昭和自動車株式会社(しょうわじどうしゃ、英: Showa Bus Co., Ltd.)は、佐賀県中・北部と福岡県西部で路線バス・貸切バスを運行するバス事業者である。設立は1937年(昭和12年)9月11日。本社所在地は佐賀県唐津市千代田町2565番5号。通称は昭和バス。
高速・特急バスの車体色は緑・青・赤などの斜め模様で構成された大胆なデザインである。
かつては旧国道202号線唐津街道を通って福岡市と前原市(現・糸島市)、佐賀県唐津市などを結ぶ急行・特急バスを多数運行していたが、1983年に並行する国鉄(※当時)筑肥線が電化されて大幅にスピードアップし、運行本数も増発されたために大打撃を受け、これらの長距離バスは減便からやがて全廃に追い込まれた。しかし2001年に福岡都市高速が延長されて西九州自動車道と直結したことから、西九州道を通る特急バス網の拡充を進め、JR筑肥線に対して再び対抗力を持つようになっている。
高速バス路線開設ブームの際には、夜行高速バスの運行も行なったが、いずれも短期間で廃止された。
路線バスの車体色は1989年に採用されたもので、白地に青・グレー・緑のストライプが入ったものである。1970年代の車両は側面の外板に無塗装のステンレスが使われた特注車両で、窓の上下に赤いラインが入るだけのシンプルなデザインであった。1980年以降外板にステンレスは使用されなくなったが、車体色は変わらずシルバーの地に赤いラインのものであった。1990年代の長距離用トップドア車は、白地に青・レモンイエロー・緑のストライプが入ったデザインであった。
営業路線についてはエリア分布の性格上、佐賀県・長崎県、および福岡県に分けて記述する。
一部区間ではフリー降車制度を導入しており、路線ごとに指定された区間であれば幹線道路や危険な場所を除き、停留所以外でも路線上の任意の場所で降車することができる。ただし、乗車は停留所からしかできない。
近年[いつ?]は乗客の減少や運転士の不足から、支線系統を中心に路線の休廃止や減便のほか、中型バスからジャンボタクシーへの車両変更などを行っている。それに加え、2024年4月以降における時間外労働に関する問題(いわゆる2024年問題)により更に拍車がかかり、比較的高需要な高速バスの減便や、路線バスの減便・撤退といった動きが見られる。
佐賀県内では唐津・伊万里・佐賀に営業所を置き、唐津市の唐津大手口バスセンター及び佐賀市の佐賀駅バスセンターを基点にして唐津市、伊万里市、武雄市、多久市、佐賀市など佐賀県中・北部に路線を持つ。特に唐津市を含む東松浦地域では唯一の公共交通機関として、唐津市中心部と旧東松浦郡部を結ぶものを中心に唐津市内の路線を多く運行しており、東松浦半島の路線網は非常に複雑なものとなっている。その他、各市内高校のスクールバスや、唐津市内線などを運行している。
2024年4月1日現在の路線(太字は終点・始発停留所)
運賃は200円均一。
福岡市東区に福岡営業所を、糸島市に伊都営業所を置き、糸島市内を中心に福岡市西区の西部など、おもに西鉄バスが走っていない福岡県西部の糸島半島内各地域に路線を持つ。
かつてはこれらの地域と福岡市中心部の天神・呉服町・博多駅前までを結ぶバスが多数運行されていた。しかし1983年に国鉄筑肥線が電化され、スピードアップおよび増発が図られるとバスの利用者が年々減少。並行バス路線の整理を進め、更にその後都市高速1号線の延長により速達性の高い高速バスへの移行が進んだことと、赤字の圧縮のため(補助金打ち切り含む)に、2006年11月1日のダイヤ改正で福岡市中心部の博多駅前発着の一般路線は全線廃止された。
現在では上記地域と筑肥線の駅を結ぶ二次交通機関としての運行形態に移行している。しかしその中でも、九州大学伊都キャンパス - 九大学研都市駅間の路線や、最近では博多バスターミナル・天神 - 前原 - 二見ヶ浦・伊都営業所間の高速バス「ウエストコーストライナー」は好調であり、輸送力の増強に力を入れている。
また、このとき廃止された路線のうち、福岡市中心部と下山門団地・三陽高校を結ぶ路線は西鉄バスに引き継がれ、姪浜 - 今宿駅 - 叶が嶽宮前 - 今宿野外活動センター間は姪浜タクシーが運行する乗合タクシーとして引き継がれた。
博多駅前 - 姪浜間は西鉄の営業エリアとなるため、一般のバス路線では高速・特急バスと同様にクローズドドアシステムとなっており、同区間内だけの利用は出来なかった。ただし、国道202号線城南線経由の路線では1986年末にクローズドドアが廃止され、西鉄の営業エリア内の福重 - 六本松 - 渡辺通一丁目 - 博多駅前間での乗降が可能であった。
2010年2月27日より、一部の路線においてIC乗車券nimocaを導入した。導入対象は、福岡・前原地区の一般路線と高速バスからつ号・いまり号計73台[13][14]。ポイントシステムに関しては、運賃引去額の5%(1ポイント未満切り捨て)、当月中の利用額2000円ごとにボーナスポイントが加算される。
また、九州大学伊都キャンパス前 - 九大学研都市駅前間の路線では九州大学の学生・教職員専用の全学共通ICカードでの運賃支払いも可能であり、同路線で使用される車両にはnimoca用カードリーダーとは別に全学共通ICカード用のカードリーダーを搭載していた。2019年5月31日をもって利用が終了しており、カードリーダーはすでに撤去されている[15]。
九州大学線、西の浦線では2018年8月21日よりアルファベットで行先を、数字は経由地を示す系統番号が設定されたが、2019年4月1日に再度系統番号が見直され、数字でおおまかな経由地を表し派生系統がある場合のみ後ろにアルファベットをつけるというスタイルに変更され、行き先の区別はされなくなった(詳細は九州大学線、西の浦線の項を参照)。2024年4月より、糸島市内線でも糸島市コミュニティバスと共通の行先番号が設定された[16]。
糸島市コミュニティバスを受託運行している。
佐賀県内・福岡県内ともに、一部の過疎地域の路線や利用客の少ない時間の便は、タクシー事業部にて乗合タクシーによる運行としている。これらの乗合タクシー路線は、定期券、回数券などもすべて昭和バスと共通で、乗合タクシーではあるが実質的にはバス路線に限りなく近い。事業者自身がバス路線を維持する方法として自社系の乗合タクシーを運行する例は全国的にも数が少ない。
福岡営業所内に貸切事業本部を持っており、福岡県内外に配車が行われているほか、佐賀県内の唐津・佐賀営業所にも貸切車が在籍していて、最近は日野・セレガや、いすゞ・ガーラの新車が導入が行われているほか、三菱ふそう・エアロバスなどの中古車も導入されている。 塗装は大型車はピンク色地の車体が特徴。中型・小型車は白地に青帯が中心だが、最近の導入車には、小型車でもピンク色地の車体が登場している。 また、福岡地区の中型車は福岡昭和タクシーに移管された車もあるほか、唐津地区では玄海原子力発電所の特定輸送も引き受けている。
路線バスや高速バス・観光バス共に国産大型4メーカー(いすゞ・日野・三菱ふそう・日産ディーゼル(当時、現「UDトラックス」))をすべて揃えている。車体もメーカー純正・富士重工・西工など様々である。昭和バスはサンプル車(メーカーがサンプルとして製造した車両)の譲受車などの異色車や他社からの移籍車が多いため、一見同一形式と思われる車両でも細部が異なるなど車両のバリエーションが豊かなことでも知られている。新車は高速バスや観光バスが大半で、2013年までは一般路線への新車投入は滅多になかった。
高速バス・観光バスは日野や日産ディーゼル製の比率が高い。路線バスは九州大学線や西の浦線・マリノアシティ線の大多数や唐津市内の一部便を除いて中型車での運行である。
九州初のオートマチックトランスミッションの日産ディーゼルの観光バスを所有している。
2012年には昭和バスでは初の韓国製の車となるヒュンダイ・ユニバースを導入しており、2014年1月現在前原営業所(現:伊都営業所)に4台、唐津営業所に2台の計6台がいと・しま号、からつ号、いまり号で運行している。
2014年にはいすゞガーラと日野セレガを初めて高速路線車として採用した。以降、高速路線車はこの2車種を投入している。
路線車では、2013年に初めて中型路線車の日野レインボーⅡを佐賀県内に投入、2014年にもノンステップ車として追加投入,また初の日野ポンチョも狭隘の七山線などに投入されている。
福岡地区へは昭和バスで初めての大型ノンステップバスであるいすゞエルガが投入され、九大線などで活躍する。
トヨタ自動車系販売店を系列下に持つため、市内循環線ではトヨタ・コースターが使用されている。
現在は、毎年一般路線車の新車が投入されており、福岡地区には新型エルガが増備され、唐津地区にも新型レインボーなどのノンステップ車が経年車を置き換えている。
現行の塗装は1989年以降に採用されたものである(詳細は上記各項参照)。この新塗装採用において、中距離路線用車両は一般路線車と同じ帯の色で車体上半部は黄色、下半部は白色の塗装とされたが、2003年までに塗り替え、もしくは廃車によりこの塗装は消滅している。
海沿いの路線が多いことから1970年頃から一部の車両は車体外板をステンレスとしていた。ステンレス車採用開始とともに一般路線車は銀色地に赤帯、貸切車は銀色地に赤色・青色の帯(いずれもステンレス車は地色は無塗装)の塗装としたが、ステンレス車は1979年以降導入は打ち切られている。
郵便車仕様の軽1BOXバン(ダイハツ・ハイゼット)及び2t~4tトラック(アルミバンタイプ。2t車がいすゞ・エルフ、4t車がいすゞ・フォワード)を保有しており、唐津郵便局所管区域の郵便ポスト収集業務及び同局と他の郵便局との間の郵便物逓送業務を行っている[20]。
唐津市・玄海町・多久市・糸島市に営業所を持つ。2012年12月1日に子会社の昭和タクシーを合併し、2015年4月1日に同じく子会社の福岡昭和タクシーの糸島市でのタクシー事業を移管したことで自社でタクシー事業を行うようになった。
福岡昭和タクシーの事業のうち、福岡市でのタクシー・ハイヤー事業は同社運営のままである。
自社バス事業の分離による子会社が数社あったが、再合併により全て消滅した。系列下のバス事業者としてはほかに壱岐交通(長崎県壱岐市)があった。そのほか福岡昭和タクシー、トヨタレンタリース福岡、福岡トヨタ自動車、トヨタカローラ福岡、ネッツトヨタ福岡、佐賀トヨタ自動車[21]、長崎トヨタ自動車、トヨタレンタリース佐賀、トヨタL&F福岡、昭和商事石油、壱岐海運、昭和トラベラーズクラブ、唐津シーサイドホテル、昭和幼稚園、九州西濃運輸(旧・昭和西濃運輸)などのグループ会社・団体があった。また、日本マクドナルドのフランチャイジーとして運営する昭和フードや、同社企画開発事業部において、TSUTAYAのフランチャイジーとしてレンタル店事業、前原セントラルホテルの運営を行っている。
2010年代頃から事業の見直しを進めており、上記のうち長崎県壱岐市の事業からは撤退し、これにより壱岐交通・壱岐海運は2015年現在グループを離れている。また、唐津シーサイドホテル・昭和商事石油についても経営譲渡を行っている[22]。
昭和グループはグループ会社を含め、基本的に金子一族(創業者:金子道雄⇒現:金子宜嗣オーナー他)の同族経営で運営されている。またKBCグループホールディングス(九州朝日放送)の大株主でもある。[23]1970年代初頭に開局時のサガテレビの大株主だった。
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