祐徳自動車株式会社(ゆうとくじどうしゃ、英文社名:Yutoku Jidousha Co.,Ltd. )は、佐賀県鹿島市に本社を置くバス・タクシー事業者である。通称「祐徳バス」[1]。
当地を走っていた軽便鉄道「祐徳軌道」廃止後に、同社のバス事業を引き継いだ企業である[1]。JR九州肥前鹿島駅前の本社ビルには、鹿島バスセンターを併設する。
概要
現在の武雄市から鹿島市の祐徳稲荷神社を結んでいた祐徳軌道の廃止・会社解散に伴い[1]、同社のバス部門の後身として、1932年(昭和7年)12月11日付で、祐徳軌道の2代目社長・愛野文次郎の息子である愛野時一郎を初代社長として設立された[1]。
創業家の愛野一族が歴代の社長・副社長・会長職を務める同族経営企業である[1]。またグループ会社の要職も愛野一族によって占められている(愛野興一郎#家族・親族も参照)。
佐賀県南西部で乗合バス事業を行うほか、佐賀県・福岡県内で貸切バス事業を、福岡市にある福岡事業所ではタクシー事業を行う。また、九州急行バスに出資している。高速バスはかつては自社運行であったが、2021年からはWILLER EXPRESSブランドでの運行を開始[1]した。
祐徳グループの中核企業であり、交通事業や流通業等を多角的に行っている。佐賀県・長崎県では大手のホームセンター「ホームセンターユートク」の経営も手掛けるなど、様々な事業を行っている[1]。祐徳グループは、佐賀県唐津市の昭和自動車(昭和バス)の昭和グループと並び、同県を代表する企業グループである。
沿革
事業拠点
営業所
- 本社(乗合バス、貸切バス) - 佐賀県鹿島市大字高津原4078
- 西部営業所(乗合バス、貸切バス) - 佐賀県鹿島市大字高津原40-3
- 佐賀営業所(乗合バス、貸切バス) - 佐賀県佐賀市駅前中央3丁目1-6
- 福岡営業所(貸切バス)福岡県糟屋郡粕屋町大字仲原2522-1
- 福岡事業所(タクシー) - 福岡県福岡市東区原田4丁目24-51
- 東京営業所 - 東京都千代田区鍛冶町2丁目9-18 三栄ビル4F
- 大阪営業所 - 大阪府大阪市中央区北久宝町2丁目6-1 アドーラブルビルディング2F
廃止営業所
- 武雄営業所、嬉野営業所(乗合バス)
- 1996年2月廃止、鹿島営業所へ統合の上「西部営業所」へ改称[1]。
- 廃止後は、武雄市の下西山車庫バス停に「武雄支所」、嬉野市の湯の田バス停に「嬉野支所」として車庫が併設されている。
- 久留米営業所(貸切バス) - 福岡県久留米市諏訪野町1935-5
バスターミナル
廃止されたバスターミナル
- 鹿島バスセンター - 2023年本社移転とともに廃止。
- 嬉野温泉待合所 - 2008年廃止
- 武雄駅前待合所
- 福富待合所 - 2004年廃止
路線バス
鹿島市の肥前鹿島駅前及び嬉野市の嬉野温泉バスセンター、佐賀市の佐賀駅バスセンターを中心に、県南西部の鹿島市、嬉野市、武雄市、佐賀市、藤津郡、杵島郡等に路線を持つ。ほとんどの路線が地元自治体からの補助金を受けて運行されており、各バス停留所の時刻表にはその旨が明記されている。そのため、上記の各都市間を結ぶ路線を除けば1日1 - 2往復のみ運行、日祝は運休という路線も多い。
一部路線を子会社の祐徳観光バス・祐徳交通へ移管し合理化を進め、2006年4月1日に路線バス事業をすべて祐徳バス株式会社に分社化していたが、2019年4月1日付で同社を吸収合併し、再び祐徳自動車による直営となった。
1980年代以降の高速バス開設ブーム期に自社営業エリア内の鹿島市・武雄市・嬉野温泉などと近隣各地を結ぶ昼行高速バスを開設したが、2002年10月に「かささぎ号」を運休したのを最後にすべて消滅した。その後、2021年12月にWILLER EXPRESSの一路線として大阪市と福岡市・佐賀市を結ぶ夜行高速バスを運行開始し夜行高速バスに初参入した。
現行路線
高速バス
いずれもWILLER EXPRESSブランドで運行。
一般路線バス
一般路線の初乗り運賃は全路線160円で、最高額は佐賀 - 鹿島、武雄間の1000円である。
嬉野線
吉田線
- 鹿島中川 - (浅浦) - 吉田 - 嬉野医療センター - 嬉野温泉バスセンター - 湯の田
太良線
- 肥前鹿島駅前 - (ララベル) ‐ 多良駅前 - 糸岐本町 - 太良高校前 - 竹崎港
武雄線
祐徳線
- ②/①祐徳神社 - 浜三ツ角 - 肥前鹿島駅前 - 塩田 - (県立宇宙科学館)- 武雄温泉駅(南口・北口) - ゆめタウン・図書館前 - 武雄高校前 - 下西山車庫
- かつての祐徳軌道と経由地がほぼ一致している
- 県立宇宙科学館へは土日祝のみ経由
- 鹿島市内においては祐徳神社行きは①、武雄温泉行きは②の番号を表示する。
佐賀線
- ①祐徳神社 - 浜三ツ角 - 肥前鹿島駅前 - 白石 - 江北駅前 -[81]牛津駅前 - 医療センター好生館 - [1]佐賀駅バスセンター
モラージュ佐賀線
- [1]佐賀駅バスセンター - 大財町 - 片田江 - [80]モラージュ佐賀
- [1]佐賀駅バスセンター - 唐人町 - 片田江 - [80]モラージュ佐賀
- それぞれ1時間に1本運行されており、日中は30分ごとに大財町経由と唐人町経由が交互に運行される。
武雄・三間坂線
- 三間坂駅前 - 小六川 - 永尾駅前 - 御船ヶ丘小 - 武雄温泉駅(北口・南口)
- 三間坂駅前 - 山内東小学校前 - 永尾駅前 - 御船ヶ丘小 - 武雄温泉駅(北口・南口)
- 御船ヶ丘小学校の児童に道路横断をさせないことを目的に、マルキョウ前〜中央公園前間で往復とも同じ経路を取る。
嬉野・三間坂線
- 湯の田 - 嬉野温泉バスセンター - (矢筈) - 三間坂駅前
以下の路線は日曜、祝日は全便運休する。
下吉田線
- 湯の田 - 嬉野温泉バスセンター - 下吉田 - 七ツ川内
奥山線
能古見線
大野線
コミュニティバス
以下の循環バスは、市町村コミュニティバスの形で運行している。運賃は均一運賃で、祐徳自動車の一般路線とは運賃体系が異なる。
鹿島市内循環バス
鹿島市内循環バス(かしましないじゅんかんバス)は、鹿島市が運行するコミュニティバス[8]。祐徳自動車に運行を委託している[8]。
武雄市内循環バス「武雄・武内線」
武雄市内循環バス(たけおしないじゅんかんバス)は、武雄市が運行するコミュニティバス[14]。祐徳自動車に運行を委託している[14]。
- 下西山車庫を起終点として、武雄市内を循環運行する[14]。
- 1日5便運行。日曜・祝日および年末年始は運休(土曜日は運行)[14]。
- 運賃は大人(中学生以上)200円、小学生以下は100円。
- 武雄市内循環バス「朝日・橘・武雄線」は、2021年(令和3年)4月30日をもって運行終了[14]。乗合タクシーへ再編された[15][16]。
- 車両は、祐徳自動車カラーの日野・リエッセ(前折戸トップドア車)ポンチョを使用する[15][16]。
江北町循環バス
江北町循環バス(こうほくまちじゅんかんバス)は、江北町が運行するコミュニティバス[17]。祐徳自動車に運行を委託している。
- 町民の福祉および利便性の向上のため、町が循環バスを運行している[17]。
- 江北駅(旧:肥前山口駅)前を起終点として、江北町内を循環運行する[17]。
- 1日8便(午前・午後各4便)運行。土日祝日および年末年始は運休[17]。
- 運賃は大人(中学生以上)200円、小学生から3歳までは100円。3歳以下は無料[17]。
- 2019年3月1日より、運賃支払に交通系ICカードが利用できるようになった[17][18]。
- 車両は祐徳自動車の一般路線車を使用する[注釈 7][17]。
廃止路線
嬉野地区
- 大野原線
- 春日線
鹿島地区
- 上久間線
- 新篭線
- 能古見線
- 広平線
佐賀地区
- 久保田線
- 佐賀駅バスセンター - 森林公園 - 大立野
- 佐賀駅バスセンター - 森林公園 - 久富
- 福富線
- 東多久線
武雄地区
- 温泉ハイツ線
- 杉の岳線
- 立野川内線
- 柚木原線
- 武雄市内循環バス
優等路線
以下、高速バスとして運行する路線と、高速道路を経由せずに自社営業エリア外の近隣地域に運行する路線があった。自社営業エリアと近隣・周辺地域を結ぶ昼行高速・優等路線はすべて消滅している。
- おおあそ号
- 嬉野温泉 - 佐賀駅バスセンター - 熊本交通センター <九州産業交通> ※1992年3月廃止
- かささぎ号
- 鹿島中川 - 塩田役場前 - 嬉野温泉 - 福岡 ※2002年10月運休
- かしま号
- 祐徳神社 - 武雄駅前 - 福岡・福岡空港 <西日本鉄道>
- 伊万里線
- 久留米線
- 嬉野温泉 - 武雄駅前 - 佐賀駅バスセンター - 西鉄久留米バスセンター
- 祐徳神社 - 佐賀駅バスセンター - 西鉄久留米
- 佐世保線
- 諫早線
バス車両
| この節の 加筆が望まれています。 (2023年5月) |
国産4大メーカー(三菱・UDトラックス(旧:日産ディーゼル)・日野・いすゞ)各社の車両を採用していたが、2008年以降はいすゞ車を中心に導入される傾向となり、現在は路線バスはいすゞ、貸切バスはいすゞもしくは三菱が採用されている。2000年代までは西日本車体工業製ボディの車両も導入しており一部が現存する。
路線バス
路線車は、一般路線車の塗装は上半分ベージュ色、下半分赤色のツートンカラーで、バンパーは黒。新カラーは暗い赤から黄色のグラデーション帯に「Y」が入るデザインだったが、近年は元の塗装に戻され、その際にバンパーの色も赤色になっている。また、交通バリアフリー法の制定前は、トップドア車が標準であった。
貸切バス
貸切車は、大型車は白地に緑・青・水色のラインの車体。中型車は白地に赤・橙・黄のライン。1991年(平成3年)8月のCI導入によりに現行塗装が採用されるまでは、路線車と同一のカラーリングであった。
タクシー
福岡市に事業部、福岡市と春日市に営業所を置き、福岡都市圏を営業エリアとしている。なお本社のある佐賀県内ではタクシー事業を行っておらず、鹿島市内では国際興業グループの有限会社再耕庵タクシー[20]がタクシー事業を行っている。
1998年(平成10年)10月より、福交運輸事業協同組合(通称「福交タクシー」)に加盟し、同組合のタクシー無線で配車を行っている[3][1]。
グループ内に日産自動車のディーラー「佐賀日産自動車株式会社」を持つことから、タクシー車両は日産自動車製のセダンタクシーを使用してきたが、日産・クルーの生産中止に伴い、近年はトヨタ・コンフォートを導入していた。その後、日産・NV200タクシーを導入した。
流通業
祐徳自動車流通事業部の直営事業として、「ホームセンターユートク」の経営を行っている[21]。食品スーパー事業「ユートク食品館」、園芸店などの経営も行っており、会社としてはこちらが基幹事業となっている。
1977年(昭和52年)年9月に事業部を立ち上げ、佐賀店をオープン。生活用品や家電、インテリア用品、DIYや園芸用品など幅広く販売。
その後、県内に加え、福岡県、長崎県に店舗を広げたが、2019年(令和元年)6月21日、食品スーパー事業「ユートク食品館」を福岡県三潴郡大木町に本社を置くスーパーマーケットのアスタラビスタが買収し、北方店を除く4店舗(久留米店、牛津店、嬉野店、鳥栖店)を譲渡した[22]。2023年2月28日、佐賀店1号店のホームセンターユートク ハード館佐賀店が閉店。現在、佐賀県内14店舗、長崎県内4店舗で運営している[23]。
関連会社
グループ会社として、自動車ディーラーや貨物運輸業、機械関連企業などがある。なお前述のとおり「ホームセンターユートク」は祐徳自動車本社(流通事業部)の直営事業である。
2023年時点のグループ会社は以下のとおり[1]。
過去の関連会社
- 分離子会社
- 祐徳観光バス株式会社 - 貸切バス事業者。2006年に祐徳自動車へ吸収合併。
- 祐徳交通株式会社 - 乗合バス事業者。2006年に祐徳バス株式会社へ吸収合併。
- 祐徳バス株式会社 - 2006年に分社化し乗合バス事業を移管、2019年に祐徳自動車へ吸収合併。
- 東日本観光バス - 貸切バス専業の子会社。日の丸自動車興業に事業を売却する形で撤退。
脚注
注釈
- ^ 祐徳軌道の始発駅であった。
- ^ 祐徳神社前バス停に「門前出張所」として車庫が併設されている。
- ^ 乗合バス事業を移管するために設立した分離子会社。
- ^ 専用車両として「佐賀200あ175」を充当。このリエッセは当初は白一色で「市内循環バス」の文字だけが書かれ、市立小学校の小学生が書いた絵などをパートラッピングで掲示していたが、のちに「かし丸くん」[10][11]のラッピングが施された[13]。なおリエッセの「かし丸くん」ラッピングはポンチョとはデザインが異なり、白地にピンク色のラインとキャラクターが描かれ、「ぐる~と市内ひとまわり」のキャッチフレーズも追加された[13]。
- ^ 武雄市公式サイトには、割引対象になる障害の種類(身体・知的・精神)は明記されていない。
- ^ 江北町公式サイトには、療育手帳および精神障害者保健福祉手帳による割引は明記されていない。
- ^ 江北町公式サイトには、祐徳自動車の中型路線車が掲載されている。
- ^ 1995年6月の時点で、運行本数は「かしま号」が6往復に対し「かもめ」は22往復、「みどり」は14往復。運賃料金は「かしま号」の片道運賃1,650円に対し、JRの片道運賃と通常期普通車指定席特急料金の合計は「かもめ」の博多 - 肥前鹿島間、「みどり」の博多 - 武雄温泉間ともに2,620円。所要時間は「かしま号」が西鉄天神バスセンターから武雄温泉駅前まで1時間28分、同じく鹿島バスセンターまで1時間54分に対し、「かもめ」の博多 - 肥前鹿島間、「みどり」の博多 - 武雄温泉間ともに概ね1時間5分前後であった[19]。
出典
関連項目
外部リンク
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企業自体が消滅 | |
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現況不明 |
- エルム(キノシタ)
- アクト
- ハンデーエーモン(栄門商事)
- ハンドメーク
- サンモール(新潟)
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関連項目 | |
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出典:会員社一覧(2023年12月6日現在) |