ビッグコミックスピリッツ
『週刊ビッグコミックスピリッツ』は、小学館が発行する日本の週刊青年漫画雑誌。1980年10月創刊[1]。毎週月曜日発売。『ビッグスピリッツ』と略されることもある[2]。
創刊編集長は白井勝也。創刊当初は月刊(毎月14日発売)だったが、1981年6月から15日と30日の月2回発売に。1986年4月からは週刊となっている。2021年6月時点での編集長は石田貴信[3]。単行本はビッグコミックスレーベルで発売される。
概要
ビッグコミック系の中では対象年齢がもっとも低く、『週刊少年サンデー』の青年誌版、『週刊ヤングジャンプ』『週刊ヤングマガジン』と競合するヤング誌として創刊された。初期は宮谷一彦や谷口ジローを起用するなど、劇画志向も強かったが、たがみよしひさ『軽井沢シンドローム』、高橋留美子『めぞん一刻』などのヒットから、少年誌系の絵柄で青年漫画を描く作品が増えた。
表紙には、1985年から2001年まで佐久間良一によるイラスト(果物や野菜の擬人化)、2002年から女性アイドル・女優・女性アナウンサーなどをモデルに起用したグラビアが用いられている。水着姿の映ったグラビア写真の使用は他誌より抑えられているが、B2サイズのピンナップが付くこともある。
青年向けの雑誌であるため、テレビアニメ化された作品は『YAWARA!』『F-エフ』『美味しんぼ』『クマのプー太郎』『バケツでごはん』『ギャラリーフェイク』など、ごく一部に留まっている。その一方で、『東京ラブストーリー』『あすなろ白書』『東京大学物語』『いいひと。』『あさひなぐ』『土竜の唄』『アイアムアヒーロー』『トクサツガガガ』など、実写化された作品が多い[注釈 2]。
漫画家の呼称は「先生」ではなく「氏」に統一し、単行本も完結していない作品は「巻」ではなく「集」表記に統一されているが、編集者により見解の相違があり、完結の有無を問わず「集」表記にする場合があったり、通常は「巻」表記であるコミックスも「集」表記にする場合がある。
分類上はビッグコミック系に属しているが、創刊の経緯から、人事面で『週刊少年サンデー』との関係が強く、高橋留美子、細野不二彦、六田登、藤田和日郎、藤木俊など、同誌で連載していた漫画家が本誌で連載することが多い。
装丁・デザインは長らく他の小学館の漫画雑誌と同様にベイブリッジ・スタジオが担当していたが、2003年以降は全体的にロケット・ボムへ変更され、さらに2008年41号以降はZASSOに変更された。しかし、漫画家がコズフィッシュなど他のデザイナーを指定する場合もある。
2008年9月より、『週刊ヤングサンデー』の休刊に伴い、同誌から連載漫画の半分ほどが移籍。それに合わせて新装刊を行い、タイトルロゴも一新した。新装刊当初はグラビアを減らす方針で[4]、2010年までは連載作品が全面的に表紙を飾るケースもあった。合併後は作品数の増加などにより、連載作品の休載が多くなっている(毎号5作品以上の休載が常態化=2020年9月現在)。連載形態の複雑化もあってか、いくつかの作品の単行本化で雑誌連載時の話数、副題が異なる現象も発生している。
増刊・派生誌
- ビッグコミックスピリッツ21
- 1993年頃発行された増刊。
- 月刊IKKI
- 2000年11月から隔月で『スピリッツ増刊IKKI』として発行されたが、2003年2月に独立・リニューアル新創刊、また月刊化された。2014年9月で休刊となった。
- ヒバナ
- 2015年3月に月刊の増刊として創刊された。『月刊IKKI』連載作品の一部が同誌で連載を再開している。2017年8月で刊行終了となった。
- YSスペシャル
- 新装刊前後の2008年9月から2009年1月にかけて月刊で発売された増刊。既存誌に移籍しなかった『週刊ヤングサンデー』連載作品を中心に掲載した(作品については『週刊ヤングサンデー』の項目を参照)。
- 月刊!スピリッツ
- 2009年8月に『週刊ヤングサンデー』(や『YSスペシャル』)の実質的な後継誌として創刊された。本誌との間での作品の移籍が双方向で行われており、連載作品の単行本は本誌と同じくビッグコミックス(ビッグスピリッツコミックス)より発行される。
歴代編集長
- 白井勝也(1980年 - 1990年)
- 亀井修(1990年 - 1996年)
- 久保田滋夫(1996年 - 1998年)
- 片寄聰(1998年 - 1999年7月)
- 長崎尚志(1999年8月 - 2001年7月)
- 武藤伸之(2001年8月 - 2003年7月)
- 立川義剛(2003年8月 - 2010年7月)
- 堀靖樹(2010年8月 - 2013年5月)
- 村山広(2013年6月 - 2016年5月)
- 坪内崇[5](2016年5月 - )
- 石田貴信(2020年10月[3] - )
現在の連載
2024年11月18日(2024年51号)現在連載中の作品。
作品名 |
作者(作画) |
原作など |
開始号 |
備考
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きまくれこんせふと気まぐれコンセプト |
ほいちよい ふろたくしよんすホイチョイ プロダクションズ |
- |
1981年14号 |
掲載順は巻末に固定
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もくらのうた土竜の唄 |
たかはし のほる高橋のぼる |
- |
2008年41号 |
『週刊ヤングサンデー』 より移籍
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ほうきやくのさちこ忘却のサチコ |
あへ しゆん阿部潤 |
- |
2014年37・38合併号 |
隔週連載
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あおあしアオアシ |
こはやし ゆうこ小林有吾 |
− |
2015年6号 |
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たんすたんすたんすーるダンス・ダンス・ダンスール |
しよおし あさくらジョージ朝倉 |
- |
2015年42・43合併号 |
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ふうとたんてい風都探偵 |
さとう まさき佐藤まさき(作画) |
いしのもり しようたろう石ノ森章太郎(原作) さんしよう りく三条陸(脚本) つかた ひてあき塚田英明(監修) てらた かつや寺田克也 (クリーチャーデザイン) |
2017年36・37合併号 |
『仮面ライダーW』の続編 毎号連載 → 隔週連載[6]
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おわかれほすひたるお別れホスピタル |
おきた はつか沖田×華 |
- |
2018年4・5合併号 |
月一連載
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くうねるまるたぬうほくーねるまるた ぬーぼ |
たかお しんく高尾じんぐ |
- |
2018年13号 |
『くーねるまるた』の続編
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しんくろうはしる新九郎、奔る! |
ゆうきまさみゆうきまさみ |
- |
2020年7号 |
『月刊!スピリッツ』より移籍 隔週連載
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くしようのたいさい九条の大罪 |
まなへ しようへい真鍋昌平 |
- |
2020年46号 |
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ひらやすみひらやすみ |
しんそう けいこ真造圭伍 |
- |
2021年21・22合併号 |
隔週連載
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れせるはんレ・セルバン |
はまた こうすけ濱田浩輔 |
- |
2022年6号 |
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しよくふつひようりかくはあすのきみをねかう植物病理学は明日の君を願う |
たけよし みのる竹良実 |
- |
2022年43号 |
月一連載[7]
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はいはいようしみすいろ胚培養士ミズイロ |
おかさき まりおかざき真里 |
- |
2022年44号 |
毎号連載 → 隔週連載[8]
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こめくらふうふのれしひちよう米蔵夫婦のレシピ帳 |
片山ユキオ |
- |
2022年51号 |
→隔週連載[9]
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ろつへんROPPEN-六篇- |
みやした あきら宮下暁 |
- |
2023年4・5合併号 |
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このよはたたかうかちかあるこの世は戦う価値がある |
こたま はつみこだまはつみ |
- |
2023年20号 |
隔週連載[10]
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ゆめなしせんせいのしんろしとう夢なし先生の進路指導 |
かさはら まさき笠原真樹 |
- |
2023年21・22合併号 |
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ろほうのふしいいたいなるほんしんからのたより路傍のフジイ 〜偉大なる凡人からの便り〜 |
なへ くらお鍋倉夫 |
- |
2023年24号 |
毎号連載 → 隔週連載[11]
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ほくのまなむすめぼくの魔なむすめ |
さんかく へつとサンカクヘッド |
- |
2024年12号 |
隔週連載[12]
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けむりいろのまほろは煙色のまほろば |
ことう うとん後藤うどん |
- |
2024年13号 |
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すうはあすたあをうたつてスーパースターを唄って。 |
うすは けい薄場圭 |
- |
2024年18号 |
『月刊!スピリッツ』より移籍[13]
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こくほう国宝 |
みくに のりあき三国史明 |
よした しゆういち吉田修一(原作) |
2024年23号 |
隔週連載[14]
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そういういえのこのはなしそういう家の子の話 |
しむら たかこ志村貴子 |
- |
2024年26号 |
月一連載[15]
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ありすとこまてもありす、宇宙までも |
うりの きこ売野機子 |
- |
2024年27号 |
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さよならたいやもんとさよならダイヤモンド |
ひるつか みやこ蛭塚都 |
- |
2024年28号 |
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ここのおいしいやくせんにつき午後のおいしい薬膳日記 |
ここ午後 |
- |
2024年29号 |
月一連載[16]
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こくりつごくりっ |
まえはら たける前原タケル |
- |
2024年30号 |
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よしたれもんとろつふすヨシダ檸檬ドロップス |
わかき たみき若木民喜 |
- |
2024年36・37合併号 |
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みゆうすMUSE |
きやま みすき鬼山瑞樹 |
- |
2024年41・42合併号 |
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しすたれしすたしすたれじすた |
おしろ まことオジロマコト |
おかた まり岡田麿里(原作) |
2024年43号 |
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やもうとかかたるふしきなはなしさんかい山人が語る不思議な話 山怪朱 |
みすたに みとり水谷緑 |
たなか やすひろ田中康弘(原作) |
2024年47号 |
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休載中
過去の連載
あ行
か行
さ行
た行
な行
は行
ま行
や行
ら行
わ行
映像化作品
アニメ化
ドラマ化
Webドラマ
作品
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配信年
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制作
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伝染るんです。
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2009年
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株式会社オズ 電通テック
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東京ラブストーリー
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2020年
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フジテレビ
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結婚するって、本当ですか
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2022年
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The icon
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七夕の国
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2024年
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Pipeline 東映
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実写映画化
オリジナルビデオ(Vシネマ)
作品
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公開年
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監督
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配給
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備考
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伝染るんです。
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1992年
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吉良敬三 田中範一
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—
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アニメパートと実写パートによる構成
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冒険してもいい頃
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1992年-1993年
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小林要
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—
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主演のキャストは各巻ごとに変更
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DINO
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1994年
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吉村典久
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—
|
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江戸むらさき特急
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1995年
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山城新伍
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—
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THE3名様
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2005年-2009年
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福田雄一
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—
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発行部数
- 2004年(2003年9月 - 2004年8月) 460,354部[22]
- 2005年(2004年9月 - 2005年8月) 416,625部[22]
- 2006年(2005年9月 - 2006年8月) 394,042部[22]
- 2007年(2006年9月 - 2007年8月) 373,500部[22]
- 2008年(2007年10月 - 2008年9月) 355,062部[22]
発行部数(2008年4月以降) 一般社団法人 日本雑誌協会
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1月 - 3月 |
4月 - 6月 |
7月 - 9月 |
10月 - 12月
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2008年
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346,750 部 |
360,750 部 |
318,834 部
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2009年
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308,750 部 |
299,167 部 |
288,917 部 |
275,417 部
|
2010年
|
257,834 部 |
253,917 部 |
251,834 部 |
251,667 部
|
2011年
|
248,250 部 |
244,000 部 |
241,834 部 |
241,417 部
|
2012年
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233,750 部 |
220,167 部 |
216,834 部 |
212,231 部
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2013年
|
208,182 部 |
205,417 部 |
201,847 部 |
196,819 部
|
2014年
|
188,385 部 |
183,000 部 |
182,584 部 |
180,182 部
|
2015年
|
174,770 部 |
168,250 部 |
171,000 部 |
165,334 部
|
2016年
|
161,583 部 |
158,250 部 |
150,000 部 |
149,833 部
|
2017年
|
150,000 部 |
145,833 部 |
145,000 部 |
143,833 部
|
2018年
|
140,917 部 |
136,667 部 |
136,000 部 |
134,500 部
|
2019年
|
129,167 部 |
125,000 部 |
122,500 部 |
118,636 部
|
2020年
|
114,462 部 |
112,364 部 |
111,364 部 |
110,000 部
|
2021年
|
108,500 部 |
104,333 部 |
97,273 部 |
91,000 部
|
2022年
|
82,000 部 |
76,583 部 |
69,600 部 |
65,250 部
|
2023年
|
61,833 部 |
57,833 部 |
54,909 部 |
51,500 部
|
2024年
|
49,333 部 |
46,667 部 |
43,500 部 |
|
脚注
注釈
- ^ 基本的に月曜日発売。ただし、日曜日か月曜日が祝日の際は金曜日発売(合併号の場合は休み。2022年3月までは土曜日発売、2022年7月から2024年2月までは火曜日発売だった。)となる。
- ^ 『めぞん一刻』、『恋は雨上がりのように』はそれぞれアニメ化・実写化されている。
出典
- ^ “ビッグコミックスピリッツ 創刊/1980年10月14日”. 小学館AdPocket. 2020年10月12日閲覧。
- ^ “ビッグスピリッツ | 雑誌”. 小学館. 2022年10月29日閲覧。
- ^ a b “『スピリッツ』編集長が語る、“アンケート至上主義”ではない理由 「編集者がおもしろいと思ったものが人々の心を打てる」”. リアルサウンド. blueprint (2021年6月18日). 2021年12月10日閲覧。
- ^ まんたんウェブ (2008年9月5日). “ビッグコミックスピリッツ:リニューアル号6日発売 「マンガ本位の時代へ」 編集長に聞く(まんたんウェブ) - 毎日jp(毎日新聞)”. 毎日jp (毎日新聞社). オリジナルの2008年9月26日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20080926113944/http://mainichi.jp/enta/mantan/news/20080905mog00m200019000c.html 2008年9月26日閲覧。
- ^ “坪内 崇 第三コミック局『ビッグコミックスピリッツ』編集長 1994年入社”. 小学館 2018年度定期採用サイト (2017年2月1日). 2019年8月21日閲覧。
- ^ 「CONTENTS」『ビッグコミックスピリッツ』2024年1号、小学館、2023年12月4日。 目次より。
- ^ 「CONTENTS」『ビッグコミックスピリッツ』2024年26号、小学館、2024年5月27日。 目次より。
- ^ a b c d 『週刊ビッグコミックスピリッツ』2023年4・5合併号、小学館、2022年12月26日、ASIN B00J88IY4E。 目次より。
- ^ 『ビッグコミックスピリッツ』2024年33号、小学館、2024年7月12日。 目次より。
- ^ 『ビッグコミックスピリッツ』2023年21・22合併号、小学館、2023年4月24日、ASIN B0C24VG7RY。 目次より。
- ^ 『ビッグコミックスピリッツ』2023年43号、小学館、2023年9月25日、ASIN B0CHN1ZKYJ。 目次より。
- ^ 「CONTENTS」『ビッグコミックスピリッツ』2024年20号、小学館、2024年4月15日。 目次より。
- ^ “「アオアシ」初のキャラクター人気投票開催!2000万部突破記念、あだちとかもお祝い”. コミックナタリー (ナターシャ). (2024年4月1日). https://natalie.mu/comic/news/567558 2024年4月1日閲覧。
- ^ 「CONTENTS」『ビッグコミックスピリッツ』2024年28号、小学館、2024年6月10日。 目次より。
- ^ 「CONTENTS」『ビッグコミックスピリッツ』2024年27号、小学館、2024年6月3日。 目次より。
- ^ 「CONTENTS」『ビッグコミックスピリッツ』2024年31号、小学館、2024年7月1日。 目次より。
- ^ “36歳の田中、マイホーム購入へ?シリーズ新作「マイホームアフロ田中」開幕”. ナターシャ (2022年10月24日). 2024年6月10日閲覧。
- ^ 『ビッグコミックスピリッツ』2022年34号、小学館、2022年7月25日、ASIN B0B5MPBRKW。 目次より。
- ^ 「CONTENTS」『ビッグコミックスピリッツ』2023年39号、小学館、2023年8月28日、ASIN B0CF7VGH6P。 目次より。
- ^ 『ビッグコミックスピリッツ』2023年13号、小学館、2023年2月27日、ASIN B0BVC34P84。 目次より。
- ^ 『ビッグコミックスピリッツ』2023年15号、小学館、2023年3月13日、ASIN B0BWYZ8TTR。 目次より。
- ^ a b c d e 社団法人日本雑誌協会 JMPAマガジンデータによる該当期間中に発売された雑誌1号当たりの平均印刷部数[出典無効]。
関連項目
外部リンク
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通常連載 | |
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隔週連載 | |
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月1連載 |
- お別れホスピタル
- 午後のおいしい薬膳日記
- 植物病理学は明日の君を願う
- そういう家の子の話
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休載中 | |
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漫画誌 |
少年向け | |
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青年向け | |
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少女向け | |
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女性向け | |
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児童向け | |
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ウェブ | |
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休・廃刊 | |
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文芸 |
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雑誌 |
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レーベル | |
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賞 | |
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歴代社長 | |
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関連人物 | |
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