株式会社ジョイフル(Joyfull Co., Ltd.)は、本社を大分県大分市に置き、九州を中心にファミリーレストラン「ジョイフル」をチェーン展開するチェーンストアを子会社に持つ持株会社である。
概要
1号店は、1979年(昭和54年)2月に大分県大分市萩原に開店した萩原店(敷地、店舗は存続しているものの、1998年(平成10年)に改築されたため、開店当時の建物は現存しない)。
一時期別府市の老舗ホテル・亀の井ホテル等を運営する株式会社亀の井ホテル(現株式会社アメイズ)を傘下にしていた。1994年に買収した[5]が、本業集中のため2002年にジョイフル創業者で当時の社長だった穴見保雄(一部は当時の亀の井ホテル社長の古川功)が株式(約95%の株式を保有していた)を引き取り、グループを離れた。
2009年シーズンまでJリーグの大分トリニータのオフィシャル・パートナーであった[6]。トリニータがJ2に降格した2010年シーズン以降もアドボード・スポンサー等となっている[7]。
2003年度のイメージキャラクターに初めてアニメのパワーパフガールズを採用し[8]、その後も仮面ライダーシリーズ・プリキュアシリーズ(2007 - 2009年)のキャンペーン展開をしていた[9]。その後しばらくはイメージキャラクターの採用及びタイアップはしていなかったがイメージキャラクターは、2022年からYouTuberのヒカル[10]、2023年から現在までタレントの秋山竜次[11]を起用している。また、アニメのタイアップでも2023年には進撃の巨人[12]、2024年には鬼滅の刃[13]のキャンペーン展開を行っている。
主要取引銀行は伊予銀行、西日本シティ銀行、大分銀行[14]。大分銀行は大株主でもあり、ジョイフルは伊予銀行と西日本フィナンシャルホールディングスの株式を保有している[1]。
沿革
1996年に、創業者で当時社長であった穴見保雄は、2006年までに1,000店舗を目指す構想を発表。しかし、メニューが肉料理中心だったため、2003年に発生したBSE問題の影響を受け、出店を抑制。2004年より不採算店舗を閉鎖、また一部の店舗で24時間営業を取りやめている[15]。閉鎖第1号は高知県中村市(現・四万十市)の高知西中村店で、わずか3年ほどの営業だった。ただ、このときは当初約30店舗の閉鎖・約100店舗の深夜営業取りやめを予定していたものの、実際はそれより少ない数にとどまった。その後、2005年12月15日開店の高松扇町店(香川県高松市)を最後に、2008年まで直営での新規出店を一時凍結した。
2007年には中国でのチェーン展開を図り、7月23日に中国準備室を設置[16]。2008年5月に上海に1号店を開店し[17]
2店目も出店したものの、2009年5月末に営業を休止し[18][19]、2010年4月12日に運営子会社も解散した[20]。
2007年12月13日、穴見陽一の次期衆議院選挙立候補表明を受け、2008年1月1日付で常務の長尾一徳が社長に就任し、穴見は代表権のある会長に就任した。創業家以外では初の社長で、同時にプロパーでもない社長(長尾はサントリーフーズから送り込まれた)でもある。また同時に、代表権のある副社長に就任した井上博基もプロパーではない[21]。その直後には、2年ぶりの直営新店舗である高知金田店(高知県高知市)を開業させている。また、郊外店の売上が伸び悩んでいる影響で、同年11月までに130店舗以上で深夜の営業を取りやめた。新たに都市部の顧客を狙うために、2008年9月に福岡・天神(福岡警固公園前店)に初めて都市部に出店した[22]。
一方で、全店舗的に売上が低迷し、2008年下期に不採算7店舗の閉鎖を発表。これに世界同時不況が重なり、同年通期には赤字に転落した。この責任を取り2009年3月26日に長尾一徳は代表権のない社長に、穴見陽一は顧問となるとともに[23]、井上博基はジョイフルを去って、代表権は会長の児玉幸子[注 1]のみが持つことになる。また、2008年12月期の有価証券報告書によれば、不採算店舗については土地賃貸契約の期間満了をもって閉鎖することも検討すると示されているが、翌期には不採算店舗の撤退に関する文言はなくなっている。
2010年3月25日の定時株主総会をもって長尾が取締役社長を退任し、会長の児玉が社長に就任した[24]。児玉は社長個人としてのメディア取材は一切受けず、また、公式ホームページにも写真を出さず、地元財界の会合にも出席しなかったが、2011年1月発行のジョイフル労働組合の機関誌「ジョイくみ」にて初めて顔が公開された。
2011年3月24日、穴見陽一が顧問から社長に復帰し、児玉は代表権のない会長となった[23][25]。
2012年3月23日、穴見陽一の妻の穴見くるみが社長となった[26]が、同日の定時株主総会で、共同代表制を否定し、代表取締役は1名のみとする定款改正が行われたため、代表権はなく、相談役となった陽一のみが代表権を持ち、対外的な対応をつとめていた。
2013年3月に、ロゴマークを変更。同時に、シンボルマークも新設した[27]。また、久しく出店していなかった関東地方への出店も再開している。
2013年3月24日の定時株主総会で、穴見陽一が前年の第46回衆議院議員総選挙で当選したことを受け、共同代表制を復活させ、社長のくるみも代表権を持つこととなった。ただ、前会長の児玉幸子はこのときに取締役を退任したものの、議決権の3分の1超を保有するジョイ開発の社長である[28]ことから、顧問として今なおジョイフルへの影響力を持ち続けている。
2016年1月1日をもって持株会社体制となり[29]、店舗運営は後述する11の地域子会社(2015年11月2日設立)に承継された。
2020年6月8日、2019新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出自粛が影響し業績が悪化、200店舗程度を同年7月から順次閉店することを発表した。発表時点の店舗数は713店舗[30]。2023年6月現在、656店舗を運営している[31]。
年表
- 1976年(昭和51年)5月 - 焼肉チェーン店である株式会社焼肉園として大分市旦野原に設立[27]。
- 1980年(昭和55年)9月 - 商号をジョイフルに変更。
- 1983年(昭和58年)8月 - 本社を大分市萩原に新築移転。
- 1988年(昭和63年) - 株式会社寿会館を吸収合併。
- 1989年(平成元年) - 本社を現在地に移転。
- 1990年(平成2年) - POSシステム導入
- 1993年(平成5年)6月8日- 福岡証券取引所上場。
- 1994年(平成6年)5月 - 株式会社亀の井ホテル(現 株式会社アメイズ)を子会社化。
- 1996年(平成8年)10月 - 地域子会社の株式会社関東ジョイフルを設立。以降、1999年(平成11年)8月までに地域子会社計7社(関東ジョイフルを含む)を設立。
- 2002年(平成14年)
- 6月 - 株式会社関東ジョイフルの営業を譲り受け。以降、2004年(平成16年)6月までに他の地域子会社6社を合併。
- 6月 - 株式会社亀の井ホテルの株式を全て売却。
- 6月 - 単元株式数を1,000株から100株に変更。
- 2005年(平成17年) - 子会社ジョイフルサービス設立。
- 2008年(平成20年) - 中華人民共和国上海市に海外子会社「上海巧芸府餐飲有限公司」を設立。
- 2010年(平成22年) - 上海巧芸府餐飲有限公司を清算。
- 2013年(平成25年)3月 - シンボルマーク新設及びロゴマーク変更。
- 2014年(平成26年)10月 - 新ブランドタイプ1号店舗 姫路大津店を開店。
- 2015年(平成27年)
- 4月14日 - 東京23区初出店となる赤坂店オープン[32]。
- 11月 - ジョイフル東関東・東北等の地域子会社11社を設立。
- 2016年(平成28年)
- 1月1日 - 持株会社体制に移行。
- 5月 - 中華民国台北市に海外子会社「台湾珍有福餐飲股份有限公司」を設立。
- 10月 - 子会社Rising Sun Food Systemを設立し、「ごはん処 喜楽や」事業を分社化。
- 2017年(平成29年)
- 10月24日 - 値上げを実施[33]。
- 10月 - ジョイフル東関西・北陸を設立。地域子会社が12社となる。
- 2018年(平成30年)
- 2020年(令和2年)
- 10月 - ジョイフル北日本がジョイフル関東を吸収合併。ジョイフル西関西がジョイフル東関西・北陸を吸収合併してジョイフル関西に商号変更。地域子会社が10社となる。
- 2022年(令和4年)
- 6月 - 子会社フレンドリー発行の株主優待券でもFC店舗を除く店舗で使用可能に[35]。(2023年にフレンドリーが株主優待を休止すると発表[36]したため、フレンドリーの株主優待の利用は2023年6月末で実質終了している。)
- 2023年(令和5年)7月 - キッチンジローを吸収合併[37] 。
子会社
- 株式会社フレンドリー
- 関西地方に27店舗(2021年6月30日現在)を展開する[1]。かつては和食中心のファミリーレストランチェーンであったが、2020年6月までに香の川製麺を除き閉店。ジョイフル設立時にノウハウの提供を受けた。2018年6月に子会社化[1][38]。2022年6月送付分から同社発行の株主優待券でもFC店舗を除くジョイフル(蕎麦焼鳥二五十、並木街珈琲、ごはん処喜楽やも含む)の店舗でも利用出来るようになっていたが、2023年からフレンドリーの株主優待は休止[36]となったため、フレンドリーの株主優待の利用は2023年6月末で実質終了している。
- 株式会社ジョイフルサービス
- 2005年に設立された特例子会社。登記上の本店はジョイフル本社内で、ウェブサイトにも同所で記載されているが、タウンページにはそこからやや西にある大分県大分市高松東3丁目6-17で記載されている。損害保険代理業・人材派遣業を営む。
- 株式会社Rising Sun Food System
- 定食屋「ごはん処 喜楽や」を分社化するために2016年10月28日に設立、2017年1月1日付で移管。
地域子会社については、#地域子会社と営業エリア参照。
地域子会社と営業エリア
2020年10月1日からの体制[39][40]。
かつての地域子会社と営業エリア
2015年まで
- ジョイフル本社 - 山口県、福岡県、佐賀県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、愛媛県南予地方、高知県
- 中国ジョイフル(岡山県倉敷市、2002年11月1日合併) - 岡山県、広島県、香川県、愛媛県川之江市(現・四国中央市)、兵庫県姫路市
- 近畿ジョイフル(滋賀県大津市、2004年6月1日合併) - 滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県(姫路市・加古川市を除く)、奈良県、和歌山県
- 北陸ジョイフル(石川県金沢市、2004年6月1日合併) - 富山県、石川県、福井県
- 中部ジョイフル(愛知県豊橋市、2004年6月1日合併) - 静岡県、愛知県、岐阜県、三重県
- 関東ジョイフル(東京都青梅市、2002年6月1日ジョイフル本社に営業譲渡、清算) - 栃木県、群馬県、埼玉県、東京都
- 東京ジョイフル(千葉県松戸市、2004年6月1日合併) - 茨城県、千葉県
- 東北ジョイフル(宮城県仙台市泉区、2004年6月1日合併) - 宮城県
1996年から1999年にかけて設立。2002年から2004年にかけて吸収合併した[1]。ジョイフル本社は地域子会社と区別するため「九州ジョイフル」と呼ばれていた。地域子会社の資本金は中部が2億円、東北が1億5000万円、それ以外が1億円だった。ジョイフル本社の地域子会社の出資比率は90%で、残りの10%は当該地域子会社の社長が保有していた。合併直前の2004年2月に株式交換で完全子会社となった。
中国ジョイフルの社長は、後にジョイフルの社長を務めた穴見陽一であった[23]。その関係で合併当初は中国事業部として本社とは切り離された運営がなされていた。中国事業部時代の2003年に加古川市安田地区(明姫幹線安田交差点・マックスバリュ安田店)に出店している。しかし、2004年には全国一社体制になることから、権限を縮小され中国管理部と改称した。2005年3月に廃止され、現在倉敷市の旧中国ジョイフル本社ビルは1階にジョイフル倉敷本店、3階に中国エリア事務所がある。
なお、合併後近畿以東の管理部門は一時期大阪府に新設した事務所(詳細な場所は非公表)にて行っていたが、その後、管理統制機能の全てが大分の本社に集約された。
2016年から2017年まで
2016年1月1日から2017年12月31日までの体制。いずれも本店はジョイフル本社内[41][29]。なお、中四国・九州地区に関しては2020年10月以降と同じため省略。
- ジョイフル東関東・東北 - 宮城県、福島県、栃木県、茨城県、千葉県
- ジョイフル西関東・北陸 - 群馬県、埼玉県、東京都、富山県、石川県、福井県、岐阜県(飛騨地方のみ)
- ジョイフル東海 - 静岡県、愛知県、岐阜県(飛騨地方を除く)、三重県
- ジョイフル近畿 - 滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県
2018年から2020年9月まで
2018年1月1日から2020年9月30日までの体制。なお、中四国・九州地区に関しては2020年10月以降と同じため省略。
- ジョイフル北日本(旧ジョイフル東関東・東北) - 北海道、宮城県、福島県
- ジョイフル関東(旧ジョイフル西関東・北陸) - 茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、東京都、神奈川県
- ジョイフル東海 - 静岡県、愛知県、岐阜県
- ジョイフル東関西・北陸(新設) - 三重県、富山県、石川県、福井県、滋賀県、京都府
- ジョイフル西関西(旧ジョイフル近畿) - 大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県
店舗
店舗の特徴
- 各店舗玄関の表札に開業年月日を記載している。
- 2018年6月現在、直営店732店のうち、空気を遮断した完全分煙は4割強で、全面禁煙は4店舗である。5割強の店舗では、禁煙エリアと喫煙エリアの空気が遮断されていない[42]。
- 近年、ロイヤルホストやすかいらーくグループなどの競合他社では全店舗での24時間営業の廃止をすすめている[43]が、ジョイフルは、2004年から一部店舗で24時間営業を取り止めており[15]、近年も数十店規模で順次24時間営業を取り止めている[44][45]ものの、全店舗での廃止には至っていない。
- 居抜き物件を含む[46]新規出店用の物件を募集している[47]。
現在営業している店舗
→現行店舗の詳細は、公式サイトの「
店舗検索」を参照
(注)九州離島はフランチャイズ契約の為、上記店舗となる。
過去に存在したジョイフルの店舗
市町村名は閉鎖時点のもの。
北海道
宮城県
福島県
茨城県
栃木県
群馬県
埼玉県
千葉県
東京都
神奈川県
静岡県
愛知県
岐阜県
富山県
石川県
福井県
三重県
滋賀県
京都府
大阪府
兵庫県
奈良県
島根県
岡山県
広島県
山口県
香川県
徳島県
愛媛県
高知県
福岡県
佐賀県
長崎県
熊本県
大分県
宮崎県
鹿児島県
沖縄県
上海市
- 華山路店[122](中国上海市、2009年5月28日に閉店)
- 田林路店(中国上海市、閉店)
- 中国法人「上海巧芸府餐飲有限公司」が運営していたが、2009年5月30日をもって営業中止になった[18][19]。前述の通り、同社は2010年4月12日に解散[20]。
ジョイフル以外の業態
新業態として、2005年3月22日に福岡県筑紫野市に開店した1号店を皮切りに、ショッピングセンターのフードコート内に出店する「ジョイフルQ」と「はらぺこ丸」の展開を開始。しかし、1号店は2007年に閉店[123]。大分市に残っていたはらぺこ丸の店舗は、2016年にリニューアルしてごはん処 喜楽やとなっている[124]。また、沖縄県内でFC展開する「ミニジョイフル」は、「ジョイフルQ」と同様にフードコートへの出店である。
旬菜ブッフェ陽菜多(大分県大分市碩田町) - バイキングレストラン[125]。2018年4月に閉店。業態転換し、同年7月に並木街珈琲として開店[126]。
ごはん処 喜楽や - 定食屋[127]。2017年1月1日に子会社の株式会社Rising Sun Food Systemに移管された。
- 萩原店(大分県大分市牧)
- 鶴崎店
- 別府店
- 稙田店(大分県大分市上宗方、閉店)
- 南大分店(閉店)
- 下郡店(閉店)
- 日田店(閉店)
- 臼杵店(閉店)
- 三重町店(閉店)
- 大在須賀店(閉店)
ミニジョイフル - 沖縄地区でFC展開する総合スーパー「サンエー」が店舗内で展開[128]。
- サンエー那覇メインプレイス店
- サンエー具志川メインシティ店
- サンエー西原シティ店
- サンエー経塚シティ店
- サンエー豊見城ウイングシティ店
- サンエー石川ショッピングタウン店
- サンエー浦添西海岸パルコシティ店
不祥事
創業家が経営する企業
いずれも現在は資本関係はない。
- アメイズ(旧:亀の井ホテル) かつては子会社であったが、2002年6月に全株式を手放したため、資本関係はない[132]。しかし、関連当事者(役員及びその近親者が議決権の過半数を所有している会社等)として取引を行っている[1]。また、グループホテル内にジョイフル[注 3]を出店するフランチャイジーである。現在の社長は穴見陽一の実弟で、ジョイフルの同率第3位の大株主である穴見賢一。
- 有限会社グッドイン - ビジネスホテル経営。前社長・穴見陽一の実母かつ前会長・児玉幸子の実姉でジョイフルの第8位の大株主である穴見加代が社長[133][28]。
- 有限会社ジェイズ - パチンコ店経営。穴見賢一が社長をしていた[134][28]。
CMソング
脚注
注釈
- ^ 穴見保雄の義妹でジョイ開発社長。創業以来取締役に名を連ねていたが2004年に監査役に回り、2006年3月にジョイフルを去っていた。2008年12月に顧問として復帰。
- ^ ただし、札幌東苗穂店が存在した時期は最北端店舗を同店舗に譲った。
- ^ 同社の本社に併設されている鶴崎店を含む。なお、ホテル内店舗の一部は店舗ブランドが「ジョイフルジュニア」となっており、一部提供できない商品がある。
出典
参考資料
関連項目
外部リンク