『ファミリーサーキット』は、1988年にナムコ(後のバンダイナムコエンターテインメント)から発売されたファミリーコンピュータ用のゲームソフト。またはその作品をはじめとしたシリーズ。デザイナーは遠藤雅伸。
概要
F1などのカーレースを題材にした1人用のレースゲーム。車は自由にセッティングでき、設定をパスワードで保存しておける。
レース中は「他車との接触(当たり判定)」という概念がないのが特徴であった(コース外の障害物には「当たり判定」が存在し、高速で衝突するとクラッシュで即リタイアとなる)。
なおスタート/ゴールに設けられたコントロールタワーはナムコが鈴鹿サーキットに広告を出していた関係で、それを模したデザインが使われた。
ゲーム内容
ゲームモードは以下の5種類。
セッティング
6種類の基本車体があり、カラーリングの選定やセッティングを行うと、マシンコードが表示される。このマシンコードを入力することで、自分が作成した車体をいつでも呼び出せる。
「マシントラブル」の概念があるのが特徴で、ターボブースト(過給圧)を高くするとタービンブローが起こりやすく、障害物との接触ではウイングの破損でマシンの安定性が失われる。電気系統やラジエター、トランスミッションにも故障の概念があり、ピットインして修理しないとエンジン本体にも影響を及ぼし、ついにはエンスト(リタイヤを選択するしかない)してしまう。タイヤもハイグリップを選ぶと当然磨耗が速く、パンク・バーストするとマシンが蛇行してコントロールしにくい状態となってしまう。
ちなみに、マシンコードの頭2文字は当時の実際のF1チームのマシン名と同じであった。たとえば「MP」はマクラーレンのマシン名であるが、実際ゲームでも同様のカラーリングとなっている。その他にも「LR」ロータス・ルノー(モデルになったライバル車たちはルノーエンジンは使用していないが)、「LH」はロータス・ホンダ、「SF」フェラーリ、「FW」ウィリアムズ、「JS」リジェ、「BT」ブラバムなど数種があり、マニア心をくすぐるものだった。
フリー走行
セッティングで作成した車体を走らせることができる。コースは40種類用意されている。鈴鹿サーキットやモンテカルロ市街地コース、奥多摩や裏六甲、大垂水峠など、実在のサーキットや峠を模したものもある。
スプリントレース
4つのカテゴリーに分かれている。いずれのカテゴリーにおいても予選および決勝レースがある。参加台数はプレイヤーを含めて8台。予選は1ラップアタックの方式をとっており、2004年のF1世界選手権で採用していた予選方式と似ている。予選落ちはない(タイムを出せなかった場合は最後尾スタートとなる)。決勝における周回数はカテゴリーおよびサーキットによって異なるが、上位のカテゴリーほど多くなる。レース中のタイヤ交換は無制限。給油はできない。
決勝の成績によってドライバーズポイントを得ることが出来る。1位・9点、2位・6点、3位・4点、4位・3点、5位・2点、6位・1点、7位以下は0点(当時のF1と同じポイントシステム)で、全戦有効。有効ポイント制は採用されていない。
各カテゴリーの詳細は以下の通り。
- ノービス
- 最下位に位置するカテゴリー。全4戦。ライバルの名前はナムコのゲームのキャラクターである。
- Bクラス
- ノービスの1つ上のカテゴリー。全6戦。
- Aクラス
- Bクラスの1つ上のカテゴリー。全10戦。主なライバルは以下の通り。
- スーパーA
- 最上位のカテゴリー。全16戦。F1世界選手権を模したものと考えられる。基本的に1987年のF1シリーズと同じプログラムが組まれているが、後述にあるように、スペイングランプリであるヘレスが第2戦に組み込まれており(実際は第13戦開催)、またその年には未開催のサーキットが組まれる場合もある。主なライバルは以下の通り。
- Nピケ - ウィリアムズFW11と同様のカラーリングをもつマシンを操る。最も速度が出るマシンに仕上がっており、高速サーキットに滅法強い。
- マンセル - ウィリアムズFW11と同様のカラーリングをもつマシンを操る。Nピケのマシンよりも最高速では劣るが、コーナリングスピードは速い。
- フロスト - マクラーレンMP4/3と同様のカラーリングを持つマシンを操る。コーナリングスピードが最も速く、テクニカルサーキットに滅法強い。
- A.セナ - ロータス99Tと同様のカラーリングを持つマシンを操る。上記の3人より戦闘力は劣るが、選手権を通じて必ず上位に食い込んでくる。
- サトルN - ロータス99Tと同様のカラーリングを持つマシンを操る。最高速はNピケと同じくらいのレベルまで達するため、高速サーキットでは上位に食い込んでくることがあるが、コーナリングスピードが遅く、テクニカルサーキットでは遅れをとる。
たいきゅうレース
距離をこなすものと規定時間走り続けるものがある。ほとんどのレースのモデルはプロトタイプレーシングカーで行われていたが、ゲーム上では全レースフォーミュラカーで行われる。レース中のタイヤ交換および給油は無制限である。
24時間耐久レース(ル・マン24時間など)は実際に24時間ゲームを行うわけではないが、約2時間は画面から離れることができない。その上、ライバル(コンピューター)車は総じて遅いため、トップを独走することになり、あとはひたすら集中力との戦いになる。
かんせん
レースを観戦できる。固定視点モードと、特定のドライバーを追っかけるモードがある。ストップウォッチを扱うことができ、ライバルの走りを研究することが可能である。
他機種版
スタッフ
- ゲームデザイン、キャラクターデザイン、マイカー走行プログラム:遠藤雅伸
- ゲームプログラム:もろぼしはずれ
- 音楽、サウンドプログラム:大野木宜幸
- プロデュース:今成一雄
- マネージメント:なかざとたかし、いしむらこうじ
- テストドライバー:とおますナイト(内藤智)
評価
- ゲーム誌『ファミコン通信』の「クロスレビュー」では、8・8・8・8の合計32点(満40点)でゴールド殿堂入りを獲得[2]、レビュアーの意見としては、4人中3人が同時期に任天堂から発売された『ファミコングランプリ F1レース』(1987年)と比較した内容になっており、「敵車と当たってもクラッシュしないという考えかたも新しい」、「地面のスクロールとかも速くてスムーズだし、操作感そのものが楽しい」、「車好きにはたまらない魅力」、「なめらかなマシンの動きとピットクルーの動きには感心してしまった」などと評されている[3]。
- ゲーム誌『ファミリーコンピュータMagazine』の読者投票による「ゲーム通信簿」での評価は19.27点(満30点)となっている[1]。同誌1991年5月10日号特別付録の「ファミコンロムカセット オールカタログ」では、「本物のカーレースさながらのリアルなレース感覚が味わえる」などと評されている
項目
|
キャラクタ |
音楽 |
操作性 |
熱中度 |
お買得度 |
オリジナリティ
|
総合
|
得点
|
3.17 |
3.01 |
3.10 |
3.35 |
3.40 |
3.24
|
19.27
|
関連作品
続編
- ファミリーサーキット'91(ファミリーコンピュータ版。1991年7月19日発売)
- セッティングの詳細化やグラフィックなどが向上した。しかしグランプリモードでは予選が省略され、常にポールポジションからスタートするようになった。
- スーパーファミリーサーキット(スーパーファミコン版。1994年10月21日発売)
- ハードの画面回転機能を利用し、進行方向を上方向のみでなく現実のF1に近いコースを実現。
その他
- F1道中記(MSX2版、媒体:フロッピーディスク(要128KB VRAM)。1990年11月27日発売)
- 『ロードファイター』や『ジッピーレース』のように見下ろし型視点で、F1カーで高速道路を走り、日本を縦断するレースゲーム。ナムコがMSXで最後に発売したゲーム。
- ワールドサーキット(PCエンジン版。1991年10月18日発売)
- Huカード作品。モードはフリープラクティス、タイムアタック、スプリントレース、耐久レースの4つ。
脚注
外部リンク