2020年ポルトガルグランプリ(英語: 2020 Portuguese Grand Prix)は、2020年のF1世界選手権第12戦として、2020年10月25日にアウトードロモ・インテルナシオナル・ド・アルガルヴェで開催された。
正式名称は「Formula 1 Heineken Grande Prémio De Portugal 2020」[1]。
背景
- 開催に至る経緯
- ポルトガルGPはエストリル・サーキットで行われていた1996年を最後に開催されなくなったが[2]、新型コロナウイルス感染症の世界的流行により多数のレースが開催中止や延期に追い込まれ[3]、その代替としてアウトードロモ・インテルナシオナル・ド・アルガルヴェでのポルトガルGP開催復活の可能性が浮上し[4]、7月24日の追加日程発表にて開催が決まった。同サーキットでF1が開催されるのは初めてとなる[2]。
- タイヤ
- 本レースでピレリが持ち込むドライ用タイヤのコンパウンドはハード(白):C1、ミディアム(黄):C2、ソフト(赤):C3の硬い組み合わせ[5]。開催に向けて路面の再舗装を行うが、それでもタイヤに厳しいサーキットであることに変わりがないためである[6]。
エントリー
体調不良により前戦アイフェルGPを欠場したランス・ストロールは、同GPの決勝当日(10月11日)に行われた検査で新型コロナウイルスの陽性反応が出ていたが、その後10月19日の検査では陰性となったため復帰した[7]。レーシング・ポイントはストロールが出場できない場合に備え、アイフェルGPでストロールの代走を務めたニコ・ヒュルケンベルグを待機させた[8]。
エントリーリスト
- 追記
- タイヤは全車ピレリ
- パワーユニットのエンジン(ICE)は全車1.6L V6ターボ
フリー走行
- FP1(金曜午前)
- 各車走行データがない中始まったFP1は、バルテリ・ボッタスがミディアムタイヤで1分18秒410のトップタイム[11]。
- FP2(金曜午後)
- FP2のセッション90分間のうち、序盤30分をピレリの翌年用タイヤをテスト走行させる時間に充てられた。タイヤテストを終えてから15分経ったところで、ピエール・ガスリーがターン12の立ち上がりでパワーを失ってマシンを止めた。マシンの後方が炎上したことから、消火及び撤去作業のため赤旗中断となった[12]。電源がシャットダウンしたことが原因で[13]、マシンはカーフューを破って[注 1]修復された[14]。再開後にマックス・フェルスタッペンとランス・ストロールがターン1で接触し、ストロールのマシンがグラベルに止まったため、再び赤旗中断となった[12]。この件は審議の対象となったが、両者お咎め無しとなった[15]。ベストタイムはFP1に続いてボッタスが記録した(1分17秒940)[12]。FP1とFP2でトラックリミット違反が125回を数えたことから、F1レースディレクターのマイケル・マシは、FP3以降のセッションでターン1とターン4についてのトラックリミットを緩和した[16]。
- FP3(土曜午前)
- セッション残り1分となったところで、ターン14の排水口の蓋が外れたことにより赤旗終了となった。トップタイムはボッタスの1分16秒654[17]。
予選
2020年10月24日 14:30 WEST(UTC+1)[注 2]
- 気温21度、路面温度35度、ドライコンディション[18]
FP3の終了間際にターン14の排水溝の蓋が外れたことによりセッション開始が30分遅れるハプニングがあった中[19]、ルイス・ハミルトンが今季9回目、通算97回目のポールポジションを獲得した。
予選結果
決勝
2020年10月25日 13:10 WET(UTC+0)[注 3]
- 気温20度、路面温度25度、曇、ドライコンディション[22]
ルイス・ハミルトンがポール・トゥ・ウィンで今季8勝目を挙げて通算勝利数を92とし、ミハエル・シューマッハを抜く歴代単独トップに立った[22]。
展開
蹴り出しはハミルトンやフェルスタッペン、サインツが良かったがボッタスは遅れてしまった。サインツはスタート直後に2台のマシンをオーバーテイク。ターン1でアウトからルクレールをオーバーテイクし4番手に浮上。その途端、弱い雨が降り出し、ミディアム勢が遅れを取る。ターン5でフェルスタッペンがロック。そのため、フェルスタッペンの立ち上がりが遅れた途端に、サインツがフェルスタッペンをオーバーテイク。その前ではボッタスがハミルトンをオーバーテイクし、トップに浮上していた。後方では、16番手スタートのライコネンが80秒の間に10台オーバーテイクしていた。ターン4では、アウトを走っていたペレスにフェルスタッペンが衝突。ペレスはコース脇に止まってしまうが、なんとか自力で戻れた。その後ピットをしミディアムに履き替える。2周目に突入した。ターン5でサインツがボッタスをオーバーテイク。今季2回目となるトップを走行した。しかし5周目になると雨が止み、ミディアム勢が遅れを取り戻した。サインツはソフトタイヤを使いすぎたため、タイヤがへたれていた。
レース結果
- 追記
- ^FL - ファステストラップの1点を含む
- ^1 - グロージャンは規定回数以上のトラックリミット違反を犯したため、5秒ペナルティとペナルティポイント1点(合計1点)が科せられた[25]が、タイムペナルティをピットインで消化しなかったためレースタイムに5秒加算され、16位から17位に降格した[26]
- ^2 - クビアトは規定回数以上のトラックリミット違反を犯したため、5秒ペナルティとペナルティポイント1点(合計3点)が科せられた[27](タイムペナルティはピットインで消化)
- ^3 - ストロールはターン1でノリスと接触した件の責任を問われ、5秒ペナルティとペナルティポイント2点(合計2点)が科せられ[28]、規定回数以上のトラックリミット違反を犯したため、さらに5秒ペナルティとペナルティポイント1点(合計3点)が科せられた[29](タイムペナルティは全てピットインで消化)
- 優勝者ルイス・ハミルトンの平均速度[26]
- 204.671 km/h (127.177 mph)
- ファステストラップ[30]
- ラップリーダー[31]
- 太字は最多ラップリーダー
第12戦終了時点のランキング
- ドライバーズ・チャンピオンシップ
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- コンストラクターズ・チャンピオンシップ
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- 注:ドライバー、コンストラクター共にトップ5のみ表示。
脚注
注釈
- ^ 夜間の作業制限。年間2回認められている。
- ^ 当初の予定は14:00だったが、FP3セッションの終盤に外れたターン14の排水口の蓋を修復したため、開始が30分遅れた。
- ^ ポルトガルは10月の最終日曜日に夏時間が終了する。
出典