北陸電力株式会社(ほくりくでんりょく、英: Hokuriku Electric Power Company)は、富山県富山市に本店を置く電力会社。
略称は地元北陸地区においては北電(ほくでん)だが、全国的には北海道電力との区別のため陸電(りくでん)と略される。公式ウェブサイトのドメイン名も「rikuden.co.jp」となっている。また、株式市場などでは「北陸電」と呼ばれる場合がある。2019年3月からコーポレートメッセージとして、「こたえていく。かなえていく。」を使用している。
現在のシンボルマークは、北陸電力の頭文字の「H」をモチーフとして、PowerとIntelligenceを表す2本の柱と、先進性を示す右上がりの斜線帯の3要素で構成し、21世紀に向けて飛躍するイメージや北陸3地域が一体となって発展していくイメージを表現している[5]。
概要
北陸地方は中部山岳地帯に接する地理条件によって水力発電開発が戦前から盛んであり、有力な地方電力会社が多く存在すると共に、電力の廉価な大量供給を行うことで地域内に電気精錬などの電力多消費型産業の発達を促してきた歴史がある。このため、戦中戦後の電力統制下でも地方電力ブロックとしての独立的な地位を保ち、1951年の電気事業再編時に際しても北陸電力は他ブロックから独立した企業として成立し得た。
戦後は庄川や黒部川に建設された従来の水力発電所の大半が関西電力に引き渡されたことから(日本電力が開発したためだが、神通川については宮川(本流のうち、高原川との合流点より上流)を除き、例外とされた)電力が著しく不足し、1950年代から1960年代にかけて神通川や常願寺川でのダム開発が行われ、1980年代までに水力発電所が多数建設された。このため、水力発電のウエイトは比較的大きい傾向がある。その傍らで電力の消費量も増加したため、火力発電所の開発も同時進行で進められ(1964年に完成した富山火力発電所1号機が自社初である)、地域に必要な電力を確保することができた。1993年、自社初の原子力発電所を運用開始したが、買収予定用地の問題や予定地のコンセンサス形成が遅れたことで計画が大幅に遅延したため全国的には遅い導入である[6]。
2001年および2004年、赤字を解消する目的で老朽化した火力発電所を廃止しており、富山火力発電所1~3号機、福井火力発電所1号機が廃止された。これらは全て石油火力であり、特に福井火力発電所は大気汚染の原因としても問題視されていた。また、2006年に志賀原子力発電所2号機が完成したが、1号機2号機とも当初からの運転期間はごく僅かであり、同社の発電実績に貢献しないばかりか大きな負担となっている。
沿革
営業地域
富山県、石川県、福井県の一部(美浜町以西を除く)、岐阜県の一部(飛騨市と郡上市の一部)、関東地方を対象として電力小売事業を行なっている。
また、富山県、石川県、福井県、岐阜県に発電所を保有し発電事業を行なっている。
発電施設
合計 142箇所、824万7000kW(2020年3月31日時点)[40]
水力発電所
131箇所、193万2000kW(いずれも2020年3月31日時点)[40]
火力発電所
6箇所、456万5000kW(いずれも2020年3月31日時点)[40]
発電所名 |
使用燃料 |
総出力 |
号機 |
出力 |
運転開始 |
所在地 |
備考
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富山火力発電所 |
重油、原油 |
25万kW |
4号機 |
25万kW |
1971年1月 |
富山県富山市 |
1~3号機は廃止。
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富山新港火力発電所 |
石炭 |
192.47万kW |
石炭1号機 石炭2号機 |
25万kW 25万kW |
1971年9月 1972年6月 |
富山県射水市 |
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原油 |
1号機 2号機 |
50万kW 50万kW |
1974年10月 1981年11月 |
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LNG |
LNG1号機 |
42.47万kW |
2018年11月21日 |
LNG1号機はCC方式。
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七尾大田火力発電所 |
石炭、木質バイオマス |
120万kW |
1号機 2号機 |
50万kW 70万kW |
1995年3月 1998年7月 |
石川県七尾市 |
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福井火力発電所 |
重油、原油 |
25万kW |
三国1号機 |
25万kW |
1978年9月 |
福井県坂井市 |
1号機は廃止。
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敦賀火力発電所 |
石炭、木質バイオマス |
120万kW |
1号機 2号機 |
50万kW 70万kW |
1991年10月 2000年9月 |
福井県敦賀市 |
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舳倉島発電所 |
重油、軽油 |
288kW |
1号機 2号機 3号機 |
96kW 96kW 96kW |
1992年7月 1987年7月 1978年10月 |
石川県輪島市 |
内燃力発電方式。
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舳倉島発電所は、2020年4月1日に北陸電力送配電へ譲渡。
原子力発電所
1箇所、174万6000kW(2020年3月31日時点)[40]
- * 整流板を設置して運転の場合。
新エネルギー
7箇所、9,400kW(関連会社経営の発電所を除く)
関連会社運営
過去および建設中止された発電施設
水力発電所
発電所名 |
水系名 |
方式 |
総出力 |
廃止時期 |
所在地
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犀川発電所 |
犀川 |
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1965年 |
石川県金沢市
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辰巳発電所 |
犀川 |
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1965年 |
石川県金沢市
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小原発電所 |
犀川 |
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1965年 |
石川県金沢市
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小矢部第1発電所(当時名称【旧称:小院瀬見発電所】) |
小矢部川 |
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800kW |
1965年7月4日 |
富山県南砺市(旧福光町小院瀬見)
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- 河川総合開発計画などにより廃止。なお、犀川発電所は施設を再利用して金沢エナジーの新寺津発電所として運用されている。
火力発電所
発電所名 |
使用燃料 |
総出力 |
廃止時期 |
所在地 |
備考
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富山発電所 |
石炭 |
1万kW[14] |
1959年 |
富山県富山市 |
創業当時からの発電所。1959年7月7日に興国人絹パルプ(現・興人)に譲渡。発電所運用は1980年に終了。
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金沢火力発電所 |
重油、原油(予定) |
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計画中止 |
石川県河北郡内灘町 |
反対運動により建設断念。
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七尾火力発電所 |
重油、原油(予定) |
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計画中止 |
石川県七尾市 |
金沢火力発電所の代替案。反対運動により建設断念。
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原子力発電所
発電所名 |
原子炉型式 |
総出力 |
廃止時期 |
所在地 |
備考
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珠洲原子力発電所 |
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計画中止 |
石川県珠洲市 |
2003年計画凍結。関西電力および中部電力との共同運営が予定されていた。
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事業所
詳細は、公式サイトの会社概要 主な事業所を参照。
- 本店 - 富山県富山市牛島町15番1号
- 東京支社 - 東京都千代田区霞が関3-2-1 霞が関コモンゲート西館24階
- 技術開発研究所 - 富山
- 研修センター - 富山
展示・PR施設
現在
ギャラリー
過去
- 北陸電力リビングサービスとの共同展示施設(オール電化住宅ショールーム)
2018年3月31日ですべて閉鎖された[42]。
- エルフプラザ富山(富山県富山市)
- エルフプラザ高岡(富山県高岡市)
- エルフプラザ新川(富山県黒部市)
- エルフ金沢(石川県金沢市)
- エルフプラザ七尾(石川県七尾市)
- エルフプラザ福井(福井県福井市)
- エルフプラザ丹南(福井県鯖江市)
主なグループ企業・団体
詳細は、公式サイトの北陸電力グループのご紹介を参照。
子会社
太字は連結子会社(2020年3月31日時点)[40]。
関連会社
太字は持分法適用会社(2020年3月31日時点)[40]。
関連団体
広告活動
提供番組
他の電力会社と比較しても提供する番組数は少なく、主にミニ番組での提供が中心となっている。2007年の志賀原子力発電所の臨界事故隠蔽が発覚してからは一時期広報活動を自粛したこともあり、全般的に提供番組は縮小傾向にある。また、一部の提供する番組ではCMが放送されず、提供クレジット表示のみの番組があった。
2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)に伴い、震災発生後から5月まですべての番組提供およびCM放送を見合わせた。その後6月1日からは、対象番組で節電を呼び掛ける内容の社告形式のCMを放送したが、番組提供はこれ以降も見合わせた。2012年4月からは定時番組での番組提供およびCM放送をすべて取り止め、原則としてスポットCMの放送のみに切り替えている。
2019年時点では、ラジオ番組において提供番組が放送されているものの、テレビにおいてはCMが放送される番組でもすべてPT扱いとなっている。
現在
- ラバーズ・コンチェルト(ラジオたかおか) - 系列の石川県内の3局(ラジオかなざわ・ラジオこまつ・ラジオななお)にもネット。2019年5月までは、北陸電力が唯一提供する番組であった。
- 北陸電力プレゼンツ CHIKOの"こたかな"[43](富山エフエム放送) - 2019年6月から放送。番組名の「こたかな」とは、北陸電力のコーポレートメッセージとして採用されている「こたえていく。かなえていく。」の略語から。
過去
太字の番組名は北陸電力が制作するものを表す(広告代理店が制作するものも含む)。
CM出演者など
※印は北陸電力リビングサービスでも起用。☆印はCMソングも手掛けていることを表す。
- その他
主な出資企業
北陸電力が出資している主な企業は以下の通り。
天下り問題
福島第一原子力発電所事故以降、経済産業省と電力会社の天下り問題が監督官庁である経産省の原子力発電所の安全基準のチェックを甘くさせる構造として批判が集まった。
ほくリンク
2015年4月に北陸電力の加入者向けにサービスを開始した「北陸電力サービス会員制度」が元になっており、翌年の1月8日に「ほくリンク」に名称を変更した。サービスの詳細はほくリンクのご紹介を参照。2020年時点で、加入者向けの割引サービスには主に以下のものがある。
社史
- 北陸電力10年史(1962年4月30日発行)[52]
- 北陸電力20年史(1972年3月31日発行)[53]
- 北陸電力30年史(1982年3月20日発行)
- 北陸電力40年史(1992年3月19日発行)
- 北陸電力50年史(2001年11月発行)
- 北陸電力60年史(2012年2月発行)
- 北陸電力70年史(2021年11月発行)
脚注
関連項目
外部リンク
ウィキメディア・コモンズには、
北陸電力に関連するカテゴリがあります。