『新・平家物語』(しんへいけものがたり)は1972年(昭和47年)1月2日から12月24日まで放送されたNHK大河ドラマ第10作。主演は仲代達矢。原作は吉川英治の大河小説『新・平家物語』。
平家一門の栄華と滅亡を描写している。
企画・制作
大河ドラマ10作目である本作は、ドラマ化していない時代から企画を起こすことになり、奈良時代・平安時代[注釈 1]・室町時代が挙がったが、奈良時代は古すぎること、室町時代が南北朝時代の天皇の描写が難しいことを理由に平安時代が残り、「京都が舞台」「平氏中心」という観点から本作が決まった。
脚本は平岩弓枝が担当した。本作を制作側は「平氏一門のホームドラマ」と位置づけており、『ありがとう』などのホームドラマで実績のある平岩が起用された。
キャスティングは過去の大河に出演した主役クラスが顔を揃え、これまでにない豪華なキャスティングとなった。一方キャストと衣装・甲冑に費用がかかったことでロケーション撮影を抑えることになり、合戦場面もスタジオ撮影となる。スタジオ撮影のもう一つの理由としては、「絵巻物のような作り物の世界」として描く意図があったとチーフ・ディレクターの清水満は述べている。唯一のロケは厳島神社での清盛による奉納シーンのみとなった。
反響
初回視聴率17.3%、最高視聴率27.2%、平均視聴率21.4%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)[3]。
あらすじ
| この節の 加筆が望まれています。 (2021年10月) |
登場人物
俳優名が太字は総集編出演者
平家一門
源氏
朝廷
- 白河院(しらかわいん)
- 演:滝沢修(二役)
- 鳥羽院(とばいん)
- 演:四世野村万之丞
- 待賢門院(たいけんもんいん)
- 演:久我美子
- 美福門院(びふくもんいん)
- 演:小山明子
- 崇徳院(すとくいん)
- 演:田村正和
- 後白河院(ごしらかわいん)
- 演:滝沢修
- 権謀術数を弄して清盛や頼朝を手玉にとる、一筋縄ではいかない人物。一方、それまでは省略されることが多かった『平家物語』の終幕・大原御幸に相応の時間を割き、尼となった建礼門院徳子に再会した僧体の法皇が、自らの無分別のために悲惨な戦を招いたことを後悔するという、良心の呵責に悩まされる一老人として描かれている。
- 平滋子(たいらの しげこ)
- 演:村松英子
- 八条女院(はちじょうにょいん)
- 演:南原美佐保(幼少期:新井麻夕子)
- 以仁王(もちひとおう)
- 演:北大路欣也
- 高倉院(たかくらいん)
- (高倉帝→高倉院)
- 演:片岡孝夫
- 建礼門院徳子(けんれいもんいん とくこ)
- (平徳子→建礼門院徳子)
- 演:佐久間良子(幼少期:山添三千代)
- 安徳帝(あんとくてい)
- 演:山崎有右
- 藤原忠実(ふじわらの ただざね)
- 演:森雅之
- 藤原忠通(ふじわらの ただみち)
- 演:原保美
- 藤原頼長(ふじわらの よりなが)
- 演:成田三樹夫
- 基房(もとふさ)
- 演:嵐圭史
- 信西入道(しんぜいにゅうどう)
- 演:小沢栄太郎
- 紀伊ノ局(きいのつぼね)
- 演:大塚道子
- 藤原信頼(ふじわらの のぶより)
- 演:亀石征一郎
- 経宗(つねむね)
- 演:倉島襄
- 別当惟方(べっとうこれかた)
- (右大弁惟方→別当惟方)
- 演:金内吉男
- 西光(さいこう)
- 演:内田稔
- 成親(なりちか)
- 演:岡村春彦
- 藤原成経(ふじわらの なりつね)
- 演:高田裕史
- 平康頼(たいらの やすより)
- 演:石田太郎→中山昭二
- 俊寛(しゅんかん)
- 演:大塚国夫
- 実定(さねさだ)
- 演:矢吹渡
- 実家(さねいえ)
- 演:湯浅実
- 経房(つねふさ)
- 演:宮崎和命
- 勧修寺光頼(かんじゅじ みつより)
- 演:鈴木瑞穂
- 図書允俊成(ずしょのじょう しゅんぜい)
- 演:小沢忠臣
- 藤原経憲(ふじわらの つねのり)
- 演:纓片達雄
- 平資行(たいらの すけゆき)
- 演:川辺久造
- 安部資成(あべの すけなり)
- 演:立沢雅人
- 典薬頭定成(てんやくのかみ さだなり)
- 演:金内喜久夫
- 建礼門院右京大夫(けんれいもんいんうきょうのだいぶ)
- 演:北川美佳
- 藤原俊成(ふじわらの としなり)
- 演:宮口精二
その他
- 朱鼻の伴卜(あけはなの ばんぼく)
- 演:藤田まこと
- 名前の文字通り鼻が赤かった。清盛の政商として活躍。
- 阿部麻鳥(あべの あさどり)
- 演:緒形拳
- 元宮廷音楽家。崇徳上皇の失脚後その側に仕え、上皇の死後は医師となり、貧しい人々の救済にあたる。その一方で清盛の最後をも看取る。物語中での「良心」を、具現化したような人物。
- 藤原秀衡(ふじわらの ひでひら)
- 演:加藤嘉
- 金売吉次(かねうり きちじ)
- 演:日下武史
- 蓬子(よもぎこ)
- 演:和泉雅子
- 瑠璃子(るりこ)
- 演:五十嵐じゅん
- 花沢孫六(はなざわ まごろく)
- 演:飯沼慧
- 実相坊(じっそうぼう)
- 演:山本麟一
- 如空坊(にょくうぼう)
- 演:寺島幹夫
- 乗円坊(じょうえんぼう)
- 演:石光豊
- 夜須良(やすら)
- 演:照井湧子
- 侍臣
- 演:矢野茂
- 僧
- 演:青沼寂諶
- 文覚(もんがく)
- (遠藤盛遠→文覚)
- 演:近藤洋介
- 袈裟御前(けさごぜん)
- 演:三浦真弓
- 鳥羽僧正(とばそうじょう)
- 演:中村伸郎
- 西行(さいぎょう)
- (佐藤義清→西行)
- 演:蜷川幸雄
- 明雲(みょううん)
- 演:六代目瀬川菊之丞
- 弐子(にこ)
- 演:佐々木すみ江
- 埋れ木(うもれぎ)
- 演:千之赫子
- 並河権六(なみかわ ごんろく)
- 演:中田浩二
- 嶋子(しまこ)
- 演:初井言榮
- 梅野(うめの)
- 演:岩本多代
- 商人
- 演:岸野一彦
- 黒市
- 演:近石真介
- 胴元
- 演:依田英助
- 待賢門院の女房
- 演:浅利和子
- その他
- 演:久富惟晴、喜多道枝、池田勝、劇団いろは、劇団現代、尾型剣優会、鳳プロ、小野雅楽会ほか
スタッフ
- 原作:吉川英治『新・平家物語』
- 脚本:平岩弓枝
- 音楽:冨田勲
- 語り:渡辺美佐子(『平家物語』冒頭文朗読のみ)、福本義典
- テーマ音楽演奏:NHK交響楽団
- 同指揮:森正
- 演奏:インターバック グループ
- 琴:桜井英顕
- 時代考証:相馬皓
- 振付:藤間高子
- 殺陣:尾型伸之介
- タイトル題字:望月美佐
- 演出:清水満、岡本憙侑、樋口昌弘、馬場清
- 技術:山口克朗、吉村政明
- 美術:佐藤武俊、小林喬
- 効果:寺田尚弘、川崎清
- 制作:古賀龍二
音楽
冨田勲が担当。曲はテーマ音楽、劇中曲ともに森正指揮によるNHK交響楽団の伴奏と琵琶・琴をはじめとする和楽器の音を融合させたものとなっている。テーマ曲「~無間地獄~諸行無常」は「源氏物語幻想交響絵巻」(1998年初演)の終曲としても使われた他、2021年度の羽生結弦のフリープログラムの使用曲としても使用された。
放送
特記がない限りウェブサイト「NHKクロニクル」の「NHK番組表ヒストリー」で確認[4]。
本編はサブタイトルがない。
通常放送時間
ただし、2月6日放送分は1972年札幌オリンピック競技放送のため45分繰り下げ、13日放送分は閉会式放送のため10分繰り下げ、9月3日、10日放送分は1972年ミュンヘンオリンピック特別番組放送のため45分繰り下げ、12月3日放送分は第33回衆議院議員総選挙にかかる党首討論番組放送のため45分繰り下げてそれぞれ放送。
- (再放送)NHK総合テレビジョン:毎週土曜 13時25分 - 14時10分[注釈 2]
放送日程
総集編
- 上ノ巻:1972年12月30日 19時20分から20時59分
- 下ノ巻:1972年12月31日 19時20分から20時50分
映像の現存・公開状況
モノクロの第46回と第52回(最終回)及び総集編が現存し、総集編がVHS・DVD販売されている。総集編は1978年に東京12チャンネルで再放送され、第46回が時代劇専門チャンネルで放送されている。また、『テレビ探偵団』に志垣太郎が出た時、総集編にはない五条大橋のシーンが放送された。当時の新聞記事などから第35話の可能性が高いと考えられる。
上記以外にはNHKにも映像の保存が無いことから、NHKでは番組関係者、一般視聴者によって録画されたこのドラマのビデオテープの提供を呼びかけている[5]。
脚注
注釈
- ^ 『源義経』は平安時代とはいえ、末期の東国武士が題材だった。
- ^ 一部放送日時の変更あり。
出典
参考文献
外部リンク
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