栃木県立宇都宮高等学校(とちぎけんりつ うつのみやこうとうがっこう, 英: Tochigi Prefectural Utsunomiya High School)は、栃木県宇都宮市滝の原三丁目にある県立高等学校。通称は宇高()、UTK。
概観
歴史
1879年(明治12年)創立の「栃木中学校」(旧制中学校)を前身とし、1948年(昭和23年)の学制改革で新制高等学校となった。栃木県内の旧制中学校を前身とする高等学校の中では最も長い歴史を持ち、2019年(平成31年)に創立140周年を迎えた。
校地
校地のある地名から「瀧(滝)の原」とも呼ばれ、校訓「瀧の原精神 / 主義」を体現すべく学生を「滝の原健児」と呼ぶことがある。
滝の原は原野と雑木林を切り開いた土地であり、敷地の一角をJR日光線が横断しており、日光線の北側は現在と同様に普通科に供されていたが、南側は農業科の用地として使用されていた。軌道付設当時、特にフェンスなどで囲まれていたわけでもなく、敷地内は軌道を横断して行き来することができた。後年、安全面からフェンスで防護され、現第1グラウンドと第2グラウンドの間は一度敷地を出た上で栃木街道の高架を利用して移動する形となった。
設置課程・学科
生徒指標(校訓)
- 「和敬信愛」・「質実剛健」・「自律自治」・「進取究明」(1945年(昭和20年)12月制定)
瀧の原主義
創期の校長、笹川臨風によって提唱された生徒のあるべき姿。戦後制定された上記の生徒指標(校訓)にも色濃く影響を残している。校内にはその碑文が残されている。
- 「瀧の原主義
- 瀧の原主義とは何ぞ
- 瀧の原男兒(児)の本領を云う
- 瀧の原主義は人物を作らんとするにあり
- 剛健なる眞男子を作らんとするにあり
- 浮華輕俗なる時代精神に反抗せんがために
- 否、寧ろ之を救濟せんがために
- 瀧の原男兒を作り上げんとするなり
- 明治四十年十二月
- 文学博士 臨風 笹川種郎」
- 校章
- 校歌
- 作詞は大木惇夫、作曲は信時潔による。歌詞は3番まである。校名は歌詞に登場しないが、生徒指標の「自律」・「和敬」・「進取」が登場する。
- 同窓会
- 「宇高同窓会」と称している。
制服(全日制)
- 襟には、自分から見て左に小ぶりの校章バッジをつけ、右襟に白い大型のローマ数字で所属学年を表示する。
- 夏服 - 胸ポケットに校章をつけた白ワイシャツ、下は黒ズボンとなる。
通学者
宇都宮市出身者が大半を占めているが、鹿沼市や壬生町、下野市、上三川町、芳賀町、高根沢町、さくら市といった近隣の市町村からの通学者も多い。また、矢板市や那須塩原市、塩谷町、那須烏山市、日光市、小山市といった遠方からの通学者もいる。
かつては学区制度があり、宇都宮市[1]・壬生町・下野市[2]・上三川町・芳賀町・高根沢町・さくら市[3]の3市4町以外の市町村の出身者は定員の25%までしか認められなかった。学区制度は2014年度入試(2015年度入学生)より廃止された。
沿革
宇都宮高校の沿革は以下のとおり[4][5]。
- 旧制中学校時代
- 1879年(明治12年)
- 1881年(明治14年)5月 - 栃木県第一女子中学校を統合し、女学部とする。
- 1885年(明治18年)
- 1886年(明治19年)9月27日 - 中学校令により「栃木縣尋常中学校」と改称。
- 1893年(明治26年)
- 1896年(明治29年)4月 - 栃木分校を設置。
- 1899年(明治32年)4月1日 - 「栃木縣立第一中學校」と改称。栃木分校が分離し、栃木縣第二中學校として独立。
- 1901年(明治34年)5月17日 - 「栃木縣立宇都宮中學校」と改称。
- 1907年(明治40年)12月 - 当時の校長、笹川臨風により瀧の原主義が提唱される。
- 1921年(大正10年)4月1日 - 生徒定員を1,000名(20学級)とする。
- 1943年(昭和18年)4月1日 - 中等学校令の施行により、この年の入学生から修業年限が4年に短縮される。
- 1945年(昭和20年)
- 4月1日 - 教育ニ関スル戦時非常措置方策により、中等学校令公布前に入学した生徒にも修業年限4年が適用され、昭和20年度の全授業が停止される。
- 5月22日 - 戦時教育令により、全授業の無期限停止が決定する。
- 9月 - 終戦に伴い、授業を再開。
- 12月 - 生徒指標を制定。
- 1946年(昭和21年)4月1日 - 修業年限が5年に戻る。
- 1947年(昭和22年)4月1日 - 学制改革(六・三制の実施、新制中学校の発足)
- 旧制中学校の生徒募集を停止。
- 新制中学校を併設し(名称:栃木県立宇都宮中学校併設中学校、以下・併設中学校)、旧制中学校1・2年修了者を新制中学校2・3年生として収容。
- 併設中学校は経過措置のためあくまで暫定的に設置されたもので、新たに生徒募集は行われず、在校生が2・3年生のみの中学校であった。
- 旧制中学校3・4年修了者はそのまま旧制中学校在籍で、4・5年生となった(4年で卒業することもできた)。
- 新制高等学校
学校行事(全日制)
- 集団旅行の草分け
- 1882年(明治15年)の栃木県第一中学校時代に、当時の生徒が教師引率のもとで東京上野で開かれた「第二回勧業博覧会」を見学した。この旅行は日本での学生・生徒の集団旅行の草分けともいわれており、現在まで続く修学旅行の起源の一つと言われている(詳細は修学旅行を参照)。
- 交響曲第9番 (ベートーヴェン)の高校生全楽章初演
- 近年ベートーベンの第九演奏会が恒例となっているが、その発端は1970年(昭和45年)にベートーヴェン生誕二百年を記念して、第九の高校生(管弦楽団・合唱)による全楽章初演を行ったことにさかのぼる。なお女声合唱は宇都宮女子高等学校合唱団に依頼した。
- 2回目の全楽章演奏は宇都宮高校創立百周年を記念して、1978年(昭和53年)9月6日に行われた。管弦楽は宇都宮高校管弦楽団、合唱:3年音楽専修生・氏家高等学校(後のさくら清修高等学校の前身の一校)合唱団・真岡女子高等学校合唱団・石橋高等学校合唱団、指揮、ソリスト(アルトを除く)も県内高校音楽教師が行っている[7]。
- 第九演奏会
- 毎年12月下旬に宇都宮女子高との共催でベートーベンの第九第4楽章をメインとする演奏会が行われる。宇都宮高校の音楽部管弦楽団・合唱団、宇都宮女子高校のオーケストラ部・合唱部が中心となり、両校の第2学年の音楽受講者も授業の一環として合唱に加わる。第九の独唱パートは、県内の音楽科教員が担当する。第九は、オリジナルのドイツ語で歌われる。また、ヘンデルのハレルヤ・コーラスも毎年演奏されている。両校それぞれの合唱部の演奏や、両校合同のオーケストラのみの演奏も行われる。[8]。
- マラソン大会
- 毎年11月にマラソン大会が行われる。宇都宮高校をスタートし、日光線鶴田駅、姿川地区、鹿沼市上石川地区を周回して鶴田駅に戻り本校をゴールとする、総延長17.3kmのコースを全校生徒が一斉に走る。文武両道、質実剛健を指標とする宇都宮高校を代表する学校行事の一つ。(コースは時々の事情により途中部分で若干変更される場合があり、その度に距離も変化する。)
- 六校会
- 年2回、栃木県立高校6校(宇都宮、宇都宮女子、栃木、栃木女子、佐野、宇中央)の生徒会役員が集まり、生徒会の意義や活動等について懇談する会[9]。
部活動(全日制)
- 運動部
- 1950年(昭和25年)に、第29回全国高等学校蹴球選手権大会(現在の全国高等学校サッカー選手権大会)で優勝。
- 明治年間より野球部を擁する。1896年(明治29年)10月17日、栃木県宇都宮旧城内広場(現在の宇都宮城址公園付近)で行われた水戸中学(現在の水戸一高)と宇都宮中学の試合は、旧制中学野球部同士の最初の試合とされる[10][11]。また、宇都宮中学で英語講師を務めていた川上澄生(木版画家)が野球部副部長を務めていた1924年(大正13年)には、第10回全国中等学校優勝野球大会(現在の全国高等学校野球選手権大会)に出場して栃木県代表として甲子園初勝利をあげ、ベスト8の成績を収めている。ただしそれ以降は現在まで甲子園に出場していない。なお、早稲田大学野球部は、1902年(明治35年)に創立初めての夏季練習を宇都宮中学校で行っている[12]。OBとして青井鉞男、君島一郎(ともに野球殿堂入り)などがいる。
- 文化部
- 同好会
- 全国高等学校クイズ選手権第9回(1989年)大会で優勝。全国高等学校サッカー選手権大会と全国高等学校クイズ選手権の両方で、優勝を達成した最初の学校となった(後に埼玉県立浦和高等学校と京都府立洛北高等学校・附属中学校[13]も達成している)。
アクセス
著名な出身者・関係者
出身者
- 芸術・文化
- 芸能
- スポーツ
- マスコミ
- 学者・医療
- 政治
- 行政
- 司法
- 経済
- その他
関係者
- 留学生
- 教員
- 笹川臨風 - 学校長(明治36年6月 - 明治40年12月)/歴史家・評論家
- 川上澄生 - 版画家
脚注
関連項目
外部リンク
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2010年代 |
- 2010(第30回):開成
- 2011(第31回):開成
- 2012(第32回):開成
- 2013(第33回):慶應義塾
- 2014(第34回):洛北
- 2015(第35回):県立浦和
- 2016(第36回):灘
- 2017(第37回):桜丘
- 2018(第38回):桜丘
- 2019(第39回):洛北
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