秋野 公造(あきの こうぞう、1967年7月11日 - )は、日本の医師、政治家。公明党所属の参議院議員(3期)。
経歴
兵庫県神戸市生まれ。幼少時に喘息とアトピー性皮膚炎を併発。病苦がきっかけで医者を目指すこととなった[1]。白陵中学校・高等学校、長崎大学医学部卒業後、長崎大学大学院医歯薬学総合研究科修了[2]。在学中から臨床医[3]として研究に携わりつつ医師として勤務。医師として、日本内分泌学会若手研究奨励賞、ヨーロッパ組織再建学会若手研究奨励賞、日本創傷治癒学会研究奨励賞、日米創傷治癒学会第一回優秀演題賞など多くの賞を受賞する。
2006年より、長崎大学からの人事交流として2年間の予定で厚生労働省に出向。2007年、正式に厚生労働省医系技官採用試験を経て、長崎大学の籍を離れ、厚生労働省に入省するが、2008年に長崎大学客員教授に就任。
2009年、羽田空港内にある東京空港検疫所支所長に就任。同年、厚生労働省を退職。公明党の次期参議院選挙の候補者となる。
2010年7月11日に実施された第22回参議院議員通常選挙に公明党公認で比例区から立候補し初当選[4]。
2012年12月26日発足の第2次安倍内閣において環境大臣政務官兼内閣府大臣政務官に任命される[5]。2013年9月、退任。
2016年7月10日の第24回参議院議員通常選挙で再選[6]。
2022年7月10日の第26回参議院議員通常選挙では、福岡県選挙区に擁立されることとなり[7][8]、3回目の当選[9][10][11]。
2022年8月12日 第2次岸田第1次改造内閣にて財務副大臣[12][13]。400日間の任期で、2023年9月15日に退任。
人物
幼少期に喘息とアトピーに苦しんだ経験から医師を目指し長崎大学医学部へ進学。山下俊一教授のもとで、最先端の医学研究に励む。研究を続けながら、長崎県島原市にある個人病院で内科医として勤務。HTLV-I関連脊髄症に関する論文は著名なTHE LANCETに掲載されている。また、社団法人日本内分泌学会・若手研究奨励賞(2002年6月)、ヨーロッパ組織再建学会・若手研究奨励賞(2005年10月)、のちに日本創傷治癒学会研究奨励賞を受賞した。
2006年に、厚生労働省へ出向。2007年には、厚生労働省医系技官採用試験に合格。薬害HIV、薬害クロイツフェルト・ヤコブ病、ハンセン病、薬害C型肝炎に係る業務に携わる。2009年に世界的大流行(パンデミック)を起こした「新型インフルエンザ」が発生した際には、羽田空港内にある東京空港検疫所支所長に就任。羽田空港における検疫業務の陣頭指揮を取った。この際、自身も「新型インフルエンザ」に感染した。
2010年7月第22回参議院議員通常選挙に公明党公認で比例区から立候補し初当選。2022年7月、福岡県選挙区より3期目の当選。
長男とサイクリング大会に出場している。95キロのコースを走ることもある。長女とは東京の議員宿舎で二人暮らしをしている。かつては朝5時半に起きて朝食と夕食を作ることを日課としていた。
・趣味・特技はスキューバダイビング、サイクリング。剣道は五段[14][15]。中田琇士範士八段、その後、恩田浩司範士八段のもとに稽古に通っている。三線は我如古盛健に弟子入り[16]。
・好きな食べ物は野菜、果物。
・家族は妻、一男、二女の5人家族。
政策・主張
活動
- 2011年2月10日に提出した質問主意書にて国に初めて胃がんの原因をヘリコバクター・ピロリ菌と認めさせ、その結果、2013年2月21日にヘリコバクター・ピロリ感染胃炎に対して適応を拡大した上で、同日付けで保険適用が実現している[19]。保険適用後、胃がんによる死亡報告数は減少している。
- 2015年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針」いわゆる骨太の方針に「生活習慣病の合併症予防を含む重症化予防」の文言を盛り込ませて、平成28年診療報酬改定における「下肢末梢動脈疾患指導管理加算」の創設や平成30年診療報酬改定における『腎代替療法実績加算』の創設など適切な腎代替療法の推進[20]を主導。その後も積極的に日本透析医学会理事長の中元秀友と、終末期ではない透析患者の意思を尊重した腎代替療法選択の推進を行っている[21][22][23]。
- 北海道医療大学の浅香正博学長と「胃がんは『ピロリ菌除菌』でなくせる(潮出版)(潮新書)[24]」を、日本下肢救済・足病学会の大浦武彦理事長と「足病の教科書(三五館)」を、日本フットケア学会の小林修三理事長と「フットケアで寿命を延ばす(PHPエディターズ グループ)」を、日本てんかん学会の大澤真木子理事長と「てんかんの教科書(メディカルレビュー社)」を、日本透析医学会の中元秀友理事長と「やさしい腎代替療法 よりよい治療法を選択するために読む本(西村書店)[25]」「腎代替療法の未来(西村書店)[26]」、原土井病院の原寛理事長と「令和の養生訓[27]」結核予防会の島尾忠男名誉顧問と「今そこにある危機 まだ終わっていない弱者の病・結核」を発刊している。
- 参院選初出馬時に、沖縄戦を経験した仲程シゲより「議員になったらガマを掘れ。」と厳しく言われ、当選後よりガマフヤーの具志堅隆松代表と毎年少なくとも8月10日には家族総出で沖縄の遺骨収容に当たり、DNA鑑定を推進している[28][29][30][31][32][33]。
- 被爆死した伯父の無念を思い、長崎大学医学部に進学し、原爆後障害医療研究施設にて学位を取得。2012年7月24日の参議院予算委員会にて、伯父が亡くなった近くの被爆遺構である旧城山国民学校校舎に足を運び、国の文化財として保存するよう野田佳彦総理(当時)に求め[34]、野田は直後の8月9日の長崎原爆忌に秋野と城山小学校を訪れている[35]。その後、2013年8月1日に文化財に登録、2015年10月3日に国史跡として文化財の指定が実現した。さらに、2019年6月3日の参議院決算委員会においては世界遺産登録の暫定リストに追加を求める質疑を行っている[36][37]。2021年5月24日には同校内で被爆したカラスザンショウの木が枯死したことから、国の原爆死没者慰霊等事業を用いて展示・保存するよう求めて[38]、実現している。
- 厚生労働省退職後も東京HIV訴訟原告団の大平勝美と大阪HIV訴訟原告団の花井十伍との親交は続く。福島県立医大総括副学長の大戸斉によるフィブリノゲン製剤の適応拡大を目指す呼びかけに対して、大平、花井とともに大戸斉福島県立医科大学総括副学長をはじめとする専門家と、三学会(日本産婦人科・新生児血液学会、日本心臓血管外科学会、日本輸血・細胞治療学会)合同シンポジウム[39]、また三学会(日本輸血・細胞治療学会、日本産科婦人科学会、日本心臓血管外科学会)合同特別討論会にて議論し、合意形成に至る[40]。専門家と患者の議論をふまえ、2018年4月23日の参議院決算委員会にて、フィブリノゲンの適応拡大について質し、宮本周司医薬・生活衛生局長は「新しい知見を含めて検討する」と応じ、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において議論がなされ、2020年2月21日に、医療上の必要性が高いと判断された。その後、3月30日に厚生労働省から一般社団法人日本血液製剤機構に対して開発要請がなされている。8月4日に厚生労働省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」は、産科危機的出血と心臓血管手術に伴う後天性低後天性フィブリノゲン血症もに対する適応拡大は公知申請が妥当との結論付けた。大平が逝去した後も、大平の妻・三千子と花井とともにフィブリノゲンの適応拡大に取り組んだ。日本輸血・細胞療法学会は2020年12月26日には、大平・花井・秋野の3名に大戸特別功労賞[41]を授与している。2021年9月6日に、フィブリノゲンの効能・効果に産科危機的出血に伴う後天性低フィブリノゲン血症に対するフィブリノゲンの補充追加された。
- 顧みられない熱帯病(NTDs) :2019年11月7日の参議院外交防衛委員会にて、アフリカや中南米で深刻な問題となっている寄生虫による皮膚感染症「スナノミ症」をWHOが定める「顧みられない熱帯病(NTDs)」に位置付けるべきと質した。稲津久厚生労働副大臣は「秋野議員の指摘を受けて、事務方がWHOに働きかけを行ったと承知している。その結果、「スナノミ症」について「顧みられない熱帯病(NTDs)」に含まれるとする世界保健機関(WHO)の見解を日本政府として初めて確認した。」と答弁を行った[42][43][44]。日本の提案によりスナノミがNTDsに位置付けられたのは画期的な取り組みである。
- 松あきら元参院議員とともに、杉良太郎に「国の肝炎対策に協力してほしい」と依頼。杉は厚生労働省肝炎対策国民運動特別参与として活動することになる。杉が厚生労働大臣から健康行政特別参与を委嘱されるとともに顕彰状が贈呈された際には同席している[45][46]。
- 新型コロナウイルス感染症対策においては、2009年の新型インフルエンザのパンデミック時に東京空港検疫所支所長として対応に当たった経験を活かして、また長崎大学の河野茂学長をはじめ専門家より医学的な後押しを得て、積極的に政策提言を行っている[47][48]。3月9日の参院予算委員会においてレムデシビルの活用を求め、稲津久厚生労働副大臣が国際共同治験に参加する方針を示した[49]ことで、5月7日にレムデシビルは特例承認されて、我が国初の新型コロナウイルス感染症に効能・効果を持つ医薬品となった。結果として、米国よりも早く承認されることになった。また、軽症者等に対してパルスオキシメーターを用いて酸素飽和度と呼吸数を測定して、重症化の端緒を早期に発見することで適切な搬送を行うとする山口那津男公明党代表と秋野の提案が厚労省の「新型コロナウイルス感染症の軽症者等の宿泊療養マニュアル」に反映されている[50][51][52][53]。7月16日の参院予算委員会においてワクチンの確保に予備費を活用するよう求め、稲津久厚生労働副大臣が「予備費の活用も含めて、対策を果断に進める」といち早く答弁した[54]ことで、国のワクチン交渉が進むことになった。
- 議員立法「生殖補助医療の提供等及びこれにより出生した子の親子関係に関する民法の特例に関する法律案(第二〇三回参第一三号 秋野公造君外4名)[55][56]」を古川俊治、石橋通宏、梅村聡、伊藤孝恵とともに2020年11月16日に参院に提出[57][58][59][60][61]。11月20日に参議院本会議にて可決され[62]、衆院送付。12月4日に衆議院本会議にて可決され、成立した[63]。
- 2021年3月23日の参議院財政金融委員会においては、剣道を防具も含め文化財とするよう求める質疑を行った。文化庁の榎本剛審議官は「順次、検討に着手する」と答弁した[14]。中田琇士範士八段、その後、恩田浩司範士八段のもとに稽古に通っている。財務省剣道部顧問。
- 財務副大臣として、2022年3月9日の参院財政金融委員会において、日本銀行の金融政策に対して、黒田総裁の発言を引用する形で、「市場との対話は重要。これは私たちも強調しておきたい」と踏み込んだ答弁を行っている[64]。
- 2021年6月18日の参議院財政金融委員会においては、『感染性肺炎は感染症対策部が所管する』旨の答弁を引き出した[65]うえで、『肺炎の日』または『肺炎啓発ウィーク』などを設定して、死因の4位を占める肺炎と5位を占める誤嚥性肺炎について啓発を強化する提案を行った[66]。厚生労働省の佐々木昌弘感染症対策部長は『啓発期間の設定を検討したい』と応じ、9月24日から30日を呼吸器感染症予防週間とする事務次官通知が7月26日に発出された。9月29日には、日本感染症学会、日本化学療法学会、日本呼吸器学会による啓発イベントが開催されている[67]。
- 2024年9月8日に開催された小倉剣道連盟主催の武道祭にて東西対抗戦に出場し、敢闘賞を受賞している。
現在の役職
公明党
- 参議院政策審議会長
- 九州方面本部長
- 非破壊検査技術振興議員懇話会会長
- 浄化槽整備推進議員懇話会会長
- がん対策推進本部長
- 医療制度委員会委員長
- 死因究明等対策プロジェクトチーム座長
- 生殖補助医療に関する法整備等検討プロジェクトチーム座長[60]
- 音楽療法推進プロジェクトチーム座長
- 長崎県本部顧問
参議院
- 厚生労働委員会 理事
- 政府開発援助等及び沖縄・北方問題に関する特別委員会 委員
過去の役職
内閣
参議院
公明党
・参議院国会対策委員長[68][60][3]
・中央幹事
所属議員連盟
- 国際基準のタバコ対策を推進する議員連盟(幹事)[69]
- ワクチンを活用して疾病の予防、罹患率の減少を目指し、国民の健康増進を推進する議員の会(ワクチン予防議連)事務局長
- 生殖補助医療の在り方を考える議員連盟[70][71](幹事長)
- 成育医療等基本法成立に向けた議員連盟(幹事長)
- 脳卒中・循環器病対策フォローアップ議員連盟(幹事長)
- 顧みられない熱帯病(NTDs)の根絶を目指す議員連盟(事務局長)[72]
- ストップ結核パートナーシップ推進議員連盟(事務局長)[73]
- 自転車活用推進議員連盟(幹事)
- 武道議員連盟
選挙歴
脚注
関連項目
外部リンク
ウィキメディア・コモンズには、
秋野公造に関連するカテゴリがあります。
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第1回 (定数6) |
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↓:途中辞職、失職、在職中死去など、↑:補欠選挙で当選。 |
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↓:途中辞職・在職中死去など、▼:除名、↑:繰上げ当選、x:繰上げなし |