「あなたの街に“住みます”プロジェクト」(あなたのまちにすみますプロジェクト)は、吉本興業が「地域密着型プロジェクト」として、2011年4月27日から開始したプロジェクトである。
概要
吉本興業(現:吉本興業ホールディングス)が、子会社・よしもとクリエイティブ・エージェンシー(現:吉本興業)所属のタレント(芸人)を「住みます芸人」と銘打ち、全国47都道府県に派遣している。各県に実際に移住させた上で[注 1]、地域に密着した芸能活動を行わせ、地域に貢献しようという趣旨で行われている。
テレビ番組への出演やお笑いイベントへの出演などが主たる活動である。地方によっては、いわゆる「お笑いタレント」が存在しなかったことが多く[注 2]、かつ業界大手である吉本興業所属という点もあり、幅広く活動することが期待されている。
吉本興業は「観光名所・特産品のPR」「お祭りの盛り上げ役」などの活動を想定している[1]。
また芸人だけでなく、各都道府県でタレントのマネージメントを行う「エリア担当社員」も1人ずつ採用されている[2]。
2015年、農林水産省の「こくさんたくさん週間」(国産農林水産物拡大に向けた取組強化週間、同年11月1日から8日)の応援団に住みます芸人が就任[3]。
2016年、アジア版が発足し、東南アジアを中心とした諸国への派遣が始まった。また、吉本興業による農業プロジェクト「よし農」が発足し、その一環として「農業で住みます芸人」がスタート。自治体より農業協力隊員に委嘱され、芸人・タレント活動と並行して農業活動も行う。仙台市太白区、新潟県長岡市などで導入されている。
2017年、大阪市24区住みます芸人が発足。
2019年5月より、新発足した株式会社よしもとエリアアクションの事業となる。
住みます芸人
派遣されるタレント「住みます芸人」は、東京・大阪で活動していたコンビの若手芸人が多く、殆どは派遣される地域の出身者である。北海道、愛知県、広島県、福岡県、沖縄県といったもともと支社や事務所が置かれていた地域では、派遣ではなく支社の管内で活動していた芸人を後追いで任命するケースがみられる[注 3]。秋田県に派遣されていた桂三若は、大阪でキャリアを重ねた中堅の上方落語家でありながら、縁のなかった秋田に派遣されており、「住みます芸人」のうちではレアケースであった[注 4]。派遣期限は特に公式発表されておらず、住みます芸人の交替や異動が行われた地域もある。
各都道府県1組ずつが基本であるが、派遣期限に区切りがないため追加派遣される都道府県も増えており、最多は埼玉県、神奈川県、山口県の5組である。岐阜県のように卒業した芸人が復帰するというレアなケースもある。住みます芸人在任中にコンビ解散して片割れのみピン芸人として継続する例や、新潟県のように住みます芸人が集まってユニット化する例、神奈川県の堤下敦(インパルス)や山梨県のティ・カトウ(チャド・マレーン)のようにコンビの片方が単独で就任する例もある。近年は高知県住みますタレントのなめたらいかんぜよ。MARI[4]や大分県住みますランナー 爆走SAKI[5]など、芸人以外を住みます○○として認定する例も増えてきている。岩手県に在住しながら吉本新喜劇の座員として活躍しているよこっちピーマンは住みます芸人には任命されてはいないが、地元メディアやBSよしもとには、それに準じた扱いで出演している[6]。
香川県の梶つよしは、自ら祭りをプロデュースし、地元と協力して経済を動かすなど、ソーシャルビジネスを推進する「住みます芸人」の成功例としてしばしば語られる[7]。福岡県初代住みます芸人の山田貴正(レモンティー)[8]や栃木県住みます芸人の上原チョー[9]のように政治家に転向した例もある。
市町村単位の派遣も多く行われており、とりわけ香川県丸亀市では派遣にあたって丸亀に因んだ芸名に変更するしきたりが出来ている[注 5]。市町村単位での派遣の場合、地域おこし協力隊員を兼ねている例もある。また、神奈川県大井町に吉本から派遣されているスベリィ・マーキュリーは笑顔特派員と銘打って町役場で働きながら住みます芸人と同様の活動を行っている[10]。
2022年に地方創生をコンセプトに掲げた放送局であるBSよしもとが開局し、住みます芸人が関わる番組が数多く作られている他、住みます芸人による地域密着型の商品開発や起業支援をBSよしもとが積極的に支援を行っている[11]。
現在の「住みます芸人」一覧
大阪市24区住みます芸人
過去の「住みます芸人」
- 京都府
- 月亭太遊(2013年5月20日 - 2017年3月31日、大分県:2017年4月14日 - 時期不明)
- モンブラン(2018年3月 - 2020年3月31日)
- タナからイケダ(2011年4月27日 - 不明)
- きゃろっときゃべつ・えいじ(2017年4月16日 - 2024年10月31日)[注 40]
現在の「アジア住みます芸人」一覧
動画配信
プロジェクト開始当初、各芸人は、おおむね22時から1時間、Ustreamを用いた配信「YNN[注 56]」を行うこととなっていた[注 57]。Twitterを活用し、視聴者とコミュニケーションしながら番組を進める。YNN公式WEBサイトでは、47都道府県すべての配信番組を視聴することが出来、また各県の情報発信のほか、アクセス数のランキングも競われた。
2015年3月をもって定期的な動画配信は行わないこととなり、一部の芸人がYouTubeで不定期動画配信を行うのみとなっていた。
2022年3月からはBSよしもとを拠点としており、住みます芸人自らが撮影から編集まで行ったVTRをBSよしもとに納品している。
住みます芸人の出演番組
- 「笑いの革命者たち〜よしもとNSCの挑戦〜」にて、この取り組みについて触れ、大﨑洋、福島県代表を2011年の発足当初から10年以上連続で務めているぺんぎんナッツ、並びに過去に奈良県代表を務めたゆりやんレトリィバァが取材を受けた。
脚注
注釈
- ^ 担当地域への居住は基本的に原則であるが、神奈川県の囲碁将棋や佐賀県のメタルラックなど、実際は居住していないことを明かしている者もいる。
- ^ 「漫談師」「司会者」「ローカルタレント」とは異なる。
- ^ 2011年4月開始の「初代住みます芸人」でいえば、北海道のクマップ(札幌吉本所属)、愛知県のサムタイムズ(名古屋吉本所属)、広島県のフリータイム(広島吉本所属)、福岡県のレモンティー(福岡吉本所属)がそれに該当した。静岡県のカズ&アイは、吉本がプロデュースする伊豆・三津シーパラダイスアシカショーのタレントユニットから結成されたコンビで、「住みます芸人」プロジェクト発足前の2004年からすでに類似の活動を行っていたところを後追い任命された珍しい例である。また、沖縄県初代住みます芸人の空馬良樹は、沖縄事務所開設前から1人で沖縄に駐在していた。愛媛県3代目住みます芸人のフジノミヤのように、地元のフリー芸人を住みます芸人として現地採用した例もある。
- ^ 三若はその立場上、関西圏に頻繁に帰りながら仕事をしていた。これも「地域密着」を謳い地元から離れることのない、他の「住みます芸人」では見られない特徴である。
- ^ 着任に伴って改名した丸亀じゃんごは、住みます芸人を離れた後もその名を継続して名乗り続けている。
- ^ 2017年1月から5月まではコンビ「オジョーさんと僕」のメンバーとして活動。
- ^ 2023年3月まではノーストンのメンバーとして青森県住みます芸人で活動、コンビ解散により2023年4月からはピン芸人として青森県住みます芸人で活動中。
- ^ 首都圏と銘打っているが、埼玉県での活動が主となっている。
- ^ 埼玉県住みます芸人からの転任。
- ^ もぐもぐピーナッツメンバーのうっほ菅原は、2017年4月まではゴールデンボーイズのメンバーとして、2018年4月まではピン芸人として千葉県住みます芸人で活動。
- ^ メンバーの川端は2022年から2023年10月までコロウカンとして、2023年10月21日から2024年1月30日まではピン芸人として活動していた。
- ^ 2020年12月7日に住みます芸人の活動を休止を発表、2021年6月1日に活動を再開。
- ^ コンビ解散に伴い「前迫.」から改名し活動中。
- ^ 静岡県小山町出身・在住の静岡県在住芸人として活動中。
- ^ メンバーの熊二郎はコンビ結成前の2022年11月から蒲郡市住みます芸人に就任していた。
- ^ 2022年にコンビでの活動を休止後、本名の田中哲也からオレンジ田中と名乗り活動している。
- ^ 2024年10月までは『みく』名義できゃろっときゃべつのメンバーとして活動、コンビ解散により2024年11月5日からは芸名を現在の芸名に改名した上でピン芸人として引き続き京都府住みます芸人で活動中。なお、事実上ピンとなって以降、番組出演の際は基本的に後述の木下弱とのセットで出演。
- ^ 2024年3月まではステボシのメンバーとして淡路島住みます芸人で活動、コンビ解散により2024年4月からはピン芸人として淡路島住みます芸人で活動中。
- ^ 2023年12月にコンビ名を十手リンジンから改名。
- ^ 2022年3月に山口県柳井市平郡島の地域おこし協力隊の任期満了に伴って、平郡島住みます芸人から山口県住みます芸人へと移行。
- ^ 2021年9月から県外へ居住地変更のため徳島県応援芸人として活動中。
- ^ 2023年9月頃までは熊本県在住芸人を名乗っていたが、2023年10月頃から熊本県住みます芸人を名乗りBSよしもとや各種イベントに出演している。
- ^ 2024年から天竺鼠川原から命名された芸名に改名し活動中。
- ^ コンビ「ノーマルフェイス」舘として担当
- ^ 2011年3月- 2015年4月までは島根県住みます芸人
- ^ 2021年に「ゴールデンルーズ」より改名。
- ^ スーパーギャルズから、2012年3月29日に改名。[15]
- ^ 宮城県を離れた後も、レギュラーコーナーを担当していた『OH!バンデス』(ミヤギテレビ)や『24時間テレビ 「愛は地球を救う」』のミヤギテレビの部分を担当するなど、テレビ出演を中心に、定期的に宮城県で仕事をしている。
- ^ 2013年1月21日から2014年4月1日までは、東京都住みます芸人。三浦友加の後任として、山形県へ異動。
- ^ 2017年4月から埼玉県住みます芸人に就任後、2021年10月から首都圏住みます芸人へと転任。
- ^ 解散。メンバーのうっほ菅原は千葉県住みます芸人を継続。
- ^ メンバーの石橋は2016年に神奈川県へ移住し、2023年に神奈川県住みます芸人に就任している。
- ^ ゆったり感の解散のため。元相方の中村ひでゆきは住みます芸人を継続。
- ^ コンビ解散と同時に離脱。元相方の川端チョイスは住みます芸人を継続。
- ^ 実質的には2004年6月より同様の活動をしていた。
- ^ カズは吉本を引退、アイはピン芸人として活躍している。なお静岡市着任の住みます芸人はその後空位である。
- ^ 引退のため。前迫は継続して「さこリッチ」に改名。
- ^ 解散により派遣終了したが、その後メンバーの交代を経て再結成し「シンポジウムR」に改名、2014年5月より再び住みます芸人に戻っている。
- ^ ツケマイ23号結成後、コンビで就任
- ^ コンビ解散と同時に離脱。元相方のみくは住みます芸人を継続。
- ^ 2014年3月31日までは、宮本昌彦とのコンビ・かりんとうが担当。コンビ解散後は、かわばたくんのみ継続。
- ^ コンビ解散と同時に離脱。元相方のみっちょん。は住みます芸人を継続。
- ^ 解散後、小野竜輔は東京で「ダイヤモンド」として活動。
- ^ 2015年4月からは故郷である北海道に拠点を移して活動している。
- ^ 就任に伴いコンビ名を笑照から改名。
- ^ 就任に伴いコンビ名を鴨川じゃんごから改名。
- ^ 就任に伴いコンビ名をハイエナブルクから改名。
- ^ 2017年5月までは愛知県住みます芸人で、着任に伴いコンビ名を「いわしてんぐ」から変更。
- ^ 着任時に芸名を「ハンガリアン」から変更。
- ^ 2012年11月まではモストデンジャラストリオ。ウルフ(現:浜辺のウルフ)の脱退に伴い改名。
- ^ コンビ解散後、新コンビを結成して住みます芸人の活動は継続中。
- ^ 愛媛県住みます芸人ひめころん・きづたくとコンビ「だんだんファクトリー」を組んで2023年6月に愛媛県住みます芸人に就任。
- ^ 2014年7月31日までは、湊ゆかりとのコンビ・ビューティーメーカーが担当。コンビ解散後は、竹之内雄太のみ継続したが派遣終了と同時に吉本を引退し、地元に残る。現在はMBCタレントとしての活動が中心。
- ^ 旧コンビ名は「からくりタンバリン」。
- ^ 現地での名義は「パッタイ早希」
- ^ よしもとネタネットワークの略だが、ロゴは「CNN」をもじったものが使われている。
- ^ 日によっては活動により休止することがある。また22時に限らず、特別企画として配信を行うことも少なくない。
関連項目
外部リンク