『劇場版 さらば仮面ライダー電王 ファイナル・カウントダウン』(げきじょうばん さらばかめんライダーでんおう ファイナル カウントダウン)は、2008年10月4日より東映系で公開された日本の映画作品。特撮ヒーロー番組「平成仮面ライダーシリーズ」『仮面ライダー電王』の映画化作品3作目である。同時上映作品は『イマジンあにめ モモタロスよ永遠に-イマジン終着駅-/劇場版』。
キャッチコピーは、「最後の電王。未来の鍵は良太郎と―象!? これが俺達最後のクライマックス!」。
『仮面ライダー電王』の劇場公開作品としては3作目となる本作品は、それまでテレビシリーズ・劇場版・アニメーションなど幅広く展開された「時を守る特異点の青年・野上良太郎を主役とした『電王』シリーズ」にとって、名実共に完結編と言える作品であると共に、1つの区切りを付けた作品[注釈 2]でもある。
本作品の企画が立ち上げられたのは2008年のゴールデンウィークごろであり[2]、そこから6月中に準備し、7月には撮影に入るというスケジュール[3]で制作は行われた。
NEW電王やそれに変身する野上幸太郎の存在など、世代交代や主役交代を感じさせる要素は登場するものの、本作品でもこれまで同様「野上良太郎が主人公」というスタンスは貫徹される。『電王』シリーズのほぼ全てに関わるプロデューサーの白倉伸一郎は、良太郎の時間軸を過去に振った『劇場版 仮面ライダー電王 俺、誕生!』に対し、本作品では逆に未来を描いており、『俺、誕生!』と対になりながらも良太郎の時間軸を完成させることが本作品のテーマであると語る[2]。また、電王 ライナーフォームと、ゼロノス ゼロフォームは本作品が劇場版初登場となる。
幽汽のスーツアクターには、『電磁戦隊メガレンジャー』のメガレッド以来11年ぶりに正規のスーツアクターとして横山一敏が担当した[注釈 3]。
電王のスーツアクターを務めている高岩成二はクランクイン当日に倒れてしまった。これはテレビシリーズの『仮面ライダーキバ』の撮影が同時進行であった上、監督が所属事務所の社長でもある金田治だったためアクションに対する要求も高く、さらには時期が初夏で猛暑に耐えられる身体が出来ていなかったことも重なり、顔と密着するモモタロスの面を付けた上での約2分間の長回しのアクションシーンで酸欠に近い状態になり倒れてしまったという。これは、「高岩酸欠事件」として東映の公式サイトにも載せられた[要文献特定詳細情報]。高岩は、後年のインタビューで長年の経験でも初めて味わった怖さであり、同じことは二度とやりたくないと述べている[4]。倒れる前後は実際の映像ではカットされており、プロデューサーの白倉伸一郎は「いい画になっていた」と評価していたが、高岩は生涯封印しておきたい映像であると語っている[4]。
本作品では、主演は野上幸太郎 / NEW電王役の桜田通であるとされ、佐藤健と中村優一は特別出演の扱いになっている。本作品をもって、テレビシリーズで主演を務めた佐藤は『電王』を卒業した扱いとなり、『平成仮面ライダー20作記念 仮面ライダー平成ジェネレーションズ FOREVER』に出演するまで約10年以上シリーズ作品には出演していなかった。
イマジンたちとの戦いを終え、平穏な生活を送っていたモモタロスたち。しかしそのころ、幽霊列車が現れるという妙な都市伝説が巷に飛び交っていた。
モモタロスたちはその都市伝説を探るために行動を開始するが、そこに謎の仮面ライダー・幽汽が現れる。その体には拉致された野上良太郎が使われており、駆けつけた桜井侑斗も幽汽の攻撃からコハナを守るため重傷を負う。そのピンチに現れたのは新しい電王を名乗る戦士だった。
良太郎から託された「象を守れ」という謎のメッセージと1729年5月23日の闇のチケットとともに、モモタロスたちはおよそ300年前の時代へと跳ぶ。
本作品における敵。配下のイマジンたちはいずれも黄緑と黒を基調としている。
クライマックスフォームとライナーフォームは通常の変身と異なり、ケータロスを装着したデンオウベルトにパスをセタッチして変身した。最終決戦には、コハナがオーナーから預かった6つのライダーパスで、良太郎と各イマジンがそれぞれのフォームに変身し、6人の電王が集結した。
幽霊列車の力を司る仮面ライダーで、読みは「ゆうき」。G良太郎もしくは死郎が変身する。G良太郎が変身するスカルフォームと死郎が変身するハイジャックフォームが登場した。ユウキベルトとライダーパスを使用して変身する。基本カラーは黒。上半身のアーマーはガオウのものに酷似している。電仮面は両フォーム共に、レールを伝って顔面に移動した直後は海賊帽を被った髑髏の形状となっている。変身の過程は、プラットフォームに相当する形態を経る形で変身する。
ゴーストイマジンに憑依された良太郎(G良太郎)が変身する仮面ライダー。ゴーストイマジンのオーラをフリーエネルギーに変換して変身する形態。
電仮面の額部分が髑髏になっており、マフラーの色は銀色。
武器はゴーストイマジンの剣をそのまま使用する。
死郎が変身する仮面ライダー。死郎のオーラをフリーエネルギーに変換して変身する形態。
マフラーの色が赤くなり、電仮面の額のOシグナル中央はレールが2回捻じれている。後頭部からは長い赤色の幽汽レールが伸びているほか、左手に連結器や海賊の鉤爪をイメージした籠手状のプロテクター幽汽ガントレットが装備されている。武器はサヴェジガッシャーと、死郎が愛用する独楽と鞭。
単純なスペックはスカルフォームとほぼ同等だが、生身の状態でも高い戦闘力を誇る死郎が変身していることも相まって、スカルフォームよりも戦闘能力は遥かに高い。また、死郎が元々武士であったこともあって騎馬戦も得意とする。電王 ライナーフォームとソードフォームの2人を同時に相手をしても、反撃の隙を与えずに圧倒する実力を見せた。
同時上映の短編映画。『フランダースの犬』や『マッチ売りの少女』のパロディを始め、本編へのツッコミも織り交ぜられた一篇。イマジンあにめ2の同名エピソードとは映像は同じであるものの、交わされるネタが異なっている。
『劇場版 仮面ライダーキバ 魔界城の王』の「キバラジ」に引き続き、劇場版公式サイトにおいて2008年9月26日から11月7日の間、仮面ライダー電王 Webラジオ『ラジタロス』が隔週で無料配信された。
パーソナリティはリュウタロス役の鈴村健一が担当し、毎回ゲストとともに劇場版やテレビシリーズに関するトークを繰り広げるというフォーマットは「キバラジ」と同様であるが、「ラジタロス」では回ごとに変わるコーナーにおいてリスナーからのメールを募集する。
10月24日配信の第3回が最終回という扱いであり、11月7日の配信分は10月12日の公開記念イベントで行われた「ラジタロス公開収録」となっている。各回のゲストは以下の通り。
2008年11月12日には1回目と2回目を収録した「ラジタロス」1、3回目を収録した「ラジタロス」2の2枚のCDが同時にリリースされた。
藤沢真行作画によりテレまんがヒーローズ 2008年冬号に掲載、スーパーヒーローズ2巻に収録。
夏の劇場版以外のディレクターズカット版は本作品が初となり、次作以降、夏以外で公開されたライダー映画のディレクターズカット版も作品によっては発売されるようになり、また本作品以降、仮面ライダー映画はBlu-rayも同時発売されるようになった。