大笠山(おおがさやま)は、石川県白山市と富山県南砺市との県境にある標高1,822 mの両白山地の山。日本三百名山に選定されている[3]。
概要
両白山地の主稜線の北部に位置する。白山国立公園に含まれ[4]、山の南側は特別保護地区、北側が特別地域に指定されている。山体は酸性火成岩からなる[3]。1993年(平成5年)に、大笠山を源流とする境川(庄川の支流)に境川ダムが完成した。その後、境川との合流部の大畠谷に鉄製の吊橋が設置され、フカバラノ尾根に登山道が整備された。1997年(平成9年)10月には、東砺波郡上平村(現在の南砺市)が、大笠山の約800 m東の稜線上に大笠山避難小屋を建設した。山頂の西500 mには大笠池(標高約1,720 m、長径80 m - 短径30 mの楕円形)があり、オオルリボシヤンマ、モリアオガエル、マメゲンゴウなどが生息している[5]。
山名の由来
山名の由来は、越中側から見た山容が編笠状であるためとされている[6]。加賀側からは、山頂直下に広い平地があることから「千丈平山」と呼ばれていた。金沢市方面からその端正な三角形の山容を望むことができる。国土地理院の地形図では、南西に「千丈平」と呼ばれる平坦地がある[7]。
登山
登山道
境川ダムが建設される以前は、富山県道54号福光上平線のブナオ峠(大獅子山と大門山との鞍部)からの登山道が利用されていた。フカバラノ尾根の登山道整備後は、多くの登山者がこの登山道を利用するようになった。境川ダムの上部の登山口付近には桂湖ビジターセンターや桂湖オートキャンプ場などがあり、毎年6月1日にビジターセンターで大笠山の山開きが行われている[8]。南の笈ヶ岳からの主稜線には、深い藪や木が生い茂っていて一般登山道はない。
山頂には、国土地理院の一等三角点(点名は「大笠山」)、山名と展望図の御影石、テーブルとベンチなどが設置されている。
- フカバラノ尾根からのコース:桂橋西 - 大畠谷(吊橋) - 前笈ヶ岳 - 旧大笠山避難小屋 - 両白山地主稜線合流点 - 大笠山
- 登山道には全長6.2 kmに対する山頂まで各1.6、2.6、3.7、4.8、5.7 kmの登山標識が設置されている。登山口付近にある大畠谷吊橋の踏板は冬期には外される。平成18年豪雪でこの吊橋は半壊したが、その後修復された。
- 山頂手前約100 mの稜線上登山道脇に2013年9月に新築された大笠山避難小屋(1.5間×2間=3坪、収容数名、無人、トイレなし)がある。水場はない[9]。山頂から東800 mにあった旧避難小屋は取り壊され、基礎上に四角く丸太が組まれ、休息所になっている。水場は旧避難小屋近くにあり、水を入手できる場合がある[10]。
- ブナオ峠からのコース:ブナオ峠 - 大門山 - 赤摩木古山 - 見越山 - 奈良岳 - 大笠山
両コースの登山口とも最寄りのインターチェンジは、東海北陸道五箇山インターチェンジである。
ギャラリー
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登山口の桂湖
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登山口の大畠谷(吊橋)
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旧大笠山避難小屋(現在は解体)
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旧避難小屋広場
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現在の大笠山避難小屋
登山道の植物
初夏に登山道では、コブシ、ホンシャクナゲの広葉樹の花が見られる。上部に行くにつれて、ブナ林からダケカンバやオオシラビソへと植生が変わる。また上部では、クマザサが多く見られる。またイワウチワ、イワカガミ、タテヤマリンドウ、ニッコウキスゲ、ハクサンコザクラなどの高山植物も見られる[10]。
地理
周辺の山
両白山地の主稜線上にあり、その北部に位置する。南には笈ヶ岳がある。
山容
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山名
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標高[1][2] (m)
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三角点等級 基準点名[1]
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大笠山からの 方角と距離 (km)
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備考
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人形山
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1,726
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東北東 13.8
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日本三百名山
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大門山
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1,571.59
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三等 「大門山」
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北北東 5.1
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日本三百名山
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見越山
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1,621
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北 3.2
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奈良岳
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1,644.33
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三等 「三方山」
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北 2.4
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大笠山
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1,821.84
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一等 「大笠山」
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0
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日本三百名山
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前笈ヶ岳
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1,522.06
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三等 「前笈」
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東南東 2.2
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フカバラノ尾根
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笈ヶ岳
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1,841.35
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三等 「笈岳」
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南 2.4
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日本二百名山
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白山
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2,702.17
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一等 「白山」
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南 18.4
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日本百名山
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源流の河川
以下の源流となる河川は、日本海へ流れる。
大笠山の風景
脚注
参考文献
関連項目
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大笠山に関連するカテゴリがあります。