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この項目では、2025年に大阪市此花区で開催予定の国際博覧会(大阪・関西万博)について説明しています。
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2025年日本国際博覧会(にせんにじゅうごねんにっぽんこくさいはくらんかい、英称:Expo 2025 Osaka, Kansai, Japan)は、日本の大阪府大阪市此花区の夢洲で開催予定の国際博覧会である。開催期間は2025年(令和7年)4月13日-10月13日の184日間[1]。公式略称は、「大阪・関西万博」(おおさか・かんさいばんぱく)[2]。報道では「2025年大阪・関西万博」と用いられる[3]。
概要
2025年に日本・大阪府で開催される予定の国際博覧会であり、公益社団法人2025年日本国際博覧会協会が準備から開催運営までを行う。登録博覧会(登録博)に区分されており、総合的なテーマを扱う大規模博覧会として実施される予定である。
- テーマ:いのち輝く未来社会のデザイン(英語: Designing Future Society for Our Lives) [1]
- コンセプト:-People’s Living Lab- 未来社会の実験場 [1]
- 公式キャラクター:ミャクミャク
- 開催期間:2025年4月13日〜10月13日(184日間)
- 開場時間:午前9時-午後10時
- 主催:公益社団法人 2025年日本国際博覧会協会
- 面積:約155ha(USJ 約3個分[注釈 1])
- 事業費:3,187億円(内訳:会場建設費2350億円、運営費837億円)[注釈 2]
- 入場料:大人3,700-7,500円 中人2,000-4,200円 小人1,000-1,800円[4]
- 想定来場者数:2,820万人[5]
経緯
2018年11月23日にフランスのパリで開かれた第164回BIE総会で開催国を決める投票が行われた。最終プレゼンテーションはバクー、大阪、エカテリンブルクの順で、30分間に渡って意見を提示し、その後の投票はコンピューターの無記名投票によって開催地を決定した。総数の3分の2以上を得た都市が開催権を獲得し、達しない場合は最下位の都市が脱落。2都市に絞り込んだ場合は過半数を得た都市が開催権を獲得することになっていた。最終プレゼンテーション後に行われた初回の投票で、大阪は85票を獲得し、48票のエカテリンブルクと23票のバクーを上回ったが、投票総数の3分の2には達せずエカテリンブルクとの決選投票となった。2回目の投票で大阪が92票を獲得、エカテリンブルクは61票だった(その他、棄権2票)。これにより、2025年国際博覧会の開催地が大阪に決定された[6][7]。
日本での国際博覧会開催は2005年日本国際博覧会(愛・地球博)以来20年ぶり6回目で、登録博(旧一般博)としても20年ぶり、3回目である。大阪で開催されるのは登録博(旧一般博)としては1970年に吹田市で開催された日本万国博覧会以来55年ぶり2回目、特別博も含めると1990年に大阪市鶴見区で開催された国際花と緑の博覧会以来35年ぶり3回目である。
投票結果
投票結果
都市
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第1回
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第2回
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大阪
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85
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92
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エカテリンブルク
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48
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61
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バクー
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23
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—
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- テーマ: 「人という資本」[8]
- テーマ: 「変化する世界、包括的な技術革新-子供と将来の世代へ」[9]
- テーマ: 「いのち輝く未来社会のデザイン」
立候補取り下げ;
- テーマ: 「共有すべき知見、守るべき地球」[11]。2018年1月に立候補を断念[12]。
テーマ
経済産業省が2017年4月7日に発表した「2025年国際博覧会検討会報告書」では、テーマ・サブテーマは、以下のようになった[13]。
- テーマ:いのち輝く未来社会のデザイン(Designing Future Society for Our Lives)
- サブテーマ
- 多様で心身ともに健康な生き方
- 持続可能な社会・経済システム
ロゴマーク
公式キャラクター
- ミャクミャク - 3万3197件の公募から、厳選なる審査の上、開幕1000日前にあたる2022年7月18日午前に決定され、同日開催された記念イベントで発表された。 岸田文雄首相は、歴史、伝統、文化、世界とのつながりを脈々と引き継ぐ、そういった意味が込められている愛称であると説明した。
公式テーマソング
- 「この地球の続きを」 - アンバサダーにも就任しているコブクロが、万博のために書き下ろした楽曲。開催の3年前である2022年7月19日に配信、同年10月19日にCDシングルとしてリリースされた。「世界の国からこんにちは」のオマージュとして、サビが「こんにちは」というフレーズで始まっている。万博開催前より万博関連のイベントでは、この楽曲がコブクロによってたびたび披露されている。
開催目的
* Society5.0:狩猟社会、農耕社会、工業社会、情報社会に続く、5番目の新しい社会(超スマート社会)。ICTを最大に活用し、サイバー空間とフィジカル空間とを融合させた取組により、人々に豊かさをもたらす社会。
大阪・関西万博は、2015年9月に国連本部で開催された「国連持続可能な開発サミット」において、持続可能な開発目標として17の目標を掲げたSDGsが達成された社会を目指すために開催する。SDGs達成の目標年である2030年まで残り5年となる2025年は実現に向けた取り組みを加速するのに極めて重要な年である。
大阪・関西万博に向けた取組
#thinkexpo2025:万博の理念である「人類課題の解決の場」として日本で開催する意義や価値を国内外に広めると共に、これからの社会を担う若い世代とアイデアを創発し合うプロジェクト
WAKAZO.ONLINE:2025年の誘致を目指す大阪万博に向けて、若者からの声をあげ、若者自らが主体となって大阪万博を作り上げるためのプラットフォーム。Webサイト上では期間ごとに設定されたテーマを参考に、SNS形式でテキスト・画像・動画など自由な形でのアイデア・意見の投稿やお気に入り、コメントができる。
沿革
誘致活動
《主要な出典:》
- 2017年
- 3月27日 - 「2025日本万国博覧会誘致委員会」を設立。榊原定征(日本経済団体連合会会長)が誘致委員会会長に就任。
- 4月7日 - 経済産業省が2025年国際博覧会検討会報告書をとりまとめ[19]。その中で博覧会テーマを「いのち輝く未来社会のデザイン」に選定。
- 4月11日 - 政府が2025年国際博覧会の大阪誘致に向けた立候補及び開催申請について閣議了解。
- 4月24日 - 木寺昌人駐仏日本大使からBIE(博覧会国際事務局)に立候補表明文書を提出。
- 6月14日 - 第161回BIE総会で榊原会長らが第1回プレゼンテーションを行う。
- 9月25日 - 木寺駐仏日本大使が日本国としての正式な立候補申請文書(英: bid dossier)をBIEに提出[24]。
- 11月15日 - 第162回BIE総会で6月に続き安倍晋三総理大臣のビデオメッセージなど含めた第2回プレゼンテーションを実施[26]。岡本三成外務大臣政務官、松本正義誘致委員会会長代行(関経連会長)らが出席。
- 2018年
- 6月12日 - 6月13日にかけて第163回BIE総会への出席(13日に第3回プレゼンテーションを実施)。
- 11月23日 - 第164回BIE総会で、2025年国際博覧会の日本(大阪・関西)での開催が決定。
開催準備
- 2018年
- 2019年
- 1月30日 - 一般社団法人2025年日本国際博覧会協会が発足。中西宏明(日本経済団体連合会会長)が博覧会協会会長に就任。
- 2月1日 - 博覧会協会事務所を開設。事務所の所在地:大阪府大阪市住之江区南港北1丁目14番16号 大阪府咲洲庁舎43階。
- 2月8日 - 万博特措法(当時の正式名称:平成37年に開催される国際博覧会の準備及び運営のために必要な特別措置に関する法律)を閣議決定。
- 3月31日 - 2025日本万国博覧会誘致委員会を解散[30]。
- 4月19日 - 万博特措法が成立[31](翌5月の改元に伴う法律名:令和7年に開催される国際博覧会の準備及び運営のために必要な特別措置に関する法律)。
- 5月15日 - 博覧会協会理事会開催[32]。副会長の選定のほか、事務総長に石毛博行を決定[33]。
- 5月31日 - 博覧会協会が万博特措法に基づく指定を受ける。
- 10月21日 - 博覧会協会が公益社団法人に移行[37]。
- 12月20日 - 政府がBIE 事務局に対して本登録申請を行うことを閣議決定[38]。
- 12月27日 - BIE 事務局に登録申請書(英: Registration Dossier)を提出[39]。
- 2020年
- 2月14日 - 2025年日本国際博覧会アンバサダーを選任・発表[40]。
- 7月13日 - 会場デザインプロデューサーに藤本壮介を、会場運営プロデューサーに石川勝()を、テーマ事業プロデューサーに福岡伸一ほか7人をそれぞれ決定[41]。
- 8月25日 - ロゴマークを決定[42]。
- 9月9日 - 博覧会協会道修町事務所を開設[43]。事務所の所在地:大阪市中央区道修町3丁目4番10号 損保ジャパン道修町ビル4階。
- 9月16日 - 万博特措法(全部)施行[44]。政府の国際博覧会推進本部が発足(本部長:菅義偉内閣総理大臣)[注釈 3]。専任の国際博覧会担当大臣(新設)に井上信治が就任。
- 12月1日 - 第164回BIE総会で、登録申請書が承認される[46]。
- 12月25日 - 2025年日本国際博覧会基本計画を策定・公表[47]。
- 2021年
- 3月5日 - 開幕1500日前に合わせ、公式ホームページに記念バナーを掲載。また、アンバサダーからのメッセージを公式SNSより発信[48]。
- 6月16日 - 博覧会協会会長に十倉雅和(日本経済団体連合会会長)が就任[49]。
- 8月27日 - 会場周辺や会場アクセスなどのインフラ整備計画を決定[50]。
- 2022年
- 3月22日 - 公募を経て大阪・関西万博の公式キャラクターのデザインを決定[51]。
- 4月18日 - 大阪・関西万博テーマ事業「いのちの輝きプロジェクト」基本計画を策定(8テーマ事業を設定)[52]。
- 7月18日 -
- 7月26日 - 博覧会協会東京オフィスを東京都港区に移転、開設[34]。所在地:東京都港区虎ノ門1丁目1番3号 磯村ビル6階[55]。
- 2023年
- 2024年
- 9月25日 - 開幕200日前となるこの日、東京に大阪・関西万博の情報発信拠点を開設[61]。所在地:東京都港区北青山2丁目3番1号 Itochu Garden B1F ITOCHU SDGs STUDIO 「2025大阪・関西万博コンセプトストア いのち輝くシリーズ 外苑前店」(2025年1月31日までの予定)[62]。
- 10月13日 - 開幕半年前となるこの日、購入済み前売入場券による会場来場日時予約の受付を開始(先着順で受付けする予約は来場希望日の6か月前から可能[63])[注釈 4]。同日、コンビニ等店頭での前売り入場券の販売を開始[66]。
参加国・地域・国際機関
2024年12月27日の外務省の発表による[67]。
参加国・地域
以下50音順(158カ国・地域)
国際機関
以下50音順(9国際機関)
国内パビリオン
斜体は出展元を示す。大阪関西万博公式ウェブサイトより作成。
民間パビリオン
シグネチャーパビリオン
シグネチャーパビリオンとは、各界で活躍する8人のプロデューサーが主導する展示パビリオンである[68]。敬称略。
関係各所
アンバサダー
万博の顔となる「2025年日本国際博覧会アンバサダー」が2020年2月14日に発表された[69]。就任したのは以下の6組(50音順)
プロデューサー
総合プロデューサーは、大阪市の特別顧問[70]なども務めた大阪維新の会のブレーンである森下竜一[71]。
2020年7月13日、プロデューサー10人の発表記者会見があった。
会場デザインプロデューサー
会場運営プロデューサー
テーマ事業プロデューサー8人
2021年12月15日、催事企画プロデューサーにクリエイティブディレクター・音楽イベントプロデューサーで「東京パラリンピック閉会式」総合演出を担当した小橋賢児が就任発表。開会式などの催事の計画や催事施設の運営管理を担うことになる[73]。
共創パートナー
2025年万国博覧会の大阪招致におけるオフィシャルパートナーに引き続き、同博覧会協会により「TEAM EXPO 2025」と銘打ち「共創パートナー」が募られている[74]。
2022年12月、公式キャラクター「ミャクミャク」のライセンス事業を巡り、博覧会協会は電通や伊藤忠商事など4社で構成する共同企業体(JV)を選定し11月末にライセンス契約をしたが、2020東京オリパラ大会における一連の贈収賄事件やテスト大会の入札談合など「五輪疑獄」の渦中にある広告代理店電通などの選定に大阪府議会から批判がなされているとのこと。
電通は万博誘致時から誘致委員会のオフィシャルパートナーを、誘致決定後の2021年2月からは博覧会協会の共創パートナーを務めている[75]。同社はこのライセンス事業以外にも、小山薫堂プロデュース「いのちをつむぐ」、石黒浩の「いのちを拡げる」、宮田裕章の「いのちを響き合わせる」など計8件の事業を落札している。電通と共に五輪テスト大会入札談合で家宅捜索を受けた博報堂は、河瀬直美の「いのちの輝きプロジェクト」など計6件の、同様に家宅捜索を受けたADKマーケティング・ソリューションズも計1件の万博事業を落札しているなど、「広告代理店の博覧会」と化していると批評されている[76][77]。
公益社団法人2025年日本国際博覧会協会
招致成功を受けて、2019年(平成31年)1月に設立された[78]。本部は大阪市の大阪府咲洲庁舎に所在。同年(令和元年)10月に一般社団法人から公益社団法人に移行。
- 名誉総裁
- 会長(代表理事)
- 事務総長(代表理事)
- 副会長(理事)
- 理事
- 副事務総長(理事)
- 監事
- 小原正敏(きっかわ法律事務所代表弁護士)[79]
- 中務裕之(中務公認会計士・税理士事務所所長、公認会計士・税理士)[79]
- 顧問
オフィシャルパートナー
オフィシャルサポーター
問題点
開催費用の増大
2017年9月、会場建設費を約1250億円と見込み、国、大阪府市、経済界がそれぞれ400億円強を負担するという試算を博覧会国際事務局に提出した[81]。そのうち経済界からは松本正義関西経済連合会会長の出身母体住友グループの白水会と日本経済団体連合会で100億円、関西経済界で200億円を負担する案がまとめれた。その後白水会では松本会長の呼びかけで検討がなされ、2019年9月の会合で100億円の寄付を行うことが決定された[82][83]。
2020年12月、諸物価の高騰などを理由に、会場建設費見込額は最大1850億円と、約1.5倍に上方修正された。国、大阪府市、経済界は以前と同様にそれぞれこの3分の1ずつを負担するとしている。このうち約180億円(のちに約350億円に上方修正される)は新たに整備することを決めた環状の大屋根(空中リング)が占めることが明らかとなった。大屋根(リング)は1周約2キロで、パビリオンエリアのメインストリートとなり、移動時の雨よけや日よけの機能も担うとしている[84]。2021年9月には大阪府木材連合会がリングを国産の木材で建設するよう提案した[85]。
2022年10月、パビリオンの建設費についても当初の試算よりもさらに25億円増加して99億円に上振れすることが明らかとなり、大阪府と大阪市の双方の見積りの甘さが指摘された[86]。また、テーマ館などの建設の競争入札が始められたが、初回の入札では入札額が予定価格を上回り不落となったり、応札者が現れないなどの理由で 10件が不成立となった。博覧会協会は設計の変更や経費削減をした上で、再入札を行う方針を示したが、予定価格を引き上げる状況が生まれれば会場建設費全体の上ぶれも予期できる状況となった[87]。
2023年9月、さらに450億円積み増して当初計画の8割増となる2350億円程度にする方向で調整が行われた[88]。この頃から木造リングの巨額の費用について批判も出るようになり、万博担当相の自見英子は「万博の理念を示す大きなシンボルだ」と説明した上で、リングの下は来場者の日よけ、雨よけのスペースになるとし、必要性を強調した[89]。
同年11月27日、会場建設費とは別に837億円の国の負担費用がかかることを万博担当相の自見が発表した。内訳は、日本館の建設や展示、運営、撤去などにかかる総費用が最大約360億円、発展途上国の出展支援が約240億円、警備費が約199億円、万博開催の機運醸成に向けた費用が約38億円としている。これには一部の内装工事の費用などは盛り込まれておらず、上振れが見込まれている[90]。
12月14日、万博協会は万博の運営費(人件費など)を当初想定の4割増の1,160億円に引き上げる資金計画案を発表した。会場の運営や安全対策などの「会場管理費」に最多の560億円を計上。前年に発生した安倍晋三銃撃事件やソウル梨泰院雑踏事故を受けた混雑対策や警備の強化により、当初想定の2倍近くに膨らんだとしている[91]。
工事の遅れ
パビリオンは、各国が独自のアイデアで建設するタイプA、日本側が建設した施設を参加国が使うタイプB、タイプCの3種類に分けられている。このうち、タイプB、タイプCについては比較的順調に工事が進んでいるが、タイプAについては2024年1月現在、現在建設を予定している55カ国のうち施工事業者が決まったのは35カ国で、1月10日に初めてポルトガルが着工を開始した[92]。建設が遅れている原因について、タイプAの海外パビリオンは複雑な形状をしていて建設が難しく、その分「万博の華」と称されることもあるが、建設資材の高騰、人手不足、工期の短さ、会場である夢洲へのアクセスの悪さなども重なって手を挙げる業者が少ないからとされている[93]。
2023年8月、建設の遅れに対して万博協会は、協会側がパビリオンの建物を代理で建てて費用を後から各国に請求する方式「タイプX」を提案した。11月時点ではタイプAからタイプXに変更したのは2カ国のみ(アンゴラ、ブラジル)であるが、25カ国分の建物の設計や資材の確保を行っている。タイプXへの移行が25カ国を下回った場合、余ったスペースは物販コーナーなどに転用するとした[94]。
同年11月、この状況を踏まえて日本建設業連合会の宮本洋一会長(清水建設会長)は、海外パビリオンについて「もうデッドラインは過ぎていると思ってもいい」と強い危機感を示した[95]。また建設業界では、翌年度から時間外労働の上限規制(通称:2024年問題)が設けられるため、月に45時間を超える残業ができなくなる。人手がさらに逼迫し、開幕に間に合わなくなるとの懸念が強まっている[96]。
埋没ガスによる爆発事故の懸念
2024年3月28日に、グリーンワールド工区で建設されていたトイレの溶接作業中に、地中から漏れ出ていたメタンガスに引火する爆発事故が発生。その後の調査で、5月30日に別の工区4か所でもメタンガスが検出されたことが万博協会から発表された。
大阪の市民団体「おおさか市民ネットワーク」は、最終処分場であった夢洲で発生しているメタンガスによる爆発の可能性を以前から指摘していたが、これに限らず有害なガスの存在を危惧している[97]。
政府の対応
2018年11月23日(日本時間24日未明)の万博招致決定を受け、同年12月21日に世耕弘成経済産業大臣が万博の担当大臣に任命され、日本政府は専任の万博担当大臣を置くことができるようにするための特措法として「平成三十七年に開催される国際博覧会の準備及び運営のために必要な特別措置に関する法律(万博特措法、平成31年法律第18号)」を制定した。これにより2020年9月16日より専任の万博担当大臣が設置された。なお特措法の題名は、2021年9月1日に令和七年に開催される国際博覧会の準備及び運営のために必要な特別措置に関する法律に改題されている。
歴代の2025年万博担当大臣
会場内への交通
夢洲へのアクセス道路は、すでに夢咲トンネルと夢舞大橋の2本が存在している。
鉄道アクセスは、Osaka Metro中央線を2024年度までにコスモスクエア駅から夢洲駅へ延伸する予定である[98]。夢咲トンネルの建設時に鉄道用トンネルも準備工事がなされており[99]、現在は主に夢州駅部の建設が行われている。
またこれに合わせて淀川左岸線が海老江から新御堂筋と接続する豊崎付近まで延伸することが決まっている。
万博開催時の輸送
夢洲には駐車場は設定されず、鉄道、バス、タクシー、自転車、船舶(検討中)でのアクセスとなる。
Osaka Metro 中央線
ピーク時の輸送について、6両編成の列車を最大24本/時(2分30秒間隔)で走らせるとしている[100]。しかし、朝のピーク時において混雑率は140%に達すると見込まれており、安全への対策が求められる[101]。
JR西日本 桜島線(JRゆめ咲線)
こちらは、ピーク時の輸送について8両編成の列車を最大12本/時(5分間隔)で走らせ[102]、桜島駅からはシャトルバス(70台)での移動となる。
また、新大阪駅から梅田貨物線経由で桜島駅を結ぶ臨時列車「エキスポライナー」を運行し、日中は概ね1時間あたり1本運行される予定である。他のJR線区や東海道・山陽新幹線などにおいても利用が多い時間帯に列車が増発される[103]。
シャトルバス
新大阪、大阪、中之島、JR尼崎・阪神尼崎、桜島、難波、上本町、天王寺、弁天町(非常時)、堺・堺東からの運行を予定している[104]。また、駐車場が尼崎(3000台)、舞洲、堺(2000台)に用意され、各駐車場からもパークアンドライドとしてシャトルバスの運行がある。
自転車
自転車でもアクセスが可能となる。ただし、此花大橋、夢咲トンネルは通れず、常吉大橋、夢舞大橋からのアクセスのみとなる[105]。夢洲には約600台収容できる駐輪場が整備される予定。
船舶
2023年11月現在、調整中である。検討されている発着地は、神戸港・神戸空港、淡路島、市内中心部、遊覧、堺旧港、淀川(十三)[106]。
脚注
注釈
- ^ USJの面積は約54ha
- ^ 2023年12月現在
- ^ 推進本部事務局の開所式は翌月の10月1日[45]。
- ^ 予約した来場日時に合わせた、パビリオンの入館予約やイベント、展示などの観覧予約の抽選申込は来場3か月前に開始。なお、10月13日に先行して、「超早割一日券」購入者を対象としたパビリオン・イベント観覧の特別抽選の予約が9月25日に開始された[64][65]。
- ^ 委員会設立当時の社名は「アートコーポレーション」。
出典
参考文献
関連項目
外部リンク
- ^ 日本放送協会 (2024年7月12日). “ヨーロッパで人気の「ジャパンエキスポ」万博会場で来年開催へ”. NHKニュース. 2024年7月16日閲覧。