2008年J1最終節(2008ねんJ1さいしゅうせつ)は、2008年12月6日に行われた日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)ディビジョン1(J1)第34節のことを指す。 本項ではその中でJ2降格の可能性があった大宮アルディージャ(以下「大宮」)、アルビレックス新潟(以下「新潟」)、ジュビロ磐田(以下「磐田」)、東京ヴェルディ(以下「東京V」)、ジェフユナイテッド千葉(以下「千葉」)の試合について主に記す。
Jリーグ開幕15周年を迎えたこのシーズンは、残り3節(第31節終了)の時点で、首位の鹿島アントラーズ(鹿島)から勝ち点差3の中に浦和レッズ(浦和)・名古屋グランパス(名古屋)・大分トリニータ(大分)・川崎フロンターレ(川崎)・FC東京の6チームがひしめき、一方で下位も10位の柏レイソル(柏)から京都サンガF.C.(京都)・横浜F・マリノス(横浜FM)・大宮・新潟・磐田・東京V・千葉までの8チームが勝ち点差7の中で残留を争うという大混戦となった[1]。その一方で、6年ぶりとなるJ1のシーズンを迎えたコンサドーレ札幌(札幌)は、FWダヴィがリーグ2位となる16得点を挙げるも前年度堅守を誇った守備が崩壊し、リーグワーストの70失点を喫した。第16節を最後に全く勝てず、10月19日の第29節のホームでの柏戦(札幌厚別公園競技場)に敗れ、前年の横浜FCと並んで最速タイの5試合を残してのJ2自動降格圏となる17位以下が確定する[2]。
11月23日に行われた第32節は下位同士の直接対決が多く組まれた。12位京都は名古屋に、17位の千葉は11位横浜FMにホームでそれぞれ敗れ、13位新潟と14位大宮、15位磐田と10位の柏、16位の東京Vと18位の札幌がそれぞれ引き分けた[3]。これにより柏のJ1残留が確定、残留争いは11位以下にしぼられた。
迎えた11月29日の第32節、残留を争う大宮・横浜FMに連敗し、勝てなければ16位以下(入れ替え戦または自動降格)が確定してしまう可能性のあった17位千葉[4] だったが、アウェーでの清水エスパルス(清水)戦でFW巻誠一郎のゴールで一度は追いつくも、GK岡本昌弘のはじいたボールをMF下村東美がクリアミスし痛恨のオウンゴールで勝ち越しを許し、後半の反撃も及ばず、逆に千葉の守備の要であるエディ・ボスナーが終了間際の2枚目のイエローカードで退場となり、最終節のFC東京戦は出場停止となるなど、千葉にとっては痛すぎる敗戦となった。これにより、京都・大宮・新潟の自動降格の可能性が消滅した。
清水エスパルス v ジェフユナイテッド千葉
一足先に千葉が敗れたことで、千葉の運命は14時キックオフの15位磐田と16位東京Vの試合結果に委ねられることとなった。しかし、首位鹿島とアウェーで対戦した磐田は終了間際の鹿島DF岩政大樹のゴールで勝ち点を失い、入れ替え戦の可能性のあった横浜FMとアウェーで対戦した東京Vも司令塔のMFディエゴを出場停止で欠く中で後半の2失点で敗戦。千葉が土壇場で踏みとどまると共に横浜FMの残留も確定した。
鹿島アントラーズ v ジュビロ磐田
横浜F・マリノス v 東京ヴェルディ
その他の下位チームの対戦では、14位新潟はFC東京に敗れて残留争いから完全に抜け出すことが出来ず、13位大宮と12位京都の直接対決は引き分けて共に勝ち点1を上積みし、京都がJ1残留を確定させた。
FC東京 v アルビレックス新潟
大宮アルディージャ v 京都サンガF.C.
これにより、第33節終了時点での順位は以下の通りとなった。
この結果、入れ替え戦に回る可能性は大宮・新潟・磐田・東京V・千葉の5チームに、さらに自動降格の可能性は磐田・東京V・千葉の3チームに絞られた。
自動降格の可能性を持つ3チームは、開幕11試合勝利なし(9敗2分)、勝ち点2の最下位と低迷し、2008年シーズンに就任したばかりのヨジップ・クゼを解任してアレックス・ミラーを迎えて一時は14位まで順位を上げるも、29節以降勝ちなしで17位に再び低迷する千葉、シーズン序盤は中位争いをするも、昇格の原動力の一人であったFWフッキの移籍の穴を埋められず次第に順位を下げていった東京V、攻撃陣に怪我人が続出し、内山篤監督を解任してハンス・オフトを呼び戻すも下位を低迷する磐田と、それぞれに悩みを抱えたまま最終節へもつれ込むこととなった。
5チームの試合は下記の4試合である。(太字が降格・入れ替え戦の可能性があるチーム)
このうち13位大宮と14位新潟には自動降格の可能性がなく、大宮は引き分け以上・新潟は勝利で自力での残留決定、それ以外のケースも磐田と東京Vが同時に勝利しない限り残留確定となる[5]。
残る3チームは得失点差の関係で千葉が東京V・磐田と勝ち点で並んでも得失点差で逆転することはほぼ不可能であった[注 1] ため、各チームの残留確定条件は実質的に以下のようになった[5]。
このように、千葉以外の4チームは勝てば残留決定だったのに対し、千葉は勝利が残留への最低条件でさらに他2試合の結果を待たねばならず、絶体絶命の状態に追い込まれていた。
まず試合が動いたのはビッグスワン。10分、マルシオ・リシャルデスの突破から本間勲が決めて先制。一方、味の素スタジアムでは優勝の可能性が残っていた川崎が序盤から猛攻をしかけるものの、ジュニーニョが数度の決定機を決めきれず、さらに26分には東京V福西崇史の退場によって得たPKも外してしまう。結局前半は試合が動かなかったが、川崎にとっては優勝に向けて何とも重苦しい雰囲気で、東京Vにとっては10人で降格阻止のためにそれぞれ苦しい戦いを続けていた。
フクアリでは、来年度のAFCアジアチャンピオンズリーグ出場圏内の3位を狙うFC東京が39分、コーナーキックをカボレがヘディングで合わせ先制。勝利が絶対条件の千葉であったが先制され、こちらも苦しい戦いを続けていた。
ビッグスワンでは、31分に松下年宏のクロスがそのまま決まり新潟が2点目を挙げるが、1分後にはG大阪は寺田紳一のゴールで1点を返し、2-1で前半を折り返した。ヤマハスタジアムではジウシーニョが走りまくり、幾度も好機を演出し磐田が押し気味に試合を進めるも、スコアレスで前半を折り返した。
(前半終了時点の5クラブの暫定順位)
これ以上の失点は許されない千葉だったが、後半開始早々に昨年まで在籍していた羽生直剛のシュートがポストを叩く。押し込まれる試合運びのなか命拾いしたのも束の間、53分、長友佑都にカウンターからミドルシュートを決められて0-2。さらにリードを広げられた。これを見てミラー監督は56分にミシェウに代えて新居辰基、63分には5連勝時の原動力だった深井正樹に代えて谷澤達也を投入する。
その頃新潟では、61分にルーカスがゴールを決めてG大阪が同点に追いつく。そして味の素スタジアムでは、64分にジュニーニョの折り返しをレナチーニョが押し込み、遂に川崎が先制点を挙げた。
(後半20分時点の5クラブの暫定順位)
残り25分で最低3点を取らないといけない状況に追い込まれた千葉だったが、ここから劇的な展開を迎える。74分に谷澤のロングフィードを左足アウト側で絶妙なトラップを見せた新居がそのままシュート、FC東京のキーパー・塩田仁史の手に弾かれながらもボールはネットに吸い込まれた。1点差に迫った千葉は反撃を開始する。さらに77分には青木良太のセンタリングを巻誠一郎が胸で落とし、谷澤がボレーでゴール右隅に叩き込み同点。そして80分、レイナウドが今野泰幸に倒されPKを獲得。祈りを捧げる千葉サポーターが続出する中、レイナウドが自らPKを決め、遂に千葉が7分間で3点を入れて逆転に成功した。
一方、スコアレスが続いていたヤマハスタジアムでも試合が動く。75分、小林大悟がラフリッチの折り返しをヘディングで叩き込み、大宮が先制。大宮は残留に向けて大きく前進、磐田は崖っぷちに立たされる。
(後半35分時点の5クラブの暫定順位)
さらに千葉は85分、新居のパスに抜け出した谷澤がキーパーとの1対1を確実に決めてダメ押し。FWの巻も最終ラインに下がりFC東京のクロスを跳ね返し続け、あとは残留を信じてホイッスルを聞くのみとなった。
千葉が逆転したため、残留のためには負けは許されなくなった東京Vも78分に河野広貴、83分には船越優蔵と攻めのカードを切り、柱谷哲二監督も「このままでは落ちる」と右手親指を下に向けるジェスチャーで状況を選手に伝え、選手も必死の攻撃を仕掛けるも川崎の守りをなかなか崩せずにいた。逆にロスタイム、中村憲剛にミドルシュートをゴール左隅に叩き込まれ万事休す。新潟はロスタイムに内田潤がこぼれ球を決め、3-2で勝利。大宮もそのまま勝利し、それぞれ自力での残留を決めた。その頃、残留の最低条件である勝利を手にした千葉は、磐田と東京Vの結果を待っていた。
千葉は前身の古河電気工業サッカー部時代からの下部リーグに降格したことの無いという伝統を守ったが、残留は序盤戦の状況を考えると奇跡と言えるもので、この日の劣勢からの大逆転もドラマ性を高める要素となった。一方、かつての名門東京Vは昇格後わずか1年でJ2に降格。さらに親会社の日本テレビの減収から服部年宏、福西崇史、土肥洋一ら主力として活躍したベテランがこのシーズンをもって解雇された(後日、服部と土肥は大幅な年俸ダウンを受け入れ、東京Vとの再契約が発表された)。また、磐田も自動降格は免れたもののベガルタ仙台(仙台)と入れ替え戦を戦うこととなった。同日、札幌の地ではかつて磐田と覇権を争った鹿島が2年連続6度目の優勝を果たした。
ジェフユナイテッド千葉 v FC東京
東京ヴェルディ v 川崎フロンターレ
ジュビロ磐田 v 大宮アルディージャ
アルビレックス新潟 v ガンバ大阪
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