2022年のオリックス・バファローズでは、2022年シーズンについてのオリックス・バファローズの動向をまとめる。
この年のオリックス・バファローズは、中嶋聡監督の2年目のシーズンであり、パリーグ連覇、さらには日本シリーズでの26年ぶりの日本一に輝いた年となった。
昨季は25年ぶりのリーグ優勝を達成したチームは中嶋監督が続投[1]。12月6日にはコーチ人事が発表され、前年日本ハムで一軍コーチを務めていた厚澤和幸と髙橋信二を招聘するなど、内部の入れ替えも含めて5つの役職で変更が行われた[2]。
開幕戦は山本由伸の好投もあり、12年ぶりに開幕戦を勝利する[3]も、翌試合から5連敗しスタートダッシュに失敗する。4月10日のロッテ戦では佐々木朗希に完全試合を達成されるなど打線の不調が目立ち[4]、5月11日時点で首位楽天と11.5ゲーム差をつけられた。
昨年好調だった交流戦では杉本裕太郎が首位打者に輝くも、チームは6連勝のあと5連敗となかなか調子が上がらない展開が続いた。6月18日の西武戦で山本がノーヒットノーランを達成したが、上位との差は縮まらず球宴前まで5位に低迷したままだった。
だが、日本ハム以外の5球団の混戦[5]の中でオールスター明けから徐々に浮上し、9月10日には今季初の単独首位に立った。しかし翌11日には陥落し[6]、その後もソフトバンク、西武と共に3チームがゲーム差なしで並ぶなど史上まれに見る大混戦を演じた[7]。徐々に抜け出したソフトバンクが9月15日に優勝マジック11を点灯させるも[8]、9月17日からのソフトバンクとの最後の3連戦で3連勝しゲーム差を0とする[9]。だが、残り試合数の多いソフトバンクが徐々にマジックを減らして9月30日には優勝マジックを1とし、オリックスは土俵際に追い込まれた。しかし同日の試合でサヨナラ勝利し何とか優勝戦線に踏みとどまる[10]。そして引き分け以上で優勝が決定するソフトバンクも10月1日の西武戦でサヨナラ負けしたため[11]、優勝の行方は翌2日の最終戦に持ち越しとなった[注 1]。ソフトバンク敗北、オリックス勝利以外はソフトバンク優勝という絶体絶命の状況で迎えた2日[12]、首位ソフトバンクがロッテに3-5で敗れ、2位オリックスが楽天に5-2で勝利。両チームの最終成績が76勝65敗2分けと勝率で並んだが、パ・リーグの規定により直接対決で勝ち越しているオリックスが史上初のリーグ最終日逆転優勝を果たし、2連覇を達成した[7][注 2]。
オリックスは2年連続14度目のリーグ優勝を果たし、巨人の47度、西武の23度、ソフトバンクの21度に次いで4番目。連覇は67~69、75~78年、95〜96年に次いで4度目。連覇は10度の巨人、5度の西武に次いで3番目となった。2年連続最下位からの2連覇は同年のヤクルトに次いで2番目である。11.5ゲーム差の逆転優勝は1963年西鉄14.5、2008年巨人13差に次いで、1996年巨人、2016年日本ハムに並ぶ3番目の大差だった[13]。首位日数は開幕の3月25日(同率)、9月10日、閉幕の10月2日と3日間の最少記録となった。他はソフトバンクが106日、楽天が54日、西武が30日、ロッテが2日だった。また、昨年に続き優勝マジックが1度もつかなかった。2年連続マジックなしの優勝は史上初で、先述の通りリーグ最終日の逆転優勝も史上初だった[14]。
オリックスの中嶋監督は監督就任1年目に優勝し、翌年も優勝。新人監督から2年以上連続で優勝は藤本定義、森祇晶に次いで3人目である。エースの山本が初の連続投手5冠王となった[13]。先発投手の防御率2.77はリーグトップだった[15]ほか打線も打率はリーグ2位の.246、本塁打数こそリーグ最下位だったものの二塁打数はリーグトップ、三振数はリーグで唯一1,000を超えなかった。主砲の吉田正は7月以降に出場した69試合で打率.356、14本塁打、54打点、OPS1.088、さらに7月度、9・10月度の月間MVPを受賞するなど好成績を残し、打線を牽引した。
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クライマックスシリーズはファイナルステージから登場。ファーストステージを2連勝で勝ち上がった2位ソフトバンクと、本拠地京セラドームで対戦した。
第1戦は山本が8回無失点の快投を演じ、打線もそれに応えるように着実に援護し5-0で快勝。この勝利でソフトバンクの2019年から続くポストシーズン連勝記録を18で、同時にファイナルステージの連勝記録を9でいずれも止めることになった[32]。
第2戦は2-2の5回に杉本が勝ち越しの2点本塁打を放ち、宇田川優希、山﨑颯一郎、ジェイコブ・ワゲスパック、阿部翔太が1回ずつ継投、阿部は一打同点のピンチを背負うも後続を打ち取って4-3で逃げ切り2連勝[33]。早くも日本シリーズ進出に王手をかけた。
しかし迎えた第3戦は先発田嶋大樹が初回に2失点、打線も先発千賀滉大の前に13人連続で凡退するなど全く手が出ず0-3で敗戦した[34]。
第4戦は2点リードの7回に山﨑颯がアルフレド・デスパイネに同点本塁打を浴び、試合が振り出しに戻る。それでも9回に相手守護神のリバン・モイネロから二死2、3塁の絶好機を作ると、中川圭太の左前打でサヨナラ勝利。レギュラーシーズン1位チームに与えられるアドバンテージを含めて対戦成績を4勝1敗とし、2年連続14回目の日本シリーズ進出を決めた[35]。
日本シリーズでは前年と同じく東京ヤクルトスワローズとの対戦となった。
神宮球場で行われた第1戦ではエース山本が初回から5番ホセ・オスナに先制の2点適時打を浴びる苦しい立ち上がりに。打線は直後の2回表に紅林弘太郎の適時打と福田の押し出し四球で同点に追いつくが、山本は3回に塩見泰隆、4回はオスナにそれぞれソロ本塁打を被弾。2020年8月以来802日ぶりに1試合2本の本塁打を被弾した山本は、5回途中で左脇腹の違和感のため緊急降板となった[36]。その後打線は8回表に代打T-岡田の適時打で1点を返すもその裏、この年セ・リーグ打撃三冠王を獲得した村上宗隆にソロ本塁打を被弾し突き放された。最終回も好機こそ作ったものの結局得点できず、3-5で敗れた[37]。
第2戦は3回、先発の山﨑福が自ら先制適時打を放つと、なおも好機で敵失の間に追加点を得る。5回には杉本が適時内野安打を放ち3-0とリードを広げた。山﨑福は4回無失点でマウンドを降り、5・6回を山﨑颯、7回を宇田川、8回は満塁のピンチこそ招いたもののワゲスパックが無失点で繋ぐ。しかし9回、無死1、2塁から阿部が内山壮真に同点本塁打を浴びてしまう[38]。その後得点は入らず、今シリーズ初の延長戦に突入。10回は両チームとも二死1、3塁の好機から無得点に終わり、11回も両チーム無得点となって迎えた12回表、二死2塁からヤクルトの8番手木澤尚文が暴投。2塁走者佐野皓大が一気に生還したものの、投球がベンチに入ったことからボールデッドとなったため得点は認められず、直後の攻撃で結局無得点に終わってしまう[39]。その後12回を三者凡退に抑えたことで、規定により3-3で試合終了。シリーズでは2018年第1戦以来となる引き分けとなった。試合時間5時間3分は、2010年第6戦の5時間43分(延長15回)に続いて史上2番目の長さ、延長12回で終わった試合としては前年第6戦の5時間0分を超え、史上最長の試合時間となった。また、両チーム合わせて投手16人が登板したが、これは2018年第1戦(広島対ソフトバンク、延長12回引き分け)の15人を上回り史上最多で、出場選手44人は同試合以来史上3度目のタイ記録となった[40]。
舞台を本拠地京セラドーム大阪に移した第3戦は0-0のまま迎えた4回裏、一死2、3塁の好機を作るも、中川圭、杉本が凡退。直後の5回表、ここまで不調に陥っていた3番山田哲人に3点本塁打を浴び、先制を許した[41]。その後7回に村上の押し出し四球、9回に村上の2点適時打とオスナの適時打で追加点を奪われる。打線は相手先発高橋奎二の前に6回を無得点、前年のシリーズから数えると15回連続で無得点に終わってしまい、9回に西野真弘の適時打で1点を返すのがやっとであった[42]。こうして第3戦は1-7で敗戦。この時点でシリーズ成績は1分2敗と崖っぷちに立たされた。
第4戦は序盤から両チーム好機を作りながら無得点に終わっていたが、3回に二死2塁から杉本が左前適時打を放って先制[43][44]。5回、先発山岡泰輔が塩見に三塁打を浴びたところで宇田川が登板。2者連続で三振を奪い、無失点で切り抜ける[45]。6回も続投した宇田川は一死1、3塁のピンチを招くも、またも2者連続三振に打ち取ってリードを守った[46]。その後7・8回を山﨑颯、9回をワゲスパックが抑え、1-0でシリーズ初勝利。球団としては1996年第2戦以来4回目[注 3]となる日本シリーズでの完封勝利となった。またこの試合では宇田川が勝利投手となったが、育成ドラフト出身選手が日本シリーズで勝利投手となるのは史上6人目であり、入団2年目での達成は史上最速となった[47]。
第5戦は初回にオスナのシリーズ5打点目となる適時打[48]、2回にはドミンゴ・サンタナにソロ本塁打を浴びて2点を先行される。しかし打線は4回裏に二死1、2塁から紅林と若月健矢の連続適時打で同点とし[49]、続く5回には吉田正が今シリーズではチーム第1号となるソロ本塁打を放って勝ち越しに成功する[50]。それでもヤクルトは直後の6回表、二死2塁から9番長岡秀樹の適時打で同点とすると、2番青木宣親の適時二塁打で再びリードを奪われてしまう。3-4のまま9回に突入し、ヤクルトは抑えのスコット・マクガフが登板。一死2塁と好機を作り、2番西野が投手強襲の安打を放つ。これがマクガフの悪送球を誘い、2塁走者が生還して再び同点に追いつく[51]。二死となったあと、吉田正がこの日2本目となる2点本塁打を右翼席へと放ち、6-4でサヨナラ勝利を収めた[52]。前年のシリーズ第1戦でも吉田正はマクガフからサヨナラ打を放っており、2年連続でマクガフを相手にサヨナラ打を放ったことになる。日本シリーズにおけるサヨナラ勝利は上述の試合以来史上41度目で[53]、本塁打によるサヨナラ勝利に限れば2018年第5戦の柳田悠岐以来17人目、18本目となった[注 4]。またこの勝利でシリーズ対戦成績が2勝2敗1分となり、優勝決定は第7戦以降に持ち越すことが確定。第7戦開催は2013年以来9年ぶり25度目である。シリーズ最初の3試合で2敗1分のチームが2連勝で成績を五分に戻したのは、1962年の東映フライヤーズ以来60年ぶり、史上2度目となった。
神宮球場に戻って行われた第6戦は5回まで無得点と緊迫した投手戦に。しかし6回表、吉田正が申告敬遠されて二死1、2塁となり、杉本が右前適時打を放って先制する[54][55]。その後満塁としながら追加点は取れずも、その裏を宇田川がピンチを招きながら無得点に抑え、8回まで1-0でオリックスリードのまま進む。9回表にはマクガフが登板。先頭の安達了一が安打で出塁すると、続く紅林の犠打をマクガフが悪送球。この間に安達が1塁から一気に生還し、追加点を挙げる[56]。3塁まで進んだ紅林は、一死後に西野の犠飛で生還。3-0とリードを広げた。投手陣は先発の山﨑福が5回を無失点。その後は宇田川、平野佳寿、山﨑颯、ワゲスパックが1回ずつを投げてそれぞれ無失点とし、シリーズでは2試合ぶり2度目となる完封勝利を収めた[57][注 5]。チームは3連勝で日本一に王手をかけた。
迎えた第7戦、初回先頭の太田椋が初球を中越本塁打とする。日本シリーズでの「初回先頭打者初球本塁打」は史上初の好記録で、いきなり先制に成功した[59]。そのまま1-0で迎えた5回表、先頭の伏見寅威が安打で出塁すると、宮城、太田の犠打をヤクルトの守備陣が二者連続で処理を誤り(記録はいずれも内野安打)、無死満塁の絶好機を作る[60]。その後、一塁手・オスナの好守で宗は併殺に打ち取られるも、中川圭が四球を選んで再び満塁となると、吉田正が押し出し死球で出塁し2-0とする[60]。なおも二死満塁から、杉本の左中間への飛球を中堅手・塩見が後逸し(当初の記録は三塁打)、走者全員が生還[60]。オリックスが5-0と一気にリードを広げた。7回までは順調に抑えていたが8回、山﨑颯が一死1、2塁から村上に適時打を浴び、続くオスナにも3点本塁打を被弾したことで5-4と1点差に追い上げられる[61]。しかし、代わって登板した比嘉幹貴が後続を抑え、1点差のまま9回に突入する。9回裏に登板したワゲスパックが三者凡退に打ち取り、オリックスが1996年以来、26年ぶり5度目の日本一に輝いた[62]。3戦以上未勝利からシリーズを制したのは1989年の巨人以来33年ぶり5度目で[63]、26年のブランクは史上6番目の長さとなった[63]。ヤクルトと対戦して日本一となったのは4度目の対戦[注 6]で史上初。また「バファローズ」の名を冠する球団の日本一は、6度目の挑戦で初となった[注 7]。シリーズMVPには、第4戦と第6戦でいずれも決勝点となる先制打を放った杉本が選出された。
[注 8]
[注 9][注 10]
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本節では、本シーズン開幕から終了までの入退団について記述する。
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1936年から1946年までは「阪急軍」(1945年は戦況悪化のため、公式戦を休止。合同チームによる非公式戦のみ開催。)1947年から1988年までは「阪急ブレーブス」1989年から1990年までは「オリックス・ブレーブス」1991年から2004年までは「オリックス・ブルーウェーブ」(2004年オフに大阪近鉄バファローズと球団合併)2005年から「オリックス・バファローズ」