信濃大町駅(しなのおおまちえき)は、長野県大町市大町仁科町にある、東日本旅客鉄道(JR東日本)大糸線の駅である[3]。大町市の市街地にある中心駅である。駅番号は「23」[報道 1]。事務管コードは▲510619[7]。
概要
特急列車を含む全列車が停車するほか、普通列車のほとんどが当駅を始終着としている。当駅以北は輸送密度が大きく低下することから、ほとんどの列車がワンマン運転となり、夜間滞泊もある大糸線の要衝となる駅である。大糸線内では起点の松本駅に次いで利用者数が多い。
歴史
松本駅から連絡することで「東京と日本海とを連絡する」ことを目指して1916年(明治45年)3月3日に創立総会を開催した私鉄の信濃鉄道(現在のしなの鉄道とは無関係)が1916年(大正5年)7月5日に松本駅に隣接する松本市駅までを結ぶ形で開業したのが始まりである[8]。この鉄道建設に当たっては大町市役場が高瀬橋東詰から大町駅までの線路用地全てと15,000円を寄付するなどの支援を行った[4]。開業前は大町から松本まで一泊二日必要とされていたことから、この開通は当地に大きな変化をもたらすことになった[4]。
しかし、当駅より先は地形などの関係で敷設が困難であることから延伸が進まない状況が続いていたところに、軍事上の必要性などから国が当駅から糸魚川駅を結ぶ路線を建設することになり、1929年(昭和4年)9月25日に大糸南線として当駅 - 簗場駅間が開通することになった[5]。大糸線の線名の由来は、この時の両端の駅名から一文字ずつ採ったものである。
信濃鉄道は、1926年(大正15年)1月8日 に全線電化して旅客列車を電車化したが[5]、1937年(昭和12年)6月1日に国有化され大糸南線に編入された[4]。1957年(昭和32年)8月15日に中土駅 - 小滝駅間が開通して全線開通し、大糸線と改称した[5]。
1959年(昭和34年)7月17日には当駅 - 信濃四ッ谷駅(現・白馬駅)間を電化し[9]、1960年(昭和35年)9月には松本駅 - 当駅間の貨物列車も電化した[10]。
黒部トンネル開通翌日の1971年(昭和46年)4月26日に特急「あずさ」の乗入れを開始し、立山黒部アルペンルートが当駅を起点として1971年(昭和46年)6月1日に開通した[11]。1966年(昭和41年)4月に名古屋発の急行「つがいけ」が季節列車として乗入れを開始し[10]、1982年(昭和57年)11月15日のダイヤ改正で急行「つがいけ」が特急列車化されて特急「しなの」に統合された[12]。
2010年(平成22年)には、JRの「信州デスティネーションキャンペーン」に向けて駅舎を山小屋風に改装し、同年7月22日に式典を行って新装開業した[報道 2][新聞 1]。
2014年(平成26年)11月22日に発生した長野県神城断層地震により、白馬大池駅 - 千国駅間の線路沿いのがけ崩れに伴う土砂の流入や簗場駅 - 南神城駅間での路盤の液状化などの被害が出たため、当駅 - 糸魚川駅間は23日まで運休した[新聞 2]。このうち24日に平岩駅 - 糸魚川駅間が本数を減らして運行を再開し、25日には当駅 - 白馬駅間の運転を再開した[新聞 3]。そして同年12月7日に白馬駅 - 南小谷駅間の運転を再開し、大糸線の全線が復旧した[新聞 4]。
年表
駅構造
単式ホーム1面1線と島式ホーム1面2線、合計2面3線のホームを有する地上駅[新聞 5][15]。駅舎に面する単式ホームが1番線、島式ホームが3・4番線となっている[15]。2番線はホームのない留置線である。互いのホームは跨線橋で連絡している。木造駅舎を有する。
駅構内のはずれに、蒸気機関車が現役のころに使用された転車台が残っている。
直営駅であり、管理駅として細野駅 - 簗場駅間の各駅を管理している。駅舎内部には自動券売機、話せる指定席券売機[6][1]、自動改札機(Suica非対応)がある[新聞 5]。また、構内でコンビニエンスストア、駅そば店が営業を行っている[1]。
駅舎は2010年の改装により、屋根の形状などを変更して山岳都市をイメージした山小屋風となった[報道 2][新聞 1]。長野県産杉材を壁に利用している[報道 2][新聞 7]。
駅の北側、五日町寄りの踏切のそばに、1937年に大糸線の前身である信濃鉄道が国有化された際に、そのことを記念して建立された石碑がある。
のりば
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改築前の駅舎(2008年5月)
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改札口(2021年8月)
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ホーム(2021年8月)
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専用線
東洋紡績大町工場と昭和電工大町工場へ続く専用線が存在していた[4]。2020年現在でも、本線(南大町駅方面)と並走して、昭和電工へ向かう専用線の跡が確認できる。
1956年(昭和31年)に開始された関西電力が黒部川第四ダムを建設時には資材約60万トンの輸送が必要となり、既存の路線と設備では対応困難として専用線が設置された[5]。
この専用線は北大町駅まで本線と単線並列で併走しており、そこから扇沢までは道路を新設して運搬された[4]。
また、東信電気(東京電力の前身の1社)が高瀬川水系に発電所建設を行った際には、駅前から建設資材を運搬する東信電気鉄道が運行していた[4][18]。
利用状況
JR東日本によると、2023年度(令和5年度)の1日平均乗車人員は1,110人である[利用客数 1]。開業当初の5年間、当駅が当時の北安曇郡内の駅では最大の乗降客数であった[4]。
1997年度(平成9年度)以降の推移は以下のとおりである。
乗車人員推移
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年度
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1日平均 乗車人員
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出典
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1997年(平成09年)
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1,984
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[利用客数 2]
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1998年(平成10年)
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1,780
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1999年(平成11年)
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1,676
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2000年(平成12年)
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1,579
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[利用客数 2][利用客数 3]
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2001年(平成13年)
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1,510
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[利用客数 2][利用客数 4]
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2002年(平成14年)
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1,450
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[利用客数 2][利用客数 5]
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2003年(平成15年)
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1,376
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[利用客数 2][利用客数 6]
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2004年(平成16年)
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1,353
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[利用客数 7][利用客数 8]
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2005年(平成17年)
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1,331
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[利用客数 9][利用客数 10]
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2006年(平成18年)
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1,284
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[利用客数 11][利用客数 12]
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2007年(平成19年)
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1,303
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[利用客数 13][利用客数 14]
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2008年(平成20年)
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1,261
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[利用客数 15]
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2009年(平成21年)
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1,232
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[利用客数 16]
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2010年(平成22年)
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1,228
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[利用客数 17]
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2011年(平成23年)
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1,241
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[利用客数 18]
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2012年(平成24年)
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1,334
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[利用客数 19]
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2013年(平成25年)
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1,373
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[利用客数 20]
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2014年(平成26年)
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1,284
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[利用客数 21]
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2015年(平成27年)
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1,332
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[利用客数 22]
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2016年(平成28年)
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1,301
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[利用客数 23]
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2017年(平成29年)
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1,283
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[利用客数 24]
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2018年(平成30年)
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1,236
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[利用客数 25]
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2019年(令和元年)
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1,234
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[利用客数 26]
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2020年(令和02年)
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1,015
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[利用客数 27]
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2021年(令和03年)
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964
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[利用客数 28]
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2022年(令和04年)
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996
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[利用客数 29]
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2023年(令和05年)
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1,110
|
[利用客数 1]
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駅周辺
開業前後には、元々の旧市街地では九日町や上仲町、下仲町などが商業の中心として栄えていた[4]。
駅の開設に伴い、下仲町から当駅までの道路が建設され、仁科町にも飲食店などが並ぶ商店街が形成された[4]。
かつてあった主要施設
バス路線
- 駅前にある「信濃大町駅前」バス停から各方面へ運行している。
- 扇沢行きと長野駅行き路線バスは駅前ロータリーから発着するが、高速バスと大町市民バスはロータリーの外側から発着する。
- アルピコ交通(長野支社)
- 美麻ぽかぽかランド・長野駅行
- 信濃大町周遊バス ぐるりん号(季節運行)
- 大町市民バス(ふれあい号) - 2000年(平成12年)4月1日運行開始[26]
詳細は当該記事参照
全路線休日と12月29日 - 1月3日運休
- 葛温泉乗合タクシー
午後に3便のみの運行。デマンド制。
高速バス
- 中央高速バス安曇野・白馬線
- さわやか信州号大阪・京都 - 安曇野・白馬線
- WILLER EXPRESS
- JAMJAMライナー
隣の駅
- 東日本旅客鉄道(JR東日本)
- ■大糸線
- □快速(松本方面、上り1本のみ運転)
- 信濃常盤駅 (25) ← 信濃大町駅 (23)
- □快速(南小谷方面より、上り1本のみ運転)
- 信濃大町駅 (23) ← 信濃木崎駅 (21)
- ■普通
- 南大町駅 (24) - 信濃大町駅 (23) - 北大町駅 (22)
脚注
記事本文
報道発表資料
新聞記事
- ^ a b c “「山小屋風」でDC歓迎 信濃大町駅改装完成祝う”. 大糸タイムス (大糸タイムス社). (2010年7月23日)
- ^ a b “41人けが、全壊34棟 長野北部地震、余震70回に”. 中日新聞 (中日新聞社). (2014年11月24日)
- ^ a b “長靴姿で登校、大糸線が一部再開 県神城断層地震”. 中日新聞 (中日新聞社). (2014年11月26日)
- ^ a b “JR大糸線、全線復旧 15日ぶり、高校生ら歓迎” 信濃毎日新聞 (信濃毎日新聞社). (2014年12月8日)
- ^ a b c “JR信濃大町・豊科両駅 自動改札機、設置へ 大糸線で初導入”. 信濃毎日新聞 (信濃毎日新聞社): p. 17(朝刊). (2006年3月23日)
- ^ “利用減 ダイヤ改正で廃止 大糸線あずさ6号に花束”. 大糸タイムス (大糸タイムス社). (2010年3月13日)
- ^ 交通新聞2010年7月27日
利用状況
関連項目
ウィキメディア・コモンズには、
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外部リンク