『劇場版 仮面ライダー電王 俺、誕生!』(げきじょうばん かめんライダーでんおう おれ たんじょう)は、2007年の日本の映画。2007年8月4日に東映系で公開。特撮ヒーロー番組「平成仮面ライダーシリーズ」『仮面ライダー電王』の映画化作品。同時上映作品は『電影版 獣拳戦隊ゲキレンジャー ネイネイ!ホウホウ!香港大決戦』。
キャッチコピーは「戦闘神、降臨!! 急行せよ、時空の彼方へ。」。
それまでの平成仮面ライダーの劇場作品は、テレビシリーズとはパラレルな世界観の中でストーリーが展開するのが恒例であったが、本作品では後述の通りテレビシリーズと劇場版のストーリーが密接にリンクした作品作りが志向された。その都合上、本作品ではテレビシリーズのレギュラーキャラクターも全員登場している。
脚本はテレビシリーズと同じく小林靖子が、監督はやはりテレビシリーズの演出陣の一人である長石多可男がそれぞれ担当。小林、長石とも夏の劇場版ライダーを手掛けるのは初となる。
前年と同様に、公開直前にはテレビシリーズでも本編終了後にミニコーナーが放送された。本作品ではショートムービーではなく、「映画とれたて情報」と銘打ったメイキング映像となっており、毎週イマジンたちがナビゲートする形式で、前作までと異なりBパートと予告の間に放送された。
桜井侑斗 / 仮面ライダーゼロノス役の中村は、テレビシリーズよりも先に本作品で変身シーンを撮影したため、カードを出し入れするだけの単純なものとなっている[2]。
時系列上、本作品はテレビシリーズの第27話と第28話の間の出来事として位置付けられている。これを反映し、27話では本作品の導入部に至るまでの経緯が断片的に描かれ、牙王とその一味も先行して登場。また第28話冒頭では、アバンタイトルで本作品の戦闘シーンが引用されており、本作品の後日譚である旨が明示されている。
またそれに先んじて、第23 - 24話では本作品のゲストキャラクター・ジークがテレビシリーズにも登場。第25 - 26話では本作品の時間軸の侑斗とデネブがタイムトラベルにより登場し、それに合わせて本作品のシーンも断片的に挿入されるなど、公開前から本作品に向けた様々な前振りがテレビシリーズ内にて行われている。
本作品における侑斗とデネブの目的は、様々な時間から良太郎を集め、電王ソード、ロッド、アックス、ガンフォームを集結させることであり、これが後述するテレビシリーズでのクライマックスフォーム登場のきっかけとなった。この展開の都合上、平成仮面ライダーの劇場版で恒例となっていた「主役ライダー最強フォームの先行登場」は本作品では盛り込まれていない。
テレビシリーズとの繋がりは公開時期のみに留まらず、本作品が初出となる「神の路線」や「人の記憶による破壊された街の復活」といった設定も、テレビシリーズ後半の展開へと反映されている。
宝石泥棒に憑依したイマジンを追って、過去の世界に向かった野上良太郎たち。しかし、それはデンライナーを奪うために仕組まれた罠だった。首謀者は時の列車ばかりを狙う強盗集団の首領・牙王。彼は“神の路線”を走り、全ての時間を支配できるという神の列車を手に入れるため、オーナーたちを人質にデンライナーを過去へ走らせる。
残された良太郎とハナにデンライナーから脱出したモモタロスが合流するが良太郎はデンライナーを追っている最中に牙王に蹴られた後遺症で電王に関わる記憶が欠落していた。そこで11歳の良太郎やジークとも遭遇。11歳の良太郎は時間を超える列車に乗ってみたいと彼らに同行を申し出る。一行は桜井侑斗の助けを借り、ゼロライナーでその後を追った。様々な時代を通り抜け、良太郎たちがデンライナーを発見したのは江戸時代初期の大坂の役のころ。そこで牙王は神の路線へ繋がる最後の封印を解こうとしていた。
牙王が率いる時の列車専門の時空盗賊のメンバーで、テレビシリーズ第26・27話にも登場。
配下のイマジンたちはサラマンダーイマジンを除き、後にテレビシリーズ終盤やその他の劇場作品でも別個体として登場しており、モチーフはトカゲや蛇といった爬虫類で元の童話も明らかとなっているが、本来の契約者は牙王本人であるかどうかも含めて言及されていない。また作中では契約のプロセスを経ることなく、戦国時代の忍者に憑依したこともあった。
記憶喪失になった良太郎に憑依できずにいたモモタロスが、代わりに小太郎に憑依し変身した電王の特殊形態。書籍によっては、「ミニ電王 コタロウ」と記述している[8]。
外見はソードフォームそのものであるが、身体の各パーツは小太郎の体格に合わせて小型化されている。
武器も通常のソードフォームと同様にデンガッシャー・ソードモードを使用。ガオウが放った忍者軍団を、小柄な体格を活かした素早い動きでなぎ倒した。
牙王が自身のオーラをフリーエネルギーに変換して変身する仮面ライダー。名称やツールなどは電王と共通する部分が多く見受けられるが、フォームチェンジ機構は搭載されておらずプラットフォームに相当する形態も若干異なる。本作品の劇場公開版では最初からオーラアーマーが装着されている様子が描かれていたが、ファイナルカット版では修正され、プラットフォームにオーラアーマーが装着される描写がなされている。
基本カラーは銅色で、オーラアーマーには緑青の錆が浮いている。複眼部のゲイタースキャンアイ[10]、電仮面や肩、胸部のゲイターブレスト[11]、それにアーマーの各部を走るレールガオウレール[12]など、全身の至るところに施されている牙状の意匠が特徴。また電仮面はワニの顔を模した形状で、複雑な変形プロセスを経て装着される。総合スペックは特別高いわけではないが、牙王の備える元来の戦闘技術もあいまって、劇中では電王の基本4フォームとゼロノス ベガフォームの5人をまとめて迎え撃ち、これを圧倒せしめた。技の名称は明かされていないが、左足に炎を纏ってのキックも作中では披露している。
電車型のタイムマシンで、先頭車両であるボディー前部の「キバ」と、後続の車両で編成される。劇中では一貫して「神の列車」と呼称されており、ガオウライナーという呼称はテレビシリーズにて本作品の時代の侑斗と、キンタロスが憑く前の良太郎が一度呼称したのみである。
フリーエネルギーを電気に変換する集電装置ガオウギャザーとアルゴドライブエンジンを搭載し、フロント部の物質生成照射装置によって神の路線を造り、疾走する。
どんな時代にも行くことができる特別な路線「神の路線」を走り、全ての時間を支配することが可能な特別な列車で、オーナーや侑斗によると古代文明の王により造られたが、あまりにも強大な力を持つために1度も走ることはなかったらしい[17]。
このガオウライナーを手に入れるのが牙王の最大の目的であり、デンライナーをジャックしたのもその一環であった。長らく戦国時代で古代帝国の神殿[15]に封印されていたところを真田幸村の協力を得た牙王が発掘し、これを手中に収める。テレビシリーズ第25 - 27話にも登場。
サウンドトラックCDは上映終了後の2007年10月24日に発売。従来、平成仮面ライダーシリーズの劇場版のサントラ盤は公開前に発売されていたが、本作品では諸般の事情により公開開始から約2ヵ月半遅れでの発売となった。