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トカゲ亜目
分類
下位分類群
下目
トカゲ (蜥蜴、石竜子)は、有鱗目 トカゲ亜目 に分類される爬虫類 の総称。分岐分類学的には有鱗目 からヘビ類 とミミズトカゲ類 を除いた側系統群 である。(ミミズトカゲ類はトカゲ亜目とする場合もある。)
形態
最長種はハナブトオオトカゲ で最大全長475cm(最大種はコモドオオトカゲ とされる)。最小種はミクロヒメカメレオン で、体長は最大でおよそ29mm程度[ 1] 。
イグアナ下目 の樹上棲種を中心に、環境やストレスによって自身の体色 を変える能力を持っている。最も有名なのはカメレオン だが、他の種類のトカゲにも微妙な体色の変化が見られる。
眼にはヤモリ下目を除き下部に瞼がある。また種によっては頭頂眼と呼ばれる、眼と同じ器官があり、これにより明暗を感知することができる。種によっては顕著で、眼が3つあるように見える種もいる。下顎骨の前部は結合している。側頭部には通常耳孔があり、奥に鼓膜があるが鼓膜が表面に露出している種もいる。また耳孔のない種もいる。
通常四肢を持つが、例外も多くいる。外観に四肢のない種でも骨格 には足の骨が残っている。樹上棲種では指に襞状の鱗(指下板)があり垂直面でも登ることのできる種もいる。
分類
トッケイヤモリ Gekko gecko
グリーンイグアナ Iguana iguana
クスリサンドスキンク Scincus scincus
爬虫類の中では最も種類数が多いグループで、現生種は熱帯 地方を中心に7000種近く[ 2] が知られており、以下のように分類される[ 2] 。
フタアシトカゲ下目 Dibamia
ヤモリ下目 Gekkota
スキンク下目 Scincomorpha
カナヘビ下目 Lacertoidae
オオトカゲ下目 Platynota
イグアナ下目 Iguania
日本に生息する種
系統
分子系統解析から、トカゲ亜目は有鱗目 のうちヘビ類 (ヘビ亜目)とミミズトカゲ類 (ミミズトカゲ亜目)を除いた側系統群 であることが判明している(以下の分岐図のうち薄緑色に示す範囲が旧来トカゲ亜目、ピンク色がミミズトカゲ類、薄青色がヘビ類)[ 3] [ 4] 。単系統群のみを正式な分類群として認める立場では、「トカゲ亜目」は成り立たない。
分布
南極大陸を除く全大陸。
生態
極地や高山を除く、陸上の様々な環境に生息する。
食性は分類、種により異なり、昆虫類 、節足動物 、甲殻類 、貝類 、ミミズ 、魚類 、両生類 、爬虫類、鳥類 、哺乳類 、動物の死骸、葉 、花 やその蜜 、果実 、種子 、海藻 等を食べる種が知られている。概して肉食傾向の強い種が多数である。
繁殖形態は主に卵生だが、卵胎生 の種もいる。
一部のトカゲは、外敵に襲われたときに身を守るために尾を自切 する。失われた尾は再生 する[ 5] 。
人間との関係
トカゲによる被害
ほとんどのトカゲは毒をもたず、よほどの大型種でもない限り人間に害を及ぼすことはない。ただし、オオトカゲ 類などに咬まれると、口内にいる雑菌 が傷口から入りこみ感染症 を起こすことがある。
実際に毒 をもつのはメキシコ 北部に分布するメキシコドクトカゲ 、テキサス 南部に分布するアメリカドクトカゲ 、インドネシアに分布するコモドオオトカゲ の3種類である。このうち、前記2種は動きも比較的遅く、毒はヘビの毒と異なり噛むことでゆっくり注入されるため、それほど危険ではない。コモドオオトカゲについては、従来、噛まれると唾液中の細菌 によって敗血症 を起こすと考えられてきたが、近年、歯間に毒管を有し、噛みついた傷口に毒を流し込むことが明らかになった[ 6] 。1974年以降、30人がコモドオオトカゲに噛まれ、そのうち5人が死亡している[ 7] 。また、人を捕食することもあるという[ 6] 。
食用
オーストラリア のアボリジニ は、60cmほどもある大型のトカゲを捕らえ、焼いて食べる。尻尾の辺りが特に美味で、鶏肉のような味 がするという[ 8] 。
文化
トカゲは外敵から身を守るために尾を自切することから、日本語では、下位の組織や人に責任を被せて逃れることを「とかげの尻尾切り 」という。
"Tokage"(トカゲ)は、日本の命名により台風 のアジア名 に採用されている(直接的にはとかげ座 に由来)。「トカゲ」というアジア名が付けられた台風の例としては、平成16年台風第23号 がある。
英語圏では、男性器 の隠語としてトカゲの名前が用いられることもある。「Bleeding the lizard」は「小便」「Milking the lizard」は「マスかき」を意味する[ 9] 。
脚注
出典
^ Glaw, F.; Köhler, J. R.; Townsend, T. M.; Vences, M. (2012). Salamin, Nicolas. ed. “Rivaling the World's Smallest Reptiles: Discovery of Miniaturized and Microendemic New Species of Leaf Chameleons (Brookesia) from Northern Madagascar” (英語). PLoS ONE 7 (2): e31314. doi :10.1371/journal.pone.0031314 .
^ a b マーク・オシー 著、冨水明 和訳監修 『トカゲ大全』, 2021年, MPJ.
^ Wiens, J. J.; Hutter, C. R.; Mulcahy, D. G.; Noonan, B. P.; Townsend, T. M.; Sites, J. W.; Reeder, T. W. (2012). “Resolving the phylogeny of lizards and snakes (Squamata) with extensive sampling of genes and species” . Biology Letters 8 (6): 1043–1046. doi :10.1098/rsbl.2012.0703 . PMC 3497141 . PMID 22993238 . https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3497141/ .
^ Zheng, Yuchi; Wiens, John J. (2016). “Combining phylogenomic and supermatrix approaches, and a time-calibrated phylogeny for squamate reptiles (lizards and snakes) based on 52 genes and 4162 species”. Molecular Phylogenetics and Evolution 94 (Part B): 537–547. doi :10.1016/j.ympev.2015.10.009 . PMID 26475614 .
^ “トカゲの尾はどう切れる?” . 朝日新聞 be . (2009年7月9日). https://www.asahi.com/shimbun/nie/tamate/kiji/20110711.html
^ a b “動物 - コモドオオトカゲ ”. ナショナルジオグラフィック. 2014年12月20日時点のオリジナル よりアーカイブ。2020年2月15日 閲覧。
^ “コモドオオトカゲ、外国人観光客を襲う インドネシア” . AFPBB News . (2017年5月5日). https://www.afpbb.com/articles/-/3127309
^ 椎名誠 『熱風大陸 ダーウィンの海をめざして』講談社文庫 、144頁。
^ スターリング・ジョンソン 著、鈴木智洋、生方孝士 訳『第2外国語として学ぶファッキン英語』 2巻、イプシロン出版企画、2008年1月、84頁。ISBN 978-4-903145-35-8 。
参考文献
千石正一 監修 長坂拓也編 『爬虫類・両生類800種図鑑 第3版』、ピーシーズ、2002年 、14-73頁。
『小学館の図鑑NEO 両生類はちゅう類』、小学館 、2004年 、83-109頁。
海老沼剛 『爬虫・両生類ビジュアルガイド トカゲ1 アガマ科&イグアナ科』、誠文堂新光社 、2004年、4-112頁。
海老沼剛 『爬虫・両生類ビジュアルガイド トカゲ2 ヤモリ上科&スキンク上科』、誠文堂新光社、2004年、4-112頁。
Go!!Suzuki 『爬虫・両生類ビジュアルガイド オオトカゲ&ドクトカゲ』、誠文堂新光社、2006年 、6-128頁。
関連項目
外部リンク
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