1986年ハンガリーグランプリは、1986年F1世界選手権の第11戦として、1986年8月10日にハンガロリンクで開催された。東側諸国で開催された初のF1レースである。このレースではネルソン・ピケがアイルトン・セナを激しくドリフトしながら追い抜いたシーンがあった。
概要
ハンガロリンクはF1レースを開催するにあたり新設された。このコースでのF1は初開催となるため、木曜日に2時間のフリー走行が行われた。
予選ではセナがポールポジションを獲得したが、セナのロータスは最新のEF15Cではなく標準仕様のEF15Bエンジンを使用していた[1]。
決勝日のウォームアップではアラン・プロストとケケ・ロズベルグの2台のマクラーレンが1位と2位のタイムを記録したが、プロストのマシンはレース前にトラブルに見舞われスペアカーへの乗り換えを余儀なくされた[1]。
セナはウォームアップでEF15Cエンジンのミスファイアに見舞われ、EF15Bエンジンでレースに臨むこととなった。EF15Cはセナとルネ・アルヌーだけに供給されていたが、アルヌーもウォームアップでエンジントラブルに見舞われ、こちらもEF15Bでレースに臨むこととなった[1]。
レースはセナが序盤から逃げ、序盤でマンセルを抜いたピケが追走した。12周目にはピケがセナを抜いてトップに浮上した。
中盤にピケがタイヤ交換を行うと、2位につけていたセナが大きくペースを上げた。セナがタイヤ交換を済ませると、トップはセナのものとなっていた。
ピケはセナを激しく追いたてた。55周目の第1コーナーでピケはセナのイン側から前に出たが、コーナーではらんだためにセナに抜き返された。57周目、再度第1コーナーで今度はアウト側から仕掛けたピケは、セナの鼻先を押さえるようにドリフトし、カウンターステアを当てながらコーナーに進入した。
これでセナを追い越すことに成功したピケは充分なリードを得て勝利を獲得した。当初は78周が予定されていたが、76周終了時点でレース時間が2時間を超えたため、ここでレースは終了した。
"West"のスポンサーを得ていたザクスピードは、東側諸国で初開催となったこのレースに、ジョナサン・パーマーのマシンのロゴを"East"と書き換えて参戦した(ヒューブ・ロテンガッターのマシンには"West"のまま)。
結果
予選
決勝
- 予選、決勝順位は、公式サイト[1] および AUTOCOURSE 1986-1987[2] より。
脚注
- ^ a b c Hamilton, Maurice (ed.) (1986). AUTOCOURSE 1986-87. Hazleton Publishing. pp. pp.154-ff. ISBN 0-905138-44-9
- ^ Hamilton, Maurice (ed.) (1986). AUTOCOURSE 1986-87. Hazleton Publishing. pp. p234. ISBN 0-905138-44-9
関連項目