明治安田生命保険相互会社(めいじやすだせいめいほけん、英称:Meiji Yasuda Life Insurance Company)は、東京都千代田区丸の内に本社を置く、三菱グループの大手生命保険会社。旧安田生命の流れから芙蓉グループ(みずほ銀行系列)にも属する。1881年に設立された。
概要
総資産、経常収益、保険料収入で業界第3位(かんぽ生命を除く)、4大生保の一角(日本生命保険、第一生命ホールディングス、明治安田生命保険、住友生命保険)である。三菱グループの明治生命保険と芙蓉グループ(旧富士銀行(現みずほ銀行)系)の安田生命保険が、明治生命保険を存続会社として合併し発足した。三菱・芙蓉グループに加え官公庁という強固な法人営業基盤を有しており、団体保険契約高は業界第1位である。また、財務の健全性に定評がある。
日本で初めて設立された生命保険会社である。前身会社である明治生命保険と安田生命保険はいずれも長い歴史を持ち、共に明治初期の創業である。明治生命保険は1881年7月9日に日本最初の生命保険会社として設立された。一方の安田生命保険も1880年に日本最古の生命保険組織として結成された共済五百名社をその起源とする。安田生命保険の会社としての設立は、1894年である。先の共済五百名社の運営に行き詰まった創業者の安田善次郎が、矢野恒太の「相互主義」に賛同し、両者[注釈 4] を中心に共済生命保険が設立されたことによる。
丸の内にある旧明治生命の旧本社屋(明治生命館)は1997年5月には昭和時代の建築物として初めて重要文化財に指定された。
2024年1月、旧明治生命と旧安田生命の合併20周年を迎えるにあたり、正式社名は変更されない[注釈 5]が、ブランド通称を「明治安田生命」から「明治安田」へリニューアルした。従来の生命保険業のみならず、健康寿命の充実、地方創成など、生命保険の枠を超えた企業姿勢を目指すことを打ち出している。これを機に、当社がタイトルパートナーとして協賛している明治安田Jリーグの創設時から今日まで現役選手として活躍している三浦知良(2024年・ポルトガル・オリベイレンセ所属)を新たな企業タレント(イメージキャラクター)に招き、同氏協賛により11000個のサッカーボールを全国の子どもたちに寄贈した[2]。
系列
三菱金曜会と三菱広報委員会の会員企業であり[3][4]、芙蓉会の幹事役でもある。
存続会社が明治生命保険であるのと、芙蓉グループが属するみずほグループには他にも生命保険会社がある(第一生命保険、富国生命保険、朝日生命保険)ため、三菱グループ系とみなされることが多く、現に三菱UFJ銀行とは中小企業分野における業務提携を行っている[5]。だが、一方でみずほフィナンシャルグループ(旧富士銀行)、第一生命保険、損害保険ジャパン(旧安田火災海上保険→損害保険ジャパン(初代)→損害保険ジャパン日本興亜)と共同で新入学児童への黄色いワッペンと称する交通安全ワッペンの配布活動[6] を行うなど、芙蓉グループとのつながりも依然として強い。
このように、三菱UFJフィナンシャル・グループと、みずほフィナンシャルグループの両方に結び付きをもつため、両行において明治安田の保険商品が販売されている。独立系だが三和グループと関係の深い日本興亜損害保険(現・損害保険ジャパン)と親密であったが、東京海上日動火災保険(三菱グループの東京海上火災保険と芙蓉グループの日動火災海上保険が合併)と提携しており、2011年から同社の保険商品を取り扱っている。
子会社に明治安田損害保険(2005年に明治損害保険と安田ライフ損害保険が合併)があるが、法人向けに特化している。1996年の保険業法改正で生損保の相互参入が認められ、「損保系生保」が相次いで設立された一方、「生保系損保」も続々誕生した。ところが現在、大手生保グループの一翼を担うのは同社傘下の明治安田損害保険のみである。他に、2001年に安田生命とイギリスのダイレクトグループの共同出資による安田ライフダイレクト損害保険も設立されたが、こちらは2004年に日本興亜損害保険へ譲渡し、そんぽ24損害保険となったのち、同じSOMPOホールディングス傘下となったセゾン自動車火災保険に合併された。
沿革
関連会社・団体
国内
- 明治安田損害保険(株)(損害保険事業を営む完全子会社)。
- 明治安田アセットマネジメント(株)(投資助言・代理業、投資運用業、第二種金融商品取引業)。
- 明治安田ライフプランセンター(株)(保険事務代行、保険代理店業、ライフプランに係わる調査・研究、コンサルティング)。
- 明治安田システム・テクノロジー(株)(明治安田系企業を中心にシステムの開発・運用管理を行う企業)。
- (株)明治安田総合研究所(明治安田生命グループが100%の株式を保有する介護や福祉、経済等の調査・研究企業)。
- 明治安田オフィスパートナーズ(株)(保険契約の保全等に関する計算事務、生命保険等の契約確認業、印刷・製本・梱包・配送業務、保険代理店業、福利厚生事務)
- (株)サンビナス立川(有料老人ホームの経営)。
- (株)ダイヤモンド・アスレティックス(アスレティッククラブの経営)。
海外 連結子会社・持分法適用関連法人等
- 本社:ハワイ州ホノルル市。明治安田生命の100%米国子会社。1976年に旧明治生命が同社の株の過半数を取得し、日本の生命保険会社として初めて米国生命保険会社に経営参加した。1985年には100%子会社化。1991年に旧明治生命が株式の100%を取得したハワイアン生命と合併し、ハワイ州内最大の生命保険会社となった。
- 本社:オレゴン州ポートランド市。2015年に買収し、日本の生命保険会社による海外M&Aとしては過去最大。全米で事業展開しており、団体保険の主要分野において全米トップ10の地位を確立。官公庁や教職員など景気変動に左右されにくい安定した顧客基盤を持ち、14年12月期の純利益は2億1千万ドルだった。
財団法人
- 財団法人明治安田厚生事業団
- 財団法人明治安田こころの健康財団
- 財団法人明治安田クオリティオブライフ文化財団
不祥事
- 2022年6月、明治安田生命保険元社員が、顧客から預かった保険料約2000万円を着服していた疑いがあることを発表[10]。2023年3月、金融庁は明治安田生命保険に対して、立入検査を始めた[11]。
保険商品
医療保険
メディカルスタイルF-入院・通院の保障を組み合わせて契約が可能で、加入後も契約の変更が一部可能であることが特徴。
学資保険
つみたて学資-返戻率が最大109%になる学資保険。2020年度現在、学資保険の返戻率としては最高水準となっている。(参考:学資保険返戻率ランキング.com)
広報活動
イメージキャラクター
現在
過去
(旧明治生命)
(旧安田生命)
(明治安田生命)
CM
前身の旧明治生命時代から続く、「マイハピネスフォトコンテスト」入賞作品を『言葉にできない』をはじめとする小田和正(オフコース)の楽曲にのせて放映するCMシリーズは好評を博し、20年以上に渡り継続して放映されている。
また同社HPでは、このCMシリーズに倣ったオリジナルCMの作成コンテンツを提供している。
CMソング
現在
過去
(旧明治生命)
- 明治生命スーパーライフCMイメージソング
- 明治生命CMソング
- 渡辺美里『Power -明日の子供-』(1990年)
- 渡辺美里『卒業』(1991年)
- 渡辺美里『夏が来た!』(1991年)
- 渡辺美里『クリスマスまで待てない (雪だるま Version)』(1991年)
- 渡辺美里『泣いちゃいそうだよ』(1992年)
- TUBE『もう負けないよ』(1994年)
- TUBE『Horizon』(1994年)
- TUBE『君に賭けるよ』(1994年)
- TUBE『いつかの僕よ...』(1995年)
- TUBE『Only Good Times』(1996年)
- TUBE『Purity 〜ピュアティ〜』(1997年)
- TUBE『Open your everything』(1997年)
- TUBE『Yes, I Know』(1998年)
- TUBE『この夏一番熱いLove Song』(1998年)
- 小田和正『言葉にできない』(1999年〜2003年)当初は小田が同社CM用に再収録した音源が使用されており、後に『LOOKING BACK 2』収録盤が使用された。また一時期、小田のライブ映像が使われたことがあった。
- 野猿『Chicken guys』(2000年)
- 野猿『太陽の化石』(2000年)
- 野猿『star』(2001年)
(旧安田生命)
(明治安田生命)
- 『今日も どこかで』と『ダイジョウブ』は特別協賛している小田のツアーの応援CMに使用。
- 同年12月25日に放送の『クリスマスの約束』(TBS系列)内の30秒CM(小田が「ご当地紀行」で東北各地を訪れた様子などが放映された)に使用。
提供番組
現在の提供番組
過去の提供番組
- 旧・明治生命
- 旧・安田生命
- 明治安田生命
スポーツ
文化活動
脚注
注釈
- ^ 経常収益としての公表。
- ^ 基礎利益としての公表。
- ^ 実質純資産額としての公表。
- ^ なおその後、矢野は他の経営陣と対立して袂を分かち、第一生命保険を創業する。
- ^ 保険業法第7条ならびに保険業法施行規則第13条の規定により、生保会社は商号中に「生命保険」を入れなければならないため。
- ^ かつては競合企業の1つであるマニュライフ生命のCMにも出演していた。
- ^ かつては競合企業の1つであるアリコジャパン(現:メットライフ生命)のCMにも出演していた。
- ^ 後番組が中京テレビ制作で、セールスも同局が担当のため。
出典
関連項目
外部リンク
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太字は三菱金曜会のメンバー。 |
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