ひのくに号(ひのくにごう)は、福岡県福岡市と熊本県熊本市を結ぶ高速バスである。
なお、この項では、ひのくに号と運行会社が同じで、かつて運行していたASOエクスプレス号ならびに2023年度より福岡ドームにおいておこなわれるイベント等の際に運行される熊本 - 福岡ドーム間を結ぶ臨時高速バス「福岡ドーム直行便」についても併記する。
元々は1962年に、国道3号経由の特急バスとして誕生し、1973年の九州自動車道鳥栖IC - 南関IC間開通に伴い高速バスとしたもので、九州でもっとも長い歴史を持つ高速バスである。運行本数は2023年4月1日現在で3系統あわせて平日152本(76往復)・土日祝日170本(85往復)という高速バスとしては高頻度の運行を行っており、ダイヤ上も早朝から深夜まで運行されており、熊本桜町バスターミナルの始発は4:35(福岡空港行)、西鉄天神高速バスターミナルの最終は22:30となっている。かつて最盛期には合計226本(113往復)[1] で運行され、西鉄天神高速バスターミナル最終便は23:40まで設定されていたが、2020年に入り発生した新型コロナウイルスの世界的感染拡大による影響を受け、乗車率の低下による減収などにより、同年9月14日のダイヤ改正によって便数が大幅に削減された[2]。過去にはこれ以外にも2014年4月から金・土・日祝日とその前日に限り天神24:20発の深夜便も運行していたが2015年6月末で終了したため現在は運行していない。
熊本市-福岡市間の主要な移動手段としては「ひのくに号」のほかに熊本駅から九州新幹線で博多駅へ向かうルートや、JR在来線と西鉄の特急電車を大牟田駅で乗り継ぎ福岡市中心部(天神)へ向かうルートがある。 運賃はJR在来線と西鉄の特急電車を乗り継ぐルートより若干割高なものの新幹線よりは圧倒的に安く、通町筋と天神という熊本と福岡の中心を乗り換えなしで直結していることから利用者は多い。ただし、「ひのくに号」は走行経路である福岡 - 熊本間の高速道路は交通量が多く、加えて太宰府IC付近や福岡市内・熊本市内での渋滞などによって、遅れが比較的発生しやすい[注 1]。
愛称は、熊本県(肥後国)の別称である「火の国」に由来する。
熊本発早朝1便(4:35福岡空港行)ならびに光の森発着便全便に関しては2024年10月1日運行分より座席指定制となっており[3]、1ヶ月前から電話もしくは「@バスで(ハイウェイバスドットコム 旧:楽バス)」サイトにて事前予約が可能。予約済みで乗車券なしで現金その他ICカードやSUNQパスなどを使用する場合は、乗車前に乗務員に氏名を告げて乗車できる。それ以外の便は座席定員制で全席自由席であり予約なしで乗車できる。いずれも満席の場合は乗車不可。
国土交通省九州運輸局の統計[4] によると、「福岡 - 熊本」路線(3系統)合計の輸送人員は、令和3年度で676,422人であり、一日あたり1,800人強の利用があり、九州内では福岡 - 北九州線に次いで利用が多い。 JR九州・鹿児島本線の特急「つばめ」「有明」が日中20分間隔で運行されていたものの新幹線に移行した結果、所要時間は大幅に短縮されたものの料金が高くなったこともあって在来線特急利用者の一部が高速バスに流れ[5]、新幹線開通後に「ひのくに号」は増便されている[6] 。
ひのくに号は以下の4系統に分けられる。太字は停車停留所。各系統とも福岡県側の博多BT - 西鉄天神高速BT間、および熊本県側の益城インター口・松の本 - 熊本駅前間ならびに御代志 - 光の森産交間のみの利用は不可。
福岡行きは、熊本駅前はスーパーノンストップ便のみのりば7から、桜町BTは各系統とも7番のりばから発車する。熊本行きは、スーパーノンストップ・植木IC経由ならびに光の森直行便ともに博多BTは38番のりばから、西鉄天神高速BTは3番のりばから発車。また、各停(福岡空港発着)便においては、空港行きは国際線ターミナル終着、熊本行きは国内線(第1・第2・第3)ターミナル始発国際線ターミナル経由となる。
両社とも乗客定員44人乗り(補助席含む)ハイデッカー車両を使用
1992年に車両をリニューアルした際には、「デラックスひのくに号」として車内公衆電話などの設備や飲み物(お茶・コーヒー)・おしぼり・マルチステレオ・テレビ放送(ビデオ映画)のサービスが実施されていた。しかし、携帯電話の急激な普及により2000年に車内公衆電話が廃止されたのを皮切りに、2001年における運賃大幅値下げ(熊本 - 福岡間:片道2,400円/往復4,100円→2,000円/3,600円)の実施に伴うコスト削減などにより車内サービスは順次廃止された。それにより現在はリニューアル以前の仕様(トイレ以外の車内設備・サービス無し)に戻っている。
また、車両の塗装は、運行開始当初から沿革の写真にあるような両社共通の塗装(通称「青十字」)が長年にわたり採用されていたが、1998年頃の導入車両から両社別々の塗装(両社とも自社高速バス専用共通カラーリング)を使用するようになり、西鉄においては2010年3月頃までに青十字塗装の車両は全て姿を消した。産交でも経年により徐々に離脱が進み、最後まで残った1台が子会社に移籍した上で「あまくさ号」(熊本県熊本市と同県天草市とを結ぶ快速バス)として2009年頃から長きにわたり使用されていたが、2018年12月、運用中に事故に遭い大破し廃車された事から、現在では青十字塗装の車両は両社共に全廃となり面影も見られなくなっている。ちなみに西鉄におけるかつての青十字塗装の車両は「福岡 - 北九州線」や「久留米 - 北九州線」などの高速バスのほか、「久留米 - 山鹿間」に運行されていた快速バスなどに転用されたものもあったがいずれも廃車となっている。
過去においては、西鉄では同社の指定車体製造工場として西日本車体工業株式会社(以下、「西工」)を系列子会社に持っていた関係上、西鉄の車両では元来から西工ボディを架装した車両がもっぱら導入されていたが、2010年における西工の会社解散に伴い、以降は各メーカー純正車体での導入となった。産交でも以前は西鉄に合わせる形で西工ボディを架装した車両が多かったが、2000年導入車を最後にそれ以降は純正車体での導入となっている。2005年に産交が現行型の日野セレガ(2005年式・ADG-RU1ESAA ジェイバス製造)を九州管内でいち早く導入した事で有名となった。産交ではその後もPKG-から徐々に増車しており、2022年現在、産交では本路線専用車の大半を占めているほか、西鉄でも西工解散後の2011年以降より順次導入している。因みに西鉄では元々はいすゞ車での導入は無かったが、2014年に初のいすゞ車(QRG-RU1ESCJ ジェイバス製造)での導入を開始した事により、2022年時点では国産4メーカーが揃う形となっている。
熊本発早朝第1便(4:35桜町BT発福岡空港行)と光の森発着便全便においては座席指定制となっており、1ヶ月前より電話またはハイウェイバスドットコムサイトにおいて事前予約ののち、窓口にて乗車時刻・座席指定の乗車券を購入または予約済みで他の割引乗車券と併用する場合は窓口にて座席確保券を受領の上で乗車可。それ以外の便は予約不要につき、現金・回数券・定期券・ペア乗車券にて利用でき、回数券・定期券は窓口にて発行される紙券とスマートフォンアプリ「バスもり!」によるweb券の2種類があり、web券のうちの回数券についてはペア乗車券・往復乗車券としても使用可。紙券の片道・往復乗車券は桜町BT・天神BT・博多BT・福岡空港内に設置されている自動券売機からでも購入できる。このほか、下記の乗車券が利用可能。
2019年4月1日より、福岡市と阿蘇市とを結ぶ路線として運行開始した。これまで両市間には直接的交通手段がなく、鉄道・バスいずれも乗り換えを必要とするなど不便を強いられていた。さらに、2016年4月に発生した熊本地震によりJR豊肥本線の肥後大津 - 阿蘇間が不通となり、被災後3年近くが経過した2019年4月時点でも復旧しておらず[注 9]、福岡方面からの観光客は阿蘇方面へ向かうバス(やまびこ号または九州横断バス)に乗り換え、または自家用車かレンタカーを利用するしかないなどの阿蘇エリアへのアクセスが一層不便な状況にある事、ならびに、近年の増加するインバウンド需要により阿蘇地域へのより観光活性化を目的とする事など、これらの状況を踏まえ阿蘇市が関係機関等に長らく要望していた事により、実現に至った。
九州産交バスと西日本鉄道が運行を担当し、阿蘇側の運行支援業務(予約発券・発着案内・乗務員休憩など)は産交バス阿蘇営業所がおこなっていた。なお、九州産交バスの車両は福岡発だとひのくに号、阿蘇発は「熊本 - 阿蘇線」において送り込みをおこなっていた。
しかしながら、運行開始後まもなく2020年に新型コロナウイルスの流行により外国人観光客・国内観光客ともに大幅減少したことにより利用客が大幅に減少し、2020年10月12日を以って運行終了となった[32]。
太字は停車停留所。クローズド・ドアにより福岡県・佐賀県内間(西鉄天神高速バスターミナル - 高速基山)ならびに熊本県内間(アーデンホテル阿蘇 - 内牧温泉)のみの利用は不可。
座席指定制により乗車前に予約が必要な上、予め乗車券を購入する必要があった(空席があれば予約なしで現金でも乗車できたが、満席時は乗車できない場合がある)。
このほか、ひのくに号と同様、SUNQパスが北部九州+下関版と全九州+下関版のみ(南部九州版は不可)、「nimoca」ほか全国10社交通系ICカードが利用可能であった(産交便のみ「くまモンのIC CARD」も使えた)。高速基山乗り継ぎ割引も適用された。これらの乗車券を使用する際はいずれも事前予約を行った上で、予約後窓口にて乗車便座席指定券を発行してもらうか、乗車前に乗務員に氏名を告げて乗車できた。
福岡ドームでのコンサート等が開催される際に運行される臨時高速バス。2023年度より運行開始。2023年度は4月22日・23日、6月17日・18日、12月9日・10日、同月16日・17日に運行された。2024年以降もイベントが行われるごとに運行が計画されている。概ね1日1ないし2往復の運行で、イベント開始・終了時刻に合わせてダイヤがパターン化されており、輸送人員も多い事もあって1便につき2台で運行される事もある。
熊本県内の停車箇所はひのくに号のスーパーノンストップ便の停車箇所と同じで、福岡側は博多・天神には立ち寄らない。熊本側においては、ドーム行きは乗車のみ、熊本行は降車のみの扱いで、熊本県内間のみの利用は不可。
運行は九州産交バス高速営業所が単独で担当。座席指定制のため、乗車の際は予約が必須である。予約開始日は九州産交のウェブサイトにて発表される(必ずしも1ケ月前とは限らない)。窓口・電話での予約の他、「@バスで(ハイウェイバスドットコム )」でも予約を受け付ける。
なお、本路線は臨時便かつひのくに号とはあくまで別系統のため、ひのくに号の回数券(紙券・スマホ券とも)・定期券を含む各種乗車券ほかSUNQパス(北部九州版・全九州版)・ICカードでの乗車は出来ず、往復割引の設定もない。また、運賃自体もひのくに号に比べ若干割高に設定されているため、運賃面からすれば、ひのくに号と博多BTまたは天神 - 福岡ドーム間の市内路線バスを乗り継いだ方が本路線より安上がりになる。
この項目は、バスに関連した書きかけの項目です。この項目を加筆・訂正などしてくださる協力者を求めています(P:バス/PJバス)。