ロムカセット(英: ROM cartridge)は、ROM(主にマスクROM)等の取り付けられた基板を内蔵した通常プラスチック製の箱(パッケージ)で、ゲーム専用機、ホビーパソコン、電子楽器などに接続してソフトウェアを提供したり、機能を拡張するために用いられる交換可能な部品のことである。
概要
「ロムカセット」は和製英語で、日本国内ではファミリーコンピュータを始めとするゲーム機のメーカーの多くがこの呼称を採用したことから広まった。英語では「ROM cartridge (ロムカートリッジ)」と呼び、単に「cartridge (カートリッジ)」、あるいは「cart (カート)」と略して呼ばれる場合もある。パッケージが小型化・薄型化されカード状メディアとなったものは「ロムカセット」とは呼ばれず、メーカーによって「ゲームカード」などと呼称されることが多いが、これらも構造上・分類上はカートリッジ方式であることに変わりはないため本項目にて解説する。
代表的な用途としてゲーム専用機用のソフトウェア(ゲームソフト)があるが、その他の電子機器の機能を拡張する用途などにも広く利用されている。
ゲーム用途
第一世代ゲーム機と呼ばれる最初期に登場したゲーム機は本体にあらかじめ収録(内蔵)されたゲームしか遊ぶことはできなかった。1970年代後半から登場した第二世代ゲーム機の多くは、ロムカセットを採用することでゲームプログラム(これを実現する物理的な電子回路)を外付け入力し、またこれを交換することによって、1台のゲーム機でも、いくつものゲームソフトを遊ぶことが可能となった[1]。
世界で初めてロムカセットを搭載したゲーム機は、1976年にフェアチャイルドセミコンダクターが発売した「フェアチャイルド・チャンネルF」である[2]。開発者の一人であるジェリー・ローソンはこののち「ビデオゲームカートリッジの父」と呼ばれ、国際ゲーム開発者協会から2011年に表彰されている[2]。
1990年代中頃以降に登場した第五世代ゲーム機の頃からはゲームソフトの供給媒体としてはCD-ROMを初めとするディスクメディアが主流になり、特に据え置き型(家庭用)ゲーム機ではロムカセットを採用したものはほとんどなくなっている。一方、携帯ゲーム機においては様々な要因によって現在もロムカセットが主流であり、ディスクメディアを採用したゲーム機は普及していない。
ロムカセットを使用した主なゲームハード
※メディア名はそれぞれのメーカーによって様々な呼称が採用されている。「ロムカセット」以外の呼称を採用したものは、カッコ内にその呼称を記載。
家庭用
ロムカセットを使用した主なパソコン
大きさ
ロムカセットの体積(大きさ)は半導体技術の進歩により、小さくなる傾向がある。例えば任天堂のゲーム機の場合では、NINTENDO64用ロムカセットはスーパーファミコン用ロムカセットより体積が一回り小さい。また、携帯ゲーム機でもゲームボーイ→ゲームボーイアドバンスとハードが代替わりするにつれ体積がどんどん小さくなってきており、ニンテンドーDSでは、CFカード並の体積にまでなっている。
脚注
関連項目