西脇市(にしわきし)は、兵庫県の中東部に位置する市。
加古川、杉原川、野間川の3つの河川を持ち染色に不可欠の水資源に恵まれた地であったことから、200年以上の歴史を持つ播州織の繁栄でかつては全国に名を馳せ、また芸術家の横尾忠則を輩出したことで知られる[5]。
概要
兵庫県北播磨地区の北側、神戸市の北約50kmに位置し、東経135度線(日本の領土の有人島の最東端択捉島と最西端与那国島のほぼ中間に位置する日本の標準時子午線)と北緯35度線(日本の領土の有人島の最北端択捉島と最南端波照間島のほぼ中間に位置する)が交差しており、キリの良い数字の経緯度で日本列島の中心点に位置することにちなみ「日本のへそ」としてアピールしている。兵庫県北播磨県民局管内に区分されている。北播磨地域中心の都市であり、中国山地の西光寺山を市の頂点にして加古川流域沿いに播磨平野があり、その流域沿いに街や農地が広がっている。
現在の西脇市は、平成の大合併の一環として2005年10月1日に多可郡黒田庄町と合併して、新たに西脇市として発足した市であり、1952年(昭和27年)4月1日に市制施行し、2005年に廃止された市とは異なる自治体である。[6]。
合併後、旧・西脇市の市役所本庁舎は、新市における市役所本庁舎、旧・黒田庄町の役場は黒田庄地域総合事務所としていたが、2010年(平成22年)に黒田庄地域総合事務所は廃止・解体、市役所本庁舎は、2021年(令和3年)5月1日付で新設された市庁舎へ移転した[1]。
江戸時代中期(1792年)に比延庄村の宮大工飛田安兵衛が京都の西陣から伝えた織物の技術が農家の副業として発展し、播州縞と呼ばれていたものが明治時代後期に「播州織」と呼ばれ全国的に名が知られるようになり、現在でも国内先染織物の70パーセント以上のシェアを持つ[5]。
また、山地と川が織りなす独自の地形からY字路が多く、横尾忠則に多くのインスピレーションを与え、Y字路をテーマとした作品を数多く生み出した[7][3]。
地理
人口
旧・西脇市
1952年4月1日に1町3村で新設合併し、市制を施行しており、施行当時の人口は32,126人である。1960年10月1日の国勢調査で42,238人をピークに減少しているが、昼間人口は西脇都市圏を形成する北播磨北部(西脇市・多可郡多可町)の中心都市であるため、流入超過である。全体の地区で人口が減少しているが、反対に国道175号沿道にある野村町は市内の中で京阪神の中心部に近いために人口が増加している[6][8][9]。
新・西脇市
平成22年国勢調査より前回調査からの人口増減をみると、2.60%減の42,812人であり、増減率は県下41市町村中20位、49行政区域中28位。
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西脇市と全国の年齢別人口分布(2005年)
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西脇市の年齢・男女別人口分布(2005年)
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■紫色 ― 西脇市 ■緑色 ― 日本全国
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■青色 ― 男性 ■赤色 ― 女性
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西脇市(に相当する地域)の人口の推移
1970年(昭和45年)
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45,964人
|
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1975年(昭和50年)
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46,182人
|
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1980年(昭和55年)
|
46,380人
|
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1985年(昭和60年)
|
46,889人
|
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1990年(平成2年)
|
46,220人
|
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1995年(平成7年)
|
46,339人
|
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2000年(平成12年)
|
45,718人
|
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2005年(平成17年)
|
43,953人
|
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2010年(平成22年)
|
42,802人
|
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2015年(平成27年)
|
40,866人
|
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2020年(令和2年)
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38,673人
|
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総務省統計局 国勢調査より
|
面積
気象
西脇の気候
|
月 |
1月 |
2月 |
3月 |
4月 |
5月 |
6月 |
7月 |
8月 |
9月 |
10月 |
11月 |
12月 |
年
|
最高気温記録 °C (°F)
|
18.7 (65.7)
|
21.2 (70.2)
|
25.4 (77.7)
|
30.0 (86)
|
32.3 (90.1)
|
35.3 (95.5)
|
39.0 (102.2)
|
39.2 (102.6)
|
37.9 (100.2)
|
32.3 (90.1)
|
28.2 (82.8)
|
21.6 (70.9)
|
39.2 (102.6)
|
平均最高気温 °C (°F)
|
8.8 (47.8)
|
9.7 (49.5)
|
13.6 (56.5)
|
19.5 (67.1)
|
24.3 (75.7)
|
27.3 (81.1)
|
30.8 (87.4)
|
32.7 (90.9)
|
28.2 (82.8)
|
22.5 (72.5)
|
16.7 (62.1)
|
11.2 (52.2)
|
20.4 (68.7)
|
日平均気温 °C (°F)
|
3.1 (37.6)
|
3.9 (39)
|
7.3 (45.1)
|
12.7 (54.9)
|
17.8 (64)
|
21.8 (71.2)
|
25.7 (78.3)
|
26.8 (80.2)
|
22.8 (73)
|
16.7 (62.1)
|
10.5 (50.9)
|
5.2 (41.4)
|
14.5 (58.1)
|
平均最低気温 °C (°F)
|
−1.4 (29.5)
|
−1.1 (30)
|
1.6 (34.9)
|
6.4 (43.5)
|
11.8 (53.2)
|
17.3 (63.1)
|
21.9 (71.4)
|
22.7 (72.9)
|
18.7 (65.7)
|
12.0 (53.6)
|
5.6 (42.1)
|
0.6 (33.1)
|
9.7 (49.5)
|
最低気温記録 °C (°F)
|
−8.0 (17.6)
|
−8.6 (16.5)
|
−5.8 (21.6)
|
−2.8 (27)
|
0.6 (33.1)
|
7.2 (45)
|
14.8 (58.6)
|
14.9 (58.8)
|
8.1 (46.6)
|
1.4 (34.5)
|
−2.8 (27)
|
−8.1 (17.4)
|
−8.6 (16.5)
|
降水量 mm (inch)
|
47.1 (1.854)
|
62.1 (2.445)
|
112.2 (4.417)
|
123.4 (4.858)
|
151.2 (5.953)
|
177.2 (6.976)
|
212.2 (8.354)
|
149.6 (5.89)
|
190.2 (7.488)
|
132.0 (5.197)
|
73.8 (2.906)
|
58.7 (2.311)
|
1,509.3 (59.421)
|
平均降水日数 (≥1.0 mm)
|
6.4
|
7.2
|
9.9
|
9.8
|
10.2
|
11.7
|
11.5
|
8.9
|
10.5
|
8.0
|
6.3
|
7.0
|
109.2
|
平均月間日照時間
|
140.9
|
130.4
|
162.3
|
187.9
|
185.4
|
130.1
|
138.0
|
195.7
|
151.5
|
164.6
|
150.2
|
141.4
|
1,872.5
|
出典1:平年値(年・月ごとの値)
|
出典2:観測史上1~10位の値(年間を通じての値)
|
特産品・名物
歴史
市章
「ニシ」の字を図案化、加古川・杉原川をイメージ化したものであり、1964年4月1日に市制施行を記念して制定されていたものを2005年10月1日の新設合併後もデザインの変更に予算がかかるために変更せずに継承した[10][11][12]。
1950年代
1960年代
1970年代
1980年代
1990年代
2000年代
合併後
地域
町丁・大字名
西脇地区
市の中央部にあり、旧西脇村の範囲である。公共施設や商店が集中しており、地区の北側の童子山周辺では、住宅地を中心とした市街地、主要地方道西脇停車場線以南は住商工の混在した市街地となっている[16]。
津万地区
過去に「都麻乃郷」と呼ばれており、津万平野を構成する一帯である。西脇地区とともに旧津万村、1917年に町制・改称して旧西脇町の範囲である。地区の北側は農業地帯である。また、国道175号の沿道であり、バイパス建設が進められている[6][8]。
郵便番号 |
大字名
|
677-0021
|
蒲江
|
677-0022
|
寺内
|
677-0023
|
西嶋
|
677-0024
|
嶋
|
677-0025
|
大野
|
677-0026
|
坂本
|
677-0035
|
上戸田
|
677-0036
|
津万
|
677-0038
|
大垣内
|
677-0043
|
下戸田
|
677-0044
|
上野
|
日野地区
市の北側にあり、旧日野村の範囲である。地区の中央を南北に流れる杉原川とその両岸に広がる農地や宅地からなる平野部と平野部につながる東西の丘陵部から形成されている。
郵便番号 |
大字名
|
677-0001
|
大木町
|
677-0002
|
前島町
|
677-0003
|
西田町
|
677-0004
|
市原町
|
677-0005
|
野中町
|
677-0006
|
羽安町
|
677-0011
|
富吉上町
|
677-0012
|
富吉南町
|
677-0013
|
日野町
|
677-0014
|
郷瀬町
|
677-0017
|
小坂町
|
677-0018
|
富田町
|
重春地区
市の南側にあり、旧重春村の範囲である。地区内には、小・中学校や高校の4校が立地する、市内でも特色ある文教地区となっている。公共交通ではJR加古川線が通過しており、沿線きってのターミナル駅ともいえる西脇市駅があり利便性は高い。また国道175号も地域内東部を通過しており、滝野社インターチェンジにも近い。
郵便番号 |
大字名
|
677-0016
|
高田井町
|
677-0051
|
谷町
|
677-0052
|
和田町
|
677-0053
|
和布町
|
677-0055
|
高松町
|
677-0056
|
板波町
|
677-0054
|
野村町
|
677-0057
|
野村町茜が丘
|
677-0063
|
平野町
|
比延地区
市の東側にあり、旧比延庄村の範囲である。加古川の流域沿いに位置する農業地帯・播州織工業地帯である。播州織工業協同組合、播織加工場、日清ヨーク関西工場などが加古川沿いに建ち並ぶ。公共交通ではJR加古川線が通過しており、日本へそ公園駅・比延駅があるが、停車本数が少なく、利便性は低いが、国道175号の沿線の近くで自動車交通は利便性が高い。地区の東側の住吉町と西側の堀町との高齢化率・利便性の格差が大きい[17]。
郵便番号 |
大字名
|
677-0031
|
住吉町
|
677-0032
|
中畑町
|
677-0033
|
鹿野町
|
677-0034
|
塚口町
|
677-0037
|
比延町
|
677-0039
|
上比延町
|
677-0041
|
高嶋町
|
677-0042
|
堀町
|
芳田地区
市の南西部にあり、旧芳田村の範囲である。加西郡から編入された地域であるため、西脇市内よりも加西市との結びつきが強い地区である。全域が市街化調整区域であるため純農村地帯と産地であり、過疎化が進行している。兵庫県道24号多可北条線・兵庫県道34号西脇八千代市川線が幹線道路になっている。また、商業施設が市内の地区で少なくかつ公共交通の便は利便性が低く、神姫バスの子会社であるウイング神姫が西脇市駅から1日6便(冬は5便)と神姫バスが北条町駅(加西市)から1日4便が当地区を結んでいるだけである[18]。
郵便番号 |
大字名
|
677-0061
|
合山町
|
677-0062
|
出会町
|
677-0064
|
八坂町
|
677-0065
|
岡崎町
|
677-0066
|
水尾町
|
677-0067
|
明楽寺町
|
677-0068
|
落方町
|
677-0069
|
上王子町
|
黒田庄地区
市の北東部にあり、旧多可郡黒田庄町の範囲である。14の集落を基本にしながら、2つの小学校区という社会圏域に区分されており、農村田園地域が広がっている。
郵便番号 |
大字名
|
679-0301
|
黒田庄町小苗
|
679-0302
|
黒田庄町黒田
|
679-0303
|
黒田庄町前坂
|
679-0304
|
黒田庄町船町
|
679-0311
|
黒田庄町喜多
|
679-0312
|
黒田庄町門柳
|
679-0313
|
黒田庄町岡
|
679-0314
|
黒田庄町福地
|
679-0315
|
黒田庄町津万井
|
679-0316
|
黒田庄町大門
|
679-0321
|
黒田庄町田高
|
679-0322
|
黒田庄町石原
|
679-0323
|
黒田庄町西澤
|
679-0324
|
黒田庄町大伏
|
学校
幼稚園
小学校
中学校
高等学校
警察
- 西脇警察署
- 西脇中央交番
- 野村交番
- 日野交番
- 津万駐在所
- 比延駐在所
- 喜多駐在所
- 石原駐在所
- 芳田駐在所
消防
消防 - 北はりま消防組合により広域消防を採用している
- 北はりま消防本部
- 西脇消防署
- 西脇消防署 西脇北出張所
消防団 - 西脇市消防団が各地区を担当する7分団体制で構成されている
医療・保健・福祉
- 西脇市立西脇病院
- 大山記念病院
- 老人保健施設「しばざくら荘」
- 総合福祉センター 萩ヶ瀬会館
- 黒田庄福祉センター
- 西脇市障害者地域活動支援センター
自動車教習所
公共施設
- 大阪国税局 西脇税務署
- 西脇地方合同庁舎
- 兵庫労働局 西脇労働基準監督署
- 兵庫労働局 西脇公共職業安定所「ハローワーク西脇」
- 北はりま職業訓練センター
- 土づくりセンター「ゆめあぐり西脇」
郵便局
- 西脇郵便局
- 明楽寺郵便局
- 本黒田簡易郵便局
- 日野南簡易郵便局
- 比延郵便局
- 西脇日野郵便局
- 西脇東本町郵便局
- 西脇野村郵便局
- 西脇中本町郵便局
- 西脇豊川郵便局
- 西脇津万簡易郵便局
- 西脇坂本簡易郵便局
- 西脇合山簡易郵便局
- 住吉簡易郵便局
- 黒田庄郵便局
行政
北播磨地域でいち早く市制を施行したことにより、国の行政機関(出先機関)が集中している。西脇都市圏を形成する北播磨北部(西脇市・多可郡多可町)の、中心都市である。
首長
旧西脇市
新西脇市
市議会
- 定数:16
- 議長:高瀬洋
- 副議長:吉井敏恭(にしわき新風会)
構成
会派 |
議席数
|
市民とともに歩む会
|
2
|
にしわき新風会
|
2
|
にしわき青嵐会
|
5
|
公明党
|
1
|
日本共産党
|
1
|
無会派
|
4
|
衆議院
経済
地場産業
商業
西脇市に本社を置く企業
以上[21]
産業団地
市内にある金融機関
マスメディア
姉妹都市・提携都市
友好・姉妹都市
提携都市
全国へそのまち協議会
隣接している自治体
交通
自動車のナンバープレートの地名表記は「神戸」である。
鉄道
- 西脇市駅は元々「野村駅」という名称で、野村駅からJR鍛冶屋線が分岐していた。鍛冶屋線は西脇市の中心部を走り、市中心部に「西脇駅」があったが、1990年に鍛冶屋線は廃止され、西脇駅もバスターミナルとなった。
バス
大阪と高速バス、神戸と急行バスで結ばれている。所要時間は新大阪駅 - 西脇間83分、神戸三宮 - 西脇間97分となっている。
一般路線
高速・急行バス
道路
道の駅
名所・旧跡・観光スポット・祭事・催事
文化施設・スポーツ施設・観光スポット
- 日本へそ公園
- 童子山公園
- 西脇市総合市民センター「カルチャーセンター」
- 播磨内陸生活文化総合センター「ドウジアム」
- Órinas(オリナス)
- 市役所
- 市民交流施設
- 健康福祉連携施設
- 西脇市多可郡医師会
- にしわき南地域包括支援センター
- 茜が丘複合施設「Miraie」
- 西脇市図書館
- こどもプラザ(子育て学習センター/児童館)
- 男女共同参画センター
- コミュニティセンター 重春・野村地区会館
- コヤノ美術館 西脇館(旧藤井家住宅) - 兵庫県景観形成重要建造物
- 鍛冶屋線市原駅記念館
- 旧来住家住宅
- 播州織工房館
- 西脇市立音楽ホール「アピカホール」
- 西脇市黒田庄ベーシックホール
- 西脇市天神池スポーツセンター
- 西脇市日野体育センター
- 西脇市黒田庄体育センター
- 西脇市立青年の家
- 西脇市中畑林間ファミリー園
- 西脇市日本のへそ日時計の丘公園オートキャンプ場
- 西脇市日本のへそ日時計の丘公園フォルクスガーデン
- 西脇市住吉農村公園(市民農園「すみよし桃源郷」)
- 西脇市立北はりま農産物直売所「北はりま旬菜館」
- 西脇馬事公苑
- 秋谷池 - 『火垂るの墓』(実写版)ロケ地
- 福谷公園
- 緑風台古窯陶芸館
- 緑遊・ノムラの森
名所・旧跡
寺院
神社
- 兵主神社 - 拝殿は兵庫県指定有形文化財
- 住吉神社 - 本殿は兵庫県指定有形文化財
- 岡稲荷神社
- 黒田稲荷神社
- 福地稲荷神社
- 瀧尾神社
- 御霊神社
- 津万井大歳神社
- 石上神社
- 大津神社
- 川下神社 - 杉原川と加古川の合流点にあたる通称戎町に位置する神社で、祓戸四柱大神が祀られる。杉原川の左岸沿いにあり、例年7月下旬に夏祭りが行われる[22]。
祭事・催事
- 岡の山まつり(5月)
- へその西脇・織物まつり(8月)
- 日本のへそ西脇子午線マラソン大会(12月) - 1978年開始[23]。新型コロナウイルス感染拡大の影響で2020年大会と2021年大会が中止となり(2020年はオンラインのランニングアプリによる代替大会を実施)、2022年度当初予算案にも予算が付かず打ち切りとなった[23]。
登山・ハイキング
著名な出身者
ゆかりの人物
- 玉木新雌 - 福井県出身ながら西脇市に移住。播州織アーチストとして活躍。「tamaki niime」ブランドを設立し、工房を持つ。柔らかい感触のショールがヒット商品となり、衰退していた播州織を世界ブランドにまで高めた[25]。
脚注
参考文献
関連項目
外部リンク
ウィキメディア・コモンズには、
西脇市に関連するカテゴリがあります。