大阪維新の会(おおさかいしんのかい、英語: Osaka Restoration Association / One Osaka)は、大阪府の地域政党(政治団体[注 2])。国政政党・日本維新の会の母体でもあり、同政党の大阪府総支部でもある。
略称は「維新」、「大阪維新」。
大阪府内の18の地方議会において与党会派であり、大阪府議会および大阪市会では単独与党会派である。
2010年当時の自由民主党大阪府連所属の地方議員らには、大阪府知事橋下徹に対する支持派と反対派がいた。府庁舎の移転を巡る知事と府議会の対立が決定的となり、知事支持派は大阪府議会に別の自民党系会派「自由民主党・維新の会」を結成した。そして、橋下府知事と、自由民主党を離党した大阪府議・大阪市議・堺市議らによって2010年4月19日に「大阪維新の会」が結成された[14]。設立時点は、橋下知事の政策を支持する府議24人、大阪市議1人、堺市議5人の計30人だけであったが、設立半年以内に自民党や民主党の多くの議員が次々と参加した[14]。同年9月17日、自民党大阪府連は自民党籍のまま維新の会に参加していた議員39人に離党勧告を行った。翌2011年4月の第17回統一地方選挙にて、同会は大阪府議会の過半数を獲得、大阪市議会と堺市議会でも議席数を大きく伸ばしたことで、結成一年で3箇所の府内の地方議会で第一党となった[14]。
2022年5月現在の代表は大阪府知事の吉村洋文。大阪府議会・大阪市会・堺市議会・ 箕面市・八尾市・茨木市・交野市・大東市・柏原市・泉南市・和泉市・阪南市・泉佐野市・河内長野市・大阪狭山市・羽曳野市・藤井寺市・豊能町と18の議会において議会第一党であり、大阪府議会と大阪市会では単独過半数を確保している。また、首長において、大阪府知事・大阪市長・堺市長・枚方市長・守口市長・門真市長・八尾市長・柏原市長・池田市長・羽曳野市長・高石市長・岸和田市長・貝塚市長・泉南市長・阪南市長 ・豊能町長・太子町長 ・熊取町長・忠岡町長も所属している。
「維新の会」という名称は、大前研一が1992年に結成した「平成維新の会」を参考にしており、橋下は大阪維新の会の結成にあたり、大前に名称の使用許可を確認した[87][88]。
大阪府政において、「大阪維新」という名称を用いたものには、古くは2000年代初頭に設置された「大阪維新電信室」がある。これは府庁内のネットワーク上のホームページの名称で、職員が業務改善等を書き込む用途に用いられていたが、現在の大阪維新の会とは直接の関係はない[89]。橋下が知事就任後の2008年6月に府は「『大阪維新』プログラム(案)」と呼ばれる府政改革案を出しており、大阪維新の会結成前は大阪維新といえば主にこのプログラムを指す言葉であった[90]。
知事時代から橋下のブレーンを務め、大阪都構想の理論的支柱でもある[91]慶應義塾大学総合政策学部教授の上山信一は、『「大阪維新」とは国からの独立(軍事、外交、金融などを除く)を目指す地域の革命運動・反体制運動であり、大阪都構想は大阪維新の一手段に過ぎない』と述べている[92]。
かつては、大阪維新の会や橋下と直接のかかわりが無いにもかかわらず、「○○維新の会」を名乗る政治団体[注 4]が全国各地に多数結成され[93]、特に大阪では大阪維新の会と関係のない「○○維新の会」が地方選挙で当選する例が多数出ていた。
その中には、大阪維新の会との関係を誤解した市民がこれらの政治団体や候補者に票を投じた例もあることから、一部の市民からは「だまし」、「税金泥棒」と批判されている[94]。中には大阪維新の会と関係のない「○○維新の会」が大阪府内の選挙において公約や街宣車演説で「大阪都構想の推進」を掲げたり大阪維新の会と類似したポスターを使用するなど、大阪維新の会と酷似する選挙活動を行っている例もある[95]。
こうした事態に橋下元代表は、「非常に困惑しているが、やめろという権利もない。勝手に名前を使う人たちと連携するつもりはない」と話していた[96]。
もっとも、どの政治団体も「○○維新の会」を名乗ることは合法である。維新勢力が国会議員5人以上の要件によって国政政党(「日本維新の会~維新の党~おおさか維新の会~日本維新の会)が2012年10月以降に存在してからは国政政党と同一名称及び類似名称とする政治団体の設立は違法となった。しかし、同一名称の国政政党が存在する以前に設立した政治団体は存続が可能であり、2017年奈良市議選では国政政党「日本維新の会」と全く関係のないが国政政党「日本維新の会」が存在しない期間に届け出た政治団体「日本維新の会」の候補が最下位当選した事態が発生している[97])。2016年・2020年福山市議選でも国政政党「日本維新の会」と全く関係のない別団体「福山維新の会」を名乗る候補が立候補し、1名当選している。
他、議員・職員・知事・市長の給料・ボーナス・退職金のカット。職員数の削減。遊休資産等の土地建物の売却。公的施設の競争入札・外郭団体などの補助金カット・廃止・民営化等。
大阪維新の会は、国政政党である日本維新の会の母体であり、同政党の大阪府総支部でもある。日本維新の会には、多数の党幹部、国会議員を輩出している。そのため、以前の党規約では、大阪維新の会が兵庫維新の会や京都維新の会といった他の都道府県総支部よりも、はるかに強い権限を持っていた。
2012年には維新八策と呼ばれる国政への提言を行い、その提言は当時の国政政党日本維新の会の政策にも反映されていた[117][118]。名称の由来は、幕末期に坂本龍馬が起草したとされる船中八策[119]。
「維新八策」の概要は以下の通り[120]。
2015年12月
2020年11月
現在
2024年12月2日現在、所属国会議員数22名(衆議院議員19名、参議院議員3名)
府内で所属地方議員がいないのは高石市、河南町、千早赤阪村のみである。
2012年には、石原慎太郎を代表とする太陽の党と共同で日本維新の会を設立したが、その後内紛で日本維新の会と次世代の党に分裂した。
また2014年には、みんなの党から離党した議員らによって作られた結いの党と共同で維新の党を設立したが、こちらも内紛に至り、その後袂を分かっている。
公明党との間では、大阪府政・大阪市政への協力を条件として、公明党の衆議院議員がいる関西の小選挙区に維新側が候補者を立てないという形で「共生関係」が築かれている。2012年(平成24年)の第46回衆議院議員総選挙では、大阪都構想への協力を条件に公明党の関西6小選挙区に候補者を擁立せず、公明党候補に推薦を出していた[123]。
一方で、自民党大阪府連・立憲民主党大阪府連・日本共産党大阪府委員会とは、府政・市政・国政選挙・大阪都構想を巡り、激しい敵対関係にある。茨木市議会議員選挙において、元日本共産党市議であった岩本守を大阪維新の会は公認し、当選している。
国政政党以外では、名古屋市の地域政党である減税日本(2011年-2012年は国政政党)と協力関係にある。
また過去には、中京都構想を掲げる愛知県の地域政党である日本一愛知の会、現職・元職の地方首長・地方議員が中心の日本創新党、松山市の松山維新の会と協力関係にあった。(現在、日本一愛知の会は消滅。日本創新党とは日本維新の会結党時に合流。松山維新の会とは協力関係解消済み。)
2013年5月1日、沖縄の地域政党である政党そうぞうとの間で政策協定を締結した[124]。
2012年に国政に進出する以前の大阪維新の会は他党との二重党籍を容認しており、結成から約半年後の2010年9月時点では自民党籍を持つ大阪維新の地方議員は約90人いた[125]。2010年9月16日に自民党大阪府連はこのうち39人と、翌年の統一地方選に維新から立候補予定の党員6人の計45人を離党勧告処分とし、同月26日までに45人は自民党に離党届を提出した[126]。一方で自民党では2012年1月に府連会長の竹本直一が維新との二重党籍を容認する発言もしていた[127]。2012年2月時点では大阪市会にみんなの党との二重党籍者が5人いたほか、日本創新党との二重党籍もあった[128]。
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