『悪人』(あくにん)は日本の小説家、吉田修一の長編小説。またそれを原作とした実写映画、舞台作品。
本作は、2006年3月24日から2007年1月29日まで『朝日新聞』にて連載され、2007年に朝日新聞社より出版された。2010年11月時点で朝日文庫版が210万部を突破している[1]。
第61回毎日出版文化賞と第34回大佛次郎賞をダブル受賞。2008年度本屋大賞第4位。
2010年7月7日には束芋による絵本版が出版。同年9月11日に妻夫木聡が主演で実写映画が公開された。
同年8月、フィリップ・ガブリエル翻訳による英訳版『Villain』が出版された[2]。
保険外交員女性・石橋佳乃が土木作業員・清水祐一に殺された。清水は別の女性・馬込光代を連れ、逃避行をする。
なぜ、事件が起きたのか?事件当初、容疑者は裕福な大学生・増尾圭吾だったが、拘束された増尾の供述と新たな証言者から、容疑の焦点は清水に絞られる事になる。
『悪人』(あくにん、あくんちゅ、Akunin、Villain)は、李相日監督によるヒューマンミステリードラマ。2010年9月11日に全国東宝系列で公開。
2009年12月のある日、三瀬峠(福岡市~佐賀市)の橋の下から若い女・石橋佳乃の遺体が見つかり、数日後恋人とされる大学生・増尾圭吾に殺人の容疑がかかる。佳乃の父・石橋佳男は警察からの連絡で遺体確認に訪れると、刑事に失踪中の増尾を早く見つけて逮捕するよう涙ながらに懇願する。クリスマスを迎える頃長崎県で暮らす清水祐一は、ニュースを見た祖母から夕食時に佳乃の事件について聞かされ気持ちが悪くなる。祐一が気分を落ち着かせるため独りになった所、ケータイに以前出会い系でメールをやり取りした女性・馬込光代から一通のメールが届く。
地元佐賀県で祐一と会う約束をした光代はデートに胸を弾ませるが、当日会ってすぐホテルに誘われ戸惑いながらも男女の関係を持つ。2人で食事に行くつもりだった光代は、その場で金を渡そうとする祐一にショックを受けて「笑うかもしれないけど私は本気で出会いを求めていた」と帰ってしまう。別の日石橋は刑事から、逃げていた増尾を確保し任意で取調べをした所、真犯人が別にいることが告げられる。あの日の夜、佳乃は増尾の車で峠へ向かうが山中でケンカになり彼に車外に蹴り出された後、何者かに殺されたのだった。
再び佐賀を訪れて光代に会った祐一は、自身も本気で出会いを求めていたが一般的な交際の仕方を知らず失礼な振舞いしたことを謝罪する。光代を自宅に送った祐一は長崎に帰るはずが、祖母からの連絡で自宅に警察が来ていることに気づき、急遽引き返して彼女を車に乗せて走り出す。翌日祐一は、出会い系で知り合った佳乃という女と数日前にトラブルになり、嘘のレイプ被害で警察に行こうとする彼女を絞殺したことを光代に打ち明ける。
祐一に出会えて女としての幸せをようやく手に入れられると思っていた光代は、自首しようとする彼を引き止め2人で逃げることを決意する。祐一が殺人犯として指名手配された後2人は車を乗り捨てて逃避行し、とある灯台にたどり着くと空き家となった灯台守の小屋で過ごし始める。一方石橋は殺人容疑が晴れて釈放された増尾に会いに福岡を訪れ、あの夜佳乃にしたひどい仕打ちを謝るよう迫るが突き倒されてしまう。その後石橋は、反省の色を見せず娘の事件をネタに仲間と談笑する増尾の前に現れ、隠し持っていたレンチを振り上げる。
祐一と逃亡生活を送っていた光代はある日数km先の街まで歩いて買い出しに行くが警官に保護され、その後すきを見て逃走を図る。派出所を抜け出した光代は必死に走って祐一のいる灯台の小屋まで戻るが、密かに警察車両が彼女の跡を追っていた。灯台にパトカーのサイレンが近づく中祐一は、自分のわがままで自首を阻止したことを泣きながら謝る光代の上にまたがり彼女の首に両手をかける。
2011年3月18日発売。発売元はアミューズソフトエンタテインメント、販売元は東宝。
舞台化され、2018年3月29日 - 4月8日に三軒茶屋シアタートラムで[10]、4月15日に兵庫県立芸術文化センター阪急中ホールで上演された。
2017年8月17日に上巻、同年9月16日に下巻が、オトバンクのオーディオブック配信サービス「FeBe」(現・audiobook.jp)にて配信開始された[12]。
2018年8月26日にAudible Inc. のオーディオブック配信サービス「Audible」にて配信された。田中麗奈と中村蒼による朗読となっている[13]。