富士電機株式会社(ふじでんき、英: Fuji Electric Co., Ltd.)は、東京都品川区大崎に本社を置く、日本の大手電機メーカーである。古河機械金属(旧・古河鉱業)・古河電気工業・富士通とともに古河グループ(古河三水会)の中核企業である。重電8社(日立製作所・東芝・三菱電機・富士電機・明電舎・日新電機・ダイヘン・東光高岳)の一角。日経平均株価の構成銘柄の一つ[1]。
大型電気機器を主力製品とする日本の大手重電メーカーの1社である。 同業他社には、日立製作所、東芝、三菱電機、明電舎、日新電機、ダイヘン、東光高岳などがあり、富士電機はこの重電業界で4位に位置している。
古河電気工業とドイツのジーメンス社(当時の呼称)が資本・技術提携を行い設立した会社である。そのため、現在も古河グループで形成される古河三水会の中軸となる10社の理事会社のうちの1社となっている。
中心となる富士電機機器制御株式会社 (FCS)他、子会社116社及び関連会社21社を傘下に持つ。
2003年(平成15年)10月より持株会社制を導入し、「富士電機ホールディングス株式会社」と社名を変えていたが、2011年(平成23年)4月に廃止し、現在の社名に戻した。
2007年(平成19年)シーズンより、日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)ジェフユナイテッド市原・千葉のオフィシャルパートナーとなっており、ユニフォームの胸部にロゴが掲出されている。
純粋持株会社化を翌年に控えた2002年(平成14年)より、Fuji Electric の頭文字「Fe」を図案化したグループシンボルマークに変更、グループステートメント「e-Front runners」を組み合わせたグループブランドを導入した。2012年7月からは、シンボルマークはそのままで、「e-Front runners」に変わるブランドステートメント「Innovating Energy Technology」を導入した。
かつては家電製品[注 1]も製造していたが、販売チャネルの面で乏しく、1976年(昭和51年)に同じ古河グループのゼネラルに事業譲渡した。
以前、「エネルギーとエレクトロニクスの富士電機」のキャッチコピーで広告していたが、東芝も同じ形容詞を社名に冠したため、次第にこの表現は使用しなくなった。
自動販売機の分野では、国内1位のシェアであり、三洋電機株式会社から製造子会社株式の譲渡を受けて規模を拡大したことによって、そのシェアは過半数となった[注 2]。その技術力を駆使し、最近は日本コカ・コーラと共同開発したピークシフト自動販売機、セブン-イレブン・ジャパンと共同開発した同社店舗内セブンカフェ用コーヒードリップマシン[注 3]、JR東日本グループと共同開発した次世代自動販売機などを世に送り出している。
発電関連設備にも強く、特に地熱発電分野では、世界で4割のシェアを持ち、世界一である[2][注 4]。
長年「電気を自在に操る技術」に長けて来た企業として、スマートグリッドの展開にも積極的に動いており、各地の実証実験等にも参加している。
2024年頃には「パワーエレクトロニクスを社会のちからに、優しさに。」とパワーエレクトロニクスを前面に出したコンセプトを使用しており、同年始からは、斎藤工と向里祐香が出演する企業イメージテレビCMを制作・放映している(テレビCMは18年ぶりとなっている)[1][3]。
「富士」の由来は、富士電機の命名に際して親会社古河電気工業の「ふ」と設立時に技術提携をしたドイツのジーメンス・AGの「じ」を一音ずつ取ったことによる[注 5]。漢字は富士山をイメージできるところからこの表記となった。かつて(1970年代まで)使用されていた社章は、○の中に小文字アルファベットの“f”と“s”を組み合わせたものである。
1935年(昭和10年)6月20日に電話部所管業務を分離し、現在の富士通になる富士通信機製造株式会社が独立している。すなわち、富士電機は富士通の出身母体である。
その後、富士通はファナックやニフティなど優良企業を多数輩出している。富士通および系列会社とは、互いに筆頭株主、役員を相互に出し合う、同等の取引・パートナー関係、共同で新会社を設立するなど、兄弟会社のような親密な関係が続いていたが、平成時代に入りこうした株式持ち合いが問題になったことから、取締役相互派遣停止を経て、2017年(平成29年)2月に株式相互保有方針の見直しを行い、富士電機保有の富士通株式の売却を発表した(2月8日実施)[4]。富士通保有の富士電機株式も2017年(平成29年)9月29日付で売却され、古河グループであること以外の関係性は弱くなった。実際に両社はプロサッカーにおいてそれぞれ別のチームを支援している。
前述のとおり、古河電気工業と独・シーメンス社との資本・技術提携によって誕生した企業であるが、そもそものきっかけは古河電気工業の母体である古河鉱業(現・古河機械金属)創始者の古河市兵衛とシーメンスが関係を持った事から、古河鉱業とシーメンスの間で銅の消費を促す為の電機機器製造会社設立の話が持ち上がったことにある。しかし、世界情勢の変化による双方のすれ違いによって設立合意が長引き、最終的には古河鉱業に変わって古河電気工業がシーメンスと合弁会社設立の合意に至り、富士電機製造株式会社が設立されることになる[5]。
富士電機公式サイトの事業紹介に掲載されている事業分野内容の一覧を基に作成
公式サイトの国内拠点・会社案内より、本社・主要国内製造拠点を抜粋
なお、これら富士電機本体・富士電機機器制御以外の子会社の事業所・工場で製造している製品がある。
研究開発体制より。
以前は、研究専門会社富士電機アドバンストテクノロジー株式会社が存在したが、2009年10月に吸収合併した。持株会社体制移行前に遡ると、「中央研究所」「超高圧電力研究所」「情報システム研究所」が所在しており、1980年に富士電機アドバンストテクノロジーの前身となる株式会社富士電機総合研究所を設立して分社化しており、富士電機総合研究所分社後に設立された情報システム研究所は持株会社体制移行時の富士電機アドバンストテクノロジー設立時に継承している(詳細は富士電機アドバンストテクノロジーの沿革を参照)。
また、東京大学 先端科学技術研究センターと産学連携で「東大富士電機ラボ」を設立しており、海外では中華人民共和国現地統括本社[注 7]内に「R&Dセンター」を、浙江大学との産学連携で同大学内にも「R&Dセンター」を設置している。
カンパニー制導入時から持株会社体制移行直後までは、4部門に分かれており、持株会社体制移行に際して、各4部門にそれぞれ1社ずつ、中核事業会社を割り当てた。その後、機器・制御部門が電機システム部門に統合され3部門となる。
4社の内、FESに事業を分割統合して、他の3社は部門の中の1事業の専業会社となる再編が順次された[注 8]。
2010年4月に「エネルギー・環境」事業への注力に伴い、大幅に再編された[19]。
さらに2011年4月には、エネルギー・環境事業の中心にいるFESを吸収合併して、持株会社体制を廃止した。
※形態は全て株式会社である。
(日本国内についてのみ挙げる。太字は上場企業。「富士電機」あるいは「富士」を用いた子会社が多い)
持株会社時代の中核事業会社。
(純投資以外の目的、富士物流以外は第135期 有価証券報告書[23]に基づく)
(子会社を通じて、有価証券報告書[23]では未報告)
(資本関係は無いか薄いが縁のある企業)
ほか
日本最高峰富士山の“富士”を名称につけていることから、称号が類似する企業は数え切れないほど存在する。ここでは、一例のみとする。
上場企業の代理店としては、明治電機工業、佐鳥電機、スズデン等がある。[24]
古河林業 - 富士古河E&C
関東電化工業 - ADEKA - 日本農薬 - 日本ゼオン - トウペ - タキロンシーアイ※2
横浜ゴム
古河機械金属 - 古河電気工業 - UACJ - 古河テクノマテリアル - 理研電線 - UACJ製箔 - 日本軽金属ホールディングス - 日本軽金属 - 日軽産業
日本ギア工業
古河電池 - 古河AS - 富士電機 - 富士電機機器制御 - 富士通 - デンソーテン - 富士通ゼネラル - 富士通フロンテック - 新光電気工業 - FDK - PFU - アドバンテスト
古河産業
富士オフィス&ライフサービス - 朝日生命保険 - みずほ銀行※1 - みずほ証券※1 - 損害保険ジャパン※1※2
SBS古河物流 - 澁澤倉庫
岡野電線 - ミハル通信 - 正電成和 - 富士電機ITソリューション - 富士通Japan - 富士通エフサス - 富士通ネットワークソリューションズ - 富士通テレコムネットワークス - 富士通パーソナルズ
注1:太字は古河三水会の理事会社。注2:※1は芙蓉グループでもある。注3:※2は三和グループ(みどり会加盟企業)でもある。