西鉄高速バス株式会社(にしてつこうそくバス)は、かつて福岡県福岡市に本社を置き、主に高速バスの運行を手がけた西鉄グループの路線バス事業者である。
現在でも西鉄グループが運行する高速バスを西鉄高速バスと言う。例として、天神地区を運行中の一般路線バスでは、天神高速バスターミナルでの高速バスへの案内をした際、
[便利で快適な西鉄高速バスをご利用ぐださい。]とアナウンスがある。
なお、本項では同社の概要とともに、西鉄グループの高速バス事業全般について説明する。
概要
西日本鉄道(西鉄)の高速バスは、福岡市天神の西鉄天神高速バスターミナルを拠点に路線網を広げており、主に九州内他事業者と共同運行の昼行路線のほか大阪や東京などを結ぶ本州方面への夜行バスも運行している。
西鉄高速バスは西日本鉄道自動車部門の高速バス組織を分社化して発足したものであり、「高速バス専業の路線バス会社」である。営業面では西鉄高速バス発足直後に近距離昼行路線(西鉄本体の路線を含む)の運賃(片道)を1000円・1500円・2000円と行ったわかりやすい定額に値下げする、福岡 - 熊本線で大幅な増便に踏み切るなどの積極策をとった。これに対してJR九州が九州新幹線または都市間特急が利用できる特別企画乗車券を発売するなど、両者は競合関係にある。運賃面では一部路線を除いて再値上げとなっており、近年では共同予約サイト「楽バス」や共同乗り放題切符「SUNQパス」の構築などソフト面の強化に注力している。
2012年7月に国土交通省の高速乗合バス制度改正により、事業者が需要に応じて運賃を柔軟に設定することや、航空業界で主流の「早割」の導入などが可能となったことを受け、2013年度中に福岡・天神と西日本の地方都市を結ぶ高速バス路線3~4本の開設を検討している、と報じられ[1]、「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン線」や「博多・フジヤマ Express」などの路線開拓を行ったが、いずれも運行規模を縮小または路線の休廃止を行っている。
2018年8月2日、親会社である西日本鉄道が西鉄高速バスを2019年4月1日付けで吸収合併し、同社を解散することを発表した[2]。高速バス事業を福岡地区と北九州地区で事業分割し、福岡地区における高速バス事業を西日本鉄道本社が継承、北九州地区における高速バス業務は西鉄バス北九州に吸収分割された。
沿革
主に西鉄高速バスの沿革についてを記す。
- 2000年
- 2001年
- 2002年3月31日: 福岡 - ハウステンボス線廃止。
- 2003年
- 2004年
- 1月18日: 北九州(小倉) - 小野田・宇部線の運行から撤退(サンデン交通単独で試験運行続行→同年7月より正式運行に)。
- 3月20日: 福岡 - 鳥栖線運行開始(鳥栖支社を新設し西鉄バス佐賀へ管理委託)。
- 10月17日: 福岡 - 鳥栖線路線廃止(鳥栖支社廃止)。
- 10月23日: 福岡 - 鳥栖線を引き継ぐ形で、福岡 - 鳥栖プレミアム・アウトレット線(西鉄高速バス直営路線)を土日祝日運行の臨時高速バスとして運行開始。
- 2005年7月: 福岡 - 大分線(とよのくに号)の4乗番を西鉄観光バスに移管。その後2006年1月に残りを管理委託先変更の形で西鉄観光バスが全便担当するようになる。
- 2007年7月1日: 九州・山口県外初の直営路線として福岡 - 高松線(さぬきエクスプレス福岡号)を運行開始。
- 2008年
- 2009年9月頃: 福岡 - 鹿児島線(桜島号)の夜行便を当社直営として移管(昼行便は従来通り西鉄本体が担当)。
- 2010年
- 4月1日: 福岡 - 松山線(道後エクスプレスふくおか号)の運行から撤退(新たに伊予鉄南予バスが参入し伊予鉄バスとの共同運行に)。
- 7月16日: 福岡 - 三重線(お伊勢さんエクスプレス福岡号)を運行開始。
- 10月頃: 福岡 - 大分線(とよのくに号)の4乗番を西鉄観光バスから再移管。残り分(西鉄本体運用分(ノンストップ系統を除く))についても西鉄観光バスの管理委託から当社に移管・譲渡された形となり全便が当社の担当となる。
- 2011年
- 2013年4月1日
- 福岡 - 三重線の運行から撤退(繁忙期以外週4便 → 週3便に減便し、三重交通の単独運行となる)。※路線自体も2014年1月5日福岡出発便をもって廃止。
- 福岡 - 宮崎線の西鉄本体担当分と、福岡 - 鹿児島線の昼行便を直営便として移管(ただし1往復ずつ本体担当便を残している)により、南九州2路線は夜行便を含むほとんどの便が当社の担当となる。
- 福岡 - 大分線(スーパーノンストップ系統)と福岡 - 佐世保線の運行を当社直営から当社管理委託路線に変更し、運営を西鉄本体へ移管。
- 2014年
- 2015年
- 5月16日: 利用者の伸び悩みを理由に、この日をもって福岡 - 横浜・池袋・大宮線(「Lions Express」ライオンズエクスプレス)の運行を休止[9][10][11]。
- 7月17日: 福岡 - 北九州空港間の「福北リムジンバス」を運行開始[12]。
- 7月25日: 西鉄高速バス株式会社本社・福岡支社を那の津3丁目8番15号へ新築移転[注釈 1]。
- 2016年4月22日: 西鉄高速バス単独による「福岡 - 延岡・宮崎線」(夜行便)[13] を運行開始。
- 2018年4月1日
- さぬきエクスプレス福岡号から撤退。
- 博多フジヤマExpressが運行終了。
- 2019年4月1日:親会社である西日本鉄道により、西鉄高速バスを事業分割した上で吸収合併・解散。福岡地区の高速バス事業を西日本鉄道本体が継承、北九州地区の高速バス事業を西鉄バス北九州に移管[2]。
営業所(車庫)所在地
会社解散時点における運行に関与していた路線
路線としては、西鉄高速バス直営の路線(西日本鉄道から運行移管した路線、あるいは西鉄高速バス発足後に出来た路線)と、西日本鉄道からの管理委託路線があった(九州 - 本州間の夜行高速バスは管理委託対象外)。現在は全て西日本鉄道本体直営路線となっている。
なお、西日本鉄道本体の直営路線の中には一部の便を他の西鉄グループのバス会社(地域分社)や亀の井バスに管理委託している路線もある。<>内は共同運行会社、《 》は一部便をグループ各社に管理委託する。
西鉄高速バスの直営路線
西日本鉄道からの管理委託路線
車両は西鉄本体が保有し、乗務員は西鉄高速バスの所属だった。
運行支援
西鉄では運行をしない(いずれも過去に運行していたが撤退)が、発券および運行支援業務を行うバス路線。
西鉄高速バス運行分は北九州支社の運行。
福岡支社の夜行用の車両を使用して砂津で乗務員を交代する形で全区間北九州支社の乗務員が担当した。全便座席指定制にて夜行一日一往復により2007年7月1日から運行を開始。1999年5月に西日本鉄道がはりまや号の運行から撤退して以来、西鉄グループの高速バスとしては8年ぶりに四国に乗り入れる路線となっていた。当初は2008年1月31日までの7ヶ月間の試行運行だった[14] が、利用好調を受けて試行運行終了後に本格運行に移行した[15] 経緯がある。2014年9月1日までは、西鉄高速バス運行便に限り、軽食サービスとして大塚製薬のSOYJOYとポカリスエットが配られていた。2017年10月6日福岡発便(高知発便は10月5日)をもってとさでん交通のはりまや号廃止に伴い同年10月10日から黒潮エクスプレスとの乗継制度を導入した。2018年3月31日の運行をもって西鉄が運行から撤退。四国高速バスの単独運行となり、一部停留所(黒崎IC(引野口)・砂津)への停車も廃止。
過去に運行していた高速バス路線
この項については関与しない路線も含む。※*印は、路線自体は現存しているが、西鉄が運行から撤退した路線(撤退後も引き続き発券業務を行っている路線は除く)。<>内は共同運行会社。
- 座席定員制で予約は受け付けていない(満席の場合は乗車できない)。廃止時点では1日2往復運行で、全区間の所要時間は約1時間55分。
- 西日本鉄道の運行だが、全便を西鉄バス久留米・京町支社(京町第二自動車営業所)が担当。ハイデッカーまたはスタンダードデッカー4列シート、トイレなし車が使用されていた。過去にはひのくに号から転用されたトイレ付き車両が一部で使用されていたが、のちに廃車となった。
- 1982年4月25日 - 運行開始。
- 2000年7月1日 - 運賃1,500円以上の区間の運賃を1,500円に値下げ。久留米~小倉間の片道運賃は2,400円→1,500円、往復運賃は4,300円→2,700円となる。
- 2008年4月1日 - 燃料高騰への対応措置として運賃1,500円の区間の運賃を1,700円(往復3,050円)に値上げ。
- 2011年7月20日 - 久留米市内の経路を変更し、新たに市役所前(久留米市)・縄手を停車地に追加。また、久留米方面の行先はすべて縄手行きとなった。
- 2011年11月21日 - 運行会社を全便西日本鉄道(西鉄)に変更、それにともない1日12往復から8往復に減便。
- 2013年4月1日 - 1日8往復から2往復に減便。
- 2015年8月1日 - 北九州高速自動車営業所運行便が京町第二自動車営業所に移管。
- 2016年3月25日 - 運行終了。コスト削減にもかかわらず収支改善が見込めなかったため。
- 運行経路は以下の通り。太字は停車停留所。
- クローズドドアシステムを採用しており、砂津 - 三萩野間および東合川商工団地 - JR久留米駅間のみの利用不可となっていた(福岡空港 - 久留米線では久留米市内のみの利用も可能)。なお、福岡IC・高速須恵・太宰府ICには本路線のみが停車していた。
- 小倉駅ではコレット井筒屋(旧伊勢丹)前発、小倉駅バスセンター着。黒崎IC引野口では黒崎ICから一般道に出た引野口バス停に停車。
- 西鉄久留米では1番乗り場に発着。JR久留米駅では駅前バスロータリー5番のりばから出発し、駅から横断歩道を渡ったところにある降車場に到着していた。縄手では京町営業所内のバス停に停車。
脚注
注釈
- ^ さらに、同年8月1日よりこれまで福岡市博多区石城町にあった西鉄観光バス株式会社本社・福岡支社も当社と同一敷地内に移転・併設する事となり、千代支社と統合され新生「西鉄観光バス福岡支社」として営業開始。これに伴い、千代支社は前日をもって廃止。
- ^ 北九西鉄タクシーが運行。
- ^ 2015年6月末には日田バス・亀の井バスも撤退し、西鉄グループが全て運行から外れる形となった。
- ^ 1999年5月に運行撤退。その後2015年9月末日をもって一畑バスが運行撤退し当社による運行支援業務を終了。翌10月1日からは中国JRバス単独運行(翌年にJR九州バスが運行に参入し共同運行)において「出雲ドリーム博多号」として路線自体は事実上存続している。
出典
関連項目
外部リンク
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