『息子』(むすこ)は、1991年公開の日本映画。製作・配給会社は松竹で、監督は山田洋次。椎名誠の小説『倉庫作業員』を原作として山田と朝間義隆が脚本を担当。岩手県の山奥で暮らす父親と、都会でフリーターを続ける息子との葛藤と心の変化を描いた社会派ドラマ。第15回日本アカデミー賞や第65回キネマ旬報ベスト・テンなど、数多くの映画賞を受賞した。
東京の居酒屋でアルバイトをしている哲夫は、1990年(平成2年)7月(バブル景気時)、母の一周忌で帰った故郷の岩手でその不安定な生活を父の昭男に戒められる。居酒屋のアルバイトを辞めた哲夫は下町の鉄工所にアルバイト(後に有期雇用フルタイムへ登用)で働くようになる。製品の配達先で伝票を処理してくれる女性と顔を合わせる。埃っぽい倉庫で一人で仕事をする、その女性の名前が征子だと知る。仕事は辛いし孤独も感じるが、彼女と顔をあわせるのが楽しみになる哲夫。
しかし笑顔を見せてくれるが、一言も声をかけてこない彼女にモヤモヤした想いが募る。何故に挨拶もしてくれないのかと彼女に問う。哲夫は入院中の相棒のタキさんを見舞った際に、あんなきれいな人なのに聴覚に障害があるなんてな、と聞かされる。自分への恥ずかしさと怒りがないまぜになった感情は「いいではないか、聾唖の人。いいではないか。タキさんは何様なんだ」と言わせていた。翌年の1月に上京してきた父に、哲夫は征子を紹介する。彼は父に、征子と結婚したいと告げる。息子の門出を見送った昭男は岩手に戻る。誰もいない家の中に、かつて家族と暮らした暖かい日々の様子が昭男の眼に映ってくる。
主婦
※太字が受賞、太字でないものはノミネート。
※2017年度は授賞式中止