富士見書房(2代)が引き継ぎ、2013年10月より現在の体制になる[注 1]。通称は「ファンタジア文庫」。
概要
1988年1月に創刊されたドラゴンマガジンを母艦誌としたレーベルであるが、本レーベルの創刊は同年の11月に行われた。レーベル創刊時のラインナップは『灼熱の竜騎兵(レッドホット・ドラグーン)』(田中芳樹)、『風の大陸』(竹河聖)、『ペ天使たち』(富田祐弘)、『爆裂お嬢 シンディー・スー』(寺田憲史)、『不死朝伝奇ZEQU』(武上純希)、『ジェラルディン・サーガ』(松枝蔵人)の6シリーズ6冊による同時刊行から成り、この6作をもって本レーベルの創刊作品とみなす[1]。なお慣例としては、刊行ラインナップの表記において先頭に記された田中芳樹の『灼熱の竜騎兵(レッドホット・ドラグーン)〈PART1〉惑星ザイオンの風』を創刊時の第1作・第1冊として数える。
現在では電撃文庫・角川スニーカー文庫と並ぶ、ライトノベルのメジャーレーベルである。
1989年よりファンタジア大賞(旧・ファンタジア長編小説大賞)を主催しており、2008年には新規にネクスト ファンタジア大賞を立ち上げている。受賞作品はこのレーベルから発売。このアワードより第1回準入賞作の神坂一の『スレイヤーズ!』を始めとしたヒット作が出ている。受賞作はドラゴンマガジンにて長期連載化されることも多く、ドラゴンブランドの漫画雑誌での漫画化やアニメ化された作品も多くある。また、本編たる長編とドラマガ連載のものを集めた短編集との2列構成となる作品も多い。2014年6月より『ファンタジアBeyond』が開設され、そこでの連載作品の文庫化もされている。ファンタジアBeyondが廃止されると、カクヨムの公式のファンタジア文庫アカウントが役割を引き継いだ。
2013年から2019年まで毎年10月に『ファンタジア文庫大感謝祭(2013年のみ『ファンタジア文庫25周年祭』)』が東京・ベルサール秋葉原で開催されていた。レーベル単独のイベントは2019年で事実上休止し、2021年3月6日から4月11日までの間、KADOKAWAの他レーベルと合同で「KADOKAWA ライトノベルEXPO2020」がオンラインで開催されている[2]
内容・ジャンル
中高生を中心とした10代を意識して作られたレーベルで、当初から沢山のファンタジー世界を舞台にした小説を出す。しかし創刊時よりファンタジーに限らず、その他の世界を舞台にした本も多数出版していて、平成10年頃まではSFと二大潮流にあった[3]。メディアミックスや企画の恩恵を受ける形で数々の人気作が生まれてゆくが、平成半ばになると学園を舞台にした作品が、より世界観を把握しやすくなる設定として取り入れられ、ヒットの基盤となって広く浸透していく[3]。平成末期からはWEB小説がフォーカスされ、レーベルを支えていた[3]。レーベルをひと口に語ることは難しいが、いつの時代も若い読者に受け入れられるように創意工夫で鎬を削っている。
以前はシェアード・ワールド化の一環の小説も扱っていたが、2010年頃に富士見ドラゴンブックがこの傾向を引き継いで、現在は展開されていない。
装丁・デザイン
創刊以後、長らく表紙を太字ゴシック体の題字・挿絵を左下に配置するデザインで基本的に統一していたが、2000年には題字部分を、2005年頃より表紙デザインを自由化する。
2008年8月の新刊からは背表紙のデザインも変更され、ファミ通文庫やHJ文庫で採用されている「シリーズ番号」を導入した。同時にレーベルロゴが現在のものに刷新され、『ファンタジア文庫』が通称となる。なお、それ以前においての各巻の番号分類は、前述の『灼熱の竜騎兵(レッドホット・ドラグーン)〈PART1〉惑星ザイオンの風』を「1-1」として以降《前番号 - 後番号》という表記による「シリーズ毎の分類番号」を用いていた。この分類番号には現在採用されている「シリーズ番号」における「著者分類」(あ-1)に相当する部分が存在せず、シリーズの初出・分類順に「シリーズとしての番号」を振られてこれを前番号とし、後番号はシリーズの何巻目に当たるかを意味する。
旧来の(表紙デザイン自由化の前の)作品を除けば、表紙にイラストレーターの表記は長らく未掲載だったが、2013年5月から掲載されるようになった。ただし、2013年4月以前から刊行されているシリーズは引き続き未掲載のままである。
電撃文庫・角川スニーカー文庫と共に角川系列のレーベルであり、1990年代後期から2008年まで在庫管理のため、背表紙に二次元コードを設けていたが、現在は廃止している。
1990年代後期から既刊にはピンク色の帯に「夢、大爆走」としたキャッチコピーを用いていたが、2000年代中期からは「入魂」にリニューアルされた。ただし、現在既刊に統一された帯・キャッチコピーは付属していない。
作品一覧
| この節の 加筆が望まれています。 主に: WEB投稿発の作品全部について (2022年9月) |
- 黒はWEB投稿発の作品、青はゲームが原案となっている作品、緑はシェアード・ワールド関連、黄色は漫画原作の小説、赤はその他のメディアミックス。
- 同一のシリーズでありながら、短編集や外伝、続編でタイトルが異なる場合、基本的に最初のシリーズ作品タイトルの下へ記述している。
- いわゆる打ち切り作品も続刊がないとして全○巻の表記をする。事情は個別の作品項を参照。
- 全1巻と単巻との違いは、初めからシリーズの巻数を記載していたが続刊が望めない作品をここでは全1巻としている。ただし、外伝や続編などで、本編以外に単巻が刊行された作品についてはそれについて記した上で「1巻」と書き加えている。
- ★は角川つばさ文庫で発売している作品。
あ行
か行
さ行
た行
な行
は行
ま行
や行
ら行
わ行
アニメ化作品
テレビアニメ
劇場アニメ
OVA
ゲーム
ドラゴン☆オールスターズ
富士見ファンタジア文庫とドラゴンマガジン15周年記念で発売された、富士見書房の作品を基にしたトレーディングカードゲームである。同シリーズの『F』からは角川書店の作品も加わった。
ファンタジア・リビルド
富士見ファンタジア文庫とドラゴンマガジン30周年記念企画のひとつとして製作された[6]、富士見ファンタジア文庫作品のキャラクターが一同に集結するiOS/Android/PC用クロスオーバーRPGである。EXNOA(旧DMM GAMES)とKADOKAWAの合同プロジェクトで、gumiが企画・開発として参画している。2020年12月17日より配信開始[7]。配信に先立ってウェブラジオ番組『ファンタジア・リビルド エンデと理乃の「愛した世界を紡ぐラジオ」』が配信されている。2021年12月17日をもってサービス終了となり、終了後にも「ストーリー」・「イラスト」・「ボイス」を閲覧できるオフライン版の提供もされた[8]。
- ゲームオープニング曲「最後のpiece」 歌:エンデ(CV:古賀葵)、作詞:PA-NON、作曲:黒瀬圭亮、編曲:清水"カルロス"宥人[9]
参加作品一覧
Webラジオ・動画
- ファンタジア・リビルド エンデと理乃の「愛した世界を紡ぐラジオ」
- 2020年9月1日からタブリエ・コミュニケーションズが運営する「インターネットラジオステーション<音泉>」でウェブラジオ番組が配信[10]。
- 最終回は2021年7月23日にYouTube Liveの音泉YouTubeチャンネルで生配信ラジオとして公開収録[11]された後、おまけを加えて2021年8月3日に通常配信された[12]。通常の配信の他に、イベントのKADOKAWAライトノベルEXPO2020で2021年3月6日に出張版が配信[13]。
- パーソナリティは古賀葵(エンデ 役)と桑原由気(理乃 役)。全24回(出張版を除く)。
- ゲスト
- 第2回 - 藤田茜(システィーナ 役『ロクでなし魔術講師と禁忌教典』)
- 第4回 - 福山潤(ライナ 役『伝説の勇者の伝説』)
- 第5回 - 山本希望(ミソラ 役『空戦魔導士候補生の教官』)
- 第6回 - 石見舞菜香(千秋 役『ゲーマーズ!』)
- 第7回 - 安済知佳(白チャイカ 役『棺姫のチャイカ』)
- 第8回 - 日笠陽子(リアス・グレモリー 役『ハイスクールDxD』)
- 第9回 - 井上麻里奈(夜刀神十香 役『デート・ア・ライブ』)
- 第10回 - 安野希世乃(加藤恵 役 『冴えない彼女の育てかた』)
- 第11回 - 高垣彩陽(ニーナ 役『鋼殻のレギオス』/フェリス 役『伝説の勇者の伝説』)
- 第12回 - 野水伊織(ラピス 役『対魔導学園35試験小隊』/リコ 役『空戦魔導士候補生の教官』/四糸乃 役『デート・ア・ライブ』)
- 第13回 - ゆかな(テレサ・テスタロッサ 役『フルメタル・パニック!』)
- 第15回 - 緑川光(ゼルガディス 役『スレイヤーズ』)
- 第16回 - 金元寿子(トモノリ 役『これはゾンビですか?』/天道花憐『ゲーマーズ!』)
- 第19回 - 豊崎愛生(コン 役『東京レイヴンズ』)
- 第21回 - 大久保瑠美(亜玖璃 役『ゲーマーズ!』)
- 第22回 - 加隈亜衣(千斗いすず 役『甘城ブリリアントパーク』/ロスヴァイセ 役『ハイスクールD×D』)
- 第23回 - 生天目仁美(宮間夕菜 役『まぶらほ」)
- 出張版 - 竹達彩奈 (塔城小猫 役『ハイスクールD×D」/五河琴里 役『デート・ア・ライブ』)
- ファンタジア・リビルド エンデと理乃の「愛した世界を紡ぐ生配信」
- 2020年11月23日にYouTube LiveのKADOKAWAanimeチャンネルで行われた、ゲームの事前登録数20万人突破を記念した生配信[14]。
- パーソナリティはラジオ同様に古賀葵(エンデ 役)と桑原由気(理乃 役)。ゲストは安野希世乃(加藤恵 役 『冴えない彼女の育てかた』)、宮本侑芽(ルミア=ティンジェル役『ロクでなし魔術講師と禁忌教典』)
公式動画チャンネル
2011年5月9日に開設されたニコニコチャンネル内の富士見書房ファンタジア文庫・ドラゴンブックチャンネルという配信元にて、ドラ生!!(ドラゴンブック関連)・ファンタジア文庫放送局(ファンタジア文庫関連)といった生放送の動画など配信。2018年7月18日のニコニコ生放送以降は、YouTube LiveのKADOKAWAanimeチャンネルでの配信に移行している(視聴期限等はニコ生時代と同一の1週間)。
- ファンタジア文庫放送局
- ファンタジア文庫放送局は2014年3月25日に開始され、不定期に放送していたが、2014年の夏頃の放送から毎月18日前後に放送日が定まった。2015年1月16日の放送で、それまで製作中だったイメージキャラクターが正式に決定した。青髪がリリア=イーリス、赤髪がルゼル=イーリスといい、デザインは三嶋くろねが担当した。特定の作品を特集した情報番組で、進行役はほぼ編集部の面々であるが、作家や、声優を招くこともあった。
- 2019年5月16日からNOCOによるデザインの竜娘をイメージしたドファーというイメージキャラクターになった。
- 2020年3月17日放送を最後に番組が不定期配信にリニューアル。
関連項目
脚注
注釈
- ^ 売却後の一時期はKADOKAWAが「ブランドカンパニー制」を採用していた事から、発行元は“ KADOKAWA 富士見書房ブランドカンパニー ”という形で記載されていた。現在はブランドカンパニー制が廃されているため、公式な表記から「富士見書房」は消滅している。
- ^ 原題は「魔法少女ほのりは今すぐ辞めたい。」が頭に追加される。
- ^ 原題は「ダメ」が漢字表記。
- ^ カクヨム版は第74話で休載
- ^ 原題は「幼馴染だった妻と一緒に高校時代にタイムリープしたんだがどうして過去に戻ってきたのか理由が分からない。そして高校生の妻がエロい。」。
- ^ 2022年6月13日投稿の第52話を最後に休載 結末は全く異なる内容になっている。
- ^ ウェブ版は2022年4月2日で放置、未完。作者曰く、続刊が出る基準に部数が到達していないと版元に言い渡された。【お知らせ】『しょく好き』の今後について作者近況ノート2022年2月12日
- ^ カクヨム版は2021年8月の第181話で休止。
出典
外部リンク
|
---|
アニメ雑誌 | |
---|
ライトノベル誌 | |
---|
メディアミックス誌 | |
---|
少年・青年漫画誌 | |
---|
少女・女性漫画誌 | |
---|
文庫 | |
---|
コミックス | |
---|
テレビ情報誌 | |
---|
都市情報誌 | |
---|
その他 | |
---|
休・廃刊誌 | |
---|
休・廃刊文庫 | |
---|
関連企業 | |
---|