加茂市(かもし)は、新潟県の中央部に位置する市である。
市街地は三方を山に囲まれ、加茂川が貫流している。都市の起源は平安時代に遡り、青海神社の鳥居前町として栄えたのが始まりである。古くから京都との関わりがあった事や中心街の落ち着いた町並みから「北越の小京都」「越後の小京都」とも呼ばれる。
地理
市域は東西に細長く、市西部は越後平野、東部は新津丘陵に属する山地である。東端には日本三百名山・粟ヶ岳(標高1292 m)がそびえている。標高は低めだが登山口の標高は200m程度のため、標高の割に急勾配である。
市街地の中心部を加茂川が縦貫し、市西部で信濃川に合流する。市街地に隣接した加茂山は、県の木にもなっている雪椿の群生地である。
加茂川は、かつて川幅が狭かったが、昭和40年代の度重なる水害を機に河川敷が拡張・整備され、市民の憩いの場となった。川には多くの橋が数百m間隔で架けられており、8月14日には橋同士を結んだ全長2kmのナイアガラ花火が催される。
加茂駅から東側に細長くのびる旧市街には1 km以上にわたって歩道部にアーケードが架かる商店街が続き、「ながいきストリート」の愛称がついている(詳細は加茂駅 (新潟県)#駅周辺も参照)。公共駐車場の整備[1]やアーケードの拡張など積極的な施策が行われている。
一方、JR線を挟んだ西側の地域は、高度成長期以降に水田を埋め立てて開発された比較的新しい市街地で、西加茂と呼ばれている。東側の旧市街に比べて道幅が広く、自動車でのアクセスがしやすいため、ロードサイドショップが多く立地する。
三条市や燕市、南蒲原郡田上町などと共に、上越新幹線燕三条駅と北陸自動車道三条燕ICを中心とした地域は経済的な繋がりが深い点から、これらを総称して「県央地域」と呼ぶ場合がある。
田上町とは国道403号線沿いに住宅地が連続しており、境界はほとんど判別できておらず、地域社会としても一体化している。なお、前市長の小池清彦は、矢祭町(福島県中通り地方)の「合併しない宣言」と同様に周辺市町村との合併を一切行わない事を政策とした(詳細は小池清彦#市町村合併に対する姿勢を参照)。
地形
山地
- 主な山
河川
- 主な川
人口
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加茂市と全国の年齢別人口分布(2005年)
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加茂市の年齢・男女別人口分布(2005年)
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■紫色 ― 加茂市 ■緑色 ― 日本全国
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■青色 ― 男性 ■赤色 ― 女性
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加茂市(に相当する地域)の人口の推移
1970年(昭和45年)
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37,890人
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1975年(昭和50年)
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37,085人
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1980年(昭和55年)
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36,705人
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1985年(昭和60年)
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35,959人
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1990年(平成2年)
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34,863人
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1995年(平成7年)
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33,800人
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2000年(平成12年)
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33,085人
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2005年(平成17年)
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31,482人
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2010年(平成22年)
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29,762人
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2015年(平成27年)
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27,852人
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2020年(令和2年)
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25,441人
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総務省統計局 国勢調査より
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国勢調査が開始された1920年(大正9年)時点の人口は17,253人であり、三条町(20,424人)、新発田町(17,813人)に次いで県内では6番目であった。
隣接している自治体・行政区
- 新潟県
歴史
沿革
行政
- 市長:藤田明美(2019年5月10日就任、1期目)
歴代市長
特記なき場合「歴代市長」による[3]。
代 |
氏名 |
就任 |
退任 |
備考
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1 |
金田綱雄 |
1954年(昭和29年)3月10日 |
1963年(昭和38年)5月9日 |
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2 |
吉田巌 |
1963年(昭和38年)5月10日 |
1975年(昭和50年)5月9日 |
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3 |
皆川良ニ |
1975年(昭和50年)5月10日 |
1987年(昭和62年)5月9日 |
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4 |
太田大三郎 |
1987年(昭和62年)5月10日 |
1995年(平成7年)5月9日 |
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5 |
小池清彦 |
1995年(平成7年)5月10日 |
2019年(令和元年)5月9日 |
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6 |
藤田明美 |
2019年(令和元年)5月10日 |
現職 |
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議会
加茂市議会
- 定数:15人
- 任期:2023年5月1日 - 2027年4月30日[4]
- 議長:白川克広
- 副議長:三沢嘉男
新潟県議会
- 選挙区:加茂市南蒲原郡選挙区
- 定数:1人
- 任期:2019年4月30日 - 2023年4月29日
- 投票日:2019年4月7日
- 当日有権者数:33,718人
- 投票率:45.47%
候補者名 |
当落 |
年齢 |
党派名 |
新旧別 |
得票数
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保坂裕一 |
当 |
58 |
無所属 |
新 |
8,832票
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荒井信行 |
落 |
58 |
無所属 |
新 |
3,008票
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坂上時平 |
落 |
68 |
無所属 |
新 |
2,953票
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衆議院
- 選挙区:新潟4区(新潟市の一部、長岡市の一部、三条市、加茂市、見附市、南蒲原郡)
- 任期:2021年10月31日 - 2025年10月30日
- 投票日:2021年10月31日
- 当日有権者数:307,471人
- 投票率:64.17%
施設
警察
- 新潟県加茂警察署
- 加茂駅前交番
- 田上交番
- 黒水駐在所
- 狭口駐在所
- 下条駐在所
- 加茂新田駐在所
- 須田駐在所
消防
- 本部
-
- 主な消防署
-
医療
- 主な病院
-
郵便
- 加茂郵便局(集配局)
- 加茂上条郵便局
- 七谷郵便局
- 加茂駅前郵便局
- 西加茂郵便局
- 下条簡易郵便局
- 須田簡易郵便局
文化施設
- 主な図書館
-
- 博物館・資料館
-
運動施設
- 主な運動施設
-
- 加茂市民体育館
- 加茂市陸上競技場
- 川西野球場
- 七谷野球場
対外関係
姉妹都市・提携都市
海外
- 姉妹都市
国内
- 提携都市
- その他
経済
伝統産業
古くから木工が盛んであり、特に桐箪笥は1976年に「加茂桐箪笥」として経済産業大臣指定伝統的工芸品に指定され、全国生産量の70%を占める[5][6]。このほかにも屏風や建具の生産が盛ん。
明治期から昭和初期にかけては木工に加えて繊維産業が主力産業となり、1935年(昭和10年)の生産額は約450万円と、五泉、見附、栃尾に次いで県内4番目であった[7]。なかでも「加茂縞」は農作業着や仕事着としての需要があり、県内外に販路が広がっていた[8]。
七谷地区では古くから和紙「加茂紙」の生産が行われ、平成初期にいったん途絶えたものの、その後復活に向けた動きがある[9][10]。
鉱業
七谷地区の小乙川流域では江戸時代中期から明治初め頃まで鉛の採掘が行われていた[11]。
農業
信濃川沿岸では和梨や桃、洋梨といった果樹の栽培が盛んである。平野部は水田単作地帯で、コシヒカリが多く栽培されている。
商業
- 市場
- 4と9のつく日(市日)には市場が開かれていて、300年以上の歴史をもつ[12][13]。
- 主な商業施設
市内に拠点を置く企業
教育
大学・短期大学
- 私立
高等学校
- 県立
- 私立
中学校
- 市立
小学校
- 市立
- 加茂市立加茂小学校
- 加茂市立加茂南小学校
- 加茂市立加茂西小学校 - 2022年閉校。
- 加茂市立石川小学校
- 加茂市立七谷小学校
- 加茂市立須田小学校
- 加茂市立下条小学校
交通
鉄道路線
市域はJR信越本線の沿線となっており、市内には加茂駅がある。
- 東日本旅客鉄道(JR東日本)
かつては蒲原鉄道線が乗り入れていたが、1985年に廃止され、現在は市民バスが廃線跡付近を走行する。
路線バス
かつては蒲原鉄道グループによる路線もあった(詳細は蒲原鉄道#路線の変遷を参照)。
加茂市営市民バス
市域の大部分で運行しているコミュニティバスで、2022年からは愛称「かもんバス」が付与された[14][15]。一部路線は市境を越えて五泉市(旧村松町)や新潟市南区にも乗り入れる[14]。
加茂市営市民バスの沿革
七谷方面の路線は2003年8月、蒲原鉄道のバス路線が採算悪化により朝夕など一部便を除いて廃止されることとなったため、それを転換する形で運行開始[16]。
須田方面の路線は2007年8月、新潟交通観光バスの新飯田線を転換する形で運行開始[17]。もともと新潟交通からは廃止ではなく減便の意向が出ていたが、これに対し市側が、同社への補助金を増やして本数維持をお願いするよりも全便を市民バスに転換したほうが安上がりと判断したため、この形となった[17][18]。転換にあたっては、減便ではなくむしろ増便が行われる形となった[18]。
2014年12月には新路線「長福寺~希望ヶ丘線[19]」が、2017年12月には新路線「猿毛ー西加茂西部線[20]」がそれぞれ運行開始した。
その後は小池市政から藤田市政への転換もあり、改革路線が進んだ。2021年秋には、市民バスの路線網・運賃が全面的に見直され、全時間帯運行の基幹バス「須田線」「七谷線」と、早朝のみ運行の「早朝バス」、後述の乗合タクシーに再編された[21][22]。当初は実証運行とされ、2022年11月から本格運行とされた[15][23]。これによって五泉市内への乗り入れは早朝便のみとなった[14]。再編前の2020年1月時点で、五泉市内停留所での乗降は上下全便合わせても1日平均で村松線2.4人、戸倉線0.2人であった[24]。
乗合タクシー「かもんタクシー」
市内全域に運行エリアが設定されたデマンド型交通で、8時から18時まで1時間毎に運行便が設定されている[14]。NCE(県内の建設コンサルタント会社)やNTTドコモ、電脳交通、市内タクシー会社の協力によって2021年10月に運行開始し、2022年初頭時点では1日平均で平日40人、休日18人ほどの利用がある[22][23]。配車システムは電脳交通の「公共タクシー配車システム」が活用される[25]。
道路
高速道路
市内に高速道路のICは無い。最寄りのICは北陸自動車道三条燕IC、巻潟東IC、磐越自動車道新津IC、安田ICなど。
一般国道
主要地方道
一般県道
水上交通
明治期には信濃川の川蒸気(蒸気船)が加茂新田に寄港していた[26][27]。
観光
市Webサイト:「観光・文化(加茂市)」
名所・旧跡
- 主な城郭
- 主な寺院
- 主な神社
観光スポット
文化・名物
祭事・催事
- 加茂川を泳ぐ鯉のぼり(4月中旬〜5月上旬)
- 青海神社 加茂まつり(5月)
このほかの祭事については「加茂のお祭り(加茂市)」を参照。
名産・特産
#伝統産業で前述したように、桐箪笥や屏風、建具が特産となっている。
明治期にマカロニの量産に国内で初めて成功した地であり[31]それに因んだ商品が生まれている。
- 市内の酒蔵と主な銘柄
- 加茂錦酒造「加茂錦」
- マスカガミ「萬寿鏡」「蔵之主」「甕覗」
- 雪椿酒造「越乃雪椿」
出身・関連著名人
脚注
関連項目
ウィキメディア・コモンズには、
加茂市に関連するカテゴリがあります。
外部リンク